天然砥石館でプロの刃物研ぎの技を学びながら1日中楽しめるデート|京都府亀岡市

今回ご紹介するのは、京都府亀岡市の「天然砥石館」を訪ねて、世界各地で産する砥石を見学しながら、日本の歴史・文化とも切り離せない天然砥石の世界を体感するデートプランです。

「森のステーションかめおか(亀岡市交流会館)」内に位置していて、二人で一日のんびりと過ごすのにもおすすめ。いつもと趣向を変えた週末を楽しみたい、緑豊かな京都の奥座敷の雰囲気を味わいたいと考えるカップルにも、ぴったりのデートスポットになってくれると思います。

今回は、そんな天然砥石館の特徴や見どころ、デートでの楽しみ方などについて、館長の上野さんにお話しを伺いました。 

満足度が高い天然砥石館の展示と体験コース

森のステーションかめおか(亀岡市交流会館)内の「天然砥石館」入口付近

良質な天然砥石の鉱脈が走る京都・亀岡に位置する天然砥石館は、世界でも類のない天然砥石にフォーカスした体験型博物館。業界でも最高級とされる天然砥石が常設展示されており、刃物研ぎや砥石製作の体験コースも用意されていますよ。

ここからは、そんな天然砥石館について、具体的に見ていきましょう。

見応えたっぷりの常設展!世界各地で産出した天然砥石の数々

編集部

初めて伺いましたが、天然砥石館が入っている「森のステーションかめおか(亀岡市交流会館)」の外観と周りの風景は、まるで米国北東部のプライベートスクールのようで、かなり感動しました。

最初に、天然砥石館の概要や、おもな展示(常設展)の内容についてお聞かせください。

上野さん

天然砥石館は、こちら京都・亀岡市産の天然砥石のほか、日本全国・世界各地の天然砥石を常設展示している体験型の博物館です。かなり珍しい天然砥石も多く展示しています。天然砥石とは、天然の岩石で作った刃物を研ぐ砥石のことです。

「天然砥石館」内部で世界中の天然砥石が常設展示される様子(その1)
▲圧巻!日本国内だけではなく、世界各地で産する天然砥石が常設展示されている

展示品を見ていただくだけでなく、体験コーナーも常設しておりまして、試していただく天然砥石も200個ほど取り揃えています。刃物研ぎの初心者から上級者の方まで、どなたでも気兼ねなくお楽しみいただける施設ですよ。

なお、企画展示(特別展)はありません。

「天然砥石館」内部の体験コーナー
▲体験コーナーでは、200種類ほどの天然砥石を試せる

編集部

上野さんが特にお好きな展示や、コレクションがありましたら、ぜひ教えてください。

上野さん

昔の職人が手作業で整形した跡が残っている砥石も多く展示されています。先人の苦労が偲ばれるような砥石は眺めても感慨深く、そういったものは特に好きですね。

編集部

来館者にはどんなことを感じ取り、学んでほしいと思われますか。

上野さん

ぜひ、日本の先人の息吹を感じ取ってほしいと思います。現代ではあまり知れらていない天然砥石ですが、深い深い世界を覗き見てください。

「天然砥石館」の館長・上野さん(その1)
▲今回インタビュー取材を受けていただいた館長の上野さん。研ぎ上がりに会心の笑み

そもそも、日本列島の天然砥石の歴史は大変古く、旧石器時代には、すでに磨製石器を研ぐために天然の岩石が使われていたことが分かっています。天然砥石は、日本の文明・文化を支えてきた重要な道具のひとつでした。

ところが、近代以降には、安価で性能のよい人造砥石が開発されたことで、天然砥石の使用は急速に衰退してしまいます。天然砥石館には、失われつつある天然砥石文化を後世に伝える役目もあるんですよ。

プロの技を二人で体感しよう!3つの体験コースを常時開催

「天然砥石館」内部の体験コーナーで包丁研ぎ講習を受ける見学者の皆さん
▲包丁研ぎ講習を受ける見学者の皆さん。ピンと張り詰めた静寂な空気感!

