
文化のみち二葉館で大正ロマンを感じるデートプラン|名古屋の文化施設
こちらの記事で紹介するのは、文化のみちエリアを中心に散策するデートプランです。
メインのスポットは、「文化のみち二葉館(名古屋市旧川上貞奴邸)」です。文化のみち二葉館はステンドグラスが華やかな邸宅で、レトロな雰囲気を満喫しながら大正時代の最先端といわれる電化住宅について知ることができます。
ほかにも周辺にあるデート向きのスポットを選りすぐっており、特に文化のみちエリアを初めて訪れる方にはぜひ読んでいただきたい内容になっています。
大正時代の瀟洒な暮らしにうっとりする、心豊かなひと時が過ごせるデートプランです。建築に興味のある方はもちろんのこと、レトロなものやロマンティックな雰囲気が好きなカップルにもぴったりですよ。
おすすめカップル:レトロなものが好きなカップル
どんなデート?:邸宅、インテリア、学び
概要:文化のみちでレトロなものに魅せられるデート
文化のみち二葉館は、「日本の女優第1号」といわれる川上貞奴(かわかみさだやっこ)と、「電力王」と呼ばれた福沢桃介が暮らした邸宅を移築・復元した建物です。
大きなステンドグラスや、二人の使っていた品の良い日用品などを眺めながら、大正時代の華やかな暮らしぶりに思いを馳せましょう。
今回のデートのメイン |
---|
文化のみち二葉館 |
周辺のデートスポット |
・文化のみち橦木館 ・旧豊田佐助邸 ・文化のみち 百花百草 |
ランチにおすすめのお店 |
・川井屋本店 ・白壁カフェ花ごよみ |
「文化のみち橦木館(しゅもくかん)」は、随所に施されたステンドグラスやレンガを取り入れたインテリアがかわいい建物で、「旧豊田佐助邸」は白を基調とした邸宅です。文化のみち二葉館と比較しながら観ると、より興味深い時間が過ごせると思います。
「文化のみち百花百草」では、和洋折衷の美しい庭園が眺められます。草花を愛でながら、癒しのひと時を過ごしてくださいね。
「川井屋本店」は、手打ちのきしめんが評判のお店です。麺のコシが強くもっちりしていて、心とお腹を満たしてくれます。「白壁カフェ花ごよみ」ではモーニングが人気です。ランチも美味しく、あんみつなどの甘味もあるので、和スイーツ好きのカップルには特におすすめです。
それでは、まずは今回のデートのメインとなる「文化のみち二葉館」について詳しくご紹介します。
レトロ&瀟洒な邸宅・文化のみち二葉館に魅せられる
文化のみち二葉館は、日本初の女優として一世を風靡した川上貞奴と、実業家として数々の発電所を建てた福沢桃介が暮らしたおしゃれな邸宅です。
モダンデザインの先駆者・杉浦非水が手がけたステンドグラスや、センスの光るおしゃれな照明などが目をひく館内では、川上貞奴が使っていた着物・座布団・三味線などが展示されています。
また、実際に触れることができる展示がある点も、文化のみち二葉館の魅力です。当時使われていたソファにも座れるんですよ。
2階には、地元出身の作家や歌人を紹介する郷土ゆかりの文学資料室があります。書籍や同人誌が展示されているので、郷土ゆかりの近現代の文学を理解する一助になってくれるはずです。
邸宅の美しい建築やインテリアに魅了されながら、学びも得られるので、知的好奇心が満たされる素敵な時間が過ごせると思います。
では、「文化のみち二葉館」で学芸員を務める椎橋さんに、施設の魅力を詳しく伺いましょう。
瀟洒な空間にうっとりする!大正時代の最先端だった電化住宅
編集部
文化のみち二葉館は、オレンジ色をした洋風の屋根とステンドグラスが美しく、入館前からワクワク気分が高まりました。まず、施設の概要を教えていただけますか?
