
【山形】酒田市の本間美術館で日本の美を堪能&地元の歴史をゆっくり学ぶデートプラン
今回紹介するのは、本間美術館を中心に、山形県酒田市の港町・米どころとしての歴史をゆっくり学ぶデートプランです。
本間美術館は本間家が寄贈した古美術品を中心に、約3,000点の作品を所蔵しています。加えて国指定名勝のお庭・鶴舞園や、国の重鎮が宿泊した清遠閣を見学できるのが魅力。美術館の施設すべてで、日本の美を堪能できるスポットです。
今回は、そんな本間美術館の館長・田中章夫さんにお話を伺いました。歴史・美術好きのカップルにはたまらないデートプランです。ぜひ参考にしてみてください。
おすすめカップル:歴史・美術が好きなカップル
どんなデート?:見て学ぶ、半日デートプラン
目安時間:半日
目安予算:2人で12,000円
概要:本間美術館を中心に日本の美と酒田の歴史・グルメを堪能するデートプラン
今回紹介するデートプランは、本間美術館を中心に酒田市の歴史と、地元の新鮮な魚介を堪能するプランです。本間美術館と食事処海鮮どんやとびしまは少し離れているので、市内バスを利用して移動しましょう。
10:00~11:30 | JR酒田駅集合 本間美術館でお庭や美術品を鑑賞 |
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移動 | バスで移動(約5分) 山居倉庫前で下車 |
12:00~13:00 | 食事処海鮮どんやとびしまで新鮮な魚介を味わう |
13:00~15:30 | 日和山公園でのんびりお散歩 |
15:30~17:00 | 山居倉庫を見学 |
JR酒田駅から本間美術館までのアクセスは、徒歩で約5分です。駅に集合したら、そのまま歩いて美術館へ向かってみてください。食事処海鮮どんやとびしまは、さかた海鮮市場の2階にあります。
JR酒田駅は、時間帯によっては2時間ほど電車が来ない時間帯があります。時間の管理は入念に行いましょう。予算は入館料・食事代・お土産代などを合わせて、1人6,000円くらいです。
まずは今回のデートのメインとなる本間美術館について詳しく見ていきましょう。
「本間美術館」は日本の美が盛りだくさんの美術館
本間美術館は、山形県酒田市にある美術館です。江戸時代から続く豪商・本間家から寄贈された、日本や東洋の古美術品を主に展示しています。
江戸時代の国内の交易で手に入れたものや、東北地方を治めていた大名から拝領したものなど、歴史ロマンを感じられる作品もあります。
美術館内にある清遠閣と庭園・鶴舞園も要チェック。清遠閣は京風の繊細な造りで、大正レトロな雰囲気が心地よい建物です。もともとは藩主の休憩所だったのですが、大正14年には東宮殿下(のちの昭和天皇)がご宿泊されるなど、迎賓館としても使用されました。
鶴舞園は四季折々の花が咲き、冬は雪景色が見られる魅力的なスポットです。「出羽富士」とも呼ばれる鳥海山を借景として利用しており、広々と開放感があります。2012年には国指定名勝に登録されました。
また、館内には鶴舞園を眺めながら抹茶を飲める喫茶室や、地元の人たちが作ったグッズを購入できるショップもあります。じっくりとお庭や作品を鑑賞しながら、2人で心穏やかな時間を過ごしてみてください。
今回は、本間美術館館長の田中章夫さんにお話を伺いました。
貿易や大名からもたらされた、歴史ロマンを感じる古美術品を展示
編集部
本間美術館では、どのような作品をメインで展示しているのでしょうか?
館長・田中さん
酒田の豪商・本間家に大切に受け継がれてきた、歴史ロマンを感じる作品をメインに展示しています。主な展示品は次の通りです。
- 古伊万里や古九谷などの陶磁器
(北前船によってもたらされたと思われる) - 庄内藩酒井家や米沢藩上杉家などからの拝領品
- 江戸時代の絵師たちの絵画
(円山応挙・伊藤若冲など)
▲北前船で運ばれてきたとされる古九谷。色鮮やかで力強い絵付けが魅力です。
▲庄内藩主酒井家からの拝領品。本間家では貴人の接待に用いられた貴重な茶碗です。
編集部
本間美術館のコレクションは、日本・東洋の古美術から現代美術まで、約3,000件の収蔵品があると伺いました。古いものだと奈良時代の巻物や鉾、新しいものだと昭和の絵画作品があるんですよね。美術好きにはたまらないラインナップです。
また、本間美術館には歴史ロマンを感じる作品が多く展示してあるとのこと。北前船(読み方:きたまえぶね)とは、大阪と北海道の間を運航していた船のことなんですよね。大阪から瀬戸内海、山口・福岡間の関門海峡、日本海を通って北海道まで行く、長距離のルートを航海していたと聞きました。
それに庄内藩酒井家は江戸時代初期から戊辰戦争まで山形県の日本海側を治めていましたし、米沢藩上杉家の初代・上杉景勝は豊臣秀吉が政権を握った時代の重鎮です。美術品の背景にあるこうした歴史も感じて鑑賞してみたいです。
見ごたえのある美術品を多数所蔵していると思いますが、本間美術館ならではの見どころを教えていただけますか?
