青森県南部町での移住はどう?暮らし・仕事・住居・支援内容を解説

今回は地方への移住を検討している方に向けて、青森県三戸郡南部町(なんぶちょう)をご紹介します。

南部町は青森県の南東部に位置する町です。農業や果樹栽培が盛んで、特に果物は県内屈指の収穫量を誇ります。子育て支援が充実しており、Uターンの方や自然の中でのびのびと子育てをしたい方におすすめの地域です

今回はそんな南部町の魅力や生活情報について、南部町の移住担当者さんに話を伺いました。

本日お話を伺った方
南部町鍋条例キャラクター「なべまる」

南部町 交流推進課

担当者さん

※画像は南部町鍋条例キャラクターの「なべまる」

南部町の暮らしの特徴

青森県南部町の暮らしの特徴

標高615mの名久井岳(なくいだけ)がそびえる南部町は、自然に恵まれたのどかな町です。

南部町への移住には以下の方が向いています。

  • 歴史的な背景を感じられる場所が好き
  • フルーツが好き
  • 農業に興味がある
  • 自然豊かな町に移住したい
  • 子育て支援が手厚い町に住みたい

なぜこのような方に南部町がおすすめなのか、その理由を踏まえながら町の特徴を見ていきましょう。

特徴1:南部藩発祥の地!歴史が残る町

青森県南部町にある法光寺三重の塔「承陽塔」
▲国登録有形文化財に指定されている法光寺三重の塔「承陽塔(じょうようとう)」

南部町は、南部藩(※)発祥の地として知られています
※盛岡藩の別称。藩主の南部氏から名前を取り「南部藩」と呼ばれる

南部藩を率いた南部氏の奥州入部時期は明らかになっていません。しかしながら、鎌倉時代末期頃~南北朝時代初頭までに奥州に入部したことは確かなようです。戦国時代になると戦力を拡大し、奥州北部を掌握するまでになりました。

南部町には24代・晴政の時代に焼け落ちた「聖寿寺館(本三戸城)」の跡や27代・利直の四男・利康を悼んで造られたとされる「南部利康霊屋」など当時の歴史を伺い知れるスポットがあります。

聖寿寺館跡については発掘調査が進められており、南部町役場のホームページで発掘調査成果を見ることができます。

青森県南部町にある聖寿寺館跡の発掘調査の様子

古くから栄えてきた南部町は、歴史好きの方にとっても魅力的な町と言えます。

特徴2:南部町は「果樹の里」として有名

青森県南部町で獲れるジュノハート
▲ハート型で甘くて大きいさくらんぼ「ジュノハート」

南部町は農業が盛んな町です。町の中央を流れる馬淵川(まべちがわ)の恵みを受け、にんにくやねぎ、ながいもなどが栽培されており、美しい田園風景を作っています。

また、南部町は果樹栽培も盛んで、さくらんぼや桃、りんご、ぶどう、梨などさまざまなフルーツが栽培されています。一年を通して色々な果物が楽しめるのは嬉しいですね。

町内には農産物直売所(名川チェリーセンター、ふくちジャックドセンター、なんぶふるさと物産館、そばの里けやぐ)も点在しているため、いつでも新鮮な食材を手に入れることができます。

青森県南部町のさくらんぼ狩りを楽しむ女の子
▲町内にはさくらんぼ狩りができる果樹園も

食にこだわりのある方や、子どもの食育に力を入れたい方に南部町はおすすめです。

特徴3:子育て世帯向けの支援が豊富!子育てしやすい環境を整備

青森県南部町の子育て支援のイメージ画像

南部町は子育て世帯向けの支援がたくさんあります。ここではその一部をピックアップしてご紹介します。

制度名 内容
乳幼児医療費給付制度 0~6歳(就学前)のお子さんの医療費を助成
子ども医療費給付制度 小学生〜高校生のお子さんの医療費を助成
南部町子育て世帯生活支援特別給付金 ・南部町独自の特別給付金を支給
・平成16年4月2日(障がいのあるお子さんの場合は、平成14年4月2日)から令和6年2月29日までに生まれた児童が対象
・対象児童1人につき一律5万円
出産・子育て応援給付金 「出産応援給付金」として妊婦1人につき5万円、「子育て応援給付金」として新生児1人につき5万円を支給
小・中学校給食費給付事業 学校給食費の全部または一部を給付(補助)する南部町独自の制度
子どもインフルエンザ予防接種費用助成事業 子どもインフルエンザ予防接種費用の一部を助成
※任意の予防接種
子育て用品給付事業(南部町ぴよすくーぽん) ・0~2歳児を養育する保護者を対象に、「子育て用品(紙おむつ・粉ミルク等)」と交換できる助成券「南部町ぴよすくーぽん」を給付
・月額5,000円(1,000円券×5枚)
ひとり親家庭等医療費助成 ひとり親家庭(母子・父子家庭)等の18歳以下の児童とその父または母を対象に医療費の自己負担分を助成