編集部

先に触れられましたが、来館者が天然砥石館で体験できるコースについて、ご紹介をお願いします。

上野さん

開館日(毎週木~日曜日)には、基本的に午前・午後の2コマ、各回定員5名で、以下のようにA・B・C3つの体験コースをご用意していますよ。

A・セルフ研ぎコース

備え付けの体験用天然砥石(200個ほど)を自由に使って、お好きな本数の刃物を研いでいただけます。所要30分~の経験者向けセルフサービスで、レクチャーなしです(参加料は一人500円)。

B・チャレンジ包丁研ぎ講習コース

刃物研ぎの未経験者から中級者まで、丁寧に指導します。所要60~180分程度で、研ぐ刃物を何本か持参されるのがおすすめです(参加料は一人2,000円)。

C・砥石製作DIYコース

天然砥石のコッパ(※1)を使えるように自分で面出しし、お持ち帰り。所要20~40分程度で、必要ならば台座の木製板に固定することも可能(参加料は一人1,500円~)。
(※1)木っ端とも書く。原石を切り出す際に出た切れ端を加工したもの。規格品より価格が安く、品質は同じなので、コストパフォーマンスに優れる。

融通は利きますので、ご要望があればお電話で照会いただくと良いと思います。

研ぐ刃物を持参され、いろいろな産地の天然砥石を試してみたり、包丁研ぎの講習を通して、研ぎの基本をマスターしたりする方も多いですよ。

なお、体験コースに参加を希望される場合は、事前にお電話でのご予約をお願いしています(電話:050-3700-1014)

世界のプロが知っている天然砥石館の渋い魅力

「天然砥石館」内部で世界中の天然砥石が常設展示される様子(その2)
▲何とも渋い魅力!日本が世界に誇る天然仕上げ砥石の数々

編集部

天然砥石館がほかの類似施設と差別化できる部分や、魅力と思われる部分を教えてください。

上野さん

世界各地の天然砥石が常設展示されていて、しかも実際に使える博物館は、世界広しと言えど極めて貴重だと思います。天然砥石の販売もしていますので、お気に入りの砥石が見付かったら、どうぞ手に入れてください。

天然砥石については、恐らくほとんどの方が知らない世界でしょう。それでも、海外から天然砥石館を目当てに来日される方もいるんですよ。その道のプロには、天然砥石館は世界的に知られています。

知る人ぞ知る天然砥石館でのデートの楽しみ方

「天然砥石館」内部の顕微鏡が揃えられた一角

ここまでは、天然砥石館の特徴や見どころなど、観光で訪れた際の魅力を中心に伺ってきました。ここからは、デートの一環で見学・体験に訪れる場合に特化して、お話を聞いてみましょう。

不定期開催されるワークショップは要チェック

編集部

天然砥石館では、カップルで楽しめるようなイベントや、ワークショップを開催されていますでしょうか?

上野さん

不定期ですが、時々ワークショップを開催しています。具体的には、「火造り小刀製作」や「ペーパーナイフ製作」、「虫入りコパル(コーパル)(※2)磨き」、「金属鏡の製作」などのワークショップを過去に催しました。

(※2)樹脂が半化石化したもので、さらに時を経たものが琥珀(こはく・アンバー)となる。爽やかでスパイシーな芳香を持ち、虫入りは重用される。

「天然砥石館」で不定期開催されるワークショップの様子(ペーパーナイフ製作)
▲不定期開催されるワークショップの様子。こちらは、ペーパーナイフの製作

「天然砥石館」で不定期開催されるワークショップの様子(金属鏡の製作)
▲金属鏡の製作を行うワークショップの様子。カップルでも楽しめそう!

