細見美術館で琳派と若冲を堪能!京都岡崎エリアの芸術デートプラン
今回は、京都府京都市岡崎にある「細見美術館」を中心にしたデートプランをご紹介します。
細見美術館は、琳派や伊藤若冲の作品をたくさんコレクションしていることで有名な美術館です。
琳派の絵は背景に金箔や銀箔を用いた大胆な構図が多く、草花などの自然を題材にすることが多いです。桃山時代から江戸時代初期に始まった琳派ですが、現代の私たちにもわかりやすいデザイン性が人気を集めています。
他にも岡崎には京都市京セラ美術館や京都国立近代美術館、京都伝統産業ミュージアムなどがあり、2人で美術館や博物館巡りをするならおすすめの地域です。
それでは、おすすめのデートプランを詳しくご紹介していきます。
おすすめカップル:芸術が好きなカップル、歴史が好きなカップル
どんなデート?:美術館・博物館めぐり
京都・岡崎エリアで楽しむ美術館巡りデートプラン
今回ご紹介するのは、細見美術館をメインスポットとした岡崎の美術館や博物館を巡るデートプランです。岡崎には、歩いて回れる距離に美術館や博物館が建っています。琵琶湖疏水沿いの歩道を歩きつつ、美術館巡りをしましょう。
今回のデートのメイン |
---|
細見美術館 |
周辺のデートスポット |
京都市京セラ美術館 京都国立近代美術館 京都伝統産業ミュージアム |
ランチにおすすめのお店 |
カフェキューブ ホーフベッカライ エーデッガー・タックス cafe de 505 京都国立近代美術館店 |
京都市京セラ美術館と京都国立近代美術館は、近代以降に京都で活躍したアーティストの作品を主に所蔵していますが、それぞれ企画展に美術館の特徴が表れています。京都市美術館は院展などの公募展や海外の有名美術館の巡回展などを開催していますが、京都国立近代美術館は近代・現代美術の企画展を開催しています。
京都伝統産業ミュージアムは、京都の伝統産業を紹介する博物館です。西陣織や友禅染、清水焼、北山杉や京料理など、京都が誇る伝統産業を1つずつ学ぶことができます。
ランチは細見美術館内にあるカフェキューブがおすすめです。落ち着いた雰囲気で食事ができると評判ですので、ぜひ2人で食事をしてくださいね。
次章からは、細見美術館を詳しく解説していきます。
日本美術の宝庫:細見美術館のコレクションと魅力
▲鈴木其一「水辺家鴨図屏風」
細見美術館は、細見家三代にわたって収集したコレクションを展示している美術館です。縄文時代の遺物から江戸時代の絵画まで多岐にわたります。
特に、平安時代から鎌倉時代にかけての仏教美術や茶の湯の美術、江戸時代の琳派や伊藤若冲の絵画のコレクションは、他に引けを取りません。
今回は細見美術館の広報・デザインを担当しておられる大塚さんにお話を伺いました。
京町家とモダンが融合する細見美術館の魅力的な外観
編集部
細見美術館は、モダンな雰囲気が漂う外観が目を惹きますね。まずは、この建物からお話を伺いたいです。
大塚さん
京町家をモチーフにしており、櫛目引きという技法で仕上げられた外壁がモダンな印象の建物です。地上三階、地下二階の五層吹き抜けが中心にあり、開放的な空間となっています。
編集部
建築家の故・大江匡さんが建物を設計されたそうですね。建物の雰囲気が、美術館の多い岡崎の雰囲気にマッチしていると思います。
決して大きな美術館ではないのですが、展示室から次の展示室への移動が外階段であったり、地下へと潜っていく導線が面白いと思います。
琳派の宝庫:細見美術館の人気企画展と代表作
編集部
細見美術館は桃山時代から江戸時代の美術品を多く展示しているイメージを持っていますが、展示品についても教えてください。
大塚さん
実業家・日本美術コレクター、細見古香庵(1901-1979)に始まる細見家三代の蒐集品を中心に、年間数回の企画展を開催しています。
