
森の中の「児玉美術館」で作品鑑賞と緑に癒やされるデート|鹿児島市
今回の記事では、鹿児島県の「児玉美術館」をメインに過ごすデートプランをご紹介します。
児玉美術館では建物を取り囲むように美しい自然の風景が広がり、自然と作品との融合を感じながら芸術鑑賞できるところに大きな魅力があります。
今回は、児玉美術館の館長・渡邊さんに詳しくお話をおうかがいしました。
創造の息吹が感じられる児玉美術館の展示
児玉美術館は「樹々と語り、名画と語る緑の中の美術館」をキャッチフレーズに、1985年4月に鹿児島市に開館しました。
約10万平方メートルの広大な敷地の中には小川が流れ、美術館の周りにはスギ、ヒノキ、モウソウチク、サクラ、クリ、カエデ、ウメなどの樹木が茂る自然公園を形成しています。
児玉美術館の森林は「かごしま自然百選」にも選ばれており(※1)、入口から美術館に通じる竹林の景色は特に美しいと評判です。その豊かな自然は芸術品とともに多くの人の心を癒やし続けてきました。
(※1)鹿児島市役所「かごしま自然百選」
ここからは、児玉美術館の展示内容について詳しく聞いていきたいと思います。
絵画・版画・書・陶磁器・オブジェが並ぶ、児玉美術館の常設展
編集部
児玉美術館でメインとなる展示作品をご紹介ください。
渡邊さん
児玉美術館では、海老原喜之助(えびはらきのすけ)、大嵩禮造(おおたけれいぞう)、石踊達哉(いしおどりたつや)、山下三千夫など、近代から現代の鹿児島を代表する作家の絵画をメインに展示しています。
民藝運動(※2)に携わった作家・河井寛次郎や、前衛陶芸の鈴木治などのコレクションも充実していますよ。
(※2)生活用品のなかに美を見出しすことを提唱した生活文化運動。
常設展では絵画約60点、陶磁器約40点を展示しています。これらは2か月に1回ほど展示替えを行っていますので、毎回楽しんでいただけるのではないでしょうか。
▲陶磁器展示室の様子。奥には廊下ごしに緑の景色が広がります。
編集部
児玉美術館の作品をご覧になる方には、どんなことを感じてほしいと思われますか?
渡邊さん
展示室には、絵画のほかにも版画、書、陶磁器、オブジェなど、幅広い分野から個性的な作品が並んでいます。郷土の作家の創造の息吹を感じていただき、文化芸術への親しみと理解を深めていただけたらと思っています。
また、美術館を取り囲むように自然公園が広がっていますので、自然と芸術が一体化することから得られる癒やしを感じてほしいと思っています。
▲児玉美術館を取り囲むように広がる自然公園の風景。
編集部
渡邊さんが特に好きな展示やコレクションがありましたら教えてください。
渡邊さん
いずれも好きな作品ばかりですが、敢えて挙げるならば、海老原喜之助のデッサン、大嵩禮造のグラスボックシリーズ、鈴木治や河井寛次郎のコレクション、鹿児島の現代陶芸コレクションが好きですね。
▲大嵩禮造展よりグラスボックシリーズ作品(引用:公式Twitter)
企画展は年に5回!イベントも充実の児玉美術館
▲図書室では、美術館の蔵書をゆっくりと楽しんだり、お弁当を食べてもOK!
編集部
児玉美術館の過去の企画展や、今後予定している企画展があればご紹介ください。
渡邊さん
児玉美術館では、年に5回ほど企画展を実施しています。
2022年度は、石踊達哉の日本画と牛島憲之の木版画展(4月~5月)、有山長佑(薩摩焼4代長太郎)展(5月~7月)を実施しました。
10月~12月は山下三千夫展、2023年1月には大嵩禮造展を予定しています。
編集部
児玉美術館でイベントやワークショップを実施することはありますか?