椎橋さん
当館では、日本の女優第1号といわれる川上貞奴と電力王と呼ばれた福沢桃介が、大正9年から大正15年までの約6年間、名古屋で暮らした和洋折衷の邸宅を移築・復元して公開しています。
男性だけの演劇世界で初の女優として一世を風靡した貞奴の生き方や、実業家として数々の発電所を建てた桃介の生涯とともに、当時の最先端の電化住宅を知ることができます。瀟洒(しょうしゃ※)な空間で大正ロマンを感じ、政財界人や文化人を招いてもてなした二人の暮らしに思いを巡らせていただけたら嬉しいです。
※瀟酒:すっきりと垢抜けおしゃれな様子
また、建物の2階は郷土ゆかりの文学資料室になっています。古くから文学にゆかりの深い土地だったという縁もあり、地元出身の作家や歌人たちをご紹介しています。
編集部
もともとは、文化のみち二葉館は文化のみちエリアの北端にある東二葉町に建てられていたのだそうですね。今を生きる私たちが見ても贅を極めた建物だと感じますし、当時の人にとってはすごく斬新に映ったことと思います。
建物の造りに驚いたり感動したり、川上貞奴と福沢桃介の生き方から学びを得たり、そして文学を通して名古屋の魅力を再発見したりと、心を動かすポイントがたくさんありそうですね。
モダンデザインの先駆者・杉浦非水によるステンドグラスは必見
編集部
館内の1階ではパネルやビデオ、展示品を通して学びを得られるようですが、特に注目すべきところはどちらでしょうか?
椎橋さん
館内にある4つのステンドグラスが一番の見どころです。大広間にある最も大きい作品「初夏」は、日本初のグラフィックデザイナーといわれる杉浦非水(※)がデザインしたといわれています。
※福沢桃介の義弟。
ステンドグラスは、季節や時刻によって光の差し方が異なる点もポイントです。とりわけ初冬は、日が短いので夕方に外から見ると幻想的で大変綺麗です。
また、贅を凝らした資材を使用するなど、建物の細部へのこだわりが随所に見られます。特に和室部分は、板戸・面皮柱・網代天井・襖の引き手のデザインなど、優れた技術と意匠が施されていて、登録有形文化財に指定されているんですよ。
大広間の床面は、柿渋でコーティングされた創建当時の床と復元の際に作られた床材の違いが、一目で識別できるのも面白いと思います。
編集部
建物には、洋風住宅のデザインが採り入れられているのだと聞きました。細かい部分に注目すると、和と洋が絶妙に融合されている秘訣が見つかるかもしれませんね。
和室には、福沢桃介自らが筆を取った書や、川上貞奴が使っていた着物・帯・座布団・三味線などがあり思わず見入ってしまいました。
▲書斎として使われていたスペース。道具のひとつひとつが美しい佇まい
ちなみに、椎橋さんが特に好きな展示はどちらですか?
椎橋さん
館内の所々にある照明が素敵です。華奢で繊細な照明からは貞奴の美的センスが感じられますし、モダンでおしゃれなデザインのものもあり、先駆的な電化住宅として電燈への強いこだわりが感じられます。貞奴が好んだという竜田紅葉の図柄を取り入れた新設の照明もかわいいです。当時は一軒に電燈がひとつかふたつが普通でした。
編集部
建物の雰囲気にマッチした照明ばかりで、センスが良い方だったのだなとしみじみ感じますね。
貞奴が使っていたスイッチを押して当時の生活に思いを馳せよう
▲右手上部にあるのが、スイッチを押すと部屋番号が表示される呼び鈴
編集部
文化のみち二葉館は素敵な展示品であふれていますが、体験できるものはありますか?
椎橋さん
ソファやスイッチなど、触れていただけるものがいくつかあります。
大広間にある円形ソファと一人掛けソファは、当時のスプリングを活かして外側の布を新しく張り替えたものです。ぜひ座り心地をお試しください。円形ソファは深く座るとゆったり、浅く座ると硬くしっかりしています。これは、洋服と着物の両方に合わせた設計なんです。
▲いろんな座り方をして、座り心地の違いを実感しよう
スイッチは、押すと部屋番号が表示されます。これは貞奴が使用人を呼ぶために作られたもので、呼び鈴の役割を果たしているんです。スイッチにも触れて、当時の暮らしぶりをご体感ください。
編集部
大正時代に使われていたソファの座り心地を試せるとは、非常に貴重な機会だと思います。
使用人を呼ぶためのスイッチからも、贅沢な暮らしをしていたことが感じられますね。それぞれ体験することで、当時の様子がよりイメージしやすくなるように思います。
2階では近現代の文学の魅力に触れてワクワクしよう
編集部
続いて、2階にある郷土ゆかりの文学資料室について教えてください。資料は何点ぐらい所蔵されているのでしょうか?
