南相馬市博物館で文化財や史跡を回遊するデートプラン|福島県の博物館

この記事では、福島県南相馬市に位置する「南相馬市博物館」をメインにめぐるデートプランをご紹介します。

南相馬市博物館は、緑豊かな「東ヶ丘公園」の敷地内に立地しています。館内には国の重要無形民俗文化財に指定されている「相馬野馬追(そうまのまおい)」をはじめ、南相馬市の自然や歴史、民俗といったテーマに関する多彩な資料が展示されています。

映像やジオラマ、復元模型を駆使した展示の数々は、まさに圧巻の見応え。感覚的にわかりやすいような工夫がされているので、歴史好きなカップルだけでなく、歴史に馴染みのないカップルでも楽しみながら見学できます。

そんな南相馬市博物館の魅力をたっぷりとご紹介するので、ぜひ次回のデートに訪れてみてはいかがでしょうか。

こんなカップルにおすすめ!
おすすめ年代:10代~40代
おすすめカップル:歴史に興味のあるカップル
どんなデート?:学び、体験、写真撮影を楽しむ
目安時間:半日
目安予算:1,000円以内(ランチ代を除く)

概要:歴史好き必見!文化財や史跡をめぐるデートプラン

南相馬市といえば、毎年7月下旬に開催される「相馬野馬追」というお祭りが有名です。そこで、その相馬野馬追や南相馬市周辺の歴史・文化を学べる「南相馬市博物館」をメインに、近隣の史跡をめぐるデートプランをご提案します。

10:00~11:00 「南相馬市博物館」を見学
11:00~11:30 移動
11:30~12:30 「桜井古墳」を見学
12:30~14:00 ランチ
14:00~14:30 移動
14:30~15:30 「小高城跡」を見学
15:30~16:00 移動
16:00~17:00 「観音堂石仏」と「薬師堂石仏」を見学

南相馬市内には国指定の史跡が数多く点在しているので、ぜひ博物館を訪れたあとに巡ってみてはいかがでしょうか。特に東北地方最大級の前方後方墳である「桜井古墳」や県指定の史跡である「小高城跡」、国内最大級の磨崖仏(まがいぶつ)を間近で拝観できる「観音堂石仏」や「薬師堂石仏」がおすすめです。

それでは、まずはメインとなる「南相馬市博物館」の魅力について見ていきましょう!

相馬野馬追の迫力あるジオラマに注目!南相馬市博物館

南相馬市博物館にある相馬野馬追のジオラマ

「南相馬市博物館」は南相馬ICから車で約15分ほどのところにあり、「相馬野馬追」祭場地に隣接する広大な東ヶ丘公園内に位置します。館内の常設展示には相馬野馬追をメインに、南相馬市の自然や考古、歴史、民俗に関するさまざまな資料が展示されています。

特に注目したいのが、相馬野馬追の神旗争奪戦を再現した迫力満点のジオラマ。そのほかにも甲冑や祭具、屏風といった伝統的なコレクションを多数観覧できます。

相馬野馬追ファンはもちろん、南相馬で生まれ育った方や歴史好きのカップルにぜひおすすめしたい博物館です。

今回はそんな南相馬市博物館の魅力に迫るべく、教育普及活動に携わっていらっしゃる樋口晴菜さんにお話をお伺いしました。

絵馬祈願の原点に触れられる希少な施設

編集部

南相馬市博物館では、やはり「相馬野馬追」の展示が特徴的ですよね。まずは相馬野馬追とはどのような行事なのか教えてください。

樋口さん

「相馬野馬追」とは、例年7月の最終土・日・月曜日の3日間で執り行われる、国指定重要無形民俗文化財の伝統的なお祭りです。甲冑を身にまとった約400騎の騎馬武者が、腰に刀を提げ、背中に旗を背負いながら野原を疾走します。

この「相馬野馬追」は平安時代に平将門が行った武芸の鍛錬に始まると伝えられています。江戸時代には奥州中村藩主家において毎年開催される行事でした。そして廃藩置県後も神社の行事として継続され、現在は福島県相馬地方と双葉地方にまたがる広域的な伝統行事として大切に継承されています。

編集部

400騎もの騎馬武者が疾走する姿、想像するだけでも迫力を感じます。どのような意味合いのある行事なのでしょうか?

