多彩な受賞酒や限定酒あり!古澤酒造資料館を楽しむ酒蔵見学デート|山形県寒河江市

今回、大人のデートスポットとしてご紹介するのは、山形県寒河江市にある古澤酒造株式会社と古澤酒造資料館です。古澤酒造は、2024年現在で創業から180年以上の歴史を誇ります。日本酒には詳しくなくとも、「澤正宗」という銘柄に聞き覚えのある方はいらっしゃるのではないでしょうか。

古澤酒造はそんな「澤正宗」以外にも「紅花屋重兵衛」などの銘酒を手がけ、近年は海外の品評会でも表彰を受けるなど、国際的にも注目度が高い酒造です。

酒蔵に隣接した酒造資料館では、昔の酒造道具の見学ができるほか、資料館にしかない限定酒の試飲、購入もできます。本記事では古澤酒造の常務取締役・古澤緑さんにインタビューし、古澤酒造の日本酒の特徴や酒造資料館の楽しみ方について伺いました。

飲酒は二十歳になってから

飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中や乳児期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。お酒は楽しく適量を。飲んだ後はリサイクル。

天保7年創業。自然に恵まれた寒河江で地酒を造る「古澤酒造」

古澤酒造株式会社の冬の外観
▲古澤酒造株式会社の外観。冬は雪景色に包まれる

山形県寒河江市にある古澤酒造は、天保7(1836)年に創業した酒造です。きれいな空気と寒暖差の大きな気候、良質な原料、水に恵まれた寒河江の地で、品質を第一に日本酒を造り続けています。

古澤酒造で使っているのは、霊峰・月山(がっさん)から湧き出る軟水。酒米には、米どころ山形の酒造好適米を用いています。酒造りには「米の品質と精米は最も重要」との考えから、蔵人による丁寧な自家精米にもこだわってきました。

そんな古澤酒造の日本酒には、輝かしい受賞歴があります。

100年以上の歴史を誇る「全国新酒鑑評会」では繰り返し金賞を受賞してきたほか、近年ではアメリカの「全米日本酒歓評会」、イギリスの「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」で表彰(※)されるなど、海外からも高い評価を得ています。
(※)古澤酒造株式会社・会社案内より

フレンチシェフからも高評価!洋食にも合う純米大吟醸「紅花屋重兵衛 雪女神」

古澤酒造の銘酒の中でも、蔵人が「最も山形を感じられる」と話すのが純米大吟醸「紅花屋重兵衛 雪女神」です。

酒米には、山形県が14年の年月をかけて開発した酒造好適米「雪女神」を100%使用。水は、日本一清らかとの呼び声も高い月山の伏流水を使っています。酵母には地元の「山形酵母」を用い、造り手の蔵人も山形生まれ山形育ちと、まさに「山形づくし」の日本酒となっています。

杜氏渾身の逸品というこの日本酒は、エレガントな香りと芳醇な味わいが特徴。日本料理の板前ばかりでなく、フランス料理のシェフからも高い評価を得ている理由は、料理との相性の良さです。

和食はもちろんのこと、牛サーロインステーキまたはローストビーフの酸味の効いたソース添え、鹿肉のデグレーズド(野菜と一緒に煮込んだもの)、生牡蠣の赤ワインビネガーとエシャロット添え、バターと生牡蠣をのせたブラウンブレッド、鴨肉のロティ(ソース添え)、ブルーチーズ、カマンベールチーズなどもペアフードとして共に楽しむことができます。

和食・洋食どちらにも合う「紅花屋重兵衛 雪女神」が1本あるだけで、おうちデートでの食事が一気にワンランクアップできそうですね。

受賞歴(※)

  • 2022年「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」金賞
  • 2022年「インターナショナルワインチャレンジ」銀賞

(※)古澤酒造株式会社・会社案内より

女将や蔵元社員が案内!古澤酒造資料館を見学する魅力とは

古澤酒造の敷地内には、観光客らに向けて公開されている古澤酒造資料館があります。この施設では、歴史的な酒造道具が展示されているほか、古澤酒造の銘酒の試飲コーナーや直売所も設けられています。

