倶知安風土館を中心に倶知安の歴史と自然を発見するデート|北海道の博物館

この記事では、北海道虻田郡倶知安(くっちゃん)町にある博物館「倶知安風土館」をメインに、北海道の歴史や自然、温泉を楽しむデートプランをご紹介します。

倶知安風土館では、倶知安の歴史や周囲の自然に関する展示やイベントが盛りだくさん。リゾートとして有名な倶知安が、どのような環境で、どのように発展してきたのかを知ることができます。

地域の歴史と周囲の自然に触れ、温泉に浸ってゆったり過ごす、そんなリラックスデートはいかがでしょうか?

倶知安をはじめ、ニセコ観光圏でのデートを検討しているカップルは、次回のデートの参考にしてみてくださいね。

こんなカップルにおすすめ!
向いてる年代:20歳〜59歳
おすすめカップル:北海道を観光したい、歴史好き、温泉好き、温泉好き
どんなデート?:学ぶ、体験する、歴史、自然に触れる

概要:倶知安についてより深く知れるのんびりデート

リゾートエリアとして有名な倶知安周辺では、デートスポットに事欠かないでしょう。思う存分アクティビティを楽しむのもありですが、時には地域そのものに目を向けてみるのもおもしろいですよ。

今回のデートのメイン
倶知安風土館
周辺のデートスポット
・小川原脩記念美術館
・ふきだし公園
・京極温泉
・各地の温泉施設
ランチにおすすめのお店
・雪庭(ホテル第一会館内のレストラン)
・MARKIE CURRY

メインとなる倶知安風土館の展示では、倶知安の自然と歴史について分かりやすく学ぶことができます。風土館のすぐそこにある「小川原脩記念美術館」とは、共通チケットもあるので、ぜひ併せて見学してみましょう。

ランチは、倶知安町内のホテル第一会館にある「雪庭」で、名物の豪雪うどんやニセコラーメンをいただきます。「MARKIE CURRY」で本格スープカレーを堪能するのもありですよ。

展示を観て地域に詳しくなった後は、倶知安町の隣町・京極町の「ふきだし公園」に足を運んでみるのはいかがでしょう?すぐ近くには「京極温泉」があるので、ゆったり温泉に浸れておすすめです。

それではここからは、デートのメインとなる「倶知安風土館」について詳しく見ていきましょう。

倶知安の自然と人々の営みを知る「倶知安風土館」

倶知安風土館の外観

倶知安風土館は、人々に倶知安周辺の自然や歴史について理解を深めてもらうために開かれた総合博物館です。

展示エリアは2つに分かれており、「自然展示」では羊蹄山やニセコ連峰、尻別川、山麓地域の自然について紹介されています。一方、先史時代、開拓期、現在の歴史や民俗については「歴史展示」で見ることができます。

今回は、倶知安風土館の学芸員・小田桐さんにインタビューを行い、施設の特徴やその魅力を教えていただきました。

日本有数の豪雪地ならではの特徴や魅力に迫る

倶知安風土館の2階展示室の様子

編集部

雪の多い倶知安ですから、昔の人の暮らしは非常に大変だったのではないかと思っています。

まずは、倶知安風土館がどのようなところか、どんなことが学べるのか教えてください。

小田桐さん

日本有数の豪雪地である倶知安での暮らしは、人々にとっては闘いの日々でした。

それから130年余りが経ち、今ではアクティビティや雪室など地域の重要な資源として利用し、克雪(雪を克服すること)から親雪(雪を楽しむこと)へと歩み始めています。融けた雪は水となって、すべての生き物を育んでいます。

来館者のみなさまには、倶知安風土館の展示から、人々の生活様式や道具の移り変わり、雪があるからこそ育まれてきた動植物たちの自然のいとなみを知っていただければと思います。

人文展示「倶知安とスキー」の様子
▲倶知安とスキーに関する展示室。雪国ならではの資料が並びます

編集部

「雪が多くて大変」というのは、ネガティブなことばかりではないのですね。その地域ならではの個性として自然と上手に付き合っていく、その過程が大変興味深いです。

小田桐さん

倶知安風土館は、もともとは1977(昭和52)年、日本体育大学が強化合宿施設の整備の第1弾として建設した合宿施設でした。

建設後間もなく大学は方針転換し、合宿施設は倶知安町に譲渡され、2002年に博物館として生まれ変わりました。

自然展示エリアはかつては食堂や厨房で、人文展示エリアの小部屋は宿泊室でした。かつての姿を想像しながら歩いてみるのも、倶知安風土館の楽しみ方の1つかもしれません。

ゼロ戦の主翼や床一面の地図など見どころ盛りだくさんの展示

編集部

自然から民俗まで、幅広い分野の展示がありますが、小田桐さんイチオシの展示はなんでしょうか?

