
「鶴の里ふるさと館」で古民家の魅力を五感で味わうデート|青森県鶴田町の歴史館
今回の記事でご紹介するのは、青森県北津軽郡鶴田町(つるたまち)の「鶴の里ふるさと館」を訪れるデートプランです。
鶴の里ふるさと館では、明治初期の茅葺き屋根の民家を見ることができます。室内はきれいに維持保存されていて、どこか懐かしいような癒やしを感じる空間が広がっていますよ。
近くには人気の観光スポット「鶴の舞橋」もあるので、デートコースにもおすすめです。
今回は、そんな「鶴の里ふるさと館」の広報を担当している藤井さんに見どころをおうかがいしました。
歴史的価値の高い「鶴の里ふるさと館」の展示
鶴の里ふるさと館のある鶴田町は、津軽平野の中心に位置し、「おいわきやま」として親しまれている岩木山を背景に美しい田園風景が広がる場所です。
一方で、ブドウの品種「スチューベン」の生産量が日本トップクラスであり、アメリカに姉妹都市を持つなど国際交流も進んでいる町でもあります。
「鶴の里ふるさと館」は、そんな鶴田地方に多く残る代表的な茅葺き住宅を再現し、歴史的建築物として町の文化を今日まで伝え続けてきました。
ここからは、「鶴の里ふるさと館」で見られる展示内容についておうかがいしていきます。
明治初期の見事な茅葺造りと建築様式が今に伝わる常設展
編集部
「鶴の里ふるさと館」では、どのような展示が見られるのかご紹介ください。
藤井さん
鶴の里ふるさと館は、築147年の藁葺き民家で、平成7年(1995年)に元々建っていた場所から現在の場所へ移築されました。
できるだけ建設時の材料を使用し、耐久性の強いヒバやケヤキが使われたことで、当時の建築様式のままの姿を今も見ることができます。茅葺き造りの屋根の上部には銅板が使用され、八方(はっぽう)と呼ばれる立派な煙出しもついているんです。
▲地面から屋根の煙だしまでの高さは10m。立派な茅葺き屋根の建物外観。
内部では、明治初期の頃の様子をそのまま再現した座敷、居間、土間、馬小屋、かまどなどを見ることができます。
▲座敷の様子。しっかりとした引き戸や木材の風合いに時代を感じます。
▲広い座敷に襖や障子、趣のある欄間からは、裕福な民家という印象を持ちます。
また、玄関の引戸や格子戸には当時の木工技術が施され、欄間(※1)は高名な方の作によるものなど、文化的にも価値の高い歴史的建築物と言えるでしょう。
(※1)らんま。天井と鴨居との間に取り付けられた格子や透かし彫りのこと。
当時の生活の様子が感じられる農具や生活用具も展示されており、鶴田町の歴史を感じることができる施設ですよ。
出入り自由!茅葺き屋根の室内の快適さや特有の香りを体感できる
編集部
鶴の里ふるさと館で体験できることはありますか?
藤井さん
古民家内は、立ち入り禁止のスペースを除いては、自由に散策することができます。展示物や建物にも触れることができますから、室内を気兼ねなくご覧になれますよ。
部屋には説明書きが置いてあるので、各部屋がどういう用途で使われていたのかがわかるようになっています。
使用人の部屋は「間下(まげ)」、応接間は「常居(じょい)」、流しは「めんじゃ」など、各部屋の呼び名も独特です。
▲寝所(ねんどこ)。主人が休む寝間。
▲立派な仏間の様子。右手奥の部屋は床の間。飾り棚がある様子もうかがえます。
編集部
鶴の里ふるさと館を訪れる方には、どのようなことを感じてほしいと思いますか?
藤井さん
古民家には馬屋(まや)や使用人の寝室などがあり、現代ではほぼ見かけない造りです。
茅葺き屋根の建物としての特徴もあり、建物内は暑い季節には涼しく、寒い季節には暖かいという独特の快適さが感じられると思います。特に外との気温差に驚いてほしいですね。
中はどの季節でも快適なので、当時ほとんどの民家が茅葺きであったことにも納得できるのではないでしょうか。
また建物内部は、古民家特有の木や土間の香りがするため、五感で楽しんでいただければと思います。
昔話の世界観が魅力の「鶴の里ふるさと館」
編集部
藤井さんが思う、鶴の里ふるさと館の魅力や見どころを教えてください。
藤井さん
鶴の里ふるさと館は、この土地で上層農家だった川村家が住んでいた古民家をそのままパーツに分解して移築しています。古民家の内部からは、当時の家庭としてはかなり裕福だったと思われる生活の様子がうかがえると思います。
日本昔話で見るような囲炉裏などがあり、どこか懐かしいような思いに浸れるのではないでしょうか。歴史館ではありますが、実家にいるような落ち着いた雰囲気が感じられるところが魅力だと思っています。
▲広い板の間に囲炉裏があります。上部の格子状の板は火棚。
テレビ番組でも取り上げられた大きな古い金庫も見どころ
編集部
建物内には、何か変わった展示物などはありますか?
藤井さん
大きな古い金庫が2つ展示されています。鶴田町は昭和30年(1955年)に3つの村と合併したのですが、併合する前の各村役場に設置されていた重厚な金庫が屋敷内に保存されていました。
この金庫が某テレビ番組(※2)で「開かずの金庫」として取り上げられ、いまは開錠された形で展示されております。
(※2)「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」にて放送(2022年7月)。
▲土間に展示されている金庫。TV番組で開錠されましたが、中は空だったようです。
編集部
藤井さんが、鶴の里ふるさと館で特に気に入っている場所がありましたら教えてください。
藤井さん
急な階段を上がった先にある2階の部屋です。各部屋には茶室や寝室などの役割があるのですが、寝室も当時は家の主人、家族、使用人など、住む人の身分に応じて場所が異なるという文化がありました。
2階の部屋はどういった身分の人が使用していたかということは、実際に訪れてご覧いただければと思います。
「鶴の里ふるさと館」でのデートの楽しみ方
ここまでのお話で、鶴の里ふるさと館の見どころがわかりましたが、デートで訪れたカップルの過ごし方についてもうかがってみたいと思います。
記念写真は囲炉裏をバックに撮影を!