医療費や給食費などは積み重なると負担になりやすい部分なので、助成制度が充実しているのは心強いですね。

南部町鍋条例キャラクター「なべまる」
ご担当者さん

「子育て用品給付事業(南部町ぴよすくーぽん)」はお子さんのオムツや離乳食を購入する際に活用されており、大変好評です。0~2歳児を養育しているほとんどの方が利用されています。

また、南部町では子育て関連の申請等をオンライン上でできる「子育てワンストップサービス」や地域全体で子育てに取り組む「ファミリーサポートセンター」、子育ての相談ができる「地域子育て支援センター」を設置するなど、子育て世帯の負担を軽減する取り組みに力を入れています。

子育てについて不安がある場合は、こうしたサービスを積極的に利用すると良いでしょう。

南部町では子育て支援をまとめた「南部町子育てガイドブック」を用意しています。制度について詳しくまとまっているため、こちらもぜひチェックしてみてください。

公式:わが街辞典「南部町子育てガイドブック」

南部町の暮らしに関する情報

名久井岳と馬淵川
▲名久井岳と馬淵川

ここからは、南部町の暮らしについて見ていきましょう。

気候 1月:平均気温-1.8℃
8月:平均気温22.9
※参考:気象庁(三戸地点を参照)
人口 人口:16,659人
世帯数:7,484世帯
※2023年10月1日時点
病院 病院・診療所:7ヶ所
歯科医院:5ヶ所
※2023年10月時点
学校 認定こども園(幼保連携型):3園
※放課後児童クラブ:6ヶ所
認定こども園(幼稚園型):1園
小学校:3校
中学校:3校
農業高校:1校
※2023年10月時点
特産品 さくらんぼ(ジュノハート)、西洋梨(ゼネラル・レクラーク)、にんにく(ふくちホワイト六片種)など
観光スポット バーデパーク(バーデハウスふくち)、名久井岳(名久井岳県立自然公園)、名川チェリリン村、長谷ぼたん園など
行事・イベント 2月中旬:南部地方えんぶり
3月上旬:長靴アイスホッケー大会
4月下旬:うぐいすマラソン大会
5月上旬:南部町春まつり
5月中旬~5月下旬:ぼたんまつり
6月下旬:ふくち里山あるき
6月下旬~7月上旬:さくらんぼ狩り
7月上旬:ジャックドまつり
8月下旬:南部まつり
9月上旬:名川秋まつり
9月中旬:とまべちまつり、南部七唄・七踊り全国大会
11月中旬:あおもり鍋自慢
交通 町内に4駅(苫米地駅・剣吉駅・諏訪ノ平駅・三戸駅)あり
基盤路線は東北自動車道と八戸自動車道
コミュニティバス「なんぶちぇりバス」運行
大都市へのアクセス

■鉄道
東京駅―東北新幹線(約2時間44分)―八戸駅―青い森鉄道(約8~20分)―苫米地駅・剣吉駅・諏訪ノ平駅・三戸駅
東京駅―東北新幹線(2時間44分)―八戸駅―レンタカー(約15分~)―南部町内

■航空機
東京(羽田空港)―JAL(約1時間30分)―三沢(三沢空港)―定期バス(約45分)―八戸市内
東京(羽田空港)―JAL(約1時間30分)―三沢(三沢空港)―レンタカー(約1時間)―南部町内

■自動車
川口JCT(約4時間10分)―仙台宮城IC(約1時間10分)―一関IC(約1時間10分)―盛岡IC―安代JCT(約20分)―一戸IC(約20分)―南郷IC(約20分)―南部町内

近隣都市 青森県:八戸市、三戸町、五戸町、新郷村
岩手県:二戸市、軽米町

南部町は県内でも特に雪が少ない地域です。まったく降らないというわけではないので、安全のためにも冬の備えはしっかりとしておく必要があります。特に水道の凍結には注意です。また、冬場は路面の凍結もあるため、スタッドレスタイヤに交換することも忘れないようにしましょう。

