宮崎県諸塚村へ移住のすすめ!世界農業遺産の村で暮らす魅力とは

この記事では、地方への移住を考えている人に向けて「宮崎県諸塚村(もろつかそん)」をご紹介します。

諸塚村は、山の恵みを受けて発展してきた農林業のむらです。持続可能な独自の農林業複合システムや数多くのお祭り・芸能文化は、世界農業遺産にも認定されています。

また、子育て支援が手厚く、地域ならではの教育環境も整っていて、実際に子育て世帯が移住するケースもあるようです。

今回は、諸塚村で移住支援を担当するお二人にインタビューを行い、村の魅力や実際の暮らしぶり、移住に向いている人などについて伺いました。

本日お話を伺った方
諸塚村企画課の綾さん

諸塚村企画課 課長補佐

綾 章司さん

諸塚村企画課の森さん

諸塚村移住交流相談員(一社 ハチハチ代表)

森 佑介さん

諸塚村の魅力:移住をおすすめする3つの理由

諸塚村の暮らしの特徴のタイトル画像

諸塚村の大きな特徴としては、次の3点が挙げられます。

まずは各ポイントについて、詳しく解説していきます。

密な人間関係と独自の文化:84の集落が織りなす諸塚村の暮らし

諸塚村の住民が交流している様子

諸塚村は、宮崎県内に三つある村のうちの一つです。人口が少ないからこそ、人々の関係性が密であり、それが大きな魅力にもなっているのだと言います。

地域のコミュニティがしっかりと機能していて、家に帰ると、たくさんのおすそ分けが置かれていたりするそうです。

特に諸塚村は平地が少ないこともあり、山の斜面を中心に84もの集落が点在しています。それぞれの地域ごとに異なるお祭りや芸能文化が残っており、人々は支え合いながら暮らしています。

諸塚村の地域に伝わる芸能の様子
▲集落ごとに、独自の文化や芸能が伝わっている

こうしたなか、森さんは東京から移住して、すぐに会社を設立しています。当初は手探りだったものの、地域のお祭りなど、人の輪の中に飛び込むことで関係性を築いていったそうです。

そこで知った村の大小の課題やニーズをもとに、課題解決の方法など提案することで、さまざまな仕事を生み出してきたのだと言います。

諸塚村企画課の森さん
森さん

人間関係が密だからこそ生まれる、人と人との信頼関係の上に、いろんな仕事がついてくるという印象です。

人と深く関わりながら、試行錯誤をいとわずに新しいことを始めたい人には、ぴったりのエリアだと言えるでしょう。

世界農業遺産に認定された諸塚村の持続可能な農林業

諸塚村の山林と棚田

諸塚村は九州中央山地に位置しており、面積の9割は山林です。

村のシンボルでもある、標高1341.6メートルの諸塚山には、初心者でも歩きやすい登山道が整備されています。アケボノツツジの群生地やブナの原生林など、豊かで貴重な自然が広がります。

こうしたなか、諸塚村は「林業立村」を掲げ、森から恵みをもらいながら共に発展してきた歴史を持ちます。

その持続可能な山間地農林業複合システムが高く評価され、2015年には「高千穂郷・椎葉山地域」として世界農業遺産に認定されています。

例えば、しいたけ栽培発祥の地とも言われるなか、しいたけの原木栽培に用いるクヌギやナラの木の植林を行っていたり、針葉樹と広葉樹の「モザイク林相」が広がっていたりと、独自の伝統が受け継がれています。

