観峰館で書の文化と中国近現代の魅力を感じる博物館デート|滋賀県東近江市の博物館

「博物館めぐりデート特集」第8弾でご紹介するのは、滋賀県東近江市にある「観峰館(かんぽうかん)」さんです。

日本習字教育財団の創立者である原田観峰先生が収集した「近代中国書画」や「西洋アンティーク」のコレクションが観峰館の展示の中心で、所蔵品は約25,000点にも及ぶそうです。

普段の生活を忘れてゆっくりしたい」「書道や中国文化に関心がある」という方はぜひご覧ください。

※記事中の金額はすべて税込表示です

書道文化を広める博物館「観峰館」

観峰館にある日本の書の展示風景

滋賀県東近江市五個荘竜田町にある観峰館は「書の文化にふれる博物館」がメインテーマの博物館です。展示は「近代中国書画」や「西洋アンティーク」のコレクションが中心で、これらは日本習字教育財団の創立者である原田観峰先生が収集したもの。

常設展示の清王朝の離宮「避暑山荘」の内部と、乾隆帝の書斎「三希堂」を再現した展示は、まるで旅行しているかのような気分になると人気です。また書道の展示以外にアンティークオルゴール、クラシックカー、スクエアピアノ、フランス・ロココ調の家具など西洋のアンティークも展示してあります。常設展では写真撮影可能で中国から西洋まで異国情緒溢れる写真を撮影ができるため、撮影好きなカップルにおすすめです。

展示品のオルゴールはとても貴重で、実際に音色を聞く機会は年に2回のイベント(毎年4月・9月)しかありません。公式HPで録音した音色が聞くことができるので、来館前後は要チェックですよ。

今回は「観峰館」の嘱託研究員である根來孝明さんに、観峰館の魅力や見どころについてお話をうかがいました。

インタビュアー

観峰館のコンセプトや展示内容について教えてください。

根來さん

当館のコンセプトは「書の文化にふれる博物館」です。

書道の通信教育を行う「公益財団法人 日本習字教育財団」の創立者・原田観峰(1911~1995)が収集したコレクションが展示の中心となっています。

2万5千点におよぶ中国近現代の書画を中心に、日本の和本・教科書類や、西洋アンティーク等を所蔵しています。

インタビュアー

原田観峰さんのコレクションを中心として、書にまつわるさまざまなお品を拝見できるのですね。

これまで書は敷居が高いと敬遠しがちでしたが、改めて拝見すると、美しさの中にも人間の温かみを感じます。

見どころは”中国旅行”したような気分になれる「避暑山荘」と「三希堂」の再現展示

観峰館にある復元石碑

インタビュアー

観峰館ならではの魅力を教えてください。

根來さん

清王朝の離宮「避暑山荘(ひしょさんそう)」の内部と乾隆帝の書斎「三希堂(さんきどう)」を再現した展示があります。

また、中国・西安碑林博物館(せいあんひりんはくぶつかん)の全面的な協力のもと原寸大で復元した書道史上重要な石碑8基も展示しています。

この復元石碑は、実際に拓本を採っていただくことも出来ます。

インタビュアー

「避暑山荘」と「三希堂」の再現展示を見ていると、まるで旅行しているかのような気分になります。

中国の博物館からも協力を得て再現された石碑はさすが圧巻ですね。

「アンティークオルゴール鑑賞会」など魅力的なイベントが盛りだくさん

観峰館のアンティークオルゴール鑑賞会

インタビュアー

イベントや催しなどの開催はありますか?

根來さん

学芸員によるギャラリートークと同じ日にミニコンサートを実施しています。

年に2回「アンティークオルゴール鑑賞会」を開催し、展示品であるアンティークオルゴールを実際に演奏する催しも行っています。

インタビュアー

さまざまなタイプのコンサート会を開催されていますね。

アンティークオルゴールは見た目も美しいうえ、きっと音色も素晴らしいのでしょうね。

機会を作ってまた聴きに来たいと思います。

家族連れや夫婦で利用する人が多い

観峰館の書院展示室

インタビュアー

どのような利用者が多いでしょうか?

