薩摩川内市への移住ガイド|新幹線駅と甑島の魅力、充実した支援制度
この記事では、地方への移住を考えている人に向けて「鹿児島県薩摩川内市(さつませんだいし)」の生活情報をまとめています。
薩摩川内市は、中心部に新幹線が停車する駅があり、同時に海・山・川・離島などの魅力的な自然環境が身近にある街です。新鮮な地元食材が手に入りやすく、温泉も豊富で、日常生活を経済的かつ豊かに過ごすことができます。
今回は、薩摩川内市定住支援センターのお二人へのインタビューを通して、移住者に人気の理由や移住に役立つ具体的な情報をご紹介します。
薩摩川内市の3つの魅力:新幹線駅、離島、充実した支援
薩摩川内市は鹿児島県の北西部に位置しており、東シナ海に浮かぶ甑島列島(こしきしまれっとう)を含む広大な地域です。
九州新幹線が停車する「川内駅」を中心とする市街地から、美しい景観を楽しめる離島まで、多様な魅力を持つエリアが広がっています。また、市内には温泉が点在し、日常的に利用できるのも特徴です。
さらに、子育てをはじめとして、結婚や出産など、ライフステージごとに手厚い支援制度が設けられています。これらの制度が、移住を考える方々にとって魅力的なポイントとなっているようです。
それでは、薩摩川内市の暮らしの特徴について、詳しく見ていきましょう。
本土エリアの魅力:豊かな自然と温泉、便利な市街地
▲広大な藺牟田池(いむたいけ)は、本土の人気レジャースポットの一つ
薩摩川内市では、市街地の中心部を流れる川内川(せんだいがわ)をはじめとして、海や山、川がすぐ近くに広がっています。そのため、新鮮で美味しい海産物や山の幸を安く手に入れることができます。
藤川天神の臥龍梅(がりゅうばい)や、紅葉も美しい藺牟田池(いむたいけ)など、四季折々の風景が楽しめる観光スポットも豊富にあります。
さらに、市内のすべての公衆浴場が温泉となっているため、温泉好きの方にもおすすめのエリアです。
▲川内高城温泉の風情ある街並み
一方で、中心部には市街地が広がっています。新幹線が停車する川内駅もあり、交通の便が良いことが特徴です。
▲新幹線が停車する川内駅を中心に、利便性の高い市街地エリアが広がる
このように薩摩川内市では、自然豊かな環境から利便性の高い都市部まで、市内でさまざまな生活環境を選べる点が大きな魅力となっています。
甑島列島の魅力:ダイナミックな景観と海に囲まれた素朴な暮らし
▲甑島の鳥ノ巣山展望所から見られるダイナミックな風景
薩摩川内市の中でも、甑島(こしきしま)列島の自然環境は特別です。タカエビ、ブリ、キビナゴなどの漁業が盛んで、断崖や巨岩が織りなすダイナミックで美しい景観から国定公園にも指定されています。
▲甑島では、新鮮な海の幸を日常的に味わえる
本土から甑島へは、川内港からの高速船が1日2往復、串木野新港からのフェリーが2往復と、合計4往復の船便が運航しています。所要時間は約1時間で、日帰りも可能です。2020年には中甑島と下甑島を結ぶ甑大橋が開通し、上甑島を含めた3つの島が陸路でつながったことで、島内の移動がさらに便利になりました。
▲甑島と本土の間には高速船やフェリーが運航している
港のある「里地域」は移住者にも人気のエリアです。武家屋敷通りの玉石垣が風情ある景観を生み出しており、日常生活に必要な商店・飲食店や郵便局も揃っています。
▲石垣が特徴的な景観の中でE-bikeを楽しむ人も
甑島では、2022年に光回線が整備されており、リモートワークも可能です。各社の携帯電話の電波も良好で、通信環境は整っています。
海を身近に感じながら、シンプルな日々を送りたい方にぴったりのエリアです。
充実の子育て・教育支援:移住者に人気の理由
薩摩川内市は、子育て・教育面での支援が充実しています。
出産・子育てに関しては、妊婦一人当たり5万円の「出産応援給付金」や、子ども一人当たり5万円の「子育て応援給付金」が支給されます。
さらに、市内の登録事業所で利用できる商品券「子育て応援券」も支給されます。第1子が1万円分、第2子は3万円分、第3子は5万円分と、子どもの人数に応じて金額が増えます。
3歳未満の保育料については、2人目は半額、3人目以降は無料です。保育園が16カ所、認定こども園が19カ所あり、モンテッソーリ教育や自然体験を行う特色ある施設も選択できます。
「子ども医療費助成」により、高校卒業までの医療費が実質無料です。また、大きな公園6カ所をはじめ遊び場が多く、山・川・海も身近にあるなど、子どもたちが伸び伸びと育つ環境が整っています。
その他の子育てに関する助成については、薩摩川内市の子育て支援ポータルサイトをご確認ください。
公式:さつませんだいこそだてサポートネット(手当・助成)
教育面では、平成31年度に小中一貫校「東郷学園義務教育学校」が開校され、注目を集めています。