ワークショップの具体的な日程や内容については、決まり次第ですが、公式サイト・トップページで告知します。ご興味があれば、時折チェックしてみてくださいね。

>>公式サイト・トップページ

ミュージアムショップのお土産は全国各地の天然砥石

編集部

天然砥石館には、一種のミュージアムショップがあるとお聞きしています。簡単にご紹介ください。

上野さん

京都産を中心に、いろいろな種類の天然砥石を販売していますよ。京都・亀岡産の丹波青砥や、京都産出の合砥(天然仕上砥)なども取り扱い中です。価格は、1,500円程度から数十万円に至るものまであります。

「天然砥石館」内部の天然砥石販売コーナーの様子(ミュージアムショップ)
▲天然砥石館のミュージアムショップと言うべき「天然砥石販売コーナー」。1,500円くらいから購入できる

現在、国内の砥石を産出する鉱山は、すでにほとんどが閉山してしまいました。在庫品は、ますます貴重なものになっているんですよ。魅力に気付かれたら、ぜひ天然砥石をお土産にお求めください。天然砥石のため在庫はそれぞれ一点限りです。

デートでご来館の際に買い損ねたら、オンラインストアを覗いてみるのもありですね(笑)。

>>公式サイト「オンラインストア」ページ

カップルで一日のんびりと過ごせるアットホームな館内

編集部

館内でカップルがゆっくり過ごせる、おすすめのスポットなどはありますか?

上野さん

天然砥石館の館内は、全体的にのんびりとしており、アットホームに過ごしていただけると思います。リピーターさんの中には、お弁当を持って来られ、一日ゆっくり過ごされる方もいるんですよ。

「天然砥石館」内部で世界中の天然砥石が常設展示される様子(その3)
▲何とも渋い魅力!日本の文明・文化を支えきた天然砥石の数々

編集部

ちなみに、上野さんからご覧になって、カップルで来館する方の割合はどの程度でしょうか。

上野さん

1割はいかないと思います。それでも、老若男女さまざまな皆さんにご来館いただいているので、どなたでも大丈夫ですよ。ご心配は要りません(笑)。

天然砥石館周辺のデートスポット

「天然砥石館」が入る「亀岡市交流会館」の遠景
▲緑豊かな周辺環境。これも京都のもう一つの顔

編集部

天然砥石館を訪ねる前後に立ち寄れる、おすすめのデートスポットが近隣にありましたら、ぜひ教えてください。

上野さん

当館が入っている「森のステーションかめおか(亀岡市交流会館)」内のスポーツクライミングジム「カメロックス」で、話題のボルダリング(ロープを使わないフリークライミング)を経験できますよ。

スポーツクライミングジム「カメロックス」内部の様子
▲同じ建物内にある「カメロックス」では、話題のボルダリングを体験できる

>>亀岡市役所「亀岡市交流会館 スポーツクライミング施設」

また、敷地内の薬草庭園には、宿泊も可能な「鳥の巣ロッジ」があるんです。BBQに必要な備品はすべて無料レンタルできますし、夜になれば満天の星を眺められます。当館と組み合わせて、お二人でいろいろ楽しまれてはいかがでしょうか。

「鳥の巣ロッジ」の宿泊も可能なテントとロッジの外観
▲宿泊も可能なテントとロッジがある薬草庭園内の「鳥の巣ロッジ」

>>亀岡市役所「亀岡市交流会館 宿泊施設ページ」

あと、車で10分くらいのところには、京の奥座敷と言われる「湯の花温泉」があります。戦国の武将たちが戦(いくさ)の傷を癒したとの伝説も残る、静かな山間の古い温泉郷です。天然ラジウム温泉や、お食事をゆったり楽しみたいカップルには、おすすめできますよ。

>>湯の花温泉観光旅館協同組合

編集部

温泉や天体観測…!ぜひ宿泊して楽しんでみたいと思います。

敷地内に、ランチができる場所はありますか?