細見コレクションは、仏教・神道美術、室町絵画、根来や茶の湯釜、桃山の茶陶や七宝工芸と、幅広い時代と分野を網羅しており、特に琳派や伊藤若冲といった江戸絵画の人気が高いです。
編集部
細見美術館のコレクションは、琳派や伊藤若冲だけではなかったのですね。細見古香庵は仏教美術や茶の湯の美術を収集していたのだとか。
2代目の細見實が琳派や伊藤若冲の作品を集めたのですね。細見實が江戸時代の魅力的な絵画作品をたくさん収集したおかげで、細見美術館は今「琳派美術館」と言われるまでになったのですから、彼の功績は大きいですね。
細見美術館では、重要文化財に認定されている美術品も展示されていますが、他の美術館との差別化ポイントがあれば教えてください。
大塚さん
開館時からほぼ毎年恒例で「琳派展」を開催しています。俵屋宗達から酒井抱一、鈴木其一、神坂雪佳と琳派の系譜をたどることのできる充実したコレクションの中から、毎年さまざまなテーマで琳派をご紹介しています。
▲酒井抱一「桜に小禽図」です。白い桜に青い鳥が映えています
編集部
たしかに、細見美術館のそばを通ると「琳派展」のポスターをよく見かけます。
鈴木其一の「四季歌意図巻」という小さな巻物や、白い蓮の花が印象的な酒井抱一の「白蓮図」など印象的な作品が琳派には多いですよね。琳派と言うと、尾形光琳や俵屋宗達が有名ですが、それ以外にもたくさんの作品があると細見美術館に来て初めて知りました。
近代琳派の継承者:神坂雪佳の魅力と企画展の見どころ
編集部
大塚さんはどのような作品がお好きなのですか。
大塚さん
私のお気に入りは、酒井抱一、鈴木其一、神坂雪佳などの琳派コレクションです。
特に、神坂雪佳の作品は、手元において愛でたくなる可愛らしさです。時代を感じさせない洗練されたモダンなデザインに、心がときめきます。
▲神坂雪佳「百々世草」より〈狗児〉です。子犬がカタツムリを見ているのがかわいいですね
編集部
神坂雪佳には、金屏風に草花が鮮やかに描かれている「四季草花図」や草花をダイナミックに描いている「十二ヶ月草花図」など、目を惹く作品が多いですね。特に私は「十二ヶ月草花図」の中でも「二月 柳に椿(つばき)」が、芽が出たばかりの柳とピンク色の花が咲いている椿の対比が美しくて気に入っています。
▲神坂雪佳「十二ヶ月草花図 二月 柳に椿」
これまでに開催された琳派展についても教えていただけますでしょうか。
大塚さん
2022年には「琳派展22 つながる琳派スピリット 神坂雪佳」が開催されました。
江戸時代に開花した日本美術の流派である琳派は、装飾性豊かな作風で現在も多くの人を虜にしています。
近代京都において図案家・画家として活躍した雪佳(1866~1942)は、本阿弥光悦や尾形光琳らといった琳派の活動や作風に共感し、新しい時代にふさわしい図案を生み出しました。雪佳の活動は絵画のみに留まらず、染織、陶芸、漆芸、室内装飾や庭園にまで至る多様なものでした。
琳派展22弾となった本展では、江戸時代の琳派作品を辿りながら、マルチアーティスト・雪佳の図案集、絵画、工芸作品を紹介しました。
編集部
神坂雪佳が好きな人にはたまらない展覧会となりそうですね。神坂雪佳の作品はシンプルな絵が多く、誰が見ても題材がわかりやすいので、2人で気軽に話しながら見学することができそうです。
他にイベントなどの開催があれば教えてください。
大塚さん
イベントは、公式ホームページでお知らせしています。ぜひチェックしてみてください。
編集部
以前開催されていたイベントでは、講師による見どころの解説を企画したり、細見美術館友の会の会員限定で開館前に入館できる特別な日などを設定されていたようですね。
茶室「古香庵」で楽しむ:最上階からの眺望と茶道体験
