喜多方市美術館で地元アーティスト作品と周辺のSNS映え風景を楽しむデート|福島県

この記事では、福島県喜多方市にある「喜多方市美術館」を訪ねて、地元アーティストの作品をのんびりと鑑賞し、周辺のインスタ映え抜群なスポットも楽しむという、少々欲張りなデートプランを紹介します。

煉瓦造りのクラシカルな建物は、蔵のある街並みと見事に調和していて、周囲と一緒に楽しめる地域美術館です。お洒落で知的なひと時をゆったりと味わいたいカップルや、地元の魅力を再発見したい二人には、ぴったりのデートスポットだと思います。

今回は、そんな喜多方市美術館の展示内容や魅力、デートでの楽しみ方などについて、同館で学芸課長兼事務局長を務められる轡田(くつわだ)さんにお話を伺いました。  

地元アーティストの作品を楽しむ喜多方市美術館の展示

「喜多方市美術館」の正面外観(その2)
▲何とも素敵な雰囲気の外観。蔵のある街並みにもよく調和している

市内中心部に位置する「喜多方市美術館」は、蔵のまち・喜多方の施設らしく、煉瓦蔵をイメージして造られました。こじんまりとした中にも、風情と落ち着きがあり、周りの街並みにしっとりと調和しています。常設展示はなく、展覧会と企画展が中心の美術館です。

ここからは、同美術館の展示内容について、具体的に伺っていきましょう。

※(注意)館内でのカメラ・ビデオ・携帯電話・スマートフォン・タブレット端末などによる撮影や模写、ならびに鉛筆以外の筆記用具の使用は不可

「蔵のまち」喜多方の風情豊かな地域美術館

編集部

今回初めて「喜多方市美術館」に伺いましたが、古きよき時代の煉瓦(れんが)蔵を彷彿(ほうふつ)とさせる建物で、街並みによく馴染み、レトロ感あふれるムードが素敵です。

最初に、美術館のコンセプトなどについて、簡単にご紹介いただけますか?

轡田さん

喜多方市は、現在でも多くの蔵が残っておりまして、「蔵のまち」として全国的に知られています。当館の建物は、仰ったとおりで、かつての煉瓦蔵をイメージして造られました。

建物の一部には、地元喜多方で焼いた煉瓦を積んでおり、こじんまりとした美術館ながら、落ち着きを感じさせる風情が地域の皆さんからも好評なんですよ。

福島県喜多方市にある「喜多方市美術館」の正面外観
▲煉瓦(れんが)蔵をイメージした「喜多方市美術館」の外観

私どもは、「地域密着型の美術館」だと言えるでしょう。地域の皆さんに親しまれる企画展や、夏休み期間を中心にご家族で楽しめる展覧会など、いろいろ企画・開催しています。

常設展の設定なし!作品展で地元アーティストの絵画を中心に紹介

編集部

引き続き、館内のおもな展示内容(常設展)について教えてください。

轡田さん

当館は、喜多方市および会津地方に縁(ゆかり)あるアーティストの作品を始め、国内外の優れた絵画や彫刻、工芸品などを収蔵しています。

実は、常設展という形態を採っていないことも特徴で、1年に数回開催している「収蔵作品展」で、当館のコレクションを皆さんにご覧いただくかたちですね。そのほか、「企画展」を1年に3〜4回ほど開いております。

今後開催される「収蔵作品展」や「企画展」については、公式サイトの「展覧会」ページをチェックしてみてくださいね。

>>公式サイト「展覧会」

「喜多方市美術館」内部の様子(その1)
▲美術館内部の様子。天井が高く、開放的な空間で、ゆったりと作品を鑑賞できる

編集部

轡田さんが特にお好きなコレクションはありますでしょうか?もしあれば、ぜひお聞かせください。

轡田さん

喜多方市や会津地方と関係が深いアーティストたち、例えば日本画家の酒井三良(さかいさんりょう)や、南画家として知られる野出蕉雨(のでしょうう)の作品が好きですね。

ほかにも、花鳥画・人物画で有名な猪巻清明(いのまきせいめい)や、水彩画の大家である春日部たすく、同じく水彩画家の渡部菊二(わたなべきくじ)、画家で版画家の山中現(やまなかげん)などの作品も大いに魅力を感じます。

作品展示の際には、ご来館される皆さんにも、ぜひご覧いただきたいところです。

「喜多方市美術館」の収蔵作品「雪の夜の伝説(竹久夢二)」
▲収蔵作品の一例。竹久夢二の「雪の夜の伝説」は、まさに喜多方の風土を彷彿(ほうふつ)とさせる作品

「喜多方市美術館」の収蔵作品「静物(高橋幸彦)」
▲高橋幸彦の「静物」。地元に縁(ゆかり)あるアーティストの抽象画も収集している

注目の企画展「ふるさとの風景展」には全国から作品の応募が!

