【鹿児島県】奄美パークの田中一村記念美術館で日本画と自然を満喫するデート

今回は田中一村記念美術館を中心に、奄美パークで奄美大島の自然や歴史や文化を学ぶデートプランをご紹介します。

田中一村記念美術館は、奄美パークという広大な公園の敷地の中にある美術館です。パークには展望台があったり、田中一村が描いた奄美の植物が植えられている遊歩道があったりと、普段見ている奄美大島を別角度から見ることができます。

奄美の自然が大好き、絵画を見るのが好きというカップルから、より深く奄美を知りたいカップルまでおすすめのデートプランです。

こんなカップルにおすすめ!
おすすめ年代:20代~50代
おすすめカップル:絵が好きなカップル、奄美の自然が好きなカップル、奄美について知りたいカップル
どんなデート?:奄美の自然に触れながら絵画を楽しむデート
目安時間:半日
目安予算:3000円~

奄美の歴史や文化を深く学べる、奄美大好きデートプラン

田中一村記念美術館のある奄美パーク空撮写真
▲田中一村記念美術館は奄美パークの一角にあります

奄美の大自然を奄美パーク内で散策しながら実際に体感し、田中一村記念美術館で奄美を題材にした絵画を見てから、さらに奄美の郷で歴史や文化を学ぶプランです。

主に屋内をゆっくり回るプランなので、幅広い年齢層におすすめできる、どんな季節にも合うデートプランです。

10:00 奄美パークの公園散策
展望台からの眺望を楽しむ
11:00 田中一村記念美術館のカフェで一休み
12:00 田中一村記念美術館で鑑賞
13:00 奄美の郷のレストランで昼食
14:00 奄美の郷で奄美諸島の歴史と文化を学ぶ

まずはパーク内を散策して奄美の大自然に触れ、さらに奄美大島が一望できる展望台から奄美大島全体を見渡してみましょう。普段過ごしている町も、ここから見るとなぜか違って見えてくるから不思議です。

パーク散策で自然を体感したら、田中一村記念美術館内のカフェで一休みしてから美術館を見学しましょう。田中一村は奄美の自然を描いた画家です。展示の中に散策中に見つけた植物がないか、2人で探しながら見ていくのも楽しそうです。

美術館のあとは「奄美の郷」で美味しいランチや奄美プチ観光を楽しみましょう。奄美の郷では、実物大模型や映像で楽しく奄美の歴史や文化に触れることができます。

「奄美が大好き!」という奄美の地元カップルにぴったりの、奄美大島を深く学べるデートプランです。

奄美の自然を描いた”田中一村”の絵画が常設された「田中一村記念美術館」

田中一村記念美術館のエントランス

「田中一村記念美術館」は、奄美大島の奄美パークという施設の中にある美術館で、2001年にオープンしました。

栃木生まれの田中一村(たなかいっそん)は、50歳で奄美へ移住し、紬工場で働きながら絵を描き続けていた日本画家です。逝去したあとに絵が評価され、テレビで紹介されたり展覧会が開かれるようになりました。

そんな田中一村の作品を常設しているのが「田中一村記念美術館」です。一村が愛した奄美の自然を題材とした絵をはじめ、移住前に関東で描いていた絵も見ることができます。それぞれの時代の絵を比較することで、心境の変化を感じながら作品に触れることができるでしょう。

今回は、田中一村記念美術館の学芸専門員でいらっしゃる有川幸輝さんにお話を伺いました。

田中一村のコレクションが日本で一番多い美術館

田中一村記念美術館の入口
▲美術館入口は要塞のようでワクワクしますね

編集部

初めに田中一村記念美術館について教えていただけますか?