編集部
細見美術館へデートで来た時におすすめの体験などはありますか。
大塚さん
最上階に位置する茶室、古香庵で気軽に茶道を体験できるプランがございます。明るく開放的な茶室で茶道に気軽にふれることができ、京の老舗のお抹茶と季節の和菓子をお愉しみいただけます。
不定休なので、ご利用をご希望の際はお問い合わせください。
▲本格的な茶道を気軽に体験できます
お写真も撮っていただけるので、着物デートなどの際の撮影スポットとしてもおすすめです。
編集部
古香庵には、企画展に関する作品が一部展示されることもありますね。
2022年は、開催中の企画展「虫めづる日本の美-養老孟司×細見コレクション-」に関連した「虫供養―養老孟司×佐藤正和重孝×細見コレクション―」が古香庵で特別公開されていました。
細見美術館では、季節によって何か異なる楽しみ方はできますか。
大塚さん
最上階に位置する茶室の古香庵は、東に向かって開放されたつくりとなっており、いながらにして東山の峰々が一望できます。春は疏水沿いの桜、秋は紅葉をご覧いただけます。
地下2階のカフェキューブには、5層吹き抜けの開放的なテラス席を設けており、春や秋のお天気の良い日にはおすすめです。
編集部
細見美術館の向かい側には琵琶湖疏水が流れており、疏水沿いの桜を愛でるベストスポットですね。お茶をたしなみながらのお花見も風情があって、素敵なデートとなりそうです。
地下2階のカフェキューブには、私は何度も行かせていただいているのですが、地下にあるため隠れ家のようで、時間を忘れておしゃべりができるのが嬉しいです。
美術館を満喫:人気のミュージアムショップと季節限定メニューのカフェ
編集部
カフェやミュージアムショップなどについても詳しくご紹介ください。
大塚さん
アートキューブショップでは、収蔵作品をモチーフにしたオリジナルグッズや、セレクト雑貨・美術関連書籍を豊富に取り揃えています。琳派や伊藤若冲など人気の作品をモチーフにしたオリジナルグッズが人気です。
カフェキューブではランチ限定のパスタコースのほか、展覧会限定のデザートが人気です。
閉館後は「トラットリア・エン」と名前を変え、ディナー営業もしております。季節の食材を使った本格的なコース料理のシェフのおまかせコース、4,500円をご提供しています。予約を必ずお願いいたします。
▲ランチ限定のパスタコースはお値打ちだと人気です
編集部
展覧会限定のデザートを来館の記念に食べるのも良いですよね。
琳派セットの抹茶どら焼きが乗せられたお皿は、中村芳中の「仔犬」の絵が描かれていて、とてもかわいいです。お持ち帰り用の箱も神坂雪佳の「金魚玉図」が描かれていて、2人のお土産に最適ですね。
▲真正面からとらえた金魚の表情が面白いです
伊藤若冲の鶏の絵がデザインされたお皿にロールケーキとフルーツが盛られているデザートもあります。味だけでなく目でも楽しめるデザートを写真に撮る人も多そうですね。
来館者の声:細見美術館の魅力と評判
編集部
細見美術館を見学した方々からは、今までどのような感想がありましたか。
大塚さん
例えば以下のような感想をいただいたことがあります。
- 大好きな琳派作品に、また会えるのが嬉しい。
- 来るたびに新しい企画展示をしていて新しい発見がある。
- 細見美術館で展覧会を見て、カフェでほっと一息つきながら余韻に浸るのが幸せ。
初めてのお客様やリピーターの方にも、毎回新鮮な気持ちで楽しんでいただけているようです。
コレクションの充実度に感動:来館者からの高評価
Googleやじゃらんなどにも口コミが掲載されていますので、いくつか紹介します。
- 重要文化財と言ってもいいくらい素晴らしい展示が多くて見ごたえがありました。
- 伊藤若冲や琳派のコレクションは見る価値ありです!