根來さん

ご家族連れ、ご夫婦でいらっしゃる方が多いように思います。

インタビュアー

きっとみなさま、お連れの方と感想をシェアしながら鑑賞されているのでしょうね。

カップルで行っても楽しめそうです。

観峰館に寄せられた口コミや感想

インタビュアー

利用者からよく聞く感想や、嬉しかった声などあれば教えてください。

根來さん

「こんなにすごいところがあったなんて知らなかった!」「1日では時間が足りないので、また来ます!」「すごく広くて驚きました!」という声が多いようです。

避暑山荘や三希堂・石碑などは「迫力があって見ごたえがあった」というお声もあります。

観峰館は近代中国の書画がメインですが、西洋アンティークも素晴らしかったとおっしゃる方も多いです。

「まさかクラシックカーまであるとは!」と言われたこともあります。

インタビュアー

展示のボリュームに圧倒されている方が多いようですね。

また、近代中国書画中心の観峰館にある「西洋アンティーク」という意外な見どころも魅力的です。

観峰館の施設について

滋賀県東近江市にある観峰館の避暑山荘

インタビュアー

主にどのような展示物を拝見できますか?

根來さん

「避暑山荘」を再現した展示室には「中国の吉祥」、つまりおめでたい図像であるコウモリや象などがいろんなところに見られます。

また、なかなか目にすることのない巨大な硯(すずり)や拓本も常設展示しています。

インタビュアー

観峰館さんを訪ねると、書の文化のみならず中国の文化にも触れることができますね。

後ほど、コウモリや象をぜひ探してみたいと思います。

巨大な硯も気になります!

展覧会は年3回!企画展のみならず”他館からの借用品”も加えた「特別企画展」も開催

観峰館企画展のひな人形

インタビュアー

常時閲覧できる展示物以外に、企画展なども開催されていますか?

根來さん

年に3回、春・夏・秋に展覧会を開催しています。

所蔵する近代中国の書や絵画を中心にした企画展に加え、他館からの借用品も加えた特別企画展も行っています。

例えば、2020年の秋には、猫と蝶を描いた吉祥画「耄耋(もうてつ)」を中心にした企画展「耄耋ってニャンだ!?-吉祥の願い-」を開催しました。

近代中国絵画ならではの「ヘタウマ」でかわいい猫の絵56点を展示し、書や絵画に興味がある方だけでなく、ネコ好きの方に多くご覧いただきました。

また作品の解説や学芸員によるギャラリートークをYouTubeFacebookInstagramで配信し、ご来館が難しい方にも展覧会を楽しんでいただけるようにしています。これらの動画は現在もホームページでご覧いただけます。

本館4階展示室では日本の和本や書画、5階展示室では中国書画を中心とした展示を企画展の開催期間にあわせて行っています。

インタビュアー

文化的な作品鑑賞の入り口として、ネコは大変親しみやすいテーマですね。

これらの展覧会をオンラインでも楽しむことができるのは、とてもありがたいです。

のんびり過ごせる「6階の展望室」や「書院展示室の中庭」はデートにおすすめ

観峰館書院展示室の中庭

インタビュアー

展示物以外の見どころやデートでのオススメスポットはありますか?

根來さん

五個荘地区が一望できる本館6階の「展望室」は、日常の忙しさを忘れてのんびりとした時間を過ごしていただけます。

また書院展示室の「中庭」にも入っていただくことができますので、異国情緒を味わっていただけると思います。

インタビュアー

展望室から辺りを眺めつつ、2人でゆっくりと話をするのも良いですね。

中庭ではいつもと違う景色の中で過ごせるので、気分転換になりそうです。

全館撮影OK!ただし企画展では撮影不可の展示品もあるので注意

インタビュアー

写真撮影可能なエリアなどはありますか?

根來さん

館内は基本的に全館撮影が可能となっています。

ただし、他館の所蔵品を借用して展示している場合に限り、撮影をご遠慮いただいております

インタビュアー

観峰館さん所蔵の展示は撮影可能なのですね。気に入った作品や、記念写真を撮影すると思い出になります。

撮影できない展示については要注意ですね。

「石碑」や「瓦当」の拓本を採るワークショップあり

インタビュアー

手作り体験教室やワークショップなどはありますか?