有川さん

奄美の自然を描いた日本画家田中一村のコレクションを常設展示している美術館です。奄美の高倉をイメージした展示室で、田中一村の画業に触れることができます。一村の東京時代、千葉時代、奄美時代の作品約80点を随時展示しています。

編集部

田中一村記念美術館の見どころや魅力を教えてください。

有川さん

田中一村記念美術館では、日本で一番多くの田中一村の作品を所蔵しています。日本国内で田中一村の作品をこれだけコレクションしている美術館は他にありません。年に4回の展示替えがあり、季節に合わせた作品を随時展示しています。それぞれ違う作品を鑑賞できるので、何回来ても新しい発見があることでしょう。

とても魅力的な展示室の風景は、奄美の海をイメージした池の上に並ぶ高倉を表しています。高倉の再現には地元の素材をふんだんに使っているんです。一村の作品は奄美の気候や風土を感じながら見ることで、その真価が分かります。

世界自然遺産に登録された奄美の自然を感じるとともに、それを表現した一村作品をゆっくりと鑑賞できるのが自慢です。

編集部

田中一村の絵画が、奄美の風景の一部になるように展示されているということですね。計算された環境の中で見ると、さらに理解が深まりそうです。

ところで、一村の絵画の中で、有川さんが一番お好きな作品はどれですか?

有川さん

私のお気に入りは、田中一村が閻魔大王に持っていくので売りませんと言った2つの作品のうちの「不喰芋と蘇鐵」です。一村の画業の集大成ともいわれるこの作品を前にすると、まるで島の神さまが降りてくるような錯覚を覚えます。

編集部

閻魔大王に絵画を持って行くという発言はユーモラスですね。絵は繊細ですが、ユーモアあふれる人間性だったのではと想像しました。

奄美で理想の絵を探求した田中一村

田中一村記念美術館の第1展示室

編集部

南国のイメージがある奄美は、日本画で表すのは難しいのではないかと思ったのですが、絵を見ると見事に奄美が感じられました。田中一村とはどういった人物だったのでしょうか?

有川さん

田中一村は、誰かに認められることも望まず、ただ自分の理想とする絵を奄美の地で追い求め続けた孤高の画家です。

編集部

田中一村は、奄美で生まれ育ったわけではなく、栃木県で生まれて関東で過ごしたのちに、奄美へ移住したんですよね。それぞれの時代の絵が飾られていますが、どのように鑑賞すれば良いでしょうか?

有川さん

南画家の天才としてもてはやされた青年期の東京時代、周りの自然や風物を描きつつ、新しい日本画を求め、中央画壇に挑戦した千葉時代、亜熱帯の動植物や自然の豊かさに感動し、独自の日本画を完成させた奄美時代、生涯を絵にささげた一村のすさまじい情熱とその気高い生き様を感じてほしいと思っています。

編集部

奄美に移ってから、独自の日本画を完成させたんですね。南国の絵というと「華やかで明るい」絵が多いなか、田中一村の絵は哀愁のある南国の絵という印象を受けました。その独自の世界観を見ていただきたいですね。

予約制の作品鑑賞会や「奄美を描く美術展」も開催

田中一村記念美術館の外観
▲美術館は水の上に浮いているように作られています

編集部

イベントやワークショップなどの開催はありますか?

有川さん

夏休みは子供向けのワークショップを開催、大人向けには美術講演や作品鑑賞会などを開催しています。詳しくは当美術館のホームページ等をご覧ください。参加には事前申し込みが必要です。

また、一村の生涯をまとめたビデオも視聴できます。

編集部

絵を純粋に楽しむというのも良いですが、鑑賞会などで絵画の見方を教えていただけると、また違った見方ができそうですね。美術館へ行く日が決まれば、イベントがないかチェックして事前予約したいと思います!

常設展以外に企画展はされていますか?

有川さん

毎年「奄美を描く美術展」を開催しています。この美術展には、一村と同じように奄美の素晴らしい自然や風物を描いたとてもハイレベルな作品が日本全国から応募されています。

編集部

2022年度の様子をホームページで拝見しました。年齢もさまざまな方が応募されてとてもクオリティが高い作品ばかりだと感じました。こちらの美術館に訪れて「奄美の絵を描いて応募したい」と思う方がいらっしゃったら素敵ですね。

カレンダーが大人気!デートの思い出に田中一村のグッズもおすすめ

編集部

デートで訪れた際の、作品鑑賞以外の楽しみ方を教えてください。

有川さん

館内には、ミュージアムショップカフェがあり、コーヒーや月桃茶を楽しめます。美術館の美しい外観を眺めながら、ゆっくりと休憩できますよ。

田中一村記念美術館のカフェドリンク
▲美術館にはカフェもあるので、休憩しながらゆっくり回りましょう

ミュージアムショップでは、ポストカードやクリアファイル、マスキングテープ、図録など一村のグッズを購入できます。年末年始にはカレンダーが販売され、毎年大変な人気です。