館長・田中さん
様々なジャンルの企画展や特別展をはじめ、四季を通して表情を変える日本庭園・鶴舞園、清遠閣(本間家旧別荘)をお楽しみいただけます。
▲春の清遠閣。白ツツジの花が可憐に咲いています。
▲秋の清遠閣。春夏より色が濃くなった緑と、赤や黄に色づいたお庭が美しいです。
▲冬の清遠閣。雪化粧をまとった庭木が見られます。
清遠閣は、江戸時代に庄内藩のお殿様の休憩所として造られ、明治時代以降は多くの偉人たちをお迎えする酒田の迎賓館として利用されたんですよ。
編集部
自然豊かなお庭にひっそりとたたずむ姿が素敵です。長い歴史の中で、何度もその時代を代表する要人が訪れたんですね。そんな大事な場所を見学できるなんて、とても贅沢な気分になります。
来館者にはどんなことを学び、感じてほしいですか?
館長・田中さん
当館の展示や約200年の歴史がある庭園・鶴舞園(本間氏別邸庭園)と清遠閣を通して、先人たちから受け継いできた日本の美や歴史の面白さを感じてほしいですね。
編集部
展示品・建物・お庭から、日本の美や歴史を感じられる本間美術館を、時間を掛けて1つ1つじっくりと鑑賞してみたいです。
田中さんのおすすめは鶴舞園と江戸絵画のコレクション
▲広々とした清遠閣の二階。畳の香りに癒されます。
編集部
田中さんが思う、本間美術館の魅力や見どころを教えていただけますか?
館長・田中さん
当館は、東北地方では珍しく日本庭園がある美術館です。国の指定名勝でもある庭園・鶴舞園は「出羽富士」と呼ばれる鳥海山を借景にして造られています。庭園から眺める鳥海山は格別です。
▲国の指定名勝の鶴舞園。雪をかぶっている山が、借景として利用してる鳥海山です。
また、庭園に配されている佐渡の赤玉石・伊予の青石など、北前船で運ばれてきた銘石も見どころです。
▲左が伊予の青石、右が佐渡の赤玉石です。赤玉石は本当に真っ赤です!
編集部
瑞々しい緑のお庭と、遠くに見える雄大な鳥海山のコントラストが美しいですね!お庭と鳥海山の両方が映るアングルから写真を撮ってみたくなります。
それに佐渡の赤玉石の濃いめの赤色には驚きました。こんなに鮮やかな色の石が日本にあるんですね。また、伊予の青石の「伊予」は現在の愛媛県のことです。四国からはるばる山形県まで来たと思うと、なんだか感慨深いです。
ちなみに田中さんが気に入っている展示作品はありますか?
館長・田中さん
江戸絵画のコレクションが気に入っています。円山応挙が虎の毛皮を実見して実物大に描いた屏風や、弟子の長沢芦雪が描いたキャラクター化したような愛らしい子犬の絵など、江戸時代の絵画は実にバラエティーに富んでいて面白いですね。
▲館長・田中さんのおすすめその①。虎の毛皮を実物大に描いた屏風は迫力があります。
▲館長・田中さんのおすすめその②。たれ目&ゴロンとお腹を見せた子犬がかわいらしいです!
編集部
虎の体長は、オスで2.5~4m・メスで2~2.8mだと聞いたことがあります。成人男性より大きな虎の毛皮を、本物を見ながら実物大で描いたのですから、相当な迫力があるでしょう。
本間美術館には円山応挙や長沢芦雪だけでなく、伊藤若冲・小原慶山など、江戸時代に活躍した絵師たちの作品を多数所蔵しています。デートでは「この絵師の名前知ってる!」「虎の絵がリアルだね」など、感想を伝え合いながら鑑賞してみたいです。
企画展のギャラリートークでは貴重な話を聞くことができる!