町内にはスーパーやコンビニが点在しており、生活用品は身近なところで揃います。公共交通機関はありますが、本数が少ないため移住するなら自動車があると便利です。

南部町ではコミュニティバス「なんぶちぇりバス」が走っており、交通系ICカード「ハチカ」を利用すれば無料で乗車することができます。「なんぶちぇりバス」は、病院や学校などの主要施設に停車するため、通学や通勤でも利用しやすいでしょう。

南部町では、伝統芸能の「えんぶり」や夏祭りの「ジャックドまつり」など南部町ならではのイベントがたくさんあります。移住した場合は地域に早く馴染むためにもこうした行事に積極的に参加すると良いでしょう。

また、南部町では「南部町笑顔あふれる明るいコミュニケーション推進条例(通称:鍋条例)」(※)というユニークな条例があります。その内容は、毎月22日を「鍋の日」とし、鍋料理を通して家族や友人とコミュニケーションを取ることを推奨するというものです。
※なべまるは「南部町笑顔あふれる明るいコミュニケーション推進条例(通称:鍋条例)」をPRするマスコットキャラクター

南部町では、毎年11月頃に青森県内の鍋料理が集結する「あおもり鍋自慢」というイベントが開催されています。美味しい鍋をいただきながら地域との交流も図ることができるのは嬉しいですね。

南部町で開催されるあおもり鍋自慢の様子
▲青森県内の自慢の鍋が一堂に会する一大鍋イベント「あおもり鍋自慢」

2023年は県内外21市町村の鍋料理が集まり、11月19日に開催されますので、足を運んでみてはいかがでしょうか。

公式:南部町役場「あおもり鍋自慢」

【仕事】新規就農者向けの制度を用意

大手求人サイトで南部町の求人を検索したところ約300件がヒットしました。※2023年10月時点
求人情報の一例

南部町に住んでいる方の中には、八戸市など近隣市町村まで通勤している方もいるようです。求人を調べる際は、近隣市町村も含めて検索すると良いでしょう。

また、南部町では農業に従事する方が多い傾向にあり、新規就農者向けの制度も用意しています。

制度名 内容
新規就農者支援事業 ・新規就農者等に就農補助金を助成
・期間は3年間
創業事業費補助金 ・新たに町内で創業する方に対して、その費用の一部を助成

起業を考えている方は「創業事業費補助金」もぜひチェックしてみてください。

【住まい】「南部町空き家・空き地バンク」の利用がおすすめ

一軒家を希望している場合は、「南部町空き家・空き地バンク」を利用するのがおすすめです。2023年10月時点で約20軒の登録があります。

公式:南部町役場「南部町空き家・空き地バンク」

また、住宅に関する制度は以下のとおりです。

制度名 内容
南部町住宅新築リフォーム支援事業補助金 予算の範囲内において自宅の新築・リフォーム工事を行う場合に補助を行う制度
合併処理浄化槽設置事業の補助 生活雑排水とし尿を併せて処理する合併浄化槽を家庭で設置する場合、経費の一部を補助
南部町結婚新生活支援補助金 住宅購入、家賃、引越し、リフォーム費用の一部を補助

対象に該当する場合はぜひ利用してみてください。

【遊び場】屋内施設や遊びながら学べる施設も

子育ての環境を考える上で、子どもの遊び場があるかどうかも気になるポイントです。南部町には滑り台やブランコがある小さな公園がいくつかあります。

南部町鍋条例キャラクター「なべまる」
ご担当者さん

南部町役場の前に町民広場という芝生の広場があります。そこでは、子どもたちがサッカーをしたり遊具で遊んだりしているのを毎日のように見かけます。少し前に比べると元気に外で遊ぶ子どもたちが増えた印象です。

また、プールやアイスアリーナがある「バーデパーク」は町内だけでなく近隣の市町村からも訪れる方が多い人気スポットです。屋内施設なので雨の日でも子どもと一緒に遊べます

公式:バーデパーク

遊びだけでなく学習にも力を入れたい方には「学びどき」も魅力的なスポットです。

青森県南部町にある南部どきを運営している根市さん一家
▲「学びどき」があるのはカフェ「南部どき」内。南部どきを立ち上げた根市大樹さんはUターンで南部町に戻ってきたひとり

「学びどき」では、スタディサプリを使用した学習や自学自習支援、自然観察・キャンプを通して地域について学ぶプログラムなどを用意しています。オンラインを活用した授業や交流があるのも特徴的です。

子ども個性や社会性を伸ばしたい方、「学びどき」のプログラムに興味がある方はぜひ公式サイトをチェックしてみてください。

公式:学びどき

【なんぶ留学】県外から農業高校に入学する生徒を支援

南部町には農業高校が1校あります。「青森県立名久井農業高等学校」です。この学校では「なんぶ留学」という制度を設けており、全国から青森県立名久井農業高等学校に入学する方を募っています