編集部

グッズが購入できるということは、一村の作品をおうちでも楽しむことができるということですね。グッズはお土産にもよさそうです。

有川さん

エントランスのベンチ、カフェスペース、休憩室のベンチもこだわりのデザインです。ゆっくりとくつろいでもらえると思います。

田中一村記念美術館のカフェ
▲カフェからの眺めもアートを感じます

編集部

たくさん歩いて疲れたら、カフェで一休みしてまた歩くのもよさそうですね。ちなみに、記念撮影におすすめのスポットはありますか?

有川さん

展示室内は撮影禁止ですが、入口のタペストリー前、エントランス、一村像の周囲、美術館外の遊歩道<一村の杜>は写真撮影が可能で、絶好の写真スポットです。

編集部

訪れた方は写真を撮って、SNSなどで奄美の魅力を発信していただきたいですね。地元の方ならではの視点は、きっと今後訪れたいと思っている方の参考になると思います。

遊歩道や展望台など敷地内には見どころがたくさん!

奄美パーク内の展望台
▲展望台からは奄美大島が一望できます!

編集部

館内からの景色や美術館の周辺の楽しみ方も教えてください。

有川さん

美術館の周囲には、一村が描いた奄美の植物を植生した遊歩道<一村の杜>があり、天気が良い日には、田中一村の作品に描かれた奄美の植物を体感しながら散策できます。奄美大島を一望できる展望台もおすすめです。

夕暮れ時は、夕日に赤く染まる展示室がとてもロマンティックです。天気が良い時はきれいな青空が広がり、それを反射してきらきら光る水面が、雨の日は池に落ちた水の波紋がとてもきれいです。

さらに、一年中を通してリュウキュウイワツバメが飛んできて池で水浴びをする姿が見られます。

編集部

ツバメが年中見られるのは、暖かい気候ならではですね。夕日は海岸沿いで見るのもきれいだと思いますが、館内が赤く染まる様子もロマンチックなので、ぜひ見てみたいです。

田中一村記念美術館の口コミや感想

田中一村記念美術館の夜の様子
▲7月と8月は19時まで開館しています

編集部

来館された方からはどのような感想がありますか?

有川さん

アンケートでは次のような回答が多くあり、お客様には大変満足していただいているようです。

  • 作品も建物もとても素敵です
  • 静かでゆっくりと鑑賞できます
  • 田中一村の生き方に勇気をもらえました
  • 自然豊かな奄美で一村さんは自分の描きたい絵を見つけられて良かったですね

若い方からご高齢のご夫婦まで、旅行ツアーをご夫婦で申し込まれている場合を含めますと、半数以上がカップルで来館されています。デートにも向いている美術館と言えるかも知れません。

編集部

カップルでの来館が多い美術館とは素敵ですね。私もインターネットで口コミを拝見しました。その一部を要約したものをご紹介します。

アイコン
独特の感性で描かれた素敵な絵が見られました
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一村が奄美で何と戦っていたか伝わってきました
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作風の変化がわかる展示内容でした
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絵はもちろん、建物も素晴らしいです

もちろん作品が良かったという声はとても多いのですが、建物が素敵だったという声も多くありました。田中一村記念美術館を訪れた際は、中だけでなく外からも見て楽しみたいですね。

田中一村記念美術館の有川さんからのメッセージ

田中一村記念美術館でお客さまをお見送りする様子

編集部

これからデートで訪れるカップルへのメッセージをお願いします。

有川さん

田中一村記念美術館は旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」口コミで人気!日本の美術館ランキング 20192位に選ばれました。どの美術館ランキングでも常に上位に選ばれています。観覧料もお手頃な価格で、デートに誘ってもらえたら、きっと相手にも喜んでもらえることと思います。