上野さん

お昼時には、同じ建物内に「チョロギ村 薬膳レストラン おうち薬膳忘れな」があります。旬の地元食材をふんだんに使った、健康的な家庭薬膳料理をランチに味わってみてください。お客さまからの評判もいいようですよ。

「チョロギ村 薬膳レストラン おうち薬膳忘れな」内部の様子
▲ヘルシーな薬膳家庭料理をランチに!ウッディな空間が心地よい「おうち薬膳忘れな」

>>四季を楽しむ薬膳レストラン おうち薬膳忘れな

天然砥石館からのメッセージ

「天然砥石館」の館長・上野さん(その2)

編集部

デートの一環で天然砥石館を訪れることを検討しているカップルに向けて、メッセージがあればお願いします。

上野さん

美味しい料理は、よく切れる包丁があってこそのものですよね。キャンプに行っても、刃物の切れが悪ければがっかりでしょう。刃物を自分で研ぐことができれば、楽しいこと以外は思い付きません。

仮に、体験コースに参加されたとして、3本ほど刃物を持参してしっかり研ぎ方を覚えようとすれば、2時間くらいはアッと言う間に過ぎてしまいます。ほかに類を見ない珍しい博物館ですので、お二人でぜひ堪能してください。

「天然砥石館」内部の体験コーナーで包丁研ぎ講習を受ける見学者さん
▲真剣に包丁研ぎ講習を受けると、気が付くと2~3時間はすぐに経ってしまう

編集部

名店・老舗の板前さんほど包丁にはこだわりますし、研ぎには心血を注がれるようですね。たしかに天然砥石は、和の繊細な文化を支えるベースになっている、重要ツールの一つなのだと感じました。

上野さん、本日はお忙しい合間にお時間を作っていただき、どうもありがとうございました。

天然砥石館の口コミ・感想をチェック!

「天然砥石館」が入る「亀岡市交流会館」の正面外観(遠景)
▲晩秋の「天然砥石館」が入る「亀岡市交流会館」。米国北東部のプライベートスクールのような光景!

ここまで天然砥石館について、さまざまな魅力を伺ってきました。実際に天然砥石館を訪れた皆さんの口コミや、感想についてもチェックしてみましょう。

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砥ぎ講習を目的に行きましたが、常設展示の充実振りにも驚きました。もっと宣伝してもいいのにと思います。
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みっちり講習を受けられ、マイ包丁は何本でも持ち込みOK。それぞれの包丁の状態に応じた対応を教えていただけます。
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研ぎ講習を受けました。持参の包丁がここまで切れるようになるとは想定外でした。

全般的に高い評価が目立ちます。天然砥石にこんなにもたくさんの種類があるとは知らなかった、という声も多いです。研ぎ講習を受けると、時間が経つのも忘れて没頭し、大いに満足して帰られるようでした。

刃物研ぎ初心者のカップルが訪れても、充実したひと時を過ごせそうに感じます。

天然砥石館の料金・予約・混雑しない日時

入館料 無料
【体験コース参加時のみ費用負担あり】
(A)セルフ研ぎ(経験者向け):一人500円/中学生以下300円
(B)包丁研ぎ講習:一人2,000円
(C)砥石製作DIY:一人1,500円~(※砥石のサイズにより異なります)
予約 不要
【体験コース参加時のみ必要】
要電話予約:050-3700-1014
比較的混雑しない日時 一定していない
平均滞在時間 (常設展示を見学のみ)30~60分程度
(体験コースにも参加)30~120分程度

※金額はすべて税込表示です。

天然砥石館の基本情報(アクセス・営業時間など)

住所 〒621-0242
京都府亀岡市宮前町神前長野15
※森のステーションかめおか(亀岡市交流会館)内
連絡先 (電話)050-3700-1014
(Web)公式サイト「お問い合わせ」ページ
アクセス

【車】
・千代川ICから約4分
※カーナビは、「亀岡市交流会館」もしくは電話番号「0771-26-5001」で目的地を設定
【公共交通機関】
・JR千代川駅から京阪京都交通バス「亀岡市交流会館前」で下車

駐車場 無料駐車場あり
※普通車約30台分
開館時間 10:00~16:00
※毎週木~日曜日に開館
休館日 ・毎週月~水曜日
・年末年始(12/29〜1/3)
公式サイト https://www.tennentoishikan.com/

※最新の情報は公式サイト等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です。