- 江戸時代の美術品を見るなら細見美術館が良いと思います。
- 地下のカフェで友人と話をするのによく利用しています。美術館だからか落ち着いていてお気に入りの場所です。
- 江戸時代の絵画を至近距離で見られて最高でした。
細見美術館の展示内容に興味を持っている人が多く、見学してよかったという口コミが多いです。琳派展や若冲展だけではなく、そのほかの企画展も高評価でした。
カップルへのメッセージ:細見美術館で日本美術の魅力を体験
編集部
見学からどのように感じてもらいたいかなど、来館しようと考えているカップルへメッセージをお願いします。
大塚さん
日本の古美術は敷居が高いと感じている方もいるかもしれませんが、古くから日本人が愛でてきた絵画や工芸品には、純粋にかわいい!きれい!と思える作品がたくさんあります。
美術品はもともと室内空間を彩るための調度品や、茶室でお客様をもてなすための室礼として大切にされてきたものです。自分だったらどこに飾ろうか、どんな季節に使おうかな、などお気に入りの作品を見つけて身近に感じていただけると嬉しいです。
カップルやお友達同士で観覧することによって、新しい視点の発見があるかもしれません。一緒にお気に入りの作品を共有して楽しんでほしいです。
編集部
細見美術館のおかげで、美術品に親しみやすくなるでしょうね。茶器などは自分で使うならどう使うかを2人で考えてもいいですし、絵画をどの部屋に飾れば映えるかなどを一緒に話してみてもいいと思います。
古美術は今鑑賞しても、デザインや色遣いなどを新鮮に感じることもありますし、まだまだ奥が深い芸術ですね。
今日はインタビューにお答えいただき、ありがとうございました。
細見美術館:基本情報とアクセス
住所 | 〒606-8342 京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6−3 |
---|---|
アクセス | ■公共交通機関 ・地下鉄東西線:「東山駅」2番出口より北へ徒歩約10分 ・市バス:31・32・201・202・203・206系統 「東山二条・岡崎公園口」下車、東へ徒歩約3分 ・市バス:32・46系統 「岡崎公園ロームシアター京都・みやこめっせ前」下車、西へ徒歩約2分 ・市バス:洛バス100号系統 「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車、徒歩約5分 |
営業時間 | 午前10時~午後5時 (入館は午後4時30分まで) |
空いている日 | 平日 |
平均的な滞在時間 | 1時間程度 |
休館日 | ・月曜日(祝日の場合は翌日) ・展示替期間 |
駐車場 | なし |
料金・予算 | 展覧会より異なる |
公式サイト | https://www.emuseum.or.jp/ |
※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です
細見美術館周辺:岡崎エリアのおすすめデートスポット
ここからは細見美術館の後に訪れるとよいおすすめのデートスポットをご紹介しましょう。
細見美術館は、平安神宮や美術館などの文化施設が集まる京都岡崎に位置しています。美術ファンなら美術館をはしごしてとことんアートを楽しむのもいいですね。
鑑賞に疲れたら、開放的な岡崎公園やカフェなど、ほっと一息つけるスペースが多いのも魅力です。少し足を伸ばせば南禅寺や祇園などへもアクセスしやすいので、お二人でぴったりなプランを相談するのも素敵ですね。
おすすめのデートスポット
リニューアルで魅力アップ:京都市京セラ美術館の見どころ
京都市京セラ美術館は、1933年に開館した日本で最も古い美術館の1つです。(参照:京都市京セラ美術館公式サイト)
京都の美術館の中心となる立ち位置で、今までモナ・リザやミロのヴィーナスなどの展示を行い、京都市民の芸術への興味を惹きたてています。建物自体も国の登録有形文化財に指定されており、隣接した日本庭園は2人で散歩するのにぴったりです。
公式URL:https://kyotocity-kyocera.museum/
近代美術の殿堂:京都国立近代美術館の魅力と代表作
京都国立近代美術館は近代美術を展示している美術館です。館内に入ると広々とした吹き抜けのエントランスがあり、解放感があります。
河井寛次郎の陶芸コレクションや浅井忠の絵画など、近代日本美術の中でも特に京都に縁のある芸術家の作品を多く所蔵しています。教科書に掲載されている絵画なども展示されているので、美術好きな2人なら知っている作品もあるかもしれませんね。
公式URL:https://www.momak.go.jp/
京都の伝統工芸を体験:京都伝統産業ミュージアムの魅力
京都伝統産業ミュージアムでは、西陣織や京友禅、清水焼、京漆器、京扇子などの京都市の伝統産業74品目をすべて展示しています。製造工程の展示もわかりやすく、職人による実演も見ごたえがあります。
ミュージアムショップには伝統工芸品が並び、お土産にも最適です。常設展は入場無料なので、気軽にデートに組み込めるのも魅力ですね。
公式URL:https://kmtc.jp/
まとめ:京都岡崎エリアで楽しむ芸術デートの魅力
今回は、京都岡崎エリアに建つ細見美術館を中心に、美術館と博物館めぐりをするデートプランをご紹介しました。
細見美術館は決して大きくはない美術館ですが、そのコレクションは貴重なものが多く、美術好き、歴史好きのカップルは満足できるデートになるでしょう。ぜひ2人で芸術鑑賞をしてみてください。お互いの価値観や何を美しく思うのかなどの感じ方を共有できるはずです。