「高畠華宵大正ロマン館」で近代の生活文化や美意識を感じるデート｜愛媛県東温市の美術館

この記事では、愛媛県東温市にある「高畠華宵大正ロマン館」を中心としたデートを紹介します。

高畠華宵大正ロマン館は、大正〜昭和に活躍した画家である高畠華宵（たかばたけかしょう）の作品を展示する美術館です。近代のどこか艶かしい男女の絵を鑑賞できるのはもちろん、当時の服装や生活文化を読み取ることができるのも大きな魅力なんですよ。

今回は主任学芸員の高畠麻子さんに詳しく話を伺いながら、展示内容や見どころ、デートでの過ごし方をまとめました。

華宵の作品＆大正の生活文化がわかる展示「高畠華宵大正ロマン館」

高畠華宵大正ロマン館は、高畠華宵の作品がたっぷり見られる個人美術館です。カップルで顔を寄せ合い美術作品を眺めて語らうことで、相手の感じ方や考え方も伝わってくるかもしれませんね。

ではさっそく、高畠華宵大正ロマン館の展示内容について聞いていきましょう。

常設展では高畠華宵の絵画を中心に展示

▲仕事机でくつろいだ姿を見せる高畠華宵

編集部

高畠華宵大正ロマン館では、どんな作品を見ることができますか？メインで展示している作品をご紹介ください。

高畠さん

高畠華宵大正ロマン館は、大正から昭和にかけて挿絵画家として活躍した高畠華宵（1888-1966／愛媛県宇和島市出身）の個人美術館です。全盛期に華宵が描いた雑誌の表紙絵・口絵・挿絵、広告絵、便箋画、ポスター、日本画などを主に展示しています。

▲華宵による『馬賊の唄』の挿絵。凛々しくどこか色気のある青年が印象的

編集部

高畠華宵大正ロマン館を訪れた方には、どんなことを感じとってほしいと思っていらっしゃいますか？

高畠さん

大正時代は日々遠くなっていきますが、現代の私たちの生活や文化には、大正時代から受け継いでいるものがたくさんあります。

華宵作品は、絵画としての魅力に加え、たとえば大正ロマンのファッションや生活スタイルなどが細やかに描きこまれているため、当時の大衆文化を知るための手がかりとして多彩なイメージを提供してくれています。

▲和装と洋装の女性が並ぶ。大正時代、お洒落な女性はショートヘアを楽しんだ

▲モダンな柄の和装の女性と、まさに「モガ」という言葉がぴったりな先進的な女性が描かれる

そして、そこに描かれた美意識は、現代の私たちがどこかに置き去りにしてしまったかも知れない細やかな心配りや美しさに満ちています。逆に言えば、大正時代のイマジュリィ（イメージ）は、日本人が大切にしてきた繊細な感性とこだわりを教えてくれます。

現代の漫画やアニメ、演劇やアート作品の中には、華宵世界の影響を受けたものがたくさんあります。近代日本のサブカルチャーの源泉のひとつは、間違いなく華宵世界から始まっていると言えますね。

華宵作品に描かれ、時代性や現代まで受け継がれている「美意識」をぜひご覧ください。

高畠さんのお気に入り「移り行く姿」の複製が見られる

▲真ん中にあるのが「移り行く姿」。彩りも美しく、見ていて飽きない

編集部

高畠華宵大正ロマン館の展示のうち、高畠さんが特に好きなものを教えてください。

高畠さん

高畠華宵の代表作に、《移り行く姿》という六曲一双の屏風があります。実物は個人像のため美術館で見ることは叶いませんが、当館には所蔵者の承諾を得て制作した複製があります。

《移り行く姿》は、明治・大正・昭和の女性の風俗の移り変わりを描いたものです。明治時代の鹿鳴館スタイル、海老茶袴のハイカラさん、大正の女学生やモダンガール、昭和になるとダンサーやカフェの女給など働く女性も見られます。全部で60名の女性が、春夏秋冬の季節の移り変わりを背景に描かれているんです。