編集部

「喜多方市美術館」で、過去に人気のあった企画展や、繰り返し行われているような企画展がありましたら、ご紹介いただけますか?

轡田さん

開館当初から毎年開催している企画展「公募:ふるさとの風景展 in 喜多方」は、福島県内の公立美術館としては唯一の公募展なんですよ。全国の多くの皆さんからご応募いただき、毎年盛り上がります。

ちなみに、大賞受賞作品は、当館に収蔵されることになっており、展示して多くの方にご鑑賞いただきますよ。

編集部

上記の企画展について、注目される理由はどちらにあると思われますか?

轡田さん

当初、「ふるさとの風景展」は、「身近な会津の風景」がテーマ、という色合いが濃い公募展だったんですよ。その後、回を重ねていく中で、テーマが「描き手自身が心にイメージするふるさと」へと変化しました。

「喜多方市美術館」に収蔵される2014年度大賞作品「見つめる先にあるもの(キブネエイコ)」
▲2014年度の大賞作品・キブネエイコ氏の手による「見つめる先にあるもの」。何とも斬新な意匠!

これにより、全国の広い地域から作品をご応募いただけるようになりまして、作品ジャンルも版画コラージュや具象画、抽象画など多岐にわたっています。応募される皆さんそれぞれの「ふるさと」の表現には、毎回驚かされますし、心を奪われることも多いですね。

情緒豊かで落ち着いた雰囲気が喜多方市美術館の魅力

「喜多方市美術館」内部の様子(その2)
▲落ち着いた雰囲気の中、自分のペースでお気に入りの作品に向き合えるのも魅力

編集部

轡田さんが思われる、「喜多方市美術館」の魅力について、教えていただけますか?どうぞ、個人的な感覚でお話しください。

轡田さん

煉瓦造りのクラシックな趣(おもむき)が特徴の当館は、落ち着いた雰囲気の中で、ゆったりと作品を鑑賞できることが魅力です。お気に入りの作品のよさを、ご自分のペースでじっくりと味わっていただけると思いますよ。

また、折々の企画展では、新しい角度・切り口から作品をご紹介できるよう、常に心掛けているところです。

編集部

ほかの類似施設と差別化できる部分や、ちょっと自慢したいポイントなどがありましたら、ぜひご紹介ください。近隣環境と絡めてお話しいただいても結構です。

轡田さん

厳密に言えば当館自体のお話ではありませんが、市内から本物の古民家や蔵を移築した「喜多方 蔵の里」が隣接しています(入場料400円・「喜多方市美術館」の当日観覧券提示で50円割引)。

「喜多方市美術館」に隣接する「喜多方 蔵の里」の外観
▲隣接する「喜多方 蔵の里」。市内の本物の古民家や、蔵が移築されている。インスタ映えは抜群!

おおよそ4,500㎡の敷地に、中庭を中心として店蔵や味噌蔵、穀物蔵、蔵座敷、郷頭(ごうがしら)(※)の曲り家などが配置されており、一昔前の懐かしい日本の原風景をご覧いただけるでしょう。

(※)旧会津藩において、代官の下で1万石程度の村落を治めた長のこと。

街中の蔵めぐりをする際の予行演習的に、喜多方の文化や歴史に接してみてもいいかと思います。当館と雰囲気が一体化しており、作品鑑賞と合わせて楽しむことが可能ですよ。

>>一般社団法人喜多方観光物産協会「喜多方 蔵の里」(参考サイト)

おすすめのデートの楽しみ方は周辺スポットも一緒に!

「喜多方市美術館」近くの市内「蔵通り」の街並み(その1)
▲市内「蔵通り」の街並み。フォトジェニックな光景が、周辺のそこかしこにも見られる美術館

ここまでは、「喜多方市美術館」のコンセプトや展示内容など、観光で訪れた際の魅力を中心にお聞きしてきました。ここからは、デートの一環で立ち寄る場合に特化して、お話を伺ってみましょう。

カップルで楽しめるイベントやワークショップも開催中

編集部

カップルで楽しめるようなイベントや、ワークショップなどの開催はありますでしょうか?

