【平泉デート】世界遺産の金色堂と浄土庭園で写真映えする歴史散策
今回ご紹介するのは、平泉観光協会の事務局長・山平(やまだいら)さんにお尋ねした情報を元に作成した、岩手県平泉町の定番撮影スポットを巡る“映え”デートプランです。
奥州藤原氏が仏教文化を中心とする都市を築いた平泉では、今なお残る建造物や庭園を通して、その理想の風景を感じることができます。
ぜひ静かな心でカメラを向けながら、カップルで心穏やかな時間を過ごしてみてください。
平泉町の歴史スポットを巡る撮影デートコース
平泉は、奥州藤原氏が中尊寺・仏教文化を中心に壮大な都市を建設した地として知られており、片道3キロ四方の中に5カ所の世界遺産(※)が点在しています。
(※)「平泉〜仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群〜」として世界遺産に登録。中尊寺、毛越寺、観自在王院跡、無量光院跡、金鶏山の5つの資産で構成される
JR平泉駅から徒歩圏内に主要なスポットが集中しているため、駅前にあるレンタサイクル店などを利用して観光する人が多いそうですよ。土日祝日には、名所に停まる巡回バス「るんるん」も運行しています。
公式サイト:岩手県交通株式会社(平泉町巡回バス『るんるん』)
▲平泉を代表する中尊寺と毛越寺の間にある金鶏山は、まちづくりの基準だったとされる
平泉町に着いたら、まずは「岩手県立平泉世界遺産ガイダンスセンター」や「平泉文化遺産センター」を訪れて、平泉の歴史について理解を深めるのがおすすめです。
各センターの利用者の口コミの中には、「中尊寺に行く前に来ればよかった!」と、先に立ち寄らなかったことを後悔している声もありましたよ。
その後、浄土庭園で有名な「毛越寺(もうつうじ)」へ向かいます。理想郷を表現したとされる広大な庭園では、心安らぐ写真を撮ることができるでしょう。
▲約300種3万株の花菖蒲が咲き誇る「毛越寺あやめまつり」の様子
お昼は一度JR平泉駅へ戻ります。駅周辺には、オシャレで独創的なメニューが人気の洋食店「SATO」や、名物の「平泉わんこそば」を味わえるお店があり、ランチにおすすめです。
午後は、メインとなる中尊寺(ちゅうそんじ)へ向かいましょう。歴史を超えて輝き続ける金色堂(こんじきどう)はもちろん、紅葉シーズンのライトアップ「紅葉銀河」も、写真映えするイベントとしておすすめです。
また、少し離れた位置にある「達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわや・びしゃもんどう)」は、岩窟にお堂の一部が入り込んだ、人気のフォトスポットです。スケジュールに余裕があれば、ぜひ訪れてみてください。
▲達谷窟毘沙門堂は、海外からの観光客にも人気のフォトスポットだという
それでは各スポットの詳細について、順に見ていきましょう。
おすすめ“映え”スポット1「中尊寺」
中尊寺(ちゅうそんじ)は、特に金色堂(こんじきどう)で有名な、平泉を代表する寺院です。嘉祥3年(850年)に開かれ、12世紀初頭には奥州藤原氏の初代・清衡(きよひら)公によって、さまざまな堂塔が造営されました。
金色堂は内外に金箔が施されていることから「皆金色(かいこんじき)」と称されており、シルクロードを通して渡ってきた夜光貝や象牙、宝石などが散りばめられています。
特にカップルにおすすめのイベントは、紅葉シーズンの参道ライトアップ「紅葉銀河」です。臨時のカフェなども出店するので、体を温めながら見学することができますよ。
真っ暗な中のライトアップはもちろん、まだ青空が残る午後5時ごろまでの時間帯の景色もおすすめです。
「紅葉銀河」の中でも人気のスポットは、御堂の周りを池が囲む「弁財天堂」です。ライトアップによって池面に映るのは何か……。ぜひ実際に来て確かめてみてください。
中尊寺周辺で立ち寄りたい歴史スポット
平泉は中尊寺の周辺を中心にさまざまな観光スポットが集中しているため、徒歩での散策にも適しています。代表的なおすすめスポットをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
世界遺産の魅力を学ぶ:ガイダンスセンターと文化遺産センター
「平泉世界遺産ガイダンスセンター」と「平泉文化遺産センター」は、世界遺産をはじめとする「平泉の文化遺産」の価値や特徴を分かりやすく紹介している施設です。