諸塚村でのしいたけ栽培の様子
▲諸塚村は「しいたけ栽培発祥の地」とも言われている

実際に移住者の中には、林業に就いている人もいるのだと言います。

諸塚村企画課の森さん
森さん

仕事帰りに天の川が見えるなど、日常の何気ない瞬間に、ふと「本当にすごいところに住んでいるな」と感じたりしますね。

きめ細やかな教育環境&手厚い子育て支援

諸塚村の子どもたちの授業風景

諸塚村では、子育て支援や教育環境が充実しています。

1クラスの生徒は10人から20人程度と少ないため、きめ細かい指導を受けられる環境があり、学力レベルも高いのだと言います。

諸塚村の授業風景
▲少人数クラスのため、先生の目が行き届きやすい

なお、村内には高校がないものの、進学率は非常に高いそうです。「高校生になれば、親元を離れて自立するのが当然」という感覚が根付いていると言います。

また、中学校では修学旅行とは別に「国内研修」として、東京や北海道などを訪れる機会が設けられています。諸塚村産の食材や材木などが使われているお店を訪れたりすることで、さまざまな発見があるようです。

諸塚村の中学生の国内研修の様子
▲諸塚村の中学校では、修学旅行とは別に「国内研修」を行っている

一方で子育ての面では、下記の表のように、手厚い経済的支援が用意されています。

支援制度 概要
誕生祝い金 第1子:30万円
第2子:30万円
第3子:30万円
第4子:40万円
第5子以降:第4子の額に10万円ずつ加算
給食費助成事業 幼稚園、保育所、小学校、中学校の給食費を全額補助
中学校卒業祝い金 10万円
村奨学金 大学生に月4万円、高等専門学校・短期大学・高校生に月3万円を無利子で貸与。一定要件を満たせば償還免除

参考:諸塚村移住促進パンフレット

諸塚村での生活:移住前に知っておきたい暮らしの情報

諸塚村の概観

それでは次に、諸塚村の暮らしに関する情報を見ていきましょう。

気候 1月:平均気温3.9℃
8月:平均気温25.5℃
※参考:気象庁(神門)
人口 1,352人
(2024年1月1日時点)
病院 診療所:1、歯科:1
学校 保育所:2、幼稚園:1(諸塚小学校に併設)、小学校:2、中学校:1
交通 【路線バス】
・宮崎交通(日向市へ)
・諸塚交通(村内)

【鉄道】
最寄り駅:JR日豊本線「日向市駅」(日向市)
アクセス 【飛行機】
・熊本空港より車で約2時間
・宮崎空港より車で約2時間

【公共交通】
JR日豊本線「日向市駅」より路線バス(宮崎交通)で諸塚村中心部「諸塚」まで約90分
近隣都市 日向市、美郷町、椎葉村、五ヶ瀬町、日之影町、高千穂町

諸塚村で生活するためには、車が必須です。山道が多く、宮崎県で唯一、信号機がないといった特徴もあります。

村内には診療所やスーパー、コンビニがあり、ひと通りの生活面では、大きな不自由はないと言います。

諸塚村にあるコンビニ
▲諸塚村には、大手のコンビニエンスストアもあって便利

一方で、車で1時間ほどの日向市も生活圏という感覚が強く、週末にまとめて買い物に行く人も多いそうです。

なお、山間部ではあるものの配送環境は整っており、Amazonプライムのお急ぎ便なども利用できるそうです。

仕事:移住者には村内の仕事が人気。まずは相談を

大手の求人サイトで諸塚村の正社員求人を検索したところ、約10件が見つかりました。また、車で約30分の通勤圏(25キロ圏内)まで広げると約600件、約1時間(50キロ圏内)まで広げると約8,000件の求人情報がありました(2024年2月時点)
※参考:求人情報の一例(諸塚村のみ
※参考:求人情報の一例(諸塚村から25キロ圏内
※参考:求人情報の一例(諸塚村から50キロ圏内