轡田さん

年間を通して、「風景を描く教室」や「人物デッサン教室」、「造形教室」などを開催しています。そのほか、企画展に関連したワークショップを催すこともあるんですよ。もちろん、お二人でご参加いただけます。

「喜多方市美術館」で開催されるイベント「夏休み工作教室」で制作されたちぎり絵
▲開催イベントで制作された「ちぎり絵」の作品例。カップルで参加できるイベントも豊富

ご興味がありましたら、デートをイベントに合わせていただいてもよろしいでしょう。スケジュールや詳細については、公式サイトの「実技講座」ページをチェックしてみてくださいね。

>>公式サイト「実技講座」

見どころがいっぱい!喜多方市美術館周辺のデートスポット

編集部

カップルが「喜多方市美術館」を見学する前後に立ち寄れる、近隣のおすすめデートスポットがありましたら、ぜひいくつかご紹介をお願いします。

轡田さん

そうですね、当館から近いところから参りましょうか(笑)。春の桜の時期(4月中旬~下旬)にお越しになれば、「旧日中線跡」の遊歩道約3kmの区間で、1,000本ほども植えられた枝垂れ桜を観賞いただけますよ。当館からなら、徒歩10分ほどです。

>>一般社団法人喜多方観光物産協会「日中線記念自転車歩行者道 しだれ桜並木」(参考サイト)

「旧日中線跡」で開花する枝垂れ桜
▲「旧日中線跡」で開花する約1,000本の枝垂れ桜。鮮やかで、インスタ映えする光景

晩秋(11月中旬〜下旬)であれば、平安期の寝殿造りの拝殿「長床」が建つ古社「新宮熊野神社」の境内で、見事な黄金色に染まった大銀杏(いちょう)をお二人で眺めてもいいかもしれませんね。有料カレンダーに載るようなフォトジェニックな光景で、まさに圧巻の美しさです。

>>公益財団法人福島県観光物産交流協会「新宮熊野神社長床」(参考サイト)

「新宮熊野神社」境内の長床と紅葉した大銀杏(いちょう)
▲平安期から続く古社「新宮熊野神社」境内の長床と、黄金色の紅葉が見事な大銀杏(いちょう)

そして、喜多方市の中心部に伸びる「ふれあい通り」は、別名「レトロ横丁」とも呼ばれ、今でも蔵などを含めた古い街並みが残ります。季節に関係なく、散策いただけるスポットですよ。

江戸期の大店(おおだな)の蔵をリニューアルした「喜多方ラーメンミュージアム&ラーメン神社」もあって、ラーメン好きのお二人におすすめできます(観覧無料)。展示では、喜多方ラーメンの起源や歴史的背景、麺・スープの秘密にも迫りますので、要チェックです。

そんなわけで、ランチに喜多方ラーメンはいかがでしょうか。喜多方市内には、100店舗以上のラーメン店が存在していますから、カップルでお好みのお店を見付けてくださいね。「喜多方ラーメンミュージアム&ラーメン神社」内には、全店舗を紹介するパネルもありますよ。

>>公益財団法人福島県観光物産交流協会「暮らしの酒場なみなみ/ラーメン神社」(参考サイト)

喜多方ラーメンの一例
▲ランチには、二人で本場の喜多方ラーメンをいただくのもいい。基本に忠実で、ていねいな仕事の一杯は、まさに元祖日本のラーメン!

ランチ後、お時間に余裕があれば、「恋人坂」に足を延ばすのもいいでしょう。雄国山の裾野が広がる丘陵に伸びる「恋人坂」は、夕陽を正面に眺められる絶景のスポットです。会津盆地を見下ろし、遠くには飯豊連峰を望み、辺り一面に田園風景が広がっています。

昼間の景色も見応え十分で、のんびりとリラックスできますが、夜は夜景や満天の星が大変綺麗です。何ともロマンチックなので、地元では有名なデートスポットにもなっていますよ。

>>公益財団法人福島県観光物産交流協会「恋人坂・恋人岬」(参考サイト)

「恋人坂」から会津盆地を見下ろす(昼)
▲「恋人坂」から会津盆地を見下ろす。気持ちのよい、のどかな田園風景が広がっている

「恋人坂」で夕陽を観賞する人々(夕方)
▲「恋人坂」は、夕陽を正面に眺められる絶景スポット。フォトジェニックで、絵になる光景

あと、「三ノ倉高原花畑」もご紹介したいスポットです。会津盆地を一望する三ノ倉スキー場のゲレンデなど8haほどを利用し、晩春(5月中旬~下旬)には菜の花が、盛夏から初秋(8月上旬~9月上旬)には向日葵(ひまわり)の花が咲き誇り、四季折々の景観を観賞できます。

眼下に広がる黄色い花の絨毯(じゅうたん)と、緑の木々が織りなすフォトジェニックな光景は、インスタ映えも抜群ですよ(車1台当たり協力金300円)。

>>一般社団法人喜多方観光物産協会「三ノ倉高原花畑」(参考サイト)