根來さん

石碑や瓦当(がとう)の拓本を採ることが出来ます。

学芸員が丁寧に解説しますので、初めての方でも楽しんでいただけると思います。

拓本の採り方についてはYouTubeでも公開していますので、よろしければご覧ください。

インタビュアー

拓本を採るのは初めてな方も多いでしょうから、学芸員さんのご解説はとてもありがたいですね。

書に親しむためのよいきっかけになると感じます。

ミュージアムショップでは「展覧会図録」や「オリジナルグッズ」を販売中

インタビュアー

博物館のグッズやお土産などを購入できるミュージアムショップはありますか?

根來さん

展覧会図録や当館オリジナル扇子・コットンバッグ等を販売しています。

コットンバッグは丈夫でシンプルなので、エコバッグとしてお使いいただけます。

また、筆・墨・半紙などの書道用具も販売しています。

インタビュアー

最近はエコバッグを持ち歩く方も多いので、観峰館さんのコットンバッグを利用すると良いですね!

また見ているうちに書道に挑戦したくなった場合も、こちらで書道用具が揃うので頼もしいです。

過去の企画展の紹介動画をYouTubeやSNSで公開

観峰館の冬季企画展

インタビュアー

オンラインで展示物などを紹介されているものがあれば教えてください。

根來さん

これまでに行った企画展については、簡単な紹介動画をYouTubeFacebookInstagramで公開しています。

展示品の写真や解説はホームページや各種SNSに掲載していますので、ぜひチェックしてみてください。

過去のギャラリートークや、学芸員が石碑の拓本を採る様子の動画なども公開しています。

インタビュアー

これまでの企画展の紹介をオンラインで拝見できるのですね。

過去に気になる企画があった場合やどうしても会期中に行けなかった場合でも、こちらで雰囲気を味わえそうです。

観峰館の来館予約や料金について

観峰館のクラシックカー

インタビュアー

観峰館を訪れる際に予約は必要ですか?

根來さん

展示をご覧になる場合は予約不要です。

講座やコンサートなどのイベント・学芸員による展示解説は要予約となっています。

団体様の場合は事前にご連絡をお願いいたします。

インタビュアー

予約不要であれば気軽に訪問できます。

ただしっかり満喫したい場合は予約を検討するとよさそうですね。

入館料は大人1名につき500円!ただし特別企画展開催中は1,000円に

インタビュアー

入館料や展覧会のチケットなどの料金を教えてください。

根來さん

このような料金です。

入館料

一般 500円
高校生・学生 300円
中学生以下 無料

特別企画展開催中の入館料

一般 1,000円
高校生・学生 800円
中学生以下 無料

インタビュアー

25,000点の観峰館コレクションを拝見できて、さらに企画展も見られてこのお値段ならリーズナブルですね。

割引サービスあり!ホームページ内の「割引画面」提示で”2割引”に

インタビュアー

安く利用できる方法などは何かありますか?