▲美術展覧会場の様子。貴重な古美術品をじっくり鑑賞できます。
編集部
過去の企画展や、今後予定している企画展について教えてください。
館長・田中さん
展示会場では、年に6~8回企画展や特別展を開催しております。過去には、江戸時代の絵画、茶道具、近代洋画、浮世絵、雛人形などの企画展を行いました。今後の企画展は未定です。
また、企画展や特別展ごとに、学芸員のギャラリートークやアーティストトークなどを開催しています。入館券があれば自由に参加できますよ。
編集部
ギャラリートークでは本間美術館の学芸員の方、アーティストトークでは作家さん本人に展示を案内してもらえるんですよね。本間美術館で働いている人・作品を作った人ならではの話を聞くことができるのは、貴重な機会だと思います。
楽しむコツは季節を意識すること。喫茶室・ショップも必見!
編集部
時期・季節・天気など、来館するタイミングによる違う楽しみはありますか?
館長・田中さん
館内の庭園をぜひ見ていただきたいです。春は白ツツジ、夏は目に鮮やかな緑、秋は紅葉、冬は雪化粧と、四季折々の美しい景観を楽しめると思います。
▲春に楽しめる白ツツジ
編集部
年間を通して、季節ごとに違った風景を楽しめるのですね。写真を撮っておくと後で「本間美術館でデートしたのは夏だったね」「冬の雪景色、きれいだったな」など、思い出話に花が咲きそうです。
展示されている作品やお庭だけでも十分楽しめる本間美術館。館内で思い出の写真を撮影できるスポットや、カップルがゆっくり過ごせる場所を教えてください。
館長・田中さん
当館には喫茶室があります。庭園を眺めながらの抹茶(600円)はおすすめです。また、庭園内から鳥海山を眺められる場所は、当館一番の写真スポットになっています。
▲席同士の間隔が広く、ゆったりとした喫茶室。抹茶を飲みながら庭園を一望できます。
編集部
喫茶室の広々とした店内が素敵です。国指定名勝・鶴舞園を眺めながら抹茶を飲めるのは、とても贅沢ですね。展示やお庭をひと通り見終わったら、一度喫茶室で休憩してみたいです。
休憩が終わったら、最後はお土産探し!館内には思い出の品を購入できるショップはあるのでしょうか?
館長・田中さん
館内には、さまざまなグッズを取り揃えたショップがございます。ショップでは、酒田の作家さんが流木や粘土で作った人形類の商品が特に人気です。
▲ショップの人気商品「アマビエ」です。販売状況によっては在庫に限りがあるとのこと。
編集部
地元の方がグッズを作成していると聞いて、酒田市の地域の温かみを感じました。人形類だと、インテリア雑貨として部屋に飾ることができますね。お互いが気に入ったものを贈りあっても良いですし、2つで1組のものだと「デートに行った」という思い出がより一層残りそうです。
「本間美術館」に訪れた方の感想・口コミ
編集部
来館された方からよく聞く感想を教えていただけますか?
館長・田中さん
「庭園を眺めていると心が癒されました」「本間家に伝来した庄内藩主酒井家や米沢藩上杉家など、諸藩からの拝領品が素晴らしかった」というような感想が多く聞かれます。
編集部
自然に囲まれた本間美術館で、心穏やかに展示やお庭を見て回れたと感じた方が、多くいらっしゃるのですね。それに美術・歴史好きの方も満足しているとのこと。
Googleマップでは、本間美術館に340件以上の口コミが寄せられていました。評価も★4つ以上と高評価です。いくつか要約してご紹介します。
- 庭園と邸宅が素晴らしかった。四季折々の景観が見られるそうなので、また訪れたいです。
- 街中にあるとは思えないくらい、ゆったりとした時間が流れる空間だった。
- 庭園・建物・美術品、どれを見ても日本の美しさを堪能できた。
- 鎌倉時代の古い美術品があって、本間氏の存在の大きさを感じた。
特に建物やお庭の美しさが印象に残った方が多いようです。また、美術品の美しさ・背景にある歴史に思いをはせる方もいらっしゃいました。
館長の田中さんから読者へメッセージ
編集部
最後に、デートでの来館を検討しているカップルやご夫婦へのメッセージをお願いします。
館長・田中さん
本間美術館には、70年以上の歴史がある当館ならではの見どころがたくさんあります。コレクションの美、約3,000坪の日本庭園「鶴舞園」がみせる四季折々の美、大正ロマンを感じさせる「清遠閣」の美など、たくさんの美と出会える美術館です。ぜひお越しください。
編集部
昔ながらの日本の美しさを、美術館全体で堪能できる本間美術館。貴重な古美術品も多数所蔵しているので、企画展や季節ごとに訪れてみたくなりました。田中さん、本日はありがとうございました。
