
「岩殿観音 正法寺」の特別な空間で写経体験するデート|埼玉県東松山市
今回の記事でご紹介するのは、埼玉県の「岩殿観音 正法寺(いわどのかんのん しょうぼうじ)」での写経体験をメインに過ごすデートプランです。
静かな空間で安らぎを感じながら体験する写経は、自分と向き合う大切な時間であり、カップルで同じ体験を共有することで生まれる気付きもありますよ。
今回は岩殿観音正法寺の副住職である中嶋さんに、詳しくお話をうかがいました。
『鎌倉殿の13人』ゆかりの「岩殿観音正法寺」
岩殿観音正法寺は埼玉県東松山市にある真言宗智山派の寺院で、坂東三十三観音(※1)の第十番札所として、古来より信仰を集めています。
(※1)鎌倉時代初期に開設された観音巡礼の霊場で、関東7県各地に33カ所の札所が点在する。
2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の登場人物ゆかりの地としても知られるようになりました。
境内は関東平野に続く丘陵地帯に位置しており、急斜面を切り崩したような空間にお堂が佇んでいます。市街地からさほど離れていないにも関わらず、豊かな自然と静寂に包まれた境内は、訪れる人の心を癒やし続けてきました。
ここからは、岩殿観音正法寺の見どころについて聞いていきましょう。
都内から1時間ほど!裏参道からのアクセスが便利
編集部
岩殿観音正法寺は、自然に囲まれた山寺のような雰囲気がある寺院だとうかがいました。まずは、ロケーションやアクセス方法について教えてください。
中嶋さん
岩殿観音正法寺は都内から1時間程度でアクセスできる、埼玉県東松山市にあります。
電車では、東武東上線「高坂駅」からバスで約10分、車の場合は関越自動車道「坂戸スマートIC」から約10分とアクセスしやすい立地です。
駐車場は表参道側に10台程あり、裏参道側には大型バスも駐車できるような大きな駐車場もありますよ。
バス停も近い裏参道側からのアクセスですと、駐車場脇のトンネルを抜けた先に境内が広がっています。
一方の表参道は、境内の東側にまっすぐと延びた昔からの門前通りです。石畳の表参道の両脇には住宅が並んでいますが、昔の屋号を掲げている家もあるんですよ。表参道からアクセスすると、仁王門をくぐり、その先の石段へと続きます。
▲表参道からアクセスすると迎えてくれる仁王門。
観音菩薩像の安置に始まる1,300年の歴史
編集部
岩殿観音正法寺の歴史について、ご紹介いただけますか?
中嶋さん
いまから約1,300年前、養老2年(718年)に諸国を行脚する高僧が巌殿山(いわどのさん)に観音菩薩像を安置し、その傍らに正法庵という草庵を結んだことから、岩殿観音正法寺は始まりました。
開山期には、いまに語り継がれている「田村麻呂の悪竜退治」という伝説があります。
あるとき岩殿の山に悪竜が住み着き、村人はほとほと困り果てていました。そこに蝦夷征伐へと向かう将軍・坂上田村麻呂(※2)が通りがかり、岩殿観音の千手観音の霊力を授かることで悪竜を見事討ち果たしたといいます。
(※2)桓武天皇より征夷大将軍に任命された平安時代の武将。
その後、都へと戻った田村麻呂が岩殿観音の霊験を伝えると、これに深く感銘を受けた桓武天皇の勅命によって、延暦15年(796年)に岩殿観音の伽藍建立に至ったと伝えられています。
源頼朝が定めた「坂東三十三観音第十番札所」
編集部
岩殿観音正法寺は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場する人物ともゆかりがあるそうですね。どのような関わりがあるのでしょうか?