根來さん

ホームページ内の割引画面をスマホ等でご提示いただくと2割引となります。

インタビュアー

割引画面を見せるだけで割引していただけるなんて助かります。

その他の割引も適用できるかどうか、あらかじめ確認しておくとスムーズですね。

観峰館デートのマナー・服装について

観峰館の巨大拓本

インタビュアー

博物館を楽しむコツやマナーがあれば教えてください。

根來さん

作品をご覧になった感想を一緒に来られた方と共有してほしいと思います。

同じ作品でも、見ているところや感じる印象は人それぞれです。

感想を人と共有することを通して、新しい発見があると思います。

他のお客様もいらっしゃるので、展示をご覧になるときは音量に注意していただきますようお願いいたします

インタビュアー

声の大きさに注意しつつ、感想を共有しながら拝見したいです。

作品鑑賞を通じて相手のこともさらに知ることができますね。

「動きやすい服装」で博物館デートを楽しもう

インタビュアー

博物館デートにおける服装のマナーなどがあれば教えてください。

根來さん

当館はいくつか展示室がありますので、館内を移動しやすい服装の方がよいかと思います。

インタビュアー

できるだけ歩きやすく、荷物は軽めを意識するとよさそうです。

観峰館付近の観光スポットについて

観峰館本館の獅子像

インタビュアー

観峰館の近くでおすすめの観光スポットなどがあれば教えてください。

根來さん

近江商人屋敷などの古いお屋敷がある「五個荘金堂地区」が近くにあります。

観峰館とあわせて、ぜひお立ち寄りください。

鯉が泳ぐ綺麗な川などは、都会ではなかなか見ることのできない風景です。

インタビュアー

五個荘金堂地区では、伝統的な街並みが保存されているのですね。

歴史情緒あふれる地区をゆっくり歩くのも楽しそうです。

観峰館デートの後は「JR能登川駅」付近を”レンタサイクル”で散策してみよう

インタビュアー

カップルにおすすめのデートプランなどあれば教えてください。

根來さん

遠方からいらっしゃる方は、午後からご来館になられることが多いように思います。

お昼から博物館デートを楽しんでいただき、JR能登川駅付近でお食事をされてはいかがでしょうか?

能登川駅でレンタサイクルを利用すれば、金堂の街並みも散策しながら一日楽しめるかと思います。

能登川駅から観峰館までは自転車で片道20分くらいです。

近江鉄道を利用すれば彦根や近江八幡に出ることもできますので、そちらでお食事でもよいかと思います。

インタビュアー

JR能登川駅を中心としてデートプランを組み立てるのがよさそうです。鉄道の他にもレンタサイクルを利用すれば、体を動かすデートも楽しめますね。

観峰館からカップルへメッセージ

滋賀県東近江市にある観峰館の外観

根來さん

忙しい日常を忘れて、ゆったりとした時間を過ごせる博物館です。

心のリフレッシュに、ぜひ一度いらしてみてください。ご来館をお待ちしております。

インタビュアー

観峰館は中国書画を中心としてさまざまな文化を楽しみ、リフレッシュできる博物館であると感じました。

美しいものを鑑賞しつつ、ゆっくり過ごせる魅力がありますね。

今日はたくさんお話を聞かせてくださりありがとうございました。

観峰館の基本情報

住所 〒529-1421
滋賀県東近江市五個荘竜田町136​
電話番号 0748-48-4141
開館時間 9:30〜17:00 (入館は16:00まで)
休館日 月曜日(ただし祝日の場合は翌日)
資料調査・整理のための休館・展示替え休館
(※詳細は公式サイトをご覧ください)
公式サイト http://www.kampokan.com/

比較的空いている曜日や日時

比較的いつも空いています。
密を気にせず展示をご覧いただけると思いますので、いつでもお越し下さい。

観峰館の後に行きたいデートスポット

観峰館と合わせて行って欲しい、おすすめのスポットを2つ紹介します。このスポットは今回お話を伺った根來さんおすすめのスポットになっているので、お近くにお越しの際はぜひ足を運んでみてくださいね。

近江商人ゆかりの地で商売の基本が学べる「五個荘金堂地区」

「五個荘金堂地区」は近江商人ゆかりの地として知られており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。蔵屋敷ならではの白壁と舟板塀が特徴的な町並みです。「三方よし」の近江商人ならではの商売の基本は世界的にも有名で、商売をやっている方から人気の観光スポットです。お土産屋さん等はないので、カップルで行く場合は街並みと一緒に撮った写真が思い出の一品になります。

五個荘金堂地区:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/910/

歴史好きカップルにおすすめ!織田信長についての知識が深まる「安土城考古博物館」

「安土城考古博物館」は滋賀県近江八幡市安土町にある織田信長に関する展示が多い博物館です。博物館近くに「安土城跡地」、安土城天守閣を再現展示している「信長の館」と併せて観光するのがおすすめです。博物館内では信長が愛した抹茶を挽ける体験が人気です。自ら茶臼で挽いたお茶を季節の和菓子と一緒にいただけます。歴史好きな女性が多く訪れるSNSで話題の博物館です。

安土城考古博物館:https://azuchi-museum.or.jp/