英語教育にも力を入れており、専門家を講師として招いて発表会やサマーキャンプを実施し、英語検定試験の受験費用も助成しています。
また、甑島の小学校で1年間学ぶ「ウミネコ留学制度」も実施しています。留学を体験した子供たちは、島の豊かな自然の中で自主性を育み、大きく成長すると言われています。
さらに、薩摩川内市内の企業に就職した若者向けの「奨学金返還支援制度」は、若者世代の経済的負担を軽減する取り組みとして好評です。
公式:薩摩川内市(奨学金返還支援制度)
実際に、移住者からは子育てや教育面での支援に魅力を感じたという声も聞かれます。薩摩川内市への移住を検討する際は、これらの充実した支援制度をぜひチェックしてみてください。
薩摩川内市の暮らし:気候、交通、医療など基本情報
それでは次に、薩摩川内市の暮らしに関する情報について、各種データを見ていきましょう。
気候 | 1月:平均気温6.6°C 8月:平均気温27.6°C ※参考:気象庁 |
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人口 | 約9万人(令和5年8月時点) |
病院 | 病院:11、診療所:99 |
学校(公立) | 小学校:26、義務教育学校(小中一貫校):1、中学校:10、高校:3 |
交通 | 【鉄道】 ・JR九州新幹線:川内駅 ・JR鹿児島本線:川内駅、隈之城駅、木場茶屋駅 ・肥薩おれんじ鉄道:西方駅、薩摩高城駅、草道駅、上川内駅、川内駅 【バス】 ・南国交通 ・鹿児島交通 ・JR九州バス北薩線 ・鹿児島空港連絡バス ・薩摩川内市コミュニティバス ・薩摩川内市甑島コミュニティバス 【高速道路】 ・南九州西回り自動車道(南九州自動車道) |
【飛行機】 鹿児島空港から川内まで高速バスで約70分 ・東京~鹿児島空港:約2時間 ・名古屋~鹿児島空港:約80分 ・大阪~鹿児島空港:約75分 【新幹線】 ・博多駅~川内駅:約73分 ・新大阪駅~川内駅:約4時間 |
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近隣都市 | 鹿児島市、霧島市、出水市、日置市、いちき串木野市、阿久根市、姶良市、さつま町 |
薩摩川内市では、川内駅を中心とする市街地には飲食店も多く、スーパーやホームセンターなどある程度のお店がそろっています。一方で、市街地以外のエリアでの生活には車が必須だそうです。
また市街地以外のエリアにも市役所の支所が置かれており、その近辺にはスーパーや病院などがあるため、日常生活に大きな不便を感じることはないようです。
大型商業施設や映画館などに行きたい場合は、鹿児島市内まで車で1時間程度かけて行くのだと言います。新幹線なら12分で鹿児島中央駅までアクセスできる点を、便利だと感じる人も多いそうです。
なお、暖かいイメージがある鹿児島ですが、冬は意外と寒く、防寒着や暖房設備が必要です。1月の平均気温が6.6°Cと、比較的低温になることに注意が必要です。
どの地域でも、自治会に加入することによって周囲の方との繋がりができるのでおすすめです。温かく迎え入れていただける風土があります。新しい環境に馴染むためにも、自治会活動への参加は有効な手段といえるでしょう。
仕事事情:多様な就労先と充実した就業支援
大手求人サイトで薩摩川内市の正社員求人を検索したところ、約2,000件の求人情報が見つかりました。また、車で約30分程度の通勤圏(25キロ圏内)まで広げると、約4,000件の求人情報がありました(2023年9月時点)。
※参考:求人情報の一例(薩摩川内市のみ)
※参考:求人情報の一例(薩摩川内市から25km以内)
薩摩川内市内の主要産業としては、製造業や医療福祉、卸売・小売業、建設業に加えて、農業や漁業、林業が挙げられます。市が大企業誘致を積極的に進めていることもあり、就職先の選択肢が豊富で、多くの人が市内で就職しています。
農業、漁業、林業については、新規参入者向けの研修や就業サポートを実施しています。特に農業では、いちご、らっきょう、ぶどうなど7つの重点作物が指定されており、これらの作物については特に手厚い指導を受けることができます。
また、地域内の就業を支援する「薩摩國雇用創造協議会」では、起業を目指す方向けのセミナー開催や、インターンシップ参加者への宿泊支援などを行っています。
さらに、他市に勤務したまま薩摩川内市に移住して住宅を取得した方が新幹線を使って通勤する場合、定期代の補助を受けられる制度もあります。このように、働く場所や内容の選択肢が多いのが薩摩川内市の特徴です。
この他の支援制度も含め、薩摩川内市での雇用・就業に関する最新情報については、下記の公式サイトをご覧ください。
公式:薩摩川内市(雇用・就業)
住まい事情:充実した移住者向け補助金と甑島の物件情報
大手住宅情報サイトで薩摩川内市の賃貸物件を探したところ、約800件が見つかりました(2023年9月時点)。市街地を中心として、十分な選択肢があると言えるでしょう。