だいたい1時間程度で鑑賞できるので、気軽にお越しください。どの時間帯もゆっくりと鑑賞できますが、できるだけ空いた時間が良いならば夕方からの来館がおすすめです。

編集部

有名な美術館を抑えての2位を獲得されたとはすごいですね!それだけ鑑賞された方の満足度が高いということですね。奄美大島へ立ち寄った際は、ぜひ訪れてみたいと改めて思いました。本日はありがとうございました。

田中一村記念美術館の基本情報

奄美パークの駐車場
▲奄美パークには240台分の無料駐車場があります

住所 〒894-0504
鹿児島県奄美市笠利町節田1834
アクセス

【車】
奄美空港から約5分
名瀬港から約55分

【バス】
奄美空港から路線バス
奄美パーク内停留所下車

駐車場 無料駐車場あり(240台)
電話番号 0997-55-2635
営業時間 9:00~18:00
(7月・8月は9:00~19:00) 
休館日 毎月第1・3水曜日(祝日の場合は翌日)
ただし、
・4月29日~5月5日
・7月21日~8月31日
・12月30日~1月3日
は開園
料金 大人:520円
高・大学生:370円
小・中学生:260円
予約 不要
公式サイト http://amamipark.com/isson/

※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です

田中一村記念美術館の前後に立ち寄れるデートスポット

田中一村記念美術館と、隣接する奄美の郷、その周辺を散策しても3~4時間で回れるため、前後に立ち寄れるデートスポットをご紹介します。

田中一村記念美術館の有川さんおすすめの観光スポットと、おすすめの奄美グルメをぜひチェックして楽しんでくださいね。

おすすめのデートスポット

ハートロック

龍郷町のビーチにあるハートロック
引用:鹿児島県龍郷町公式サイト

「ハートロック」は、田中一村記念美術館から車で西へおよそ10分の場所にあるビーチに、干潮時にのみ現れるスポットです。特に晴れているときは海水がとても澄んで、美しいハートに見えますよ。干潮時刻を予め調べてからお出かけください。

駐車場もあるので、ドライブ途中に立ち寄るのにピッタリです。

公式サイト:龍郷町ハートロック

あやまる岬

あやまる岬から見下ろしたあやまるみさき観光公園
引用:あやまるみさき観光公園公式サイト

田中一村記念美術館から車で北へ、およそ15分の場所にある「あやまる岬」は、太平洋が一望できるスポットです。こちらのすぐ近くにあるビーチは、南国リゾートの素敵なビーチだと田中一村記念美術館の有川さんがおすすめしてくださいました。

観光公園があり、ファンシーサイクルやグランドゴルフといったアクティビティが準備されていて、カフェも併設されているので、ゆっくりと遊ぶことができます。

公式サイト:あやまるみさき観光公園

ひさ倉

鶏飯ひさ倉の外観
引用:郷土料理鶏飯ひさ倉公式サイト

奄美の郷土料理「鶏飯」がいただけるお店です。田中一村記念美術館の有川さんも、奄美での食事のおすすめは鶏飯だと教えてくださいました。

こちらのひさ倉さんは、ハートロックから車で西へ5分くらいの場所にあるので、美術館からも車で15分程度で到着します。

鶏飯とは、ご飯の上にほぐした鶏肉や薬味などをのせて、その上から丸鶏からとったスープをかけて食べる料理です。パパイヤやタンカンなども具材となっていて、島の恵みがいただけます。

店内はとても広々としていて、回転も速いので、待っている人がいても順番が回ってくるのは比較的早いようですよ。

公式サイト:郷土料理鶏飯ひさ倉

まとめ:絵画も建物も美しい自然に囲まれた美術館

今回は、田中一村記念美術館を中心に、奄美の自然・歴史・文化を巡るデートをご紹介しました。田中一村記念美術館では、奄美の自然を日本画で表現した田中一村の絵画が見られます。

神童といわれながらも、生前はなかなか評価されなかった田中一村は、最期の地である奄美大島に美術館が建てられるまで評価されました。純粋に美しい絵画を楽しむのももちろん良いですが、好きなものを突き詰めながら生きた田中一村の生き様も感じられます。

絵画だけではなく、美しい建物も評価されているので、ぜひ外観も堪能してくださいね。