平泉の地がどのような経緯で世界遺産になったのかを含めて、歴史について学んでから観光をすると、各スポットの見ごたえが増すことでしょう。
公式サイト:平泉世界遺産ガイダンスセンター
公式サイト:平泉町(平泉文化遺産センター)
源義経ゆかりの地:高館義経堂の見どころ
「高館義経堂(たかだちぎけいどう)」は、源義経(みなもとのよしつね)公最期の地と言われる丘陵・高館に建てられたお堂です。堂内には、創建時に製作されたとされる義経の像が本尊として祀られています。
高館義経堂は見晴らしが良く、東に北上川や束稲山(東山)を望むことができます。芭蕉(ばしょう)が句を読んだ地としても知られていますよ。
公式サイト:高館義経堂
地元食材にこだわる「総本店 泉橋庵」のうなぎ料理
「総本店 泉橋庵」は、岩手産・三陸産の食材にこだわった、本格的なうなぎ料理を提供するお店です。高級感のある和風の店内で、贅沢なランチはいかがでしょうか。
また、中尊寺の第一駐車場内にある泉橋庵の支店では、平泉名物の盛出し式わんこそばを食べることができます。
参考サイト:ヒライズミーツ(総本店 泉橋庵)
中尊寺への行き方と基本情報
住所 | 岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202 |
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電話番号 | 0191-46-2211 |
最寄り駅 アクセス |
【公共交通】 |
拝観時間 | 【3月1日~11月3日】8:30~17:00 【11月4日~2月末】8:30~18:30 ※次の場所は拝観券が必要。讃衡蔵、金色堂、経蔵、旧覆堂 |
「紅葉銀河」 開催期間 |
2022年は10月29日~11月13日 |
定休日 | なし |
公式サイト | https://www.chusonji.or.jp/ |
おすすめ“映え”スポット2「毛越寺」
▲毛越寺の広大な浄土庭園
毛越寺(もうつうじ)は、国の特別史跡・特別名勝の二重の指定を受けている、浄土庭園や平安時代の伽藍(※)遺構を有する寺院です。平成元年には、平安様式の新本堂が建立されています。
(※)がらん:寺院のこと
▲朱色が美しい、毛越寺の本堂
浄土庭園は、仏堂と池が一体となって配置されている庭園です。塔山(とうやま)と呼ばれる小山を背景として広々とした空間が広がっており、枯山水風の石組みなどによって自然の景観が表現されています。
作られてから約900年経ったいまでも美しい景観を保っており、日本最古の作庭書「作庭記」の考え方や技術を伝える貴重な庭園として注目されています。
また、例年6月20日から7月10日にかけて開催される「毛越寺あやめまつり」では、大泉が池周辺の花菖蒲園に約300種3万株の花菖蒲が咲き誇ります。
浄土庭園の中心となる大泉が池には、無風のときには周辺の御堂や樹木などが池面に反射して映り、見事な風景を見ることができます。
毛越寺周辺で訪れたい歴史スポット
毛越寺はJR平泉駅にも近く、周辺には観光スポットや飲食店が充実しています。スケジュールに余裕があれば、ぜひ一緒に立ち寄ってみてください。
浄土庭園の遺構:観自在王院跡の魅力
「観自在王院跡(かんじざいおういんあと)」は、奥州藤原氏の二代・基衡(もとひら)公の妻が建立したと伝わる寺院跡です。
寺院は残っていない一方で、極楽浄土を表現したと考えられる浄土庭園の遺構はほとんど完全な状態で残っており、こちらも毛越寺と同じく、日本最古の庭園書「作庭記」に準じているとされています。
参考サイト:平泉観光協会(観自在王院跡)
金鶏山へ沈む夕日が見事:無量光院跡の見どころ
「無量光院跡(むりょうこういんあと)」は、奥州藤原氏の三代・秀衡(ひでひら)公が宇治平等院の鳳凰堂(ほうおうどう)を模して建立したとされる寺院跡です。
さまざまな調査によって、建物の中心は西にある金鶏山の山頂と重なっていたと推測されており、その稜線に夕日が沈む様子はまさに理想郷の光景だったと考えられています。
参考サイト:平泉観光協会(無量光院跡)
駅近で楽しむ平泉名物:わんこそばのおすすめ店
平泉の名物である「平泉わんこそば」は、給仕が付かない「盛出し式」が特徴です。御膳に用意されたそばを、自分のペースでゆったりと食べることができます。
