【島根県】歴史好き・庭園好きカップルにおすすめ!奥出雲町の可部屋集成館で楽しむ優雅なデート

今回『博物館めぐりデート』で紹介するのは、島根県仁多郡奥出雲町の「可部屋集成館(かべやしゅうせいかん)」です。

基本情報

可部屋集成館にある岩浪の滝の様子

可部屋集成館内部から見る見事な紅葉

櫻井家住宅の玄関

レトロな佇まいを残す櫻井家住宅周辺の通り

可部屋集成館の鎮守神社

可部屋集成館のおすすめポイント
  • たたら製鉄の歴史が学べる
  • 四季折々の自然が楽しめる
  • 美しい庭園を散策できる
  • さまざまな企画展を開催
こんなカップルにおすすめ ・都会の喧噪を離れ、ゆったりとした時間に身を置きたいと思うカップル
・歴史好きなカップル
・四季の移ろいを感じたいカップル
写真撮影 館内を含め、すべて写真撮影可
アクセス JR木次線出雲三成駅から奥出雲交通バス内谷行きで24分、終点下車、徒歩5分
予算目安 1,000円~(大人1名)

奥出雲の美しい自然とたたら製鉄で名を馳せた櫻井家の歴史を間近で感じられる、可部屋集成館。魅力やロケーション、特徴をスタッフの尾方豊さんにお伺いしました。

奥出雲の“たたら製鉄”の歴史が学べる可部屋集成館

可部屋集成館の美術展示品

可部屋集成館は戦国時代の武将、塙団右衛門(ばんだんえもん)の末裔家である櫻井家に伝わる江戸期の美術工芸品、歴史資料を展示した歴史資料館です。

「可部屋」は櫻井家の屋号であり、たたら製鉄の名門として「菊一」の印が入れられた鉄は高い評価を受けたことでも知られています。

可部屋集成館では、たたら製鉄に関する文書や美術工芸品を4,500点あまり展示。隣接する住宅・庭園は豊かな自然に囲まれ、特に秋は紅葉が美しく景色を彩ります

では、スタッフの尾方さんに可部屋集成館の魅力を教えてもらいましょう。

可部屋集成館・櫻井家住宅・庭園・自然すべてが見どころ

櫻井家の庭園全景

編集部

可部屋集成館は、美術工芸品や歴史資料、豊かな自然、歴史を感じさせる佇まいが素敵ですね。尾方さんから見た、可部屋集成館ならではの見どころについて教えてください。

尾方さん

可部屋集成館の展示だけではなく、隣接する櫻井家住宅(国の重要文化財)や庭園(国の名勝)、前を流れる川や背後の山を含めた景観そのものが、たたら製鉄の歴史や近世から近代にかけてのこの地方の暮らしを伝えています。

これは、可部屋集成館ならではだと思います。

編集部

目に映るものすべてがこの土地の魅力を伝えるものなのですね。櫻井家住宅・庭園はうっとりするような美しさで驚きました。デートでの散策にもうってつけですね。また、当時の「暮らし」が感じられる展示品の数々も印象的です。

特にここは魅力的、というようなポイントはありますか?

尾方さん

可部屋集成館や櫻井家住宅・庭園の四方を囲む岩山と渓流それらのすべてが魅力的です。

「山深いところになぜこのような資料館があるのか」という疑問があるかも知れませんが、かつてこの辺りには50軒余りの家が建ち、それぞれが櫻井家の「たたら製鉄」に従事していました。

「周囲の景観はたたら製鉄という生業の中でここで暮らす人たちが作りあげてきたもの」と知ると、このロケーションはいっそう魅力的に見えてきます。

編集部

今は自然が豊かで静かな場所という印象ですが、昔はたくさんの家が建っていたのですね。製鉄業が盛んだった当時はさぞ賑やかだったことでしょう。かつて人々が暮らしてきた「なごり」を探してみるのも楽しそうです。

櫻井家住宅・庭園で四季折々の自然を楽しむデートができる

紅葉が見える櫻井家住宅付近の通り

編集部

「ここは見ておくべき!」というようなおすすめのスポットについて教えてください。

尾方さん

可部屋集成館に隣接する櫻井家住宅と庭園をおすすめします。

櫻井家には、松江松平家の藩主がたびたび訪れています。母屋は、1738年に建てられたものを1803年の松江藩第7代藩主であった松平治郷(不昧)公が御成の際に増築したものです。

同時に庭には滝をしつらえ、不昧公をお迎えしました。不昧公はこの滝と庭園をこよなく愛され、滝に「岩浪」の銘を、そして借景の山には「寿宝山」の銘を与えられました。不昧公が愛でたそのままの姿を今に伝えています。