※参考:物件情報の一例
また市が運営する「空き家バンク」には、賃貸・売買を含めて約20件が登録されていました(2023年9月時点)。地域によっては10万円から30万円の「成約奨励金」を受けることが可能で、近年は問い合わせが増加傾向にあるそうです。
公式:薩摩川内市移住定住支援サイト(空き家バンク)
さらに、「定住住宅取得補助金」では、子育て加算も含めると地域によって20万円〜150万円、「定住住宅リフォーム補助金」では、子育て加算も含めると最大100万円など、住宅の取得・リフォームに対する補助金も充実しています。
各種支援の詳細については、薩摩川内市移住定住支援サイトをご確認ください。
公式:薩摩川内市移住定住支援サイト(助成・支援)
一方で甑島では、入居可能な物件が少なく、島の方と直接交渉が必要なケースもあるようです。この状況を改善するため、市が2022年に立ち上げた「甑島地域雇用・移定住対策協議会」では、移住希望者の窓口となり、トライアルステイ事業なども実施しています。
公式:甑島地域雇用・移定住対策協議会(2023年10月現在、公式サイト改修中のためリンクなし)
まずは賃貸を借りられたり、Uターンの方であればご実家に一度戻られたりと、ワンクッションを置いてから住宅を取得される方、あるいは物件を購入してから移住される方など、さまざまなパターンがあります。
薩摩川内市への移住者の声:生活の変化と満足度
それでは、実際に薩摩川内市へ移住した方々の声を見てみましょう。
- 温泉を日常的に楽しめる
- 新鮮で美味しい食材がスーパーで手に入る
- 人情豊かな方が多く、住みやすい環境がある
- 家賃や駐車場代が都市部に比べて半額程度になった
- 熱意のある教員が多く、教員一人あたりの児童数も少ない
- 医療費など、子育てに関する支援が手厚くて助かる
※参考:薩摩川内市移住定住支援サイト(移住者インタビュー)
海を中心とする豊かな自然環境や温泉、新鮮で美味しい食材に魅力を感じている人が多いようです。
都会と比較すると生活費を抑えることができ、子育てや教育などへの手厚い支援にも満足しているという声が目立ちます。
薩摩川内市への移住サポート:相談窓口と体験住宅情報
最後に、薩摩川内市へ移住を考えている方々に役立つ、各種支援制度をご紹介します。これらの制度を活用することで、スムーズな移住が可能になるでしょう。
オンライン移住相談:気軽に利用できる相談窓口
薩摩川内市では、ウェブ会議システムを利用した「オンライン移住相談」を実施しています。移住前に確認したいことや相談事項がある方は、ぜひこのサービスを活用しましょう。
相談を希望する方は、事前に「移住相談予約シート」に相談内容などを記入し、予約を行います。相談時間は月曜日から金曜日(祝日・年末年始を除く)の午前9時から午後8時までです。
オンラインだけでなく、電話やメールでの相談にも対応しています。詳細については、下記の公式サイトでご確認ください。
公式:薩摩川内市移住定住支援サイト(オンライン移住相談)
遠方にお住まいの方で、調べにくい情報がある場合は、私たちが代わりに情報収集をしたり、適切な担当者や地域の方をご紹介したりすることもできます。
甑島の移住体験住宅:実際の暮らしを体験できる機会
薩摩川内市では甑島を中心に「移住体験住宅」が用意されています。これらの住宅を利用することで、移住希望者は現地での生活を実際に体験しながら、移住の準備を具体的に進めることができます。
甑島の中心エリアである里地域に5カ所、下甑地域に1カ所の体験住宅が設置されています。さらに、2023年9月時点では、本土地域にも新たに1カ所を準備中とのことです。
利用期間は6泊から30泊までで、一泊あたりの料金は2,000円程度と非常に手頃な価格設定となっています。具体的な申し込み方法や利用条件などの詳細については、以下の公式サイトでご確認いただけます。
公式:薩摩川内市移住定住支援サイト(移住体験住宅)
薩摩川内市移住に関する問い合わせ先:定住支援センター情報
薩摩川内市への移住をお考えの方は、下記の定住支援センターまでお気軽にお問い合わせください。専門スタッフが移住に関する様々な疑問やご相談にお答えします。
担当課 | 定住支援センター |
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住所 | 〒895-8650 鹿児島県薩摩川内市神田町3-22 |
電話番号 | 0120-420-200 |
公式サイト | https://www.city.satsumasendai.lg.jp/index.html |
移住定住サイト | https://www.city.satsumasendai.lg.jp/ijuteiju/index.html |