▲見応えがあるので、椅子に腰掛けながらゆっくり鑑賞してみて

この作品は、高畠華宵が大正から昭和初期に広告絵を描いた製薬会社（津村順天堂）の二代目社長の婚礼祝いに描かれたもので、花嫁さんの姿も見られます。

華宵の女性風俗への関心と観察力、そして見事な筆力が遺憾なく発揮された、とても見応えのある作品です。

企画展・特別展も豊富！季節ごとに違った展示が見られる

編集部

高畠華宵大正ロマン館では、常設展に加えて企画展や特別展も開催されますか？

高畠さん

3か月に1度、展覧会（コレクション・テーマ展）を開催していますので、季節ごとに違った華宵作品が楽しめます。コレクション・テーマ展では、様々なテーマを設定して華宵の作品世界や大正文化を紹介しており、華宵作品に加えて、大正時代の生活文化資料（双六、食器、家具、写真など）も併せて展示しています。

これまでは、以下のような展覧会を開催しました。

今後も、高畠華宵の作品世界と大正時代が身近に感じられるよう、そして華宵から現代のサブカルチャーへとつながる水脈を追って、個性的な展覧会を企画していきます。

また、1年に1〜2度は特別展を開催しており、特別展では、高畠華宵や大正ロマンに関連する画家（現代アーティストを含む）の作品を展示します。

これまでの特別展としては、以下のように、華宵と同時代の画家や現代作家とのコラボレーション展覧会を多数開催しました。

>>展覧会についてはこちらから（公式サイト）

華宵作品を通して大正時代を感じられるのが高畠華宵大正ロマン館の魅力

編集部

高畠さんは、高畠華宵大正ロマン館ならではの魅力はどんなところにあるとお考えですか？

高畠さん

高畠華宵大正ロマン館は、日本で唯一の高畠華宵の個人美術館です。華宵の親族が運営しているため、家族に宛てた手紙や写真など、華宵の人間性に触れることができる資料も常時展示しています。

また、大正時代の雑誌や生活資料は、第二次世界大戦を挟んで多くが失われています。特に挿絵原画はほとんど残っていません。

当館が所蔵する華宵作品や大正時代（1920-30年代）のイマジュリィ（イメージ・図版）は、約100年前の日本の社会、大衆文化の諸相を伝えるものとして、非常に意義深いものだと考えています。

大正時代の繊細で細やかな美意識を華宵作品を通して感じてください。

美術館は山里にあるため、とても自然が豊かです。日常の喧騒を離れ、一歩美術館内に入ると、大正ロマンの優美な世界を感じていただけると思います。非日常的な空間をお楽しみいただけますよ。

高畠華宵大正ロマン館のデートでの楽しみ方

ここまでは高畠華宵大正ロマン館の展示内容や見どころについて聞いてきましたが、ここからはデートでの楽しみ方について聞いてみましょう。

コンサートや朗読などのイベントも開催される

編集部

高畠華宵大正ロマン館には、何かカップルで体験できることはありますか？

高畠さん

高畠華宵大正ロマン館の建物は、華宵が愛してしばしば描いた「薔薇の花」の形をモティーフにしています。薔薇の花芯にあたるドームの下はとても音響がよく、不定期ですが、コンサートや朗読などのイベントを開催しています。

またアクセサリー作りなどのワークショップも開催しています。展覧会の内容に沿ったイベントもありますので、定期的にチェックしてみてください。

館内は写真撮影OK！記念撮影をしよう

編集部

高畠華宵大正ロマン館の館内や館外には、撮影可能な場所はありますか？

高畠さん

館内は、展示室も含めて全て撮影可能です（フラッシュはご遠慮いただいています）。作品に触ったり、他の来館者への迷惑にならないようご配慮の上、撮影をお願いします。

展示室内には休憩用の椅子を設置しており、座ってぼーっとするのもリフレッシュになりますよ。

▲椅子が備え付けられた展示室。周りの迷惑にならない程度に感想を語るのもよさそう

また館内には、喫茶「カフェカショー」という小さいカフェがあります。美術館の隣の池に面した水辺の喫茶です。とても気持ちの良い空間ですので、ごゆっくりお過ごしいただけますよ。