樋口さん

「相馬野馬追」は騎馬武者による勇壮な行事と思われがちですが、実は生きた馬を神に奉納することで、地域の平和や安全、繁栄を祈る行事です。何かを祈願するときや願いが叶った際のお礼として神社や寺院に「絵馬」を奉納する風習がありますが、「相馬野馬追」はまさにその絵馬祈願の原点を伝えるものと言われています。

当館はそういった「絵馬の原点」に触れられる数少ない博物館で、絵馬奉納の原風景や「相馬野馬追」の歴史と魅力を楽しみながら学んでいただけます。

編集部

なるほど。今まで何気なく絵馬を用いて祈願してきましたが、絵馬にはそういった由来があったんですね!絵馬の原点である「相馬野馬追」にますます興味が湧いてきました。

アンモナイト・化石や江戸時代の屏風の展示がおすすめ

南相馬市博物館「馬と生きる」の展示

編集部

館内には「相馬野馬追」を中心に馬と人との関わりについての展示が充実している印象ですが、樋口さんお気に入りの展示はどちらですか?

樋口さん

特に好きな展示は、常設展示室にある「相馬野馬追図屏風」です。江戸時代の野馬追の様子が描かれており、現在の相馬野馬追がしっかりと伝統を継承していることを感じさせてくれます。

また、地元の地層から見つかった中生代ジュラ紀のアンモナイトやシダ植物化石、恐竜の足跡化石もおすすめの展示です。将来的には恐竜の化石が見つかるものと期待しています。

編集部

「相馬野馬追図屏風」は、福島県指定の重要有形民俗文化財なんですよね。江戸時代の伝統を継承しながらもどのような変貌を遂げて現在に至るのか、ぜひ比較しながら鑑賞してみたいです。

アンモナイトや化石の展示も面白そうですね!中生代ジュラ紀といえば恐竜が生きていた約2憶万年ほど前の時代で、そのようなはるか昔の化石を見られるとはとても興味深いです。

樋口さん

そうですね、世代や性別を問わずに楽しんでいただけると思います。

あとは、当館は自然を満喫できる東ヶ丘公園内にありますので、四季折々の自然の移り変わりを感じていただける点もおすすめポイントです。季節の草花に癒されながら、相馬野馬追をはじめ当地方の歴史と文化に触れていただけたらと思います。

編集部

口コミでも、「周辺の散策もできてのんびりと過ごせる」といった声を多数見かけました。博物館の前後に園内で森林浴やウォーキングを楽しむのもいいですね。

多彩な企画展やイベントが充実

南相馬市博物館にある「自然と生き物たち」の展示

編集部

南相馬市博物館では企画展やイベントも行っているとお伺いしました。過去に好評だった企画展や、今後予定している企画展があればご紹介ください。

樋口さん

企画展として、各分野の展示を年に3回~4回程度開催しています。もちろん相馬野馬追に関する展示は毎年開催しておりますし、過去には地元産のアンモナイトや小型恐竜類の足跡化石の展示、国立科学博物館のアロサウルスの恐竜化石を共催展示しました。

また、アーティストとのコラボレーションによる企画展も随時実施しており、過去には深堀隆介氏による金魚のアート作品展示や、花道家・片桐功敦氏の作品写真展を開催しました。

編集部

そのように多彩な企画展を開催されている南相馬市博物館なら、一度だけでなく時期を変えて何度も足を運びたくなりますね。それぞれテーマが異なるので、毎回新たな発見がありそうです。

ワークショップもあると耳にしたのですが、具体的にどのような体験ができるのでしょうか?