渡邊さん
地域文化の振興、自然環境への親しみと理解を育むために、毎年7月には「森林浴と子供スケッチ大会」を開催しています。社会情勢にあわせ2年間の中断はあったものの、今年で36回目の実施となりました。
一方、企画展のギャラリートークや、年1回のミュージアムコンサートなども行っており好評ですよ。
▲2022年5月、有山長佑氏のギャラリートークの様子(引用:公式Twitter)
次回のミュージアムコンサートは、2023年2月を予定しています。
▲2019年のミュージアムコンサートの様子(引用:公式Twitter)
自然と建物が一つの芸術品!児玉美術館の魅力・見どころ
▲窓脇のイスは、バンブーチェアの巨匠・道岡康良の作品
編集部
児玉美術館の展示内容以外に、窓からの景色や建造物の魅力など、見どころがありましたらご紹介ください。
渡邊さん
館内には、大嵩禮造のアトリエを再現した部屋があります。多くの作家の作品を数多く鑑賞できることはもちろんですが、画家が実際に使用していた画材の数々を間近でご覧になれるのは魅力だと思います。
また館内には光庭(こうてい)(※3)やアーチ窓などが設けられ、自然光が入る空間の中で美術作品を鑑賞できます。
(※3)光を取り入れるための庭のこと。
第2展示室の光庭からは、建物の下を流れる川が見られるんですよ。
▲絵画大展示室。大きなガラス部分が光庭。
編集部
渡邊さんが思う児玉美術館の魅力とは、どういったところにありますか?
渡邊さん
児玉美術館の大きな魅力といえば、鹿児島市郊外の、この広大な森の中にあるという立地ではないでしょうか。
25,000坪余りの敷地内では、竹林や四季の草花を鑑賞しながら散策を楽しんでいただくことができます。自然公園と一体化した建物、そして作品の全てをあわせて、ひとつの美術作品と考えて鑑賞していただきたいです。
豊かな森の空気を感じつつ、生い茂る樹木の中に佇む館内で、心が潤うひと時を過ごしていただけたらと思っています。
編集部
館内にはカフェやお土産ショップはありますか?
渡邊さん
カフェはありませんが、ショップがあります。所蔵作品の絵葉書、干支木版画(作家による多色刷り)、蔵書録などを販売していますので、記念にいかがでしょうか。
▲絵葉書や蔵書禄が置かれた窓越しの緑にも癒やされます。
児玉美術館でのデートの楽しみ方
▲自然公園の入口に咲く赤い緋寒桜。
ここからは、児玉美術館におけるデートの楽しみ方を聞いていきましょう。
結婚式の前撮りで人気の竹林は必見
編集部
児玉美術館を訪れたカップルに、おすすめしたいスポットがあればご紹介ください。
渡邊さん
当美術館はフォトドラアワード受賞スポット(※4)にも選ばれており、写真映えするポイントがたくさんあります。
その中でも特にカップルに訪れてほしい場所は竹林です。美術館の周りの自然公園の敷地内には、赤い毛氈(もうせん)の敷かれたベンチのある竹林があります。
カップルの写真撮影としても人気のデートスポットで、結婚式や成人式の前撮りをされる方もいらっしゃるんですよ。
▲さわやかな緑の竹林に赤く映えるベンチ(引用:公式Twitter)
竹林を見るためにだけ訪れるカップルも多くいます。ここでのデートがきっかけで結婚に至ったケースもあるようで、「当館で初めてデートすると成就する」ともささやかれているのだとか。「初めて」がポイントになるようですよ。
紅白梅、彼岸花、樹木で魅了する自然公園
編集部
竹林の景色は素晴らしいですね。自然公園について、もう少しお話をお聞きしたいです。どのような植物が見られるのでしょうか?
渡邊さん
自然公園には紫陽花、彼岸花、ツワブキの花などが咲き、樹木はウメ、スギ、カシ、クリ、カエデ、サクラなど見られます。
公園内では季節ごとに景色が楽しめますが、なんといっても春の紅白梅が見事ですね。梅は薩摩紅梅と白梅が約100本あるんです。
▲春には紅白梅が見事な景色を見せる自然公園(引用:公式Twitter)
秋口には彼岸花、そして紅葉がきれいですね。
▲秋には彼岸花で一面赤くなる自然公園(引用:公式Twitter)
特に孟宗竹(モウソウチク)は、年間を通して美しい景色を見せてくれています。
▲まっすぐに延びた孟宗竹の風景。
また2022年の秋にはボランティアの方の手によりサツマノギクが植栽されました。これからどのような姿が見られるのか、今後の楽しみがまたひとつ増えました。
このように自然公園内には素晴らしい景色があちらこちらで見られます。自然の中に身を置く心地よさを感じながら、お二人には散策を楽しんでほしいです。
児玉美術館周辺のデートスポット
編集部
児玉美術館周辺でデートスポットがあればご紹介ください。おすすめのデートプランなどはありますか?