編集部

櫻井家は戦国時代の武将、塙団右衛門の末裔家と伺いました。また、江戸時代に藩から製鉄を許された「鉄師5家」の1つということで、大変歴史を感じます。

母屋も300年近く前に建てられたとのこと。今こうして見ることができるのは、大切に手入れをしてきた方々がいたからこそでしょう。愛情をこめて守られてきた場所なのだと感じました。

また、「岩浪」「寿宝山」の銘も雅な雰囲気があり素敵です。周りの自然がその美しさをより引きたてているような気がします。それにしても、緑がキレイです…。季節ごとに違った表情が楽しめそうですね。

尾方さん

四季折々に魅力があると自負しています。春の芽立ちや新緑、庭の桜やしだれ桜もおすすめです。

初夏になるとツツジ、煎茶茶室「掬掃亭」の前にはコウホネの黄色い小さな花が咲きます。夏は、木々の間をさわやかな風がながれます。

秋の紅葉は圧巻です。実はこのイロハモミジは5代当主が京都から妻を迎えた際、「(見知らぬ土地での暮らしは)寂しかろう」とわざわざ京都からモミジを移植したものだと伝わっています。

編集部

情景が目に浮かぶようです。「紅葉が美しい」と口コミなどで拝見はしていたのですが、京都から移植したものだとは知りませんでした。

しかも、移植した理由が素敵です。カップルで紅葉狩りを楽しむのにぴったりの場所でもありますね。筆者も秋になりましたら、また足を運びたいと思います♪

たたら製鉄関連の常設展や季節ごとにテーマを決めた企画展を開催

編集部

可部屋集成館には、4,500点あまりの展示物があると伺いました。具体的な展示物について教えてください。

尾方さん

櫻井家は松江藩の鉄師頭取として、たたら製鉄を取りしきってきました。

たたら製鉄や松江藩との関係についての貴重な文書や資料が残されています。たたら製鉄というと日本刀をイメージする方も多いのですが、櫻井家の鉄は「鉄砲地金」として、とても高く評価されていました。それらに関する資料を展示しています。

一方で、櫻井家の始祖である戦国武将・塙団右衛門が活躍した「大阪の陣」に関する展示、歴代の当主が収集した優れて美術工芸品などを展示しています。

たたら関係の常設展も絶えず充実するよう努力しています。

編集部

たたら製鉄の歴史を学べるというのは、可部屋集成館ならではですね。また、「大阪の陣」に関する展示や美術工芸品などは歴史好きにはたまらないと思います。

常設展のほかに企画展も行われているとのことですが、具体的な企画展の内容について教えてください。

尾方さん

毎年、春、夏、秋の季節ごとにテーマを決め、企画展を行っています。

令和4年度の夏季企画展示テーマは「清涼の中で」です。

令和4年通年のテーマは「可部屋の“おもてなし”」としています。夏季展では「清涼の中で」をサブテーマに、可部屋の周囲の景観や取り巻く自然全体での“おもてなし”を意識した展示をしています。

編集部

季節によって色々な展示物が楽しめるのは嬉しいですね。当時の技術をつぎ込み作られた鎧・兜・刀を間近に見られるのは貴重な体験だと思います。迫力満点ですね!

イベントなどの開催はありますか?

尾方さん

毎年ロビーコンサートを行ってきましたが、現在は休止中です。

ただ、展示室の中にある昭和初期のドイツ製グランドピアノは、ギャラリーピアノとして自由にお弾きいただいています。ご利用ください。他のお客様がいらっしゃる場合、受付から一声かけて許可をいただきます。

また、事前予約が必要ですが、住宅ではお抹茶を楽しむことができます。

編集部

ロビーコンサートが休止中というのは残念ですが、昭和初期のドイツ製グランドピアノに触れられるのは魅力的ですね。どのような音色がするのでしょうか…。想像が膨らみます♪

お抹茶もいただけるのは贅沢ですね。お抹茶を味わいながら、パートナーと2人で展示品について感想を言い合うのも楽しそうです。

デートのランチには清聴庵の「割子蕎麦と天ぷらのセット」がおすすめ

編集部

駐車場敷地内にNPO法人が経営するおそば屋さん「清聴庵」があるそうですね。

尾方さん

はい。地元産のそばを櫻井家の水車で粉にひいて、打ち立てを楽しんでいただいています。営業日や営業時間については可部屋集成館にご確認ください。

ちなみに「割子蕎麦と天ぷらのセット」が人気です!

編集部

櫻井家の水車で粉にひいているのですか!どのようなお蕎麦なのか、とても気になります。デートのランチタイムに利用するのにちょうどいいですね。

また、せっかくならお土産を買って帰りたいという方も多いと思います。グッズなどが購入できるショップはありますか?

尾方さん

小さなコーナーがあります。たたら製鉄関係の資料のほか、可部屋集成館のスタッフの一人が鍛冶屋をやっており、彼の作った小物も置いています。

編集部

控えめな感じが逆に展示物に集中できる感じがしていいですね。資料や小物を思い出の品として購入するのも良いですし、写真をたくさん撮ってそれを記念にするのもいいかもしれません。

可部屋集成館の口コミや評価

可部屋集成館の櫻井家全景

編集部

利用された方々からはどのような感想がありますか?