樋口さん

当館では年に十数回のワークショップを開催しており、たとえば以下のような内容を体験していただけます。

  • 葉っぱのノート図鑑作り
  • 香りの石けんや花などを入れた樹脂封入ペンダント作り
  • 化石採集や化石のレプリカ作り
  • 蓄音機コンサート
  • 植物やキノコ、野鳥の観察会

化石採集は地元の地質を活かしたもので、蓄音機コンサートはなかなかできない珍しい体験ですよ。

南相馬市博物館で作成できる化石のレプリカ
▲ワークショップで作成できる化石のレプリカ

南相馬市博物館で作成できる勾玉のペンダント
▲カップルでおそろいのペンダント作りを楽しんでみては?

定員があるため事前予約が必要ですが、ワークショップの多くが無料でご参加いただけます。詳しくはぜひ当館のホームページでご確認ください。

編集部

個人的には化石のレプリカ作りが気になりました!カップルで参加すればおしゃべりをしながら楽しく作れそうですし、デートのお土産にも最適ですね。

神旗争奪戦のジオラマや蒸気機関車は記念撮影にぴったり

編集部

館内で思い出の写真を撮影できるスポットや、カップルがゆっくり過ごせるおすすめの場所があればご紹介ください。

樋口さん

写真撮影のスポットとしては、常設展示室に入ってすぐのところにある「相馬野馬追」の神旗争奪戦のジオラマが人気です。また、エントランスホールに展示している昭和41年製のファミリーカー・スバル自動車の前も雰囲気があると思います。

外には1929年から製造された「C50型蒸気機関車」があり、運転室の中に入ることもできますよ。漫画の影響もあり、多くの人が訪れていたスポットです。

当館では特別展示室以外ならどこでも撮影していただいて構いませんので、ぜひお気に入りの場所で撮影をお楽しみください。

南相馬市博物館の外にある蒸気機関車
▲C50型蒸気機関車

南相馬市博物館の外にある蒸気機関車の車内
▲蒸気機関車内部の様子(運転室)

なお、シアターや映像コーナーではシートや椅子に座ってゆったりと映像を観られるので、のんびり過ごしたい方におすすめです。

編集部

神旗争奪戦のジオラマは迫力満点ですね!蒸気機関車の前で写真を撮るのもいいですし、運転席に座って撮影するのも楽しそうです。

ちなみにデートの記念になるようなお土産を購入できるショップはありますか?

樋口さん

ショップはありませんが、チケット窓口にて相馬野馬追や各分野の図録、民俗行事のDVDなどをお買い求めいただけます。売れ筋はやはり野馬追に関する図録やDVDです。また、12年に1度、社寺で行われる民俗行事「浜下り」のDVDは隠れた人気があります。

編集部

図録やDVDがあれば、さらに野馬追に関する知識を深められますね。

「浜下り」は神輿が海に帰るお祭りですよね。なかなか見られない行事と伺ったので、ぜひDVDで観てみたいです!

南相馬市博物館を訪れた方の口コミ評価

編集部

来館者さんからよく聞く感想がありましたら教えてください。

樋口さん

当館の展示を見て「この地域が馬との関わりを大切にしていることがよく分かりました」といったお声をいただいております。

編集部

独自に調査した口コミにおいても、以下のように「展示が充実していた」「わかりやすい」といった声が多く見られました。

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相馬野馬追の歴史だけではなく、古代史や近現代史の展示も充実している
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特に屏風が素晴らしく、野馬追の様子や背景を学べる芸術作品だった
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質問をすると、学芸員さんが丁寧に答えてくれてわかりやすかった
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SLがあり運転士の気分を味わえた

地元の方はもちろん、他県から足を運んでいる方も多い印象です。多彩な展示や体験を楽しめる南相馬市博物館なら、思い出深いデートになりそう!と感じました。

南相馬市博物館からのメッセージ

編集部

最後に、来館を検討している方へメッセージをお願いします。

樋口さん

「相馬野馬追」や「馬と人との関わり」に興味がある方は、ぜひ当館にお越しになってください。きっと新しい発見があり、楽しんでいただけると思います。

編集部

ありがとうございました!