渡邊さん
午前中は児玉美術館でゆっくりお過ごしいただいたあと、ランチには、慈眼寺(じげんじ)にあるうなぎの名店「うなぎの美鶴」はいかがでしょうか。3月中旬〜10月の期間は「慈眼寺そうめん流し」もおすすめです。
雰囲気を重視するなら、平川町の「Blue&Cafe 平川ベイサイド」がおすすめです。おしゃれなレストランで雰囲気が楽しめますよ。ラーメン好きなら「五郎屋」のラーメンはいかがでしょうか。
午後は、与次郎ヶ浜の堤防から雄大な桜島を眺めていただきたいです。噴火していれば噴煙を巻き上げる迫力に感動すると思いますよ。午後からは桜島が逆光にならず、きれいな写真が撮れることでしょう。
いずれも美術館からは少し距離がありますが、ドライブがてらデートを楽しんでいただきたいです。
・うなぎの美鶴
・慈眼寺そうめん流し
・Blue&Cafe 平川ベイサイド
・五郎屋 山田本店
児玉美術館からのメッセージ
編集部
デートで児玉美術館を訪れるカップルへメッセージをいただけますか?
渡邊さん
当館は、下足からスリッパに履き替えてご入館していただきます。ご希望であれば、美術館の説明や作品解説をすることも可能です。ご希望の場合はご予約ください。
6割ほどの方がカップルで訪れているという印象です。みなさん作品鑑賞や遊歩道散策を楽しみながら30分から1時間ほど滞在されているようですね。
敷地内への立ち入りは無料ですから、館内の作品を鑑賞されたあとは竹林でくつろいだり、遊歩道を歩きながら森林浴を存分に堪能していただきたいです。
*2022年秋現在、展望台のある遊歩道は立ち入り禁止。
自然公園をじっくりと散策したい場合は、森林の中を歩かれてもいいような準備をされると良いかもしれませんね。どうぞごゆっくりお過ごしいただけたらと思います。
編集部
今回は、素晴らしい環境に恵まれた児玉美術館の見どころについてお話しくださり、ありがとうございました。
児玉美術館の口コミ・感想
これまでのお話で、児玉美術館の魅力がたくさん伝わってきましたね。ここでは、実際に児玉美術館を訪れた方の口コミや感想についてもご紹介しておきます。
- 自然に包まれた穏やかな環境の中でゆっくりと鑑賞できた
- 作品からエネルギーをもらえる
- 作品が大切に管理されている、説明表示もとてもわかりやすい
- 贅沢な時間を過ごせた
- 文芸員の方にいろいろ教えてもらい、1人でも楽しめた
- 穴場の美術館で、心を癒やされたい時にはぴったり
- 竹林がとても素敵で癒やされる
- 梅が咲く時期がとてもきれい
感想からは、落ち着いた空間で癒やされた方々の様子が伝わってくるようですね。まさに自然と一体となった美術館で、どのような感覚を得られるのか体験してみたくなりました。
児玉美術館は、カップルでリラックスした時間を過ごすにはぴったりの空間だと思います。
児玉美術館の料金・割引・混雑しない日時など
料金 | ・一般:500円 ・高校・大学生:300円 ・小・中学生:200円 |
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割引 | JAF会員50円引、団体割引あり |
バリアフリー | 車いす、オストメイトの対応可 |
混雑しない日時 | 平日 |
※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です。
児玉美術館の基本情報(アクセス・開館時間など)
住所 | 〒891-0144 鹿児島県鹿児島市下福元町8251-1 |
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連絡先 | 099-262-0050 |
アクセス | ・JR「鹿児島中央」駅から車で40分 ・JR指宿枕崎線「坂之上」駅下車、タクシーで7分 ・JR「坂之上」駅から市営バス停27番「坂之上(県道)」に乗車し約15分 |
営業時間・休館日 | 10:00~16:00(最終入館は15:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝祭日の場合は翌日) |
駐車場 | ・普通車:35台 ・大型・バス等:7台 |
公式URL | https://www.kodama-art-museum.or.jp/ |
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