大原富枝文学館で人生や生きがいについて思いを巡らせてみるデート|高知県の博物館

本記事で紹介するのは、高知県長岡郡本山町にある「大原富枝(おおはらとみえ)文学館」をメインに、周辺の魅力あるスポットを巡るデートプランです。

昭和レトロな建築が素敵な大原富枝文学館では、同町出身の作家・大原富枝の生涯と作品を紹介しています。大正元年(1912年)生まれの彼女は、過酷な運命を背負いながらも懸命に生き抜く女性の姿を、一貫して書き続けてきました。

親交のあった作家の吉本隆明が「大原富枝は戦後最大の女流作家であった」と評価するほどで、作家としての業績に対し、恩賜賞や日本芸術院賞も受賞しました。

今回ご紹介するデートプランは、今後の方向性や人生について思いを巡らせ、二人で豊かな気持ちになれるデートを楽しめると思います。高知県・本山町界隈でのデートを計画しているカップルは、ぜひ参考にしてみてくださいね。

こんなカップルにおすすめ!
おすすめ年代:20代~50代
おすすめカップル:文学が好き、大原富枝に興味がある、人生を考えてみたい、レトロな建築物が好き
どんなデート?:大原富枝、文学、博物館、自然、散策、オリジナルグッズ

概要:大原文学と緑豊かな故郷に親しむデートプラン

「大原富枝文学館」では、彼女の自筆原稿や書簡、愛用の品々が展示されており、代表作の「婉(えん)という女」にスポットを当てた大原文学の世界が展開されています。生前の仕事場であった東京・杉並の書斎も、大原富枝文学館の中に移築されました。

大原文学は初めてというカップルでも、展示を通して格調高い文章に触れられますし、時代や自身と真摯に向き合って、女流作家として独自の世界を切り拓いた大原富枝の魅力を満喫できるでしょう。

今回のデートのメイン
大原富枝(おおはらとみえ)文学館
周辺のデートスポット
・帰全山(きぜんざん)公園
・モンベル アウトドアヴィレッジ本山
・本山さくら市
ランチにおすすめのお店
・レストラン ハーベステラス(モンベル アウトドアヴィレッジ本山に附設)
・いち松
・JOKI COFFEE

大原富枝文学館から徒歩10分ほどのところにある「帰全山(きぜんざん)公園」は、吉野川や春から初夏にかけてのシャクナゲ・ツツジが美しい人気のデートスポットです。二人での散策にぴったりな遊歩道も整備されていますから、思いっきり深呼吸してみてくださいね。

また、公園のすぐ隣にある「モンベル アウトドアヴィレッジ本山」の敷地内には「レストラン ハーベステラス」があり、そこでは専用窯で焼き上げるピザや地元名産「土佐あかうし」のBBQも堪能できます。緑あふれる自然の中、ゆったり気分でランチを楽しんでみれば、気ぜわしい日々とは別世界ですよ。

ここからは、今回のデートプランのメインとなる「大原富枝文学館」について、具体的に見ていきましょう。

知的な空間の中でリラックスできる「大原富枝文学館」

大原富枝の肖像写真と3匹の愛犬のイラスト

「大原富枝文学館」がある高知県・本山町は、高知市の市街地中心部からドライブデートで50分くらいの道のり。四国の中央部に位置している水と緑が豊かな、美しい山里です。南国土佐にあっても、気候は年間を通じて涼しく爽やかで、冬には積雪が見られることもあります。

大原富枝文学館には、戦後を代表する女流作家・大原富枝の生原稿など、貴重な資料が展示されています。1階のサロン内では、著書を読んだり、DVDを鑑賞したりして、ゆったりくつろげることもでき、暑い夏や寒い冬のデートにもピッタリです。

レトロな外観が目を引く大原富枝文学館の建物は、かつての本山簡易裁判所を活用したもの。名門校の古い校舎内のような内部も、知的でノスタルジックな雰囲気が好きなカップルにはたまりませんよ。