「なんぶ留学」の大きな特徴は、下宿先を用意している点です。この背景には、一人暮らしを経験することで自立性を育む意図もあります。また、農業体験や地域課題解決ワークショップを通して地域との交流を図っている点も特徴的と言えるでしょう。

助成制度も充実しており、宿・アパート費用の助成をはじめ、医療費や帰省時の交通費の助成などを受けることができます。

さまざまなサポートを用意して、町外の人も積極的に受け入れる姿勢は南部町の魅力のひとつと言えるでしょう。

南部町鍋条例キャラクター「なべまる」
ご担当者さん

2023年には首都圏から1名来ていただいています。来年以降も引き続き募集していく予定です。

公式:南部町役場「なんぶ留学」

南部町に移住した人の感想

青森県南部町に移住した人の声

南部町に移住した方からはどんな声が寄せられているのでしょうか。

  • 子育て支援が充実していて助かっています。自然の中で子育てができるところも嬉しいです
  • 通学路の見守りなどを地域の方が積極的にしてくれています。子育て支援もたくさんあり、子育てしやすい町だと思います。
  • 農家の方からのおすそわけなどをいただくことがよくあり、人の温かさを感じています。

移住者の中にはUターンで家族と一緒に南部町に移り住んだ方もいるようです。全体的に「子育てしやすい町」という感想が多く見られました

南部町は自然が豊かな町です。子育て支援も充実しているため、自然の中でのびのびと子育てをしたい方におすすめの町と言えるでしょう。

南部町鍋条例キャラクター「なべまる」
ご担当者さん

移住者の方も地域の集まりに参加してくださっています。町民の方々も積極的に声かけをしてくれているようで、私たちが知らないところでもどんんどん繋がりが広がっていっている印象です。

南部町への移住に向けたステップ

ここでは南部町への移住を検討している方に向けて、役立つ情報をご紹介します。

気軽に移住相談ができる「南部町オンライン移住相談」

移住は自身にとっても家族にとっても大きな決断になります。後悔のない移住を叶えるためにも事前にしっかり移住先の情報を集めておくことが大切です。

しかしながら、自分で調べられることには限界があります。調べているうちに疑問点なども出てくるでしょう。その場合はぜひ「南部町オンライン移住相談」を利用してみてください。

「南部町オンライン移住相談」では「ZOOM(ズーム)」を活用し、気軽に移住相談ができます。利用する際は、希望日の1週間前までに申し込みましょう

南部町オンライン移住相談 ・月曜日~金曜日
・9:00~16:00
※1回あたりの相談時間は30分程度
申し込みフォーム

テレワークができる設備が充実「南部町おためし住宅」

青森県南部町にある移住体験住宅

移住先の情報が集まってきたら、実際に現地に足を運びましょう。観光で訪れても良いですが、移住を検討するなら1週間~1ヶ月程度滞在するのがおすすめです。

南部町では「南部町おためし住宅」を用意しています。

「南部町おためし住宅」にはテレワークができるようにWi-Fi設備やノートパソコン、プリンターなどが設置されており、快適に仕事ができる環境が整っています。

借用料は無料(※)なので、気軽に利用できるのも嬉しいポイントです。
※原状回復費用として別途預り金1万円を納付。ご利用終了後返金

詳しい設備の内容などは南部町役場のホームページをご確認ください。

公式:南部町役場「おためし住宅」

また、南部町ではテレワーカーに向けた交通費の補助制度があります。

制度名 内容
南部町テレワーカー交通費補助金 町外在住の方が、南部町に一定期間滞在し、町内でテレワークを行う場合、テレワーク開始前、終了後の往復交通費の一部を補助

お得な制度になっているので、こちらもぜひ活用してみてください。

南部町鍋条例キャラクター「なべまる」
ご担当者さん

近年は働き方もリモートワークなど色々な選択肢が増えてきています。そのため、以前に比べて都会と田舎の違いというのはそれほど大きなものになっていないのではないでしょうか。南部町は自然はもちろん生活環境が整っている地域なので、子育てもしやすく過ごしやすい町だと思います。

南部町への移住に関するお問い合わせ

南部町への移住については以下の窓口にお問い合わせをお願いいたします。

担当課 南部町 交流推進課
住所 〒039-0592
青森県三戸郡南部町大字平字広場28-1
電話番号 0178-38-5961
対応時間 8:15~17:00
公式サイト https://www.town.aomori-nanbu.lg.jp/index.cfm/1,html