中嶋さん
鎌倉時代に入ると、観音信仰に篤かった源頼朝(みなもとのよりとも)が坂東三十三観音霊場を制定し、岩殿観音を第十番に定めました。
大河ドラマでも描かれている13人の家臣の1人で、頼朝が厚い信頼を寄せていた比企能員(ひきよしかず)も岩殿観音を深く信仰し、岩殿観音の近くには比企能員の館があったとも言われています。
頼朝没後の正治2年(1199年)には、亡き頼朝の遺志を継ぎ、妻である北条政子が岩殿観音の諸堂を再建するなど、大河ドラマの登場人物とも深い関わりがあると言えますね。
その後、戦国時代には岩殿観音の七堂伽藍は焼亡してしまいますが、戦火を免れた御本尊の千手観音とともに伽藍が再建されます。江戸時代には徳川家康より朱印地を賜り、観音巡礼により大いに栄えました。
>>「鎌倉殿の13人」と岩殿観音について(「岩殿観音 正法寺」公式サイト)
岩殿観音正法寺の御本尊は千手観世音菩薩(千手観音)さまです。
観音さまは、人々が救いを求める声を聞きつけ、すぐに救いの手を差し伸べてくださる菩薩さまです。特に千手観音さまは、千の手によって多くの人々のさまざまな願いを叶えてくださいます。
観音堂にお祀りしている千手観音坐像は秘仏であり、12年に1度しか拝せませんが、普段は「前立本尊(まえだちほんぞん)」(※3)の千手観音さまを直接お参りいただけますよ。
(※3)平時は見られない御本尊の身代わりとして、厨子の前に安置された仏像。
▲前立本尊の千手観音像
岩殿観音正法寺で心を整える写経体験
ここからは岩殿観音正法寺で体験できる写経について、詳しく聞いていきたいと思います。
写経で静かに自分と向き合い、そのままの自分を見せる
編集部
どのようなきっかけがあって写経の会を始められたのか、教えていただけますか?
中嶋さん
ご来山された方に、お寺だからこそできる体験をしていただきたいと考え写経会を始めました。情報があふれる社会になった今、静かに自分と向き合う機会は減ってしまっています。
そのようななか、お寺という普段とは違う異空間で、落ち着いた時間を過ごしていただくことは、心身にとって大切な時間になると思います。
写経をきっかけに、多くの方が当山に足を運んでいただきたいと考え、写経会を行っております。
編集部
写経を体験するカップルには、どのような時間を過ごしてもらいたいとお考えですか?
中嶋さん
写経自体は1人で筆を持ち行うものです。だからこそ、お互いに同じ時間を共有し、穏やかなひと時を過ごしていただきたいです。
文字にはその人の性格や人柄が出ると言いますが、だからといって過度に自分を良く見せようとするのではなく、お互いのそのままの自分を見せるような時間になるとよいと思っています。
阿弥陀如来が見守る本堂にて、心を込めて丁寧に書き写す
編集部
写経はどのような場所で行っているのでしょうか?その場所の雰囲気や、所要時間などもあわせて教えてください。
中嶋さん
写経は本堂にて行います。本堂には阿弥陀如来さまが祀られており、仏さまに見守られながら写経をすることができますよ。
▲岩殿観音正法寺の本堂御本尊「阿弥陀如来」
本堂の広さは百畳あり、仏さまの祀られている正面を除く三方が開け放たれた空間で行います。都会の喧騒を離れ、本堂を通り抜ける心地よい風や、山林の木々がさざめく音を感じていただくことができるでしょう。
▲開放感のある本堂での写経会の様子。
写経の所要時間は1時間程度ですが、法話などを含め1時間半程みておいていただけたらと思います。椅子席なので、長時間の正座が苦手な方でも取り組んでいただけると思いますよ。
編集部
写経はどのような流れで進みますか?また写経に臨む心構えなどがありましたら、教えていただきたいです。
中嶋さん
本堂にお集まりいただきましたら、まずは墨を磨るところから始まります。墨を磨ることで自分自身と向き合い、心を整え集中していだきます。
その後、住職より短い法話があり、これから写経する般若心経をお唱えします。そこから実際に写経が始まります。
写経をする際には、「人に見せられるように上手に書こう」と思わずに、心を込めて丁寧に書き写すことを心がけていただきたいです。
写経する文字の一文字一文字が仏さまだと思い、見栄をはらず、欲張らずに書写をしてください。
自前の筆があるとよい!楽な服装で参加する
編集部
写経会に参加するにあたり、準備するものや好ましい服装などはありますか?
中嶋さん
写経用紙や文鎮、硯、墨など、筆以外の写経に必要な物はこちらで用意しております。筆については各自でご用意いただいておりますが、当山でご購入いただくことも可能です。
服装について決まりはありませんが、身体を締め付けないような服装がよろしいでしょう。
編集部
写経したものを持ち帰ることはできますか?