とろろ、なめこおろし、山菜や各種の薬味をさまざまに加えながら、一口で一杯ずつ食べていくのが楽しいですよ。豪華さと素朴さを同時に味わえる、特別な一品です。
公式サイト:芭蕉館
公式サイト:駅前芭蕉館
地元農家のこだわり:KOZENJI cafeのブルーベリージェラート
「KOZENJI cafe(こぜんじカフェ)」は、ブルーベリー農家が運営する、ブルーベリージェラート専門店です。
ミルクとの相性の良さを生かした「ブルーベリーミルク」や「ブルーベリークリームチーズ」など、常時5種類ほどのメニューを展開しています。
専門の職人が店内で焼き上げる、サクサクのワッフルコーンと一緒にいただきましょう。
公式サイト:KOZENJI cafe
毛越寺への行き方と基本情報
住所 | 岩手県西磐井郡平泉町平泉字大沢58 |
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電話番号 | 0191-46-2331 |
最寄り駅 アクセス |
【公共交通】 JR「平泉駅」から徒歩約7分 |
拝観時間 | 8:30〜17:00 ※11月5日~3月4日は8:30〜16:30 |
定休日 | なし |
公式サイト | https://www.motsuji.or.jp/ |
おすすめ“映え”スポット3「達谷窟毘沙門堂」
達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわや・びしゃもんどう)は、岩窟に半分埋まったような姿が印象的なお堂です。境内の全域が国の史跡に指定されています。
中に入ると、壁面の一部は岩肌をそのまま使用しており、迫力がありますよ。
また、毘沙門堂の西側にある崖には、高さ約16.5メートルの大きな磨崖佛(※)が刻まれており、こちらも見どころとなっています。国内でも屈指の大像で、「北限の磨崖佛」とも呼ばれています。
(※)まがいぶつ:自然の崖や大きな石に仏像を彫刻したもの
達谷窟毘沙門堂への行き方と基本情報
住所 | 岩手県平泉町平泉字北沢16 |
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電話番号 | 0191-46-4931 |
最寄り駅 アクセス |
【公共交通】 JR「平泉駅」からタクシーで約10分 |
開門時間 | 【3月1日~11月5日】8:00~17:00 【11月6日~2月28日】8:00~16:30 |
定休日 | なし |
公式サイト | https://iwayabetto.com/ |
食べる“映え”スポット「SATO」
「SATO」はJR平泉駅の駅前広場にある、食事と喫茶のお店です。地元の新鮮な食材やこだわりの器を使っており、地域でも美味しくてオシャレなお店として評判です。
SATOの名物として親しまれているのが「特製ロールキャベツ定食」です。自家製のサワークリームを使用して、濃厚な旨みを感じられるのにさっぱりとした後味に仕上がっています。単品のテイクアウトも可能ですよ。
▲一番人気の「特製ロールキャベツ定食」をはじめとする、シンプルでオシャレなメニューが並ぶ(引用:SATO公式インスタグラム)
またその日ごとの新鮮な素材を調理した「海定食」や「山定食」、さらに「ふきのとう」や「ごぼう」を使用したスイーツなど、独創性の高いメニューを提供しているのも魅力です。
駅前の便利な立地で、席数も限られているため、旅程が決まっている場合は予約しておくのがおすすめです。
▲食器の個展なども開催される、SATOのオシャレな店内(引用:SATO公式インスタグラム)
SATOへの行き方と基本情報
住所 | 岩手県西磐井郡平泉町平泉字泉屋73-4 |
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電話番号 | 0191-48-5011 |
最寄り駅 アクセス |
【公共交通】 |
営業時間 | 11:30~17:30 (食事のL.O.14:30、喫茶のL.O.17:00) ※冬季営業時(12月~2月)11:30~16:00 |
定休日 | 月・火曜日 (祝日は営業) |
公式サイト | https://www.sato2015.com/ |
取材協力:平泉観光協会(https://hiraizumi.or.jp/)