尾方さん

入館時「1,000円は高い」とおっしゃったお客様が、帰り際に事務室に立ち寄り「失礼なことを言いました。素晴らしいものを見せていただき充実した時間を過ごせました」と言ってくださったことがありました。

また、「きれいな展示ですね」といっていただいたときは嬉しいですね。

編集部

わざわざ自分の言葉を撤回するほど、感動的な展示・庭園だったのでしょうね。「自分の目で見て初めてその価値がわかった」といったところでしょうか。それだけ、可部屋集成館が魅力的な場所だということが伝わってきます。

利用者はどのような年齢層の方が多いでしょうか。

尾方さん

シニア世代のカップルが最も多いですね。

編集部

確かに可部屋集成館は落ち着いた雰囲気ですし、ゆったりとした時間を過ごしたい大人のデートにぴったりだと思います。騒がしいところが苦手な方やじっくり展示物を楽しみたいという方にも良さそうですね。

可部屋集成館の料金プランについて

可部屋集成館内部から見える紅葉

尾方さん

可部屋集成館と住宅・庭園がセットで1,000円になります。

編集部

2人で2,000円ですね。庭園をじっくりまわれば、お互いの距離もグッと縮まりそうです。

安く利用できる方法などは何かありますか?

尾方さん

JAF等各種割引があります。地元観光協会主催のイベント割引が活用できる場合もあります。

編集部

利用する前に割引などがあるかチェックしておくと良さそうですね。

可部屋集成館を中心としたデートプラン

可部屋集成館にある櫻井家住宅の外観

編集部

可部屋集成館の近くでおすすめ観光スポットなどはありますか?

尾方さん

松江藩の鉄師頭取であった絲原家の「絲原記念館」がおすすめです。可部屋集成館と一緒に見ることでよりいっそうこの地方への暮らしの理解が深まります。

編集部

奥出雲のたたら製鉄といえば、絲原家も有名と聞いていましたが、両家をめぐるプランというのは思い浮かびませんでした。より学びの質が高まりそうです。

尾方さんがおすすめするデートプランなどがあれば教えてください。

尾方さん

以下のようなプランはいかがでしょうか。

    1. 午前中のさわやかな時間に可部屋集成館を訪問
    2. 横田地域に移動して、奥出雲のそば屋さんやレストランで食事を楽しむ
    3. 稲田神社などの神話スポットを訪問
    4. 絲原記念館を訪問(展示を見た後、絲原家住宅内のカフェで一休み)

※可部屋集成館は松江尾道線の東城インターから最も近い博物館です。

編集部

奥出雲の歴史や自然を満喫できるプランですね。稲田神社はヤマタノオロチ神話を巡る名所ということで、歴史好きはもちろん日本神話に興味があるカップルにも良さそうです。

これから利用される方へのアドバイス

可部屋集成館にある岩浪の滝と春の桜

編集部

可部屋集成館を訪れようと考えている方に向けてアドバイスをお願いします。例えば服装やマナーなど、気をつけることはありますか?

尾方さん

奥出雲散策では動きやすいことが一番です。カジュアルな服装が中心です。

マナーについては特にありません。気楽にお越しください。わからないことや興味を持ったことがあれば遠慮なく係員にお尋ねください。

編集部

散策する場合、女性は特に低めのヒールやスニーカーなど歩きやすい靴が良さそうですね。

マナーは特にないとのことですが、展示品を見るときはまわりの方のことも考えてなるべく静かに行動するようにした方がいいかもしれません。写真撮影のときもスペースをとりすぎないことが大切ですね。

可部屋集成館さんからのメッセージ

可部屋集成館で見られる櫻井家住宅の様子

尾方さん

何年か前に東京国立博物館の企画で「博物館に初詣」とか「博物館で世界旅行」というのがあったような気がします。

博物館や資料館はいつも新たな発見に満ちています。同時に相手の新たな一面を見ることのできる場だと思っています。ぜひおそろいで可部屋集成館にお越しください。

編集部

ありがとうございました。

可部屋集成館の施設の詳細

住所 〒699-1621
島根県仁多郡奥出雲町上阿井1655
電話番号 0854-56-0800
営業時間 9:00~16:30
3月下旬~12月上旬
公式サイト http://kabeya-syuseikan.com/
予約 なし
比較的空いている時期 基本いつでもOK
※11月はやや混雑
新型コロナ感染症対策

■従業員
・マスクまたはフェイスシールドの常時着用
・こまめな手洗い・手指消毒

■お客様への取組
・入館時の検温
・常時マスク着用を呼びかけ
・こまめな手洗い・手指消毒を要請

■施設・設備
・除菌・消毒液の設置
・換気の徹底