中嶋さん
お写経いただいたものは、特にお申し出がない限り本堂に奉納していただきます。お持ち帰りいただくことも可能ですが、その場合は清潔な場所に保管していただくことが望ましいです。
もし写経を処分するとしても、ゴミとして捨てるのではなく、当山または近隣の寺院に奉納いただければと思います。
当山では写経会で写経したものに限らず、ご自宅で写経したものについても奉納を受け付けております。ご希望の方には写経用紙をお分けしておりますので、お尋ねください。
編集部
「写経会を開催していてよかった」と感じる瞬間がありましたら、お聞かせください。
中嶋さん
写経をされた方から「心のモヤが晴れた」「落ち着いた時間が過ごせた」などのお声をいただけたときが、やりがいを感じる瞬間ですね。
特別な景色と体験が魅力の岩殿観音正法寺
写経体験のお話のあとは、岩殿観音正法寺ならではの見どころや魅力についてお聞きしていきましょう。
樹齢700年の大銀杏は圧巻!季節ごとの景色も見どころ
編集部
岩殿観音正法寺を散策する際に、見どころとなるスポットをご紹介ください。
中嶋さん
岩殿観音正法寺の境内は山を削って作られており、岩で囲まれたお堂のような風景は見どころです。境内には樹齢700年を超える大銀杏や、まっすぐと続く参道を見下ろせる石段など、見ていただきたいポイントがたくさんあるんですよ。
季節ごとの風景も見事で、春は桜やツツジなど山の草花が咲き誇ります。
▲観音堂にかかる春の桜。
梅雨の時期には紫陽花が咲き、雨に濡れて艶を増す石段とあわせて風情を感じることができるでしょう。
夏には、四方を山に囲まれているため、涼しく青々とした木々が目を楽しませてくれます。
秋には、埼玉県でも最も大きいと言われる大銀杏が黄色く色づき、この大銀杏の黄葉を目当てに多くの方々が参拝されます。黄葉の期間には夜間のライトアップも行い、幻想的な夜の境内を見ていただくこともできますよ。
▲ライトアップされた大銀杏。
冬には凛とした空気が境内を包み、雪景色のときはまた違った風景が広がります。
瞑想&寺ヨガ体験も!護摩祈願で災厄を祓う
編集部
観音堂を中心にした景色の移り変わりは見事ですね。
ほかにも岩殿観音正法寺ならではの魅力はありますか?
中嶋さん
写経のほかに、「阿字観(あじかん)」という瞑想が体験いただけます。
▲自らの感覚を膨らませ、仏さまと一体となり心に安らぎを感じる「阿字観」。
阿字観とは真言密教に伝わる瞑想法で、「無」の状態を目指したり禅問答をする坐禅とは異なり、心のなかに仏さまをイメージする修行法のひとつです。
阿字観でしか体験できない瞑想によって心の霧が晴れ、リラックスしていただくことができるでしょう。
ほかにも、お寺で行うヨガ「寺ヨガ」を行っています。
▲心がスッキリと整う「寺ヨガ」。
ヨガはもともと瑜伽(ゆが)といい、仏教の瞑想と元を同じくする修行のひとつです。初心者向けのヨガですので、初めての方でも身体をほぐし、心を整えていただくことができますよ。
また、観音堂では「護摩祈願」を行っております。
▲千手観音に願いを聞いてもらう「護摩祈願」。
護摩とは、火を焚き仏さまに供物を捧げる密教の修法であり、災厄を祓い願いを叶えるご利益があります。
炎の燃え盛る炉の前まで近づいていただき、護摩の炎で身を清め、千手観音さまの目の前で願いを聞いていただくことができますよ。
岩殿観音正法寺でのデートの楽しみ方
岩殿観音正法寺では、写経以外にも特別な体験ができることがわかりましたね。
ここからは、岩殿観音正法寺で過ごすデートの楽しみ方についてうかがってみましょう。
思い出に残したい観音堂と大銀杏!眼下に広がる景色にも驚嘆する
編集部
岩殿観音正法寺の境内で、カップルにおすすめの撮影スポットはどこでしょうか?
中嶋さん
関東随一の大銀杏や、江戸後期の作である観音堂を背景に、お写真をお撮りいただくとよいと思います。
▲樹齢700年。黄葉した見事なイチョウの大木。
崖の白い岩肌にすっぽり覆われるような観音堂は、ほかにはない風景ではないでしょうか。
▲緑が清々しい初夏の景色。観音堂を包み込むような白い岩肌が印象的。
また鐘楼堂からは表参道が一望でき、目前に広がる空とあわせて撮影いただいてもよいでしょう。お天気の良い日には、素晴らしいショットが撮れると思いますよ。
▲鐘楼堂から望むまっすぐに延びた表参道。
カップルの絆を深める錦守り&伝統的な御朱印をいただく
編集部
カップルにおすすめの授与品などはありますか?
中嶋さん
岩殿観音正法寺の御本尊である千手観音さまは、源頼朝と北条政子の縁をつないだとも伝わっています。千手観音さまのご利益をいただける「錦守り」が、カップルの方におすすめではないでしょうか。
▲カップルお揃いで持ちたくなるきれいな錦守り。
編集部
とてもきれいな錦守りですね。千手観音のご利益にあずかれそうです。
御朱印をいただきたいというカップルもいると思いますが、御朱印を受けることはできますか?