水辺のカフェでゆったりとした時間が過ごせる

編集部

カフェカショーについて、もう少し詳しく教えてください。

高畠さん

「カフェカショー」では、食事はできませんが、ミントンやウエッジウッドなど世界の名陶と言われる食器を使って、お飲み物をお出しします。ちょっとリッチな気持ちになりますよ。

喫茶においてあるアート関連の画集や図録はご自由にご覧いただけますので、ゆっくりとした贅沢な時間をお楽しみください。

ミュージアムショップで買える華宵のオリジナルグッズをお土産に

編集部

高畠華宵大正ロマン館では、デートの記念品やお土産を買うことはできますか？

高畠さん

ミュージアムショップがあり、高畠華宵のオリジナルグッズ（ポストカード、メモ帳、トートバッグ、ブローチ、書籍、しおり、など）や関連するアートグッズを販売しています。

特に華宵グッズはここでしか販売していないものですので、思い出に購入される方が多いですよ。

スクロールでミュージアムショップの様子が見られます→

高畠華宵大正ロマン館周辺のデートスポット

編集部

高畠華宵大正ロマン館の前後にあわせて訪れたいデートスポットがあれば教えてください。

高畠さん

高畠華宵大正ロマン館がある東温市は、とても自然が豊かな場所です。展覧会をご覧になった後はカフェでちょっと一息ついて、その後はドライブで自然を楽しんではいかがでしょうか？

「滑川渓谷」「白猪の滝」「白糸の滝」など、自然の美しい場所がたくさんあります。歩きやすい靴がおすすめです。

あるいは、東温市内には美味しいイタリアンレストランがたくさんあります。地元の野菜やジビエ料理を出すお店もありますので、東温市のグルメもお楽しみください。

高畠華宵大正ロマン館からのメッセージ

編集部

デートで高畠華宵大正ロマン館を訪れたいと考えているカップルに、メッセージをお願いします。

高畠さん

大切な人と特別な時間を共有する、というのはとても大事なことですよね。それが日常生活の延長の場ではなく、美術館という非日常的な空間でのことであればなおさら、二人の記憶にとって大事な時間になると思います。

一緒に絵を見て、大正ロマンの世界に思いを馳せ、感想を述べあう時間を通して「お互いをさらに知る」「新しい感性を発見する」ことができ、大正ロマン館で素敵な時間を過ごしていただけると思っています。ここが二人の思い出の場所になると嬉しいです。

編集部

二人で同じものを見ても、似た感想もあれば、異なる感じ方も出てきますよね。相手の新たな一面や新鮮なものの見方に気づくことができそうです。

高畠華宵の美しい作品を見るのもまた、カップルにとって感性を養う特別な時間になりそうですね。

今日はお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。

高畠華宵大正ロマン館の口コミ

高畠華宵大正ロマン館でのデートの参考になるよう、訪れた方から聞かれた感想をまとめてみました。

高畠華宵の作品そのものや、美術館の非日常的な空間性を気に入った方が多いようでした。どこか懐かしくもセンスがよく、お洒落さを感じる作品に目を見張ったという声もありましたよ。

高畠華宵大正ロマン館の料金・混雑しない日時

高畠華宵大正ロマン館は、隠れ家的な場所にあることもあり、とても混雑することはあまりないそうです。ただし、イベント開催中は混み合う傾向があるようなので、訪れる際はご注意くださいね。平均所要時間は30〜60分だそうです。

料金（常設展）

大人	500円
中高生・高齢者（65歳以上） 障害者手帳をお持ちの方	400円

なお、特別展の料金はその都度設定されるようなので、公式サイトやSNSで情報を確認しましょう。

高畠華宵大正ロマン館の基本情報（アクセス・開館時間）

住所	〒791-0222 愛媛県東温市下林丙654-1
連絡先	089-964-7077
アクセス	松山自動車道「川内」インターを出て、松山方面・国道11号線へ進む →最初の信号を左折 →左手に見える大正ロマン館の看板の交差点を左折すると到着
営業時間・開館日	【営業時間】 11:00〜17:00​ ※入館締切は30分前 【開館日】 毎週土曜日・日曜日 ※平日は予約開館応相談（人数・曜日による）
駐車場	あり
公式URL	https://www.kashomuseum.org/home

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