今回は、そんな大原富枝文学館で事務局長を務められる学芸員・大石さんにインタビュー取材を行い、その特徴や魅力について語っていただきました。

文学館が誕生したきっかけは、故郷の子どもたちに対する大原氏の熱い想い

「大原富枝文学館」内部の常設展示室入口のパネルと事務局長の大石さん
▲常設展示室入口にある大原富枝の写真パネルと、今回取材に応じていただいた事務局長の大石さん

編集部

「大原富枝文学館」は吉野川上流エリアの、緑豊かな街中にある博物館なんですね。最初にこちらの文学館が誕生したきっかけについて教えてください。

大石さん

当館は、平成3年(1991年)に現存作家の公設文学館として誕生しました。大原富枝が読みたい本が読めなかった自身の娘時代を振り返って、自分の作品や交流のある作家の本など自身の蔵書を、故郷の子供たちに読んで欲しいと願い、地元の高校の図書室に寄贈しようとしたことが始まりです。

折よく簡易裁判所であった建物の払い下げがあり、その後に本山町が文学館として整備し、小さな文学館が誕生しました。大原の没後、子供たちへの文学奨励を託し、著作権を含むすべての財産が本山町に寄贈されています。

編集部

大原富枝は、思い切りのいい作家だったようですね。私心が少なくて、後進の子供たちのことを考えていたのでしょう。

この文学館自体に、大原富枝の想いが込められているようで、最初に開館の経緯を伺って正解でした。デートで見学する際も、このことを頭に入れて展示品を見ると受け止め方も違ってくるように思います。

常設展示では、大原富枝の代表作「婉という女」ほか大原文学の世界観が楽しめる

「大原富枝文学館」内に東京・杉並から移築された大原富枝の書斎(その1)
▲東京・杉並から移築された大原富枝の書斎(生前の仕事場)が2階に再現されている

編集部

次に、「大原富枝文学館」のメインの展示(常設展示)について、お話しいただけますか?

大石さん

本山町出身の作家・大原富枝の生涯の歩みと作品を紹介しています。本人の遺志により本山町に寄贈された約2万点の資料の中から、自筆原稿や書簡、愛用の品々を常設で展示中です。

代表作「婉という女」にスポットを当てた、大原文学の世界が展開されています。平成30(2018)年には、婉の父・野中兼山の功績と本山町の歴史をたどるコーナーを新たに設け、展示室をリニューアルしました。

「大原富枝文学館」内部の常設展示室の様子
▲リニューアルされた常設展示室の様子

編集部

これまで、大原富枝の著作を読んだことはなかったのですが、彼女の生涯や人となりを知ってから著作に触れた方が、より一層理解が深まりそうな気がしています。

過去の企画展、または今後予定される企画展などがありましたら、ぜひご紹介ください。

大石さん

過去には「書にまつわる所蔵品展」や「川のある風景ー原点に佇つ(たつ)」、「俳句の道展ー青々と暮石」、「~大原富枝の古典文学の世界~万葉のうた」、「地上を旅する者~負の世界に生きる~」などの企画展を開催しました。

企画展は、年間を通じて3~4回ほど開催していますよ。

今年(2022年)は、学制発布150周年に当たることから、土佐の学びの歴史をたどる連携企画展「~大原富枝と吉野第一尋常高等小学校~ふるさとの丘と川2」(7月3日~8月28日)や、「草を褥(しとね)に」など、4つの企画展を開催予定です。

編集部

「草を褥に」は、大原富枝の最後の単行本となった「草を褥に 小説牧野富太郎」を中心にして、土佐の植物学の大家・牧野富太郎の生涯を、妻の寿衛にフォーカスしながら紹介すると伺っています。

やはり、女性からの視点・立ち位置を大切にしていることが、大原文学の特徴ですよね。

大原富枝文学館では、年間を通じデートでも楽しめるイベントが豊富!

「大原富枝文学館」内部のエントランスホール
▲内部のエントランスホール

編集部

企画展のほかにも、「大原富枝文学館」で毎年開かれるイベントのようなものはあるのでしょうか?