編集部
鶴の里ふるさと館で、思い出の写真撮影ができたり、カップルがゆっくり過ごせる場所はありますか?
藤井さん
館内は撮影自由ですから、お気に入りの場所を見つけてどこでも撮影していただけますよ。玄関の縁に腰を掛け囲炉裏をバックにしたら、昔話の世界に入り込んだようなショットが撮れるのではないでしょうか。
実際に靴を脱いで上がっていただけるので、座敷でゆっくりとくつろぐこともできます。2人で欄間の立派な彫刻を見たり、昔の人の生活ぶりを想像して語り合うひとときも楽しいと思いますよ。
過去には「弥生画体験教室」などのワークショップも開催
編集部
鶴の里ふるさと館では、カップルが参加できるようなイベントなどは開催されていますか?
藤井さん
過去には、鶴の里ふるさと館を会場としたワークショップが行われたことがあります。2022年の春には「弥生画体験教室」が開催されました。
弥生画というのは、もち米やキビ、レンズ豆などの穀物で絵を描き、五穀豊穣を祈る鶴田町の伝承文化です。全国でも珍しく、農耕民族の生活に根差した、青森県鶴田町でしか見ることができない芸術品です。
鶴田町観光ガイド兼鶴田まちおこし応援団の方が作り方をレクチャーしながら、1人1つずつ弥生画を作り好評でした。
今後のワークショップなどはまだ予定がないのですが、鶴田町のすぐ近くの施設を会場として、さまざまなイベントが行われることがあります。そうした際には、鶴の里ふるさと館にもぜひお立ち寄りいただければと思います。
「鶴の里ふるさと館」周辺のおすすめデートスポット
編集部
鶴の里ふるさと館の近くで楽しめる、おすすめのデートスポットがあれば教えてください。
藤井さん
すぐ近くにできた、鶴の舞橋観光施設「ここにもあるじゃ」がデートスポットとしておすすめです。
富士見湖パーク内に2020年4月にできた施設で、ここの軽食や、鶴田町の特産品である「スチューベンぶどう」を使用したソフトクリームが大人気ですよ。店内は開放的で、イートインスペースでくつろぐこともできます。
また鶴の舞橋観光施設の先には、岩木山の雄大な姿を湖面に映しだす「津軽富士見湖」が広がっています。その湖面に架かる「鶴の舞橋」は、舞い鶴を連想させるような美しい光景で知られ、多くの方が訪れているんです。カップルで散策するにはぴったりのスポットですよ。
参考URL:メデタイ・ツルタ(鶴の舞橋観光施設「ここにもあるじゃ」)
参考URL:メデタイ・ツルタ(鶴の舞橋)
「鶴の里ふるさと館」からのメッセージ
編集部
デートで「鶴の里ふるさと館」を訪れるカップルへメッセージをいただけますか?
藤井さん
鶴の里ふるさと館は、平日・土日問わずに混雑する時間帯はほぼない穴場です。ほかのお客さまに配慮して静かに鑑賞する必要はなく、気軽に見ていただけます。
15分ほどの滞在でひと通り見てまわれますが、ぜひゆっくりとご覧いただきたいです。鶴の舞橋からも徒歩圏内なので、ぜひお立ち寄りください。
編集部
歴史が感じられる茅葺き造りの古民家を、場合によってはカップルで貸切状態で見られるのは、貴重なスポットだと思いました。木や土間の香りに癒やされる空間で、ノスタルジックな思いに浸るのもいいですね。
今回は、鶴の里ふるさと館の魅力についてお話しくださり、ありがとうございました。
「鶴の里ふるさと館」のクチコミと感想
鶴の里ふるさと館での楽しみ方が分かったところで、実際に訪れた方のクチコミや感想についても調査してみました。
- 実家も昔はこうだったが今はなくなってしまったので、懐かしい
- 国語の教科書に出てくる「かさこじぞう」や「ごんぎつね」の世界観に浸れる
- 保存状態がとても良かった
- 昔の生活がうかがえて古民家好きには素晴らしい空間
- 昔の茅葺き屋根の家で、今後もぜひ残してもらいたい
- 近くの無料駐車場にはトイレや広場もあり、鶴の舞橋への散歩コースにも良い
実家を懐かしむ声や、教科書の世界観に触れる感想などからは、さまざまな感じ方がうかがえます。保存されている古民家の素晴らしさに驚く声も多く見られました。
「今後も残してほしい」という声があるように、後世に残して文化を伝えていく貴重な施設なのだとわかりますね。
「鶴の里ふるさと館」の料金・予約・混雑しない日時
入館料 | 無料 |
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予約 | 不要 |
混雑しない日時 | 平日、土日問わず9:00〜16:00 |
所要時間 | 15分程度 |
「鶴の里ふるさと館」の基本情報(アクセス・開館時間など)
住所 | 〒038-3542 青森県北津軽郡鶴田町廻堰字大沢地内 |
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連絡先 | 0173-22-2111(鶴田町役場 企画観光課) |
アクセス | JR陸奥鶴田駅(むつつるだえき)から車で約10分 |
営業時間 | 9:00~16:00 |
休館日 | 12月~3月頃 |
駐車場 | やすらぎの駐車帯あり |
参考URL | https://www.medetai-tsuruta.jp/spot/sightseeing/townmuseum.html |
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