展示場や直売所では、古澤酒造の社員による銘酒の解説も受けられるとのこと。ここからは、そんな酒造資料館のデートなどでの楽しみ方について紹介します。

昭和5年に大吟醸を生み出した、特許取得の精米機を展示

古澤酒造資料館に展示されている酒造道具
▲古澤酒造資料館に展示されている酒造道具

編集部

古澤酒造資料館とは、どのような施設なのでしょうか。

古澤さん

大正6(1917)年に建てられた土蔵で、昭和58(1983)年まではここで古澤酒造の酒造りが行われていました。酒蔵としての役目を終えてからは資料館として利用されています。

館内に展示されているのは、古澤酒造が昭和40年代まで実際に使用していた酒造道具です。それぞれ、酒造工程に沿って展示されているので、順番に見学していけば、当時の酒造りを追体験できるようになっています。

編集部

目玉の展示物は何でしょうか?

古澤さん

見どころの一つが、三代目の古澤徳治がメーカーと共に昭和5(1930)年に開発し、特許も取得している「澤式精米機」です。上から下へと精米を行う縦型の精米機で、それまでの横型の機器と比べると画期的な発明品でした。

この開発により、精米の精度が大きく上がり、大吟醸の精白できる歩合が30%から50%に増えたのです。この「澤式精米機」の存在が、古澤酒造が大吟醸の先駆け、生みの親とも呼ばれる由縁となっています。精米へのこだわりも脈々と受け継がれ、古澤酒造は現在でも温度、湿度、確実な精米歩合に重きを置いた自家精米を続けています。

編集部

この精米機がなければ現代の大吟醸は存在していなかったかもしれないと考えると、まさに日本酒造りの転機となった発明ですね!

古澤さん

本当に貴重な展示だと思います。資料館にはほかにも、昭和5(1930)年に発売した日本最古とされる電気冷蔵庫も保管しています。こちらは、当時の価格で740円と、家一軒と同等の値段だったそうです。

三代目の徳治は、この高価な冷蔵庫をためらいなく購入し、周囲を驚かせたと聞きます。それだけ、酒造りへのこだわりは強かったのでしょう。

さらに、お酒を保存するために大正5(1916)年に作られた容量2,000リットルの大甕(※)も飾っています。こちらも歴史と迫力を感じる展示品ですね。
(※)酒を保存・熟成させるために保管する陶磁器

そして、これらの展示品は弊社の女将や社員による解説付きで楽しんでいただけます。

編集部

日本酒好きのカップルはもちろん、そうでない方も興味深く見学できそうです。

季節ごとの催しとともに「利き酒」も楽しめる!

編集部

展示品を眺める以外にも、古澤さんがおすすめする酒造資料館の楽しみ方があれば教えてください。

古澤さん

資料館では、古来の日本酒造りに触れながら、定期開催しているイベントを通して一層の風情・情緒を楽しめます。

3月〜5月の「酒蔵のひな祭り」では、かつて紅花商人だった古澤家に250~300年前に京都から伝わったとされる古今雛・享保雛を飾っています。

古澤酒造資料館に飾られたお雛様
▲「酒蔵のひな祭り」で古澤酒造資料館に飾られるお雛様

また、7〜9月は「古澤家に伝わる身近な生き物のはく製展」、10〜2月には和歌山県出身の画家で俳人の「福田古道人遺墨展」を開催しています。そういったさまざまな催しとともに、利き酒も楽しんでいただければと思います。

古澤酒造資料館に開かれた「古澤家に伝わる身近な生き物のはく製展」
▲古澤酒造資料館に開かれた「古澤家に伝わる身近な生き物のはく製展」

受賞酒や限定酒をタダで試飲も!季節で変わるから何度行っても楽しめる

古澤酒造資料館の試飲コーナー
▲古澤酒造資料館の試飲コーナー。さまざまな受賞酒や限定酒が無料で味わえる

編集部

先ほど利き酒とおっしゃいましたが、酒造資料館では試飲もできるのでしょうか。

古澤さん

もちろんです。試飲コーナーでは、女将や社員からお酒の説明を聞きながら、試飲をお楽しみいただけます。試飲酒のラインナップは季節によって変わりますが、多彩な受賞酒や限定酒を楽しめます。