小田桐さん

中でもイチオシの展示物は、「着氷実験機 ゼロ戦の右主翼」です。第2次世界大戦中の1943(昭和18)年から1945(昭和20)年にかけて、ニセコ連峰の一座、ニセコアンヌプリで戦闘機を実験機とした着氷実験が行われ、着氷のメカニズムの解明に挑みました。

実験機は、戦後約60年もの間山の中に放置されていましたが、倶知安風土館の3回にわたる調査の結果、2004年6月、苦難の末風土館に運び込まれ、展示されることとなりました。

ゼロ戦の右主翼の展示
▲「着氷実験機 ゼロ戦の右主翼」。とても貴重な資料です

戦争ではなく、実験のために使われたゼロ戦の主翼を展示しているのは、倶知安風土館が世界で唯一です。

編集部

ゼロ戦というと悲劇的な物語ばかり想像してしまいますが、この辺りではそんなことがあったのですね。そうした歴史をきちんと残そうというみなさんの努力は素晴らしいと思います。

その他、小田桐さんの好きな展示はなんでしょうか?

小田桐さん

私の好きな展示は、2F展示室に上がってすぐのところにある床一面に広がる地図、通称「倶知安空中散歩」です。

倶知安風土館2階にある倶知安空中散歩
▲床一面に広がる「倶知安空中散歩」

倶知安空中散歩と学芸員の小田桐さん
▲倶知安空中散歩はかなりの大きさで、なかなかの迫力があります

2002年に撮影された空撮写真を元にしているため地図の情報は幾分古いですが、倶知安町をはじめ、周辺地域のランドマークを一望できる面白さがあります。

登山をすれば10時間ほどかかる羊蹄山(1,898m)にも一瞬で登れるのでおすすめですよ!実際は地図の上に乗るだけなのですが(笑)

編集部

地図はこんなに大きいのですね!カップルで地図の上に乗って、「今日のデートコースはどのあたりだろう」なんて探すのも楽しそうです。

小田桐さん

その他にも、エントランスには「てんとうむし」の愛称で呼ばれるスバル360が展示されています。平成15年に寄贈されたもので、触ったり、乗ったりしていただけますので、ぜひお二人でご乗車ください。

倶知安風土館のエントランスにあるスバル360
▲エントランスにあるスバル360

こちらでは記念撮影も承っておりますので、お気軽にスタッフにお声がけくださいね。

また、倶知安風土館の窓から眺められる羊蹄山の景色も魅力的ですよ。皆様がお越しの際は、良い天気であることを願っています。

編集部

スバル360は、自動車が一般家庭に普及するきっかけにもなった「名車」ですね。古い車ですが、未だに根強いファンも多いと聞きます。

レトロでかわいいデザインですし、カップルで乗れたら素敵な思い出になりそうです。

歴史から自然まで幅広いテーマの企画展を開催

倶知安風土館に展示されているタヌキの剥製

編集部

通常展示も魅力的ですが、倶知安風土館では、企画展などはされていますか?

小田桐さん

過去には着氷実験を主導した北大教授、中谷宇吉郎博士の展示や、羊蹄山麓に位置する半月湖に関する展示、倶知安町のコウモリ展などを開催しました。

現在(2022年9月時点)は「海洋生物のホットスポットを支える森と川~森・川・海のつながりを知ろう~」を開催しています。

この企画展では、全長約126kmを誇る河川である尻別川の源流から河口までを、ヘリコプターで撮影した動画を流しています。どのように川が生まれて海と出会うのか、分かりやすく知っていただけると思います。

編集部

歴史から自然まで、本当にいろいろな内容を取り扱っているのですね。様々な角度から倶知安について知れるので、何度訪れても新しい発見がありそうです。

地域の魅力を再発見できるイベントを開催

イベントで子供たち相手にお話しする小田桐さん

編集部

イベントやワークショップでは、どのようなこと学べますか?