森さんによると、地元の方の中には日向市へ通勤する人もいる一方で、移住者は村内で働く場合が多いそうです。

むしろ、諸塚村での仕事に興味を持った人が、積極的に移住していると言えるでしょう。

特に「諸塚村農林業ビジネス・インターンシップ事業」では、3日以上4週間以内の期間で学生・社会人インターン生を受け入れています。

諸塚村農林業ビジネス・インターンシップ事業の様子
▲トマト農家の仕事を体験するインターン生

最大8万円の補助金を受けながら、諸塚村の最大の魅力とも言える農林業を体験することができるので、興味のある方は詳細をチェックしてみてください。

公式:諸塚村(2023年度諸塚村農林業ビジネスインターンシップの募集

なお、諸塚村では仕事も住宅も限られているため、基本的には役場に相談したうえで、担当者と一緒に探すことが多いと言います。

諸塚村企画課の森さん
森さん

ご意向や得意不得意といった個性、特性に応じて、求人をご紹介させていただきます。

また諸塚村には、村が整備した光ファイバーが通っており、携帯電話も多少キャリアによるものの中心部なら繋がりやすいと言います。リモートワークも選択肢に入れることができるでしょう。

住まい:公営住宅&空き家バンクを活用

諸塚村の住宅街

諸塚村では、住宅の選択肢は限られています。基本的にはまず、移住を担当する企画課へ問い合わせると良いでしょう。

綾さんによると、空き家バンクは随時整理が進んでいることから、移住者は取り急ぎ公営住宅に入り、そこから良い物件が出るのを待つケースが多いそうです。

なお、空き家の改修については、各種の助成が用意されています。

公式:諸塚村(空き家バンク

諸塚村企画課の綾さん
綾さん

公営住宅を活用して、実際に1年、2年と暮らしていただいて、それから空き家を探すことをおすすめします。

諸塚村へ移住した人の声や口コミ

諸塚村への移住者の声のタイトル画像

ここで実際に、諸塚村へ移住した人の声や口コミを見てみましょう。

  • 農業や山の仕事に興味があり、訪れた際に感じた人々の温かさから移住を決めました。
  • 村民の一人ひとりが村のためを考えており、熱意のある方が多いです。
  • いまは村営住宅に住んでいますが、今後は空き家をリフォームして住む予定です。
  • 自然の中で、とても「人間らしい」暮らしができていると感じています。
  • 田舎暮らしは何かと忙しいですが、その分、充実感があります。

諸塚村に移住する人は、特有の農林業に関心を持っているケースが多いようでした。

山間部の暮らしには多少の不自由があり、地域のさまざまな役割もこなす必要がある中で、独自の文化や密な人間関係に魅力を感じた人が継続して暮らしていると言えるでしょう。

諸塚村への移住ステップ

それでは最後に、諸塚村への移住を本格的に検討するにあたって活用したい、制度や相談窓口についてご紹介します。

お試し滞在で諸塚村の仕事と暮らしを体験

諸塚村では、実際の生活や仕事を体験してみたい人に向けて「お試し滞在」を提供しています。

農林業の複合経営をはじめ、しいたけ栽培や園芸など、さまざまな仕事の体験プランがあるので、諸塚村の魅力を実感することができるでしょう。

諸塚村の「お試し滞在」の様子
▲「お試し滞在」で、まき割りに取り組む様子

宿泊施設としては、村内の民宿はもちろん、体験交流型の宿泊施設「森の古民家」なども利用可能です。

往復交通費の2分の1(最大3万円)や宿泊費の2分の1(上限2千円/泊)の助成を受けられるので、諸塚村に興味のある方は積極的に活用してみてください。

公式:諸塚村(移住・定住

諸塚村への移住に関するお問い合わせ

諸塚村の移住相談窓口

諸塚村への移住については、下記の担当課までお問い合わせください。

諸塚村企画課の森さん
森さん

一見すると移住のハードルが高い山間エリアですが、関わる中で面白さや魅力を感じて移住される方もたくさんいらっしゃいます。ぜひ一度足を運んでいただけると嬉しいです。

担当課 諸塚村 企画課
住所 〒883-1392
宮崎県東臼杵郡諸塚村大字家代2683番地
電話番号 0982-65-1116
公式サイト https://www.vill.morotsuka.miyazaki.jp/