椎橋さん
郷土ゆかりの文学資料室は、名古屋市内における唯一の近現代文学資料室として、郷土にゆかりのある作家の作品や資料を5万4千点以上、収集しています。
常設されている書籍や同人誌の一部は、手に取って読むことができます。また、経済小説の父・城山三郎の書斎を再現した一室も常設展示しています。
▲城山三郎の書斎の復元。本のタイトルや書類の内容までじっくり観察したくなる
編集部
郷土ゆかりの文学資料室では、城山三郎のほか、坪内逍遥、春日井建、小谷剛、江夏美好などについて学べる資料やパネルもあるようですね。とてもわかりやすいので、郷土ゆかりの文学資料室をきっかけに近現代の文学に夢中になる方もいそうです。
文芸を発信!気になる企画展の開催中に訪れるとさらに楽しめる
▲2022年に開催された文学企画展「虹色のクレヨン王国~福永令三の児童文学展~」の展示風景
編集部
郷土ゆかりの文学資料室では、企画展も開催されているようですね。
椎橋さん
はい。年に数回、企画展を開催して地域文芸の魅力について発信しています。
2021年度には、以下のような展示を行いました。
- 岡井隆の歌業 没一年を偲んで
- 江戸川乱歩と小酒井不木展
- 名古屋ゆかりの芥川賞・直木賞作家展
- 没後15年 経済小説の父 城山三郎展
会期中にはトークイベントなども行ったんですよ。
編集部
上記以外にも様々な企画展を開催しており、2015年に実施された「名古屋・愛知の昔話展」は、子どもはもちろん大人からも好評だったと聞きました。グリム童話によく似た日本の昔話もあるそうですし、カップルで鑑賞したらお互いの幼少期の話で盛り上がりそうです。
2月8日は開館記念日!コンサートなど特別な催しが盛りだくさん
編集部
文化のみち二葉館では、イベントは開催されていますか?
椎橋さん
はい。三味線が体験できる伝統芸能の無料講習会、ステンドグラスや福よせ雛の展示、講習会など、年間を通じて多彩なイベントを開催しております。コロナ禍となる前は、日本の伝統芸能に興味のある外国人の方向けのイベントも開催していました。
毎年2月8日は開館記念日「ふたばの日」で、様々な催しをしています。過去には貞奴と桃介の紹介パネルを展示したこともあります。例年はコンサートを開催したり、貞奴が愛でていた雛人形、貞奴の手書き雛の羽織などを特別展示したりしています。また、この日は無料で入館でき、先着100名様にプレゼントを進呈しています。
編集部
ふたばの日は、今以上に見どころが満載であるということですね!冬の寒さが厳しい頃ですが、文化のみち二葉館で特別な催しを満喫すれば胸が高鳴って心が温まりそうです。
ステンドグラスや螺旋階段など写真映えする場所がいっぱい
編集部
文化のみち二葉館は美しい場所であふれているので、デートで訪れると二人で記念撮影をしたくなりそうです。おすすめのフォトスポットはありますか?
椎橋さん
ステンドグラスや螺旋階段で写真を撮る方が多いですが、どこで撮影しても雰囲気があってインスタ映えもバッチリだと思います。春に沿道で咲き誇る早咲き桜のオオカンザクラも美しいですよ。この桜が咲く時期は、連日多くのお客さまでにぎわうほどなんです。
展示をひと通り観て記念撮影をしたら、館内のソファ席でゆっくりくつろいでくださいね。
編集部
良い写真がたくさん撮れそうですね。二人で見返すたびに、建物の美しさに感動して、興味深い展示物に心動かされたことを鮮明に思い出しそうです。
文化のみち二葉館の口コミ評価
編集部
文化のみち二葉館へ来館された方からは、どんなご感想がありますか?