大石さん

一年を通して、複数のイベントを行っていますよ。毎年春と秋には、初心者向けの俳句教室を開催。7月1日~9月30日までは、大原富枝賞の作品(小説・随筆)を募集中です。

高知県民に文学に親しんでもらうことを目的に創設された大原富枝賞は、大原の遺志を受け継ぎ、開館以来今回で31回目の募集を行っています。

11月1日~翌1月31日までは、右城暮石(本山町出身の蛇笏賞受賞俳人)顕彰吉野川全国俳句大会の事前句を募集しています。

あと、大原富枝の誕生日(9月28日)を記念して、周辺の土曜または日曜に、大原文学を親しく学ぶ大原文学ミニ講座を開催します。今年(2022年)は、9月25日に開催予定です。

一絃琴と十三絃琴、尺八による演奏のほか、嶺北高校の生徒による大原作品「草を褥に」の朗読、作家・阿部日奈子氏による講演などがありますよ。

>>大原文学ミニ講座の詳細

編集部

大原文学に初めて親しんでみたいと考えるカップルは、スケジュール調整が付けば、大原文学ミニ講座に参加してみてもいいかも知れませんね。

大石さん

大原の故郷の文学館であることから、毎年秋の紅葉の時期になると、作家と作品のゆかりの地を巡る文学散歩も行っているんですよ。

さらに、1月27日の富枝忌周辺の土曜または日曜には、墓所に献花して大原を偲ぶ記念行事を開催しています。

富枝忌で演奏された月琴と奏者
▲月琴が奉奏された富枝忌の一コマ

編集部

大原富枝文学館として、活発に活動されていますね。地元の多くの皆さんが大原富枝に関するイベントに毎年参加されているようで、少々驚きました。改めて、求心力がある作家だったのだな、と感じています。

デートの一環で大原富枝文学館を見学するカップルも、興味がありそうなイベントがあれば、スケジュールを合わせて訪れてもいいですね。文学好きな方ならば、新しい世界が開かれるような気がします。

デートなら、昭和レトロなサロンで著作を読むもよし、茶道体験に参加もよし!

編集部

「大原富枝文学館」で、デートで訪れた一般のカップルが体験できることを教えてください。

大石さん

展示を通して大原作品に触れた後、1階のサロンで昭和35(1960)年以降の大原の著書を、実際に手に取って読んでいただけますよ。

他館から寄贈された図録や、県内の各結社による俳誌や短歌誌、文芸誌なども、サロンで自由に閲覧可能です。また、大原富枝の生涯や、先に出た野中兼山の生涯をたどるデジタルコンテンツを閲覧することもできます。

「大原富枝文学館」内にあるサロンの様子
▲1階にある「サロン」。著書やDVDを楽しみながらくつろげるスペース

編集部

サロンで大原作品を読書しながら、見学途中の一休みをさせていただくのもいいですね。先ほど覗かせていただいたら、昭和レトロな雰囲気で何だか落ち着く雰囲気でした。

大石さん

さらに、毎月第二日曜日に定期朗読会を開催しており、大原富枝の作品や、ほかの作家の名作を朗読でお楽しみいただいているんです。

「大原富枝文学館」で開かれる定期朗読会の様子
▲毎月第二日曜日に開かれる定期朗読会の様子

併せて同日に、別館の茶室「安履庵」にて、大原富枝の会(友の会)の皆さんが呈茶(ていちゃ)(※1)を行われています。お薄(※2)のみですが、どなたでもお茶室で茶道を体験可能なんですよ。

(※1)茶をたてて客に振る舞うこと。正式な茶会ではなく、略式でカジュアルに茶を供することを指す場合が多い。
(※2)少なめの抹茶でたてられた、さらりとしたお茶(薄茶)のこと。この対は、お濃茶(濃茶)となる。