「三ノ倉高原花畑」で咲き誇る菜の花(晩春)
▲晩春の「三ノ倉高原花畑」で咲き誇る菜の花。桃源郷という言葉を思い出す

「三ノ倉高原花畑」で咲き向日葵(ひまわり)の花(盛夏)
▲「三ノ倉高原花畑」を埋める盛夏の向日葵(ひまわり)の花。フォトジェニックな光景に思わず溜息

いずれにしましても、当館自体はコンパクトな地域美術館ですので、周りの見どころと併せて楽しんでいただくと、デートの満足度も一層高まるかと思います。

喜多方市美術館からのメッセージ

「喜多方市美術館」内部の様子(その3)

編集部

これから「喜多方市美術館」を訪れるカップルへのメッセージや、今回のインタビュー取材で伝えきれなかった想いなどがありましたら、ぜひお話しください。

轡田さん

喜多方には、古きよき日本の原風景とも思える美しい街並みと、里山の光景が広がっています。訪れた方の心をホッと和ませるような、優しさを持った街ですよ。

「喜多方市美術館」近くの市内「蔵通り」の街並み(その2)
▲古きよき日本を感じる市内「蔵通り」の街並み。カップルでのんびり散策したくなる

その喜多方でのデートのスタート地点としても、私ども「喜多方市美術館」はおすすめとなります。煉瓦造りのクラシカルな建物の中で、お二人のペースで作品を鑑賞してみてくださいね。

編集部

蔵の街・喜多方の街並みに溶け込んだ、レトロ感あふれる素敵な美術館でした。気ぜわしい日常とは明らかに違う、ゆったりとした時の流れを感じることができますから、仕事を頑張るカップルの息抜きスポットとしても、ありがたい存在になりそうです。

轡田さん、本日はお忙しい最中にお時間を作っていただき、大変ありがとうございました。

喜多方市美術館の口コミ・感想をチェック!

「喜多方市美術館」で開催される「風景を描く教室」の様子
▲「喜多方市美術館」で開催される「風景を描く教室」の様子

デートの参考になるよう、実際に「喜多方市美術館」を見学した皆さんが残した口コミや、感想をいくつかご紹介しましょう。

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ゆっくりマイペースで鑑賞できて、心穏やかになる美術館です。
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休館日が水曜日なので、他館の多くが休みの月曜日に作品観賞できるのが嬉しい!
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周囲の景観に溶け込んで、情緒を感じる美術館でした。コンパクトですが、展示内容は充実しています。
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スタッフの皆さんは親切で、ていねいな方が多い印象。充実した時間を過ごせた。

全般的に、評判のよい地域美術館です。とりわけ煉瓦造りのお洒落な建物や、歴史を感じる街並みに溶け込んでいる雰囲気に、多くの皆さんが触れていました。デートの一環で初めて見学したとしても、充実したひと時になりそうだと感じます。

喜多方市美術館の料金・割引・混雑しない日時

「喜多方市美術館」の正面外観(夏)

観覧料 【当日観覧券】
・75歳以上・未就学児:無料
・65歳以上75歳未満:一人150円
・一般:一人300円
・高校生以下:一人100円
※特別企画展など、展覧会によっては、観覧料が変更される場合あり
※隣接する「喜多方 蔵の里」の入場料は、「喜多方市美術館」の当日観覧券提示で50円割引
割引 身体障害者手帳か療育手帳、または精神障害者保健福祉手帳を持参・提示された方は、観覧料が100%割引(無料)となる
※それぞれ第1種または1級の場合、付き添いの方1名も100%割引(無料)
混雑しない時間帯 平日であれば、比較的どの時間帯も空いている
※夏休み期間中の企画展開催時は、混み合う傾向あり

※金額は、すべて税込表示です。

喜多方市美術館の基本情報(アクセス・営業時間など)

住所 〒966-0094
福島県喜多方市字押切2丁目2番地
連絡先 ・電話:0241-23-0404
・Web:公式サイト「お問い合わせ」ページ
アクセス 【公共交通機関】
・JR磐越西線:喜多方駅で下車・徒歩なら約20分/タクシー利用なら約5分

【車】
・磐越自動車道:会津若松ICから約25分/会津坂下ICから約25分
・会津縦貫道:喜多方ICから約10分
駐車場 隣接する「喜多方プラザ文化センター」の駐車場(無料)を利用
開館時間 10:00~18:00
※最終入館時刻は、17:30
休館日 毎週水曜日・年末年始
※展示替え等のため、臨時休館の場合あり
併設飲食施設・売店 (なし)
公式サイト http://www.kcmofa.com/
公式SNS Facebook

※最新の情報は、公式サイト等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額は、すべて税込表示です。