「本間美術館」の基本情報
住所 | 〒998-0024 山形県酒田市御成町7-7 |
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アクセス | JR酒田駅より徒歩5分 |
営業時間 | ・4月~10月 午前9時~午後5時 (入館は午後4時30分まで) ・11月~3月 午前9時~午後4時30分 (入館は午後4時まで) |
休館日 | ・12月~2月の火、水曜日 (祝日の場合はその翌日) ・展示替え ・年末年始 |
料金 | ・一般:1,000円 ・高/大学生:450円 ・小/中学生:無料 ※鶴舞園・清遠閣・美術展覧会場企画展示・清遠閣会場常設展示 ・追加券:2,180円 ※酒田市美術館・土門拳記念館・本間美術館3館共通券 ・追加券:1,600円 ※旧本間邸・本間美術館2館共通券 ※障害者手帳をお持ちの方は半額(本人のみ) |
駐車場 | 約30台 |
問い合わせ | ・TEL:0234-24-4311 ・FAX:0234-24-4312 |
平均滞在時間 | 1時間 |
空いている時間帯 | 12時頃 |
公式HP | https://www.homma- museum.or.jp/ |
※最新の情報はHP等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です。
「本間美術館」周辺のおすすめデートスポット
本間美術館の平均的な滞在時間は1時間。まだまだたくさんのデートスポットを回ることができます。そこで、本間美術館館長の田中さんにおすすめのデートスポットを教えていただきました。
田中さんおすすめのスポットは、さかた海鮮市場2階の「食事処海鮮どんやとびしま」と「日和山公園」です。また、山形県酒田市のご当地ラーメン「酒田ラーメン」もおいしいとのこと。
今回はデートプランで訪れる、食事処海鮮どんやとびしま・日和山公園・山居倉庫をご紹介します。
おすすめのデートスポット
田中さんおすすめ:食事処海鮮どんやとびしま(さかた海鮮市場2階)
食事処海鮮どんやとびしまは、庄内の新鮮な魚介類を食べられるスポットです。地元で水上げされた食材を使っているだけあって、お値段もリーズナブル!まぐろや鮭を使った海鮮丼だけでなく、お魚のソテー・ブイヤベース・あさりのパスタなど、洋食メニューもそろっています。
窓から酒田港や日本海を一望できるのが注目ポイント。水平線を眺めながら、おいしい料理を食べることができます。定休日は月曜日が多めです。デート前日までに、当日は営業しているかチェックしておきましょう。
公式ページ:https://www.kaisen-ichiba.net/about.html#a02
田中さんおすすめ:日和山公園
港町の面影が残る日和山公園。昔酒田港周辺の貿易で使われていた、木造六角灯台や方角石が現在も残っています。どこにあるのか探してみてください。2分の1スケールの千石船のレプリカもあります。船をバックに記念撮影するのがおすすめです。
日和山公園は桜の名所としても知られており、4月中旬には「酒田日和山桜まつり」が開催されます。約400本の桜が咲き誇るのは圧巻!日本の都市公園100選・日本の歴史公園100選・日本の夕陽100選に選出されている公園です。
山居倉庫
山居倉庫は、明治26年に建てられた米を保管するための倉庫です。現在も現役で使われています。自然の力をもとに米の保管環境を整えているのが特徴で、湿気防止のため二重屋根にしたり、気温対策でケヤキ並木を作ったりと様々な工夫が施されています。ケヤキ並木のケヤキはどれも樹齢150年以上です。
敷地内には、酒田市の特産品を購入できる物産館・酒田夢の倶楽や、米作りの歴史を学べる庄内米歴史資料館が併設されています。山居倉庫と合わせてぜひ訪れてみてください。
まとめ:「本間美術館」の展示・お庭・建物で日本の美を堪能しよう
今回は本間美術館で日本の美を堪能したあと、地元の新鮮な魚介を味わい、酒田市の歴史をゆっくり学べる日和山公園と山居倉庫を巡るデートプランを紹介しました。
本間美術館は、本間家が寄贈した美術品を鑑賞したり、四季折々の自然の美しさを見たりできる美術館です。展覧会は年に6~8回開催されていますし、お庭や建物の風景は季節によって異なります。「この展示を見てみたい!」「この季節のお庭の写真を撮りたい!」など、タイミングを合わせて訪れましょう。
展示の感想を伝え合ったり、ゆっくり公園や街中を歩いたりすると、じっくりと会話ができてお互いの仲が深まると思います。デートで山形県酒田市を訪れる際は、ぜひ参考にしてみてください。