中嶋さん
御朱印を受けることは可能です。岩殿観音正法寺には4種類の御朱印がございます。
▲いただける御朱印は4種類。
当山は関東地方で最も古い霊場である坂東三十三観音の札所です。坂東三十三観音第十番の御朱印として、御本尊である「千手観音の御朱印」をお授けしています。
また境内には薬師堂や百地蔵尊があることから、万病を癒やすと言われる「薬師如来の御朱印」と、子どもの無事成長と健康長寿にご利益がある「百地蔵尊の御朱印」がございます。
さらに、信州の「善光寺」の阿弥陀如来さまを分身安置していることから、「善光寺如来の御朱印」もお授けしていますよ。
どの御朱印も、各御本尊の朱印と梵字などからなる墨書きがあり、伝統的な御朱印として長きにわたって受け継がれてきたものです。
岩殿観音正法寺周辺のデートスポット
編集部
岩殿観音正法寺で写経体験をした後に、楽しめそうなデートスポットがあればご紹介ください。
中嶋さん
岩殿観音正法寺から徒歩1分とすぐ近くの小高いところには、「物見山公園」というツツジや桜が綺麗な公園があります。また徒歩5分の場所には「埼玉ピースミュージアム」があり、展望塔からは関東平野が一望できますよ。
また徒歩10分の距離にある「こども動物園自然公園」では、コアラやカピバラ、世界一幸せな動物と言われるクォッカなど、ほかでは見られないような動物がいて話題にできると思いますよ。
さらには、少し離れますが、科学や宇宙に興味があるカップルには「地球観測センター」などもおすすめです。
お食事やお買い物には「ピオニウォーク東松山」という商業施設もあるので、岩殿観音正法寺の周辺で一日楽しんでいただくことができるでしょう。
編集部
周辺にもおすすめスポットがたくさんあって、楽しみながらデートプランが立てられそうです。
今回は岩殿観音正法寺の写経体験や見どころについてお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
岩殿観音正法寺の口コミと感想
岩殿観音正法寺についてたくさんのお話をうかがってきましたが、実際に訪れた方の口コミや感想も気になりますね。
調べてみたところ、高評価のコメントが多く見られましたので、いくつか要約してご紹介しておきます。
- 観音堂の造りや天井絵などは見ごたえがある
- 静かで雰囲気がよく、歴史が感じられるお寺
- 大きな岩肌が特徴的、観音様が立派!
- お寺じゃないと味わえない写経体験ができた
- お寺という空間で行う寺ヨガは、身体以上に心がスッキリとする
- 大銀杏の根っこが露わで迫力がある
- 真っすぐに伸びた参道が印象的
- 長い石段を上って振り返ると、素晴らしい景色が広がる
- 住職が親しみやすく、丁寧な対応が嬉しい
感想からは、観音堂や大銀杏、お寺で体験する写経やヨガの魅力も伝わってきますね。長い参道や石段からの景色に感動する声も多く見られました。
見どころいっぱいの岩殿観音正法寺で過ごす時間は、たくさんの感動に出会え、印象に残るデートになりそうです。
岩殿観音正法寺の料金・予約・開催日時など
岩殿観音正法寺で体験できる内容、料金、開催日時等は下記の通りです。
開催日時 | ・写経会 毎月第4日曜日午後3時より ・阿字観会 毎月第2日曜日午後3時より ・寺ヨガ 第1・第3の月曜・火曜 |
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料金 | ・写経会:500円 ・阿字観会:500円 ・寺ヨガ:500円 |
予約 | ・写経会(不要)※準備のため事前に要電話 ・阿字観会・寺ヨガ(事前に要予約) |
※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
岩殿観音正法寺の基本情報(アクセス・駐車場など)
住所 | 〒355-0065 埼玉県東松山市岩殿1229 |
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連絡先 | 0493-34-4156 |
アクセス | 【公共交通機関】 東武東上線「高坂駅」下車、川越観光バス「鳩山ニュータウン行き」乗車 ・表参道からのアクセス(バス7分) 「物見山登山口」バス停より徒歩18分 ・裏参道からのアクセス(バス10分) 「大東文化大学」バス停より徒歩2分 【車】 ・関越自動車道「坂戸西スマートIC」より約10分 |
駐車場 | 2か所あり(表参道・仁王門脇、県道沿い) |
受付時間 | 御朱印 ・夏期:8:30~17:00 ・冬期:8:30~16:00 |
公式URL | http://iwadonosan-shoboji.org/ |
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