例えば、かつて古澤家が紅花商を営んでいた頃の初代の名「重兵衛」を冠した「大吟醸紅花屋重兵衛」「純米大吟醸紅花屋重兵衛雪女神」、2023年の「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で最高賞の金賞を受賞した「澤正宗純米大吟醸美田美酒」、イギリスのIWSC(インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション)で2022、2023年にシルバー賞を連続受賞した「雪原極上米焼酎」などを用意しています。

古澤酒造資料館の試飲コーナーで試飲を楽しむ来館者
▲古澤酒造資料館で試飲を楽しむ来館者

加えて「山形のしそ梅酒」や、大変珍しい「柿酒」などの試飲もできます。料金はいずれも無料となっています。

編集部

価値あるお酒の数々を無料で試飲できるなんてすごいですね。歴史ある酒蔵の趣を感じながら味わうお酒は、さぞ美味しいことでしょう。寒河江駅から徒歩10分なので、デートで二人一緒に試飲したい場合も訪れやすいのが嬉しいですね。

来館者の好みに合ったお酒を蔵元社員が提案。限定販売の「究極の食中酒」も

古澤酒造資料館の売店
▲古澤酒造資料館の売店。数々の銘酒が並ぶ

編集部

古澤酒造資料館には直売所があり、日本酒の販売もしているそうですが、どのお酒を買えばいいのかアドバイスをいただくことはできますか。

古澤さん

はい。弊社蔵元社員が、お客様のご要望を詳細に伺い、丁寧にアドバイスしております。お客様の好みに合ったお酒を選ぶことができますので、来館者の皆様にはご満足いただけると思います。

編集部

社員さんからアドバイスをいただけるのであれば、きっと好みのお酒を見つけられそうですね。資料館に足を運んだからこそ購入できるお酒はありますか。

古澤さん

「吟醸 無濾過 原酒 澤正宗」と「吟醸 無濾過 澤正宗」の2商品を、資料館でのみ数量限定販売しています。いずれも、山形県産酒造好適米「出羽の里」を100%使用しています。ほどよい酸味、そしてそれを優しく包んでくれる味わいのある、究極の食中酒です。

編集部

資料館でしか味わえない「究極」のお酒があるのですね。料理の味を一層際立たせてくれると思うと、とても心が惹かれます。デートの記念にもなりそうですね。

古澤酒造からカップルへのメッセージ

古澤酒造株式会社の正門
▲古澤酒造株式会社の正門。歴史の深さが感じられる

編集部

最後に古澤酒造や古澤酒造資料館に興味を持ったカップルへ、メッセージをいただけますでしょうか。

古澤さん

お二人で美味しいお酒を召し上がりながら、いろんな会話を楽しんでいただければと思います。また、山形はお酒の他にも、果物・山菜・野菜・お米と農作物が大変美味しい地域です。せっかくであれば、山形の食文化・風土をまるごと堪能してもらえればと思います。

編集部

美味しいお酒が作られる環境であれば、きっと食べ物も美味しく、自然も美しいのでしょうね。本日は取材にお答えくださり、ありがとうございました。

古澤酒造資料館を見学に訪れた人の口コミ・感想

古澤酒造資料館で試飲を楽しむ来館者

ここで、古澤酒造資料館を訪れた方の口コミ・感想を見てみましょう。

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貴重な日本酒造りの資料が見られ、販売されている日本酒の種類も
多く、とても楽しめました。
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国産初の電気冷蔵庫や先代が開発した澤式精米機などは一見の価値ありです。
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お酒に加え、酒粕やおちょこなど物販のラインナップが豊富でした。