南相馬市博物館の基本情報

住所 〒975-0051
福島県南相馬市原町区牛来字出口194
アクセス 【車】
・常磐自動車道 南相馬IC
→県道12号・県道120号
→南相馬市博物館(約15分)

【電車】
・東京駅(福島駅経由)
東北新幹線→福島駅(約1時間30分)
→福島駅(バス)→原ノ町駅(約2時間)
→原ノ町駅(タクシー)→南相馬市博物館(約10分)
・東京駅(仙台駅経由)
東北新幹線→仙台駅(約2時間)
→仙台駅(常磐線)→原ノ町駅(約1時間20分)
→原ノ町駅(タクシー)→南相馬市博物館(約10分)
営業時間 9時から16時45分まで
(最終入館は16時まで)
休館日 ・毎週月曜日(月曜日が休日の場合は翌平日)
・12月29日から翌年1月3日まで
※相馬野馬追最終日(月曜日)は開館(翌日休館)
駐車場 あり(県営東ヶ丘公園南側駐車場68台/無料)
料金

【常設展のみを開催している時】
・一般:300円
・高校生:200円
・小、中学生:100円

【企画展を開催している時】
・一般:400円
・高校生:200円
・小、中学生:100円
※こちらの観覧料には常設展観覧料が含まれます
※こどもの日、国際博物館の日、福島県民の日(8月21日)、敬老の日、東北文化の日、成人の日はどなたでも無料

お問い合わせ ・電話:0244-23-6421
・ファクス:0244-24-6933
予約 観覧のみの場合は予約不要

【予約が必要なケース】
・講座や体験ワークショップに参加希望の場合
・学芸員による展示解説を希望する場合
・団体様
公式サイト https://www.city.minamisoma.lg.jp/
portal/culture/museum/index.html

※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です。

南相馬市博物館を訪れたあとにおすすめしたいスポット

最後に、南相馬市博物館のあとにぜひ回りたい史跡をご紹介します。今回インタビューに答えてくださった樋口さんも一押しのスポットばかりなので、ぜひ合わせて訪れてみてはいかがでしょうか。

おすすめのデートスポット

国史跡:桜井古墳

桜井古墳は、古墳時代前期に築造されたとされる、東北地方最大級の前方後方墳。国の文化財に指定されており、現在は「桜井古墳公園」として地元の方の憩いの場となっています。

県史跡:小高城跡(相馬小高神社境内)

鎌倉時代末から江戸時代初めまで陸奥相馬氏の居城であった「小高城」の跡地。現在は小高神社があり、相馬野馬追祭の際には「野馬懸け」が行われる場所として有名です。

国史跡:観音堂石仏

日本最大級の十一面千手観音坐像で、その高さは9mを誇ります。中心には「大悲経」という経典に出てくる仏(賢劫千仏)が彫られており、「薬師堂石仏」「阿弥陀堂石仏」とともに「大悲山の石仏」として親しまれています。

国史跡:薬師堂石仏

観音堂石仏に隣接する、平安時代の中頃(9~10世紀)に作られたと考えられる石仏群です。「大悲山の石仏」のなかでは最も状態が良く、薬師如来を中心に8体の仏像が彫られています。

まとめ:文化財や史跡をめぐって学び多きデートを

今回は「南相馬市博物館」を中心として、南相馬市内にある貴重な文化財や史跡をめぐるデートプランをご紹介しました。

南相馬市博物館では「相馬野馬追」に関する知識を深められるほか、南相馬市周辺の自然や歴史、民俗などに関する多彩な展示を観覧できます。その後は周辺の史跡を回遊することで、さまざまな発見を楽しめる学びの多いデートとなることでしょう。

南相馬市内や周辺にお住まいの方、さらには歴史や馬、史跡好きの方は、ぜひ今回のデートプランを参考にしてみてくださいね。