椎橋さん
大広間にある大きなステンドグラスをご覧になったお客さまのほとんどが、「わあ、すごい綺麗!」と驚かれます。帰り際には受付のスタッフに「とても良かった」といってくださる方もいます。
お客様は、県内はもちろんのこと日本各地から来られます。コロナ禍の前は、アジア圏を中心に世界各国からも足を運んでいただきました。定期観覧券を購入してリピートされるお客様もいらっしゃいます。
編集部
遠くから来る方が多いというのは特徴的ですね。期待して来る方もたくさんいると思いますが、それでも感嘆ばかりというのはすごいことだと思います。インテリアや建築に興味のあるカップルはもちろんのこと、そうでない方も大満喫できそうですね。
見応えがある!ためになる!など大絶賛の声が多数
編集部でも、文化のみち二葉館の口コミをインターネットで調べてみました。参考になりそうなものをいくつかピックアップして紹介します。
- 大正当時の和洋折衷の建造物で、見応えがあり大満足
- 隅々まで手入れが行き届いており清潔感がある。フォトジェニックな洋館
- わかりやすいパネルもあり良い学びになった
ステンドグラスや展示物に感動していることが伝わる口コミが多く見られました。展示についての解説がわかりやすいのも満足につながっているようです。
みなさん心動かされ、そして知的好奇心が満たされているようなので、心豊かな休日を過ごせそうですね。
文化のみち二葉館からカップルへのメッセージ
編集部
文化のみち二葉館でのデートを検討しているカップルへ、メッセージをお願いします。
椎橋さん
当館は文化のみちエリアの拠点施設として、文化のみちの見どころもご案内しています。近くに来たら気軽に立ち寄ってくださいね。じっくり見学するも良し、休憩するも良し、周辺の情報収集をするも良し、です。
華々しい人生を歩んだ貞奴と桃介ですが、館内には二人が使用した鞄や食器などの日用品も展示していますので、身近に感じて会話も弾むのではないでしょうか。
編集部
華やかさと品の良さをあわせもつ、素敵な場所だと思いました。本日はどうもありがとうございました。
文化のみち二葉館の基本情報
住所 | 〒461-0014 愛知県名古屋市東区橦木町3-23 |
---|---|
アクセス | ・高岳駅2番出口より北へ徒歩10分 ・尼ケ坂駅より南へ徒歩12分 ・なごや観光ルートバスメーグル「文化のみち二葉館」下車後すぐ ・市バス「飯田町」下車後、北へ徒歩2分 |
営業時間 | 10:00~17:00 |
休館日 | 月曜日(祝日の場合はその翌日) 12月29日~1月3日 |
駐車場 | 10台 300円/回(30分以内は無料) |
料金 | 【入館料】 ・大人200円 ・中学生以下は無料 【橦木館との共通券】 ・大人320円 |
カップルの割合 | 3割程度 |
比較的空いている日 | 平日 |
平均的な滞在時間 | 30分~1時間程度 |
公式サイト | https://www.futabakan.jp/ |
※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です。
文化のみち二葉館の前後に立ち寄りたいデートスポット
文化のみち二葉館の周辺には、デート向きの場所がたくさんあります。中でも特におすすめの場所を選りすぐってご紹介します。
おすすめのデートスポット
大正ロマンを感じさせる邸宅「文化のみち橦木館」
文化のみち橦木館は、陶磁器商として活躍した井元為三郎によって大正末期から昭和初期に建てられた邸宅です。品良く配されたステンドグラスがインテリアのアクセントになっていて、心を潤してくれます。
文化のみち橦木館にある旧応接室は、カフェ「SHUMOKU CAFE」として使われています。スリランカの上質な茶葉を使った紅茶や、イタリアンジェラートなどがいただけるので、小休止にもぴったりです。
公式URL:文化のみち橦木館
手打ちにこだわるきしめんが絶品「川井屋本店」
川井屋本店は、1921年に創業した老舗のきしめん屋です。「手ごね・手延ばし・手切り」の純手打ちにこだわったきしめんが、コシが強くもちもちっとしていて絶品だと評判なんです。
おすすめは、海老おろしきしめん。車海老を使った海老天がとても大きく、食べ応えがありますよ。寒い時期は、親子味噌煮込みきしめんをぜひ。味噌と出汁が麺にしっかりしみていて、体をポカポカ温めてくれます。
参考URL:食べログ(川井屋本店)
その他のおすすめスポット
まとめ:大正時代の瀟洒な世界観にどっぷり浸かろう
本記事では、文化のみち二葉館を中心にしたデートプランを紹介しました。
大正時代ならではのレトロな雰囲気に包まれながら、当時の最先端である電化住宅の仕組みを知ったり、ソファの座り心地を試したりと、ワクワク気分も味わえる場所だと思います。
照明などのインテリア小物や日用品のテイストは、お家のインテリアの参考になる部分もありそうですよね。「もし私たち二人がここに住んでいたとしたらどんな感じかな」と、妄想してみるのも面白いかもしれません。
展示に見入り、どんなポイントに心惹かれたかを語り合って、二人の仲をもっと深めてくださいね。