昔の酒造道具や資料の展示が興味深かったという声が多く聞かれました。また、日本酒をはじめとした物販に満足している方も多いようですね。

古澤酒造資料館の見学と一緒に楽しめる、周辺のおすすめデートスポット

古澤酒造株式会社の外観

せっかく酒造資料館に足を運んだのであれば、ほかにもその土地ならではの魅力を楽しみたいところ。ここからは、古澤さんに教えていただいた周辺のおすすめのデートスポットをご案内します。ぜひ資料館に行った際は、足を運んでみてください。

古澤酒造の敷地内にあるそば打ち体験施設「そば打ち処 紅葉庵」

「そば打ち処 紅葉庵」でそば打ちを体験する子ども
▲「そば打ち処 紅葉庵」でそば打ちを体験する子ども

古澤酒造の敷地内にあるのが、「そば打ち処 紅葉庵」です。山形の名物であるそばを自ら打つ体験ができ、その場で食べられる珍しいお店です。

用意しているそば粉は、古澤酒造で製造している「そば焼酎」にも使用する自社栽培の「でわかおり」。そば打ちの指導員も常駐しています。挽きたて・打ち立て・茹でたてのそばを味わうのは、きっとデートの良い思い出となるでしょう。

公式URL:そば打ち処 紅葉庵

古澤酒造の日本酒と郷土料理が一緒に味わえる「酒蔵澤正宗」

山形の郷土料理と古澤酒造の銘酒を心行くまで楽しみたい方は、古澤酒造の直営飲食店「酒蔵澤正宗」に足を運んでみてはいかがでしょうか。お店は山形駅の駅ビル「S-PAL(エスパル)山形」の1階にあり、アクセスは抜群です。

人気なのは、山形名物の芋煮や地酒の飲み比べセットだそう。午前11時から午後10時まで営業しているので、ランチでもディナーでも楽しめるのが嬉しいですね。

公式URL:酒蔵澤正宗

あらゆる地場産品が揃う「道の駅寒河江チェリーランド」

古澤酒造資料館の見学の道すがらに立ち寄りたいのが、古澤酒造から車で7分の距離に位置している「道の駅寒河江チェリーランド」です。

施設内のおみやげセンターには、地元のお酒や銘菓、惣菜、デザートから民芸・工芸品まで様々な商品が並んでいます。あらゆる地場産品が揃うこの場所で、お買い物デートをするのも楽しそうですね。

また地場産素材を使ったメニューを揃うレストラン、本格的な茶室で茶道などが体験できる「茶室 臨川亭」、テニスコートやゲートボール場を備えた多目的広場などもあります。食、文化、スポーツと、いろいろな楽しみ方ができそうです。

公式URL:道の駅寒河江チェリーランド

9つある全ての宿が源泉かけ流し。心と体を癒す「寒河江温泉」

長旅で少し疲れを感じたカップルは、市内にある寒河江温泉に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。寒河江駅周辺の市街地を中心に9つ温泉宿があり、そのいずれも源泉100%かけ流しとなっています。

また、全国でも有数のバラの生産量を誇る寒河江市では、期間限定でバラを湯船に浮かべるサービスを行っている宿もあります。バラには芳しい香りで癒してくれる効果もあるので、心身をリフレッシュしたい女性にとってピッタリのサービスかもしれませんね。

公式URL:寒河江温泉

古澤酒造資料館の基本情報(アクセス・営業時間)

住所 〒991-0023 山形県寒河江市丸内三丁目5-7
アクセス・最寄駅 寒河江駅から徒歩10分、寒河江ICから10分。
電話番号 0237-86-5322
開館時間 10:00〜16:00
予約 団体のみ事前に電話やメールで予約する
予約方法 電話:0237-86-5322(受付時間:9:00~17:00)
E-mail:contact@furusawa.co.jp
入館料 無料
定休日 年末年始を除き、原則開館
駐車場 古澤酒造の西側、東側の2箇所にあり
公式URL https://furusawa.co.jp/

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