小田桐さん

「ふるさと探訪」という、軽登山や散策をしながら地域の歴史や自然について学べる観察会を年に4回ほど開催しています。講師に専門的なことを聞くも良し、自分たちだけの世界に入り込むも良し、気ままな観察会ですので是非ご参加ください。

第3回ふるさと探訪の様子

第4回ふるさと探訪で渓流を歩く参加者の様子

第4回ふるさと探訪で池の淵を歩く参加者の様子

第4回ふるさと探訪で紅葉の中を歩く参加者の様子

第4回ふるさと探訪「冬空舞うガを観察しよう」の参加者の様子

旭ヶ丘公園でのふるさと探訪の参加者の様子

スクロールでふるさと探訪の様子が見られます→

また、「生き物調査隊」といったイベントも開催しています。地域の生き物を調べることを主軸に置いたイベントで、中にはコウモリやヘイケボタルが観察できるものもあります。

さらにハチや植物、ナメクジなどの外来種駆除について学び、実際に駆除するという、ややマニアックなものもございます(笑)

なお、当館のミュージアムショップでは、地域の歴史を取り扱った小冊子や、倶知安に生息する動植物のポストカードなどが人気ですよ。

編集部

専門家からお話を聞くことで、地域の新たな魅力を発見できそうですね。いつも見ている景色や動物たちの姿も、また変わって見えてきそうです!

四季折々の姿を見せる風土館には写真映えするスポットがたくさん

春の倶知安風土館の前庭

編集部

定期的な企画展やイベントがあるので、何度訪れても楽しそうな倶知安風土館ですが、季節ごとの楽しみ方などがあれば教えてください。

小田桐さん

夏には広大な前庭でお昼寝や散歩をしていただけますし、秋は紅葉、冬は圧倒的な量の雪をご覧いただけます。

冬の倶知安風土館の前庭
▲冬の倶知安風土館の前庭。雪に彩られた幻想的な光景が広がります

それぞれの季節感を楽しんでいただく中で生まれた気になることや疑問を、館内の展示を通して共有したり、解決したりしてもらえればと思います。

編集部

館周辺の自然を通して、倶知安の四季を体感できるわけですね。展示を見て、倶知安の風土に詳しくなった後だと、外の空気もより新鮮に感じられそうです。

館外の自然も非常に魅力的ですが、館内でカップルがゆっくり過ごすのにおすすめの場所があれば教えてください。

小田桐さん

羊蹄山が見えている日であれば、山を背景にお二人の写真を撮っていただければ素敵な思い出になるのではないでしょうか。

昭和30年代の舞台を模した展示「すまう」や「まなぶ」では、実際に椅子に座ったり、小上がりに上がったりして、展示の登場人物になっていただけます。

人文展示「すまう」の様子
▲人文展示「すまう」。昭和の住まいを再現しています

人文展示「まなぶ」の様子
▲人文展示「まなぶ」。こちらは学校の様子を再現

人文展示「あきなう」の様子
▲人文展示「あきなう」では、昭和の商店の様子が体感できます

また、先ほどご紹介したスバル360に乗車しての写真撮影もぜひどうぞ!

ちなみに当館は、ご家族でご利用いただくことが多いですが、カップルの方も2~3割程度いらっしゃいますよ。

編集部

館内には魅力的な展示がたくさんあるので、2人の思い出になりそうな場所も多そうですね。ゆっくりと展示を見ながら、気になるところで思い出の1枚を残してほしいと思います。

倶知安風土館の口コミ・評価

編集部

倶知安風土館を訪れた方からは、どのような感想がありますか?

小田桐さん

人文展示の「すまう」や「学ぶ」などが楽しい、との感想をいただくことが最も多いように思います。歴史の展示エリアは特に展示資料との距離が近いため、自分が展示の登場人物になれるような臨場感を抱かれるのかもしれませんね。

また、日本最大の淡水魚であるイトウの剥製や、木やキノコの標本などを多数展示しているため、自然が好きな方には喜ばれます。「ゼロ戦の翼がやっと見られた」という声もありました。

編集部

歴史好きな方から、生き物好きな方まで、幅広く楽しめそうですね。特に人物展示の臨場感は、人によっては懐かしく感じられそうです。

幅広い展示の充実ぶりが高評価

GoogleやSNSには、倶知安風土館を訪れた方からたくさんの声が寄せられていました。その一部を要約してご紹介します。

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色々な展示があり、どれも濃い内容でよかった
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展示がコンパクトにまとまっていて分かりやすかった
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職員の方が質問に親切に答えてくれた

倶知安の自然から人々の営みからまで幅広い展示があり、それぞれの充実具合と分かりやすい解説に多くの声が寄せられていました。また、スタッフの親切な対応・解説へのお礼の言葉も多々見られました。

倶知安風土館からカップルへのメッセージ

学芸員の小田桐さん
▲インタビューにお答えいただいた学芸員の小田桐さん

編集部

最後に、デートで倶知安風土館を訪れたいと考えているカップルに向けてメッセージをお願いします。

小田桐さん

倶知安・ニセコ地域は、今や世界的なリゾート地として知られるようになり、夏はラフティング、冬はウィンタースポーツといったアクティビティが盛んです。

そんな地域の成り立ちや、自然、歴史のことを知りたくなった時は、倶知安風土館がうってつけだと思います。

たくさんの知識を共有して、お二人の仲も深まればと思います。

編集部

その土地の歴史や自然に詳しくなれば、観光の際にもより一層楽しめそうです。アクティビティの合間に倶知安風土館へ立ち寄り、これから遊ぶエリアについて予習するデートというのもよさそうですね。

小田桐さん、本日はありがとうございました。

倶知安風土館の基本情報

住所 〒044-0006
北海道虻田郡倶知安町北6条東7丁目3番地
電話番号 0136-22-6631
開館時間 9:00~17:00
(入館時間は16:30まで)
休館日 ・火曜日(火曜日が祝日の場合、翌日休館)
・年末年始(12月31日~1月5日)
アクセス

【鉄道】
・JR「倶知安駅」下車、タクシー約7分、または駅から徒歩約30分
【バス】
・ニセコバス「金毘羅寺前」下車、徒歩約15分
・道南バス「白樺団地」下車、徒歩約10分
※運行時刻等は各バス会社のHPを参照
ニセコバス道南バス
【車】
・札幌市内から約2時間
・新千歳空港から約2時間

駐車場 乗用車51台、大型バス2台駐車可能(無料)
料金 ■倶知安風土館のみ:一般200円(高校生以下無料)
■倶知安風土館、小川原修記念美術館 共通券:一般500円
※小川原脩記念美術館を観覧された方は倶知安風土館の観覧無料
平均滞在時間 30~60分程度
空いている時間帯 平日の15時以降
※地域の学校の利用も多いため、混雑している可能性あり
公式サイト https://www.town.kutchan.hokkaido.jp/culture-sports/kucchan-huudokan/

※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。
※記事中の金額はすべて税込表示です。

倶知安風土館周辺のデートスポット

豊かな自然に囲まれた倶知安には、魅力的なデートスポットがたくさんあります。

倶知安が育んだ文化や自然を感じながら、カップルでのんびりと過ごしましょう。温泉も各地に点在しているので、温泉好きなカップルは要チェックです。

おすすめのデートスポット

倶知安出身画家の世界を味わえる「小川原脩記念美術館」

倶知安風土館の正面に位置する「小川原脩記念美術館」も併せて訪れてみてはいかがでしょうか。こちらは、倶知安出身の画家・小川原脩の作品を収蔵・展示している美術館です。

戦後の北海道を代表する画家が描いた、独自の世界に浸ることができますよ。小川原脩以外にも、地域ゆかりの作家を取り上げた企画展などを行っています。

立地の良さや、モダンでおしゃれな建物も小川原脩記念美術館の魅力です。特にロビーから望める羊蹄山は圧巻ですよ。

公式URL:小川原脩記念美術館

羊蹄山からの恵みが湧き出る「ふきだし公園」

倶知安風土館のある倶知安町の隣町・京極町には「ふきだし公園」があります。

羊蹄山に降った大量の雨水や雪が長い年月をかけてろ過され、一日8万トンという豊富な湧き水となって私たちを潤してくれます。年間を通して豊富な水量に恵まれ、「名水の郷」として親しまれているのだとか。

夏の暑い日に訪れ天然のクーラーに当たれば、あまりの心地よさに動けなくなってしまうかもしれませんよ。園内には散策路や展望台もあるので、ちょっとしたお散歩にもピッタリですよ。

参考URL:京極町公式サイト「ふきだし公園」

露天風呂から羊蹄山の絶景を楽しめる「京極温泉」

ふきだし公園のすぐ近くには、日帰り温泉「京極温泉」があります。露天風呂から望める、雄大な羊蹄山が魅力の温泉施設です。

気軽に利用でき、さらに食堂や休憩室が併設されているので、お風呂の後もゆったりとした時間が過ごせるのもポイント!

倶知安風土館の見学や、ふきだし公園の散策を楽しんだ後は、京極温泉でゆったり♪なんてデートはいかがでしょうか。

参考URL:京極町公式サイト「京極温泉」

倶知安ならではのグルメが堪能できる「