「大原富枝文学館」の敷地内にある茶室「安履庵」で行われる呈茶
▲定期朗読会と同日に、茶室「安履庵」にて行われる呈茶(茶道体験)の様子

編集部

何だか、大原富枝を囲むコミュニティができている感じです。彼女の著作を通して、生き方や想いが現代の女性たちにも共感されるからかも知れませんね。

茶道体験は、申込・参加費は不要だそうですね。タイミングが合えば、カップルでぜひお茶をいただいてみたいと感じました。二人で新鮮な時間を共有できそうな気がします。

とりわけ彼女や彼氏が、日本文学を学んでいるような留学生だったら、とびきり喜びそうなシチュエーションですね。

大原富枝文学館の見どころはフォトジェニックな建物!茶室「安履庵」も見逃せない

「大原富枝文学館」の敷地内にある茶室「安履庵」の外観(その1)
▲敷地内にある大原富枝肝いりの茶室「安履庵」。自由に見学できる

編集部

大石さんが思われる、「大原富枝文学館」の見どころについて、お聞かせください。

大石さん

まずは、魅力的な建物です。建物自体は、昭和27(1952)年に建てられた旧本山簡易裁判所を再利用したもので、小さくとも風格があります。大原富枝は含羞(がんしゅう)(※)を込めて当館を「世界一小さな文学館」と呼び、愛しました。(※)はじらうこと

内部の見どころは、古典様式と言われる2階まで真っすぐに立ち上がった、縦長の窓がある階段室です。手すりや照明も、当時の雰囲気をそのまま残しています。

編集部

今回初めて目にした時に、コンパクトながら、フォトジェニックで素敵な建物だと思いました。デートで訪れたら、レトロ感あふれる外観を入れて記念撮影をしたくなりますね。

大石さん

先ほども触れましたが、開館に合わせて建てられた茶室「安履庵」も見どころです。

平成3年(1991年)の11月に当館がオープンし、安履庵の初席開きも行われました。当時は健在だった大原が自ら庵主を務め、お客さまをもてなしています。

「大原富枝文学館」の敷地内にある茶室「安履庵」の内部
▲茶室「安履庵」の内部。初席開きの際は、健在だった大原富枝が自ら庵主を務めたそう

「婉という女」の主人公・野中婉が師の谷秦山に宛てた手紙の中に、亡き父・兼山の50回忌に当たり、古臣を集めて茶の湯を催し、御霊を慰めたと記されていました。このため、茶室は大原がどうしても建てたいと思ったものだったのです。

安履庵とは、安らかに履物を脱いでくつろぐ家、という意味になります。赦免を受けて、宿毛から高知へ戻った野中婉が「安履亭」と号したことから、大原が茶室の庵号に同じ名前を付けました。野中婉と同じ号を持つ茶室に静かに座っていると、心が落ち着くのを感じますよ。

編集部

なるほど、茶室の庵号にはそんな由来があったわけですね。先ほどお話しに出た茶道体験をさせていただく際には、大原富枝の想いをカップルでイメージしてみたいと思いました。

学芸員おすすめの見どころは、大原富枝の写真パネル!大原文学のルーツが刻まれる

編集部

続いて、「大原富枝文学館」内にある、大石さんが特にお好きな展示についても教えていただけますか?

大石さん

常設展示室入口の大原富枝のパネルです。20歳時の大原の写真を引き伸ばしたパネルには、「Dear tomie yours Kasho」とサインが入っていますが、「Kasho」の部分は黒く塗りつぶされています。

この写真は、大原が恋人に贈った自分の写真に、恋人が「Dear tomie yours Kasho」とサインを入れてから、送り返してきたものなんですよ。

「大原富枝文学館」内部の常設展示室入口の写真パネル
▲常設展示室入口にある20歳の大原富枝が写った写真パネル(左側)。当時の恋人のサインが見える

大原は高知女子師範学校在学中に喀血(かっけつ)し、結核のために退学を余儀なくされました。その後、故郷の吉野村(現在の本山町の一部)で療養生活を送りながら、文学修行を続けていたのです。

初めて投稿した作品「姉のプレゼント」が雑誌「令女界」に掲載されたのをきっかけに、文学青年との交際がスタートします。彼らはお互いに愛し合い、結婚を前提にお付き合いを続けていました。

ところが、結核を病んだ娘を嫁に迎えることはできないという恋人の母親の反対にあって、この恋は成就しませんでした。

編集部

そうだったのですね。結核は、当時は不治の病とも言われていましたから。周りを感染させるリスクもありますし、その恋人のお母さんの気持ちも理解できる部分はあります。

大石さん

恋人は大原に真相を告げず、ただ「太平洋に戦争は必ず起こる、僕は太平洋の藻屑になる」という一通の絶縁状だけを残して去り、戦死してしまいました。

大原の恨みと深い悲しみによって、恋人の名前「Kasho」の部分が黒く塗りつぶされたこの写真には、青春の日の別れの記憶が刻まれています。

後になって、大原は自伝的長編小説「眠る女」を執筆する過程で、事の真相を知ることになりました。自らの憎悪を拭い去って、恋人とその母親をゆるしたのです。そして、キリスト教に入信します。

このゆるしの過程こそが、大原の文学と人生に非常に大きな影響を与えました。常設展示室入口の一枚のパネルは、静かに大原の文学と生涯を伝えています。

編集部

私もミッション系の学校教育を長く受けていますが、本当の意味で人を赦すことは、並大抵のことではないとずっと感じてきました。

今のお話しは、大原富枝の文学や人となりを理解する上で、とても大切なポイントなんだと思います。

格調高い文章に触れたい!凛とした日本女性の強さを感じる文学館

編集部

デートの一環で「大原富枝文学館」を訪れたカップルには、どのようなことを感じ、学んで欲しいと思いますか?

大石さん

大原文学は初めてという方にも、当館の展示を通して、大原の格調高い文章に触れていただきたいと思います。

時代と戦争、結核と闘い、女性作家の魁(さきがけ)として独自の文学世界を切り拓いた土佐の作家・大原富枝の魅力を感じていただければうれしいですね。

「大原富枝文学館」内に東京・杉並から移築された大原富枝の書斎(その2)
▲大原富枝が格調高い文章を綴ってきた昭和レトロな雰囲気の書斎(生前の仕事場)が見事に再現されている

大原富枝は大正元年(1912年)の生まれで、社会的弱者であった女性が過酷な運命を背負いながらも、懸命に生き抜く姿を一貫して書き続けました。作家としての業績に対し、恩賜賞・日本芸術院賞を受賞しています。

親交のあった作家・吉本隆明は、大原の逝去に際して、「戦後最大の女流作家・大原富枝の魂がここに眠る」との言葉を寄せました。

編集部

大原富枝の代表作と言えば、まずは「婉という女」であるとお聞きしました。海外でも、英語・ロシア語・ポーランド語で出版されており、映画化もされたそうですね。

彼女は、父の追罰により幽囚の40年間を過ごした実在の人物・野中婉を、結核によって約10年間社会から拒まれ、療養生活を余儀なくされた自身と重ね合わせているでしょうね。

見学される皆さんのうち、カップルでいらっしゃる割合は、どのような感じでしょうか?

大石さん

カップルで見える方は、ご年配の夫婦が多いです。近年は若年層のカップルも増えてきた印象を持っていますが、まだ2割程度かと思います。より一層、当館の魅力を伝えていく必要性を感じる次第です。

編集部

日本文学に関心を持つ若年層のカップルが、まだ少ないのかも知れません。見方を変えれば、落ち着いた見学者が中心で、ゆったりリラックスしてデートできるとも言えそうです。

人間の本質は、時代を経ても大きく変わることはないと思っています。大原文学から、現在のカップルが感じ、学び取れることも少なくないのでは、という気がしてきました。

四季折々で楽しめる文学館!カップルがゆっくりできる場所も豊富

編集部

「大原富枝文学館」に来館する季節やタイミングによって、それぞれの楽しみ方があれば教えていただけますか?

大石さん

当館を何度でも楽しんでいただけるよう、年間3~4回の企画展を開催していることは、先にお話しした通りです。テーマごとに新たな発見があり、都度感動してただけるのではないかと思います。

また、雨の日にいらっしゃると、階段室に取り付けられたシャンデリアを始め、館内の照明がより一層美しく映えるんですよ。

茶庭(ちゃてい・ちゃにわ)(※3)には季節の花々が植えられており、館内の廊下からも、茶庭を歩いても、ゆったりとご覧いただけると思います。
(※3)つくばいや灯籠、飛石などを配置し、茶室と一体に造られた庭のこと。茶会に招かれた客同士の待ち合わせ場所であり、主人の迎えを待つ場所でもある。露地も同意。

初夏の夏椿が終わると、ヤマモモの赤い実とともに、紫陽花がとても美しいですよ。秋の紅葉、冬の椿と梅、春のツツジなど、季節の花を観賞していただく楽しみが続きます。

「大原富枝文学館」の敷地内にある茶室「安履庵」の外観(その2)
▲茶室「安履庵」の茶庭には、季節の花々が植えられている

編集部

確かに、雨の日はいかにもムードがありそうな、趣(おもむき)ある建物ですからね。どの季節にデートで訪れても、それぞれ楽しめると感じました。

1階のサロン以外に、カップルがゆっくり過ごせるおすすめの場所や、記念撮影に適した場所がありましたら、ご紹介をお願いします。

大石さん

館内の廊下には、休憩用の椅子があります。ゆったりと茶庭をご覧いただきながら、おくつろぎいただけますよ。茶室「安履庵」も見学自由ですので、静かな時間をお過ごしください。

当館は昨年(2021年)で開館30周年を迎え、大原の3匹の愛犬たちがキャラクターになって、帰ってきました。大原も喜ぶと思いますので、ぜひ可愛がってくださいませ。

1代目のヨーロピアン・コッカ―スパニエルのラディ、2代目のアメリカン・コッカ―スパニエルのルカ、そして3代目の柴犬の三郎が、館内のあちらこちらでお客さまをお迎えしています。

彼らの近くに「撮影OKマーク」があれば、お二人で一緒に記念撮影をしていただけますよ。

編集部

そこかしこに静の空間がある文学館だと感じています。大原文学に触れながら、カップルで今後にゆっくり思いを巡らせる時間も、後から振り返ると、かけがえのないものになるのでしょう。

3代目の愛犬・柴犬の三郎は、彼女の著作「三郎物語」や「山霊への恋文」にも登場しますよね。デートの記念に、インスタ映えする一枚が撮れそうです。

オリジナルグッズも販売!歴代愛犬のイラスト入りアイテムは必見

「大原富枝文学館」内にある「書籍・グッズ販売コーナー」
▲館内の「書籍・グッズ販売コーナー」と、事務局長の大石さん

編集部

デート中のカップルが「大原富枝文学館」に来館した記念に、購入できるアイテムなどありますでしょうか?

大石さん

「書籍・グッズ販売コーナー」にて、「婉という女」や「アブラハムの幕舎」(講談社文芸文庫)など大原富枝の著書や図録、一筆箋などを扱っています。

また、昨年(2021年)開館30周年を迎えたことを機に、劇団ヨーロッパ企画の角田貴志さん(俳優・イラストレーター)デザインの、大原富枝の歴代3匹の愛犬たちのキャラクターグッズができました。

おもなものは、愛犬・三郎のイラスト入りステンレスボトル(3,000円)や、ジェットストリーム4色ボールペン(シャープペンシル付き)(1,600円)、三郎・ラディ・ルカのイラスト入りトートバッグ(1,500円)など。クリアファイル(300円)や三郎測量野帳(700円)、ポストカード(300円)もありますよ。

編集部

渋い「野帳」もあるのには、正直驚きました。本来は測量技師向けの手帳ですが、メモ帳として使いやすいため、一部ビジネスパーソンには密かな人気なんですよね。

デートで大原富枝文学館を訪れた記念に、日常使いできる文具などをそろえてもいいと思いました。

「大原富枝文学館」の口コミ・感想をチェック!

編集部

「大原富枝文学館」に来館される皆さんから、しばしばお耳にされる声や見受ける反応などがありましたら、ぜひ教えてください。

大石さん

初めて訪れたけれど、作家の故郷にその人を感じられるこのような文学館があって、とてもうれしく思いました、という趣旨のお言葉をいただきます。

初めていらした方が「建物も展示も想像以上でした」と言ってくださると、本当にうれしい気持ちでいっぱいになりますね。

また、展示をご覧になって初めて大原の著書を購入される方も多いです。ありがたく思います。

編集部

「建物も展示も想像以上でした!」というのは、私も初めてお邪魔して同じ印象を持ちました。今まで文学に馴染むことが少なかったカップルも、一度デートで訪れてみるといいと思います。

「雰囲気がよい!」「繰り返し訪ねたくなる!」との声も多数

GoogleやSNS上に残されていた、大原富枝文学館についての口コミ・評価を編集部でも見かけました。デートの参考になりそうなものもありましたので、いくつか要約して紹介しましょう。

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文学に詳しくないのに、気づけばのめり込んで1時間以上が過ぎてました。
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ノスタルジックな雰囲気の博物館。雰囲気がいい。
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コンパクトな博物館ですが、何度も訪れたくなります。
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スタッフの方も親切で、ゆったりとくつろげた。

総じて評判のよい、ノスタルジックな博物館です。文学に詳しくない方、大原富枝の著作を読んだことがない方が訪れたとしても、来てよかったと感じるようでした。

カップルがデートの一環で初めて訪れても、二人で穏やかな満ち足りた時間を過ごせると思いますよ。

「大原富枝文学館」からカップルへのメッセージ

大原富枝文学館の学芸員の大石さん
大原富枝文学館の事務局長で学芸員の大石さんと大原富枝の初代愛犬ラディ

編集部

最後になりますが、デートで「大原富枝文学館」を訪れることを検討しているカップルに向けて、メッセージをお願いします。

大石さん

文学が大好きなカップルの方、歴史が大好きなカップルの方には、十分に楽しんでいただけると思います。じっくり時間をかけて展示を堪能し、サロンで実際に本を手に取ってゆっくりと味わっていただきたいです。

また、大原文学は初めてという方にもお気軽に来館いただき、館内をご覧いただいて心安らかに過ごしていただければ、大変ありがたく思います。茶室「安履庵」に座って、流れている静かな時間を感じていただけましたら幸いですね。

編集部

確かに、文学好きな方でも、そうでない方でも、それぞれに満足できる空間だと感じます。複数回訪れる方も多いようなので、毎回新鮮な感動や安らぎがあるのだと思いました。

大石さん、本日はお忙しい合間にいろいろお話しを聞かせていただき、大変ありがとうございました。

「大原富枝文学館」の基本情報

住所 〒781-3601
高知県長岡郡本山町本山568-2
問合せ (電話)0887-76-2837
(公式サイト)https://oohara-tomie-bungakukan.net/contact/
※受付時間は、平日の9:00~18:00(土・日・祝日を除く)
アクセス 【車】
大豊ICより約15分
【公共交通機関】
JR大杉駅下車後、バスで約20分
駐車場 専用駐車場なし
※隣接する「本山町プラチナセンター」の駐車場を利用可
※お体の不自由な方の車は、館庭に駐車可
開館時間 9:00~17:00
※入館受付は16:30まで
休館日 毎週月曜日
※月曜日が祝・祭日に当たる場合はその翌日
年末年始
※12月28日~1月4日まで
入館料 (一般・大学生)300円
(小・中・高生)100円
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳及び被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者、高知県又は高知市長寿手帳をお持ちの方は、入館料が免除となる(要問合せ)
平均的な滞在時間 30~60分程度
比較的空いてる時間 (平日)終日空いている
(土・日・祝日)午前中が比較的空いている
公式サイト https://oohara-tomie-bungakukan.net/

※最新の情報は公式サイト等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です。

「大原富枝文学館」周辺のおすすめデートスポット

ここからは、「大原富枝文学館」を見学する前後に訪ねやすい近隣のデートスポットを紹介します。カップルでランチやお茶を楽しむのにぴったりのお店もあるので、要チェックですよ。

おすすめのデートスポット

シャクナゲ公園とも呼ばれる緑と花が美しい「帰全山公園」

蛇行する吉野川上流の景色と一体となった「帰全山(きぜんざん)公園」は、「大原富枝文学館」から徒歩10分ほど。吉野川に囲まれる緑豊かな公園で、敷地内にはキャンプ場も併設されていますよ。

例年春のゴールデンウィークころには、咲き誇るシャクナゲやツツジを観賞しようと、多くの観光客で賑わうことでも有名です。天気がよければ、二人で遊歩道を散策すると爽快な気分になれます。

帰全山公園は、大原富枝の代表作「婉という女」の主人公・婉の実父である野中兼山ゆかりの地。公園入り口には兼山の銅像が立っていますので、ここも撮影スポットになってくれそうです。

参考URL:公益財団法人高知県観光コンベンション協会「帰全山公園」

吉野川に臨むお洒落な「モンベル アウトドアヴィレッジ本山」

「帰全山公園」のすぐ隣には、「モンベル アウトドアヴィレッジ本山」があります。直営ショップやレストラン、宿泊できるコテージ、一般の方も使える入浴施設、体育館などからなる複合施設です。

ショップでは、モンベルのアウトドア用品だけでなく、地元のお土産品も販売されていますよ。地元食材をふんだんに用いる「レストラン ハーベステラス」は、デートランチにもぴったりでしょう。

専用窯で焼き上げるピザや、名産「土佐あかうし」のBBQを、オープンテラスやウッディな店内でゆったりと楽しめます。「大原富枝文学館」と、ここだけで過ごしても満足度は高いですよ。

公式URL:モンベル アウトドアヴィレッジ本山

土佐あかうしの絶品ローストビーフ丼が人気の江戸前鮨「いち松」

「いち松」は、「大原富枝文学館」から徒歩5分ほどの江戸前鮨の名店。お昼はランチメニューのみで、お値打ち価格でボリューム満点の新鮮な海鮮丼や穴子丼、土佐あかうしのローストビーフ丼などをいただけます。

17:30以降になると、こだわりの握り鮨をいただけますから、大原富枝文学館をゆったりと見学した後、ディナーで訪れてもいいですね。2階には囲炉裏もあって、魚介類の焼き料理も楽しめますよ。

何をオーダーしてもハズレがなく、美味しいお店です。何よりお店の皆さんが笑顔で感じよく、多くのリピーター客で賑わうのも納得できますね。人気店なので、可能ならば電話予約がおすすめですよ。

参考URL:一般社団法人土佐れいほく観光協議会「いち松」

その他のおすすめデートスポット

  • 本山さくら市(地場の朝採り野菜が豊富に並ぶ。地元ブランド米「天空の郷」の絶品おにぎりもテイクアウトOK)
  • JOKI COFFEE(吉野川を眺めながら、こだわりのコーヒーとスイーツを楽しめる。ウッディで、居心地のよい店内)

まとめ:戦後を代表する女流作家の息吹に触れる一日

この記事では、吉野川上流に位置する高知県・本山町にある「大原富枝文学館」を訪ねて、戦後を代表する女流作家・大原富枝の生涯と作品に触れる一日を紹介しました。

自身の人生や社会と真摯に向き合ってきた大原富枝の生涯・人となりは、今後の二人の行き方・方向性を思い描くカップルにも、きっと考えるヒントを与えてくれるでしょう。

土佐の緑豊かな山里に建つノスタルジックな博物館は、たとえ日本文学に造詣が深くない二人がデートで訪れても、来てよかったなと感じるスポットだと思いますよ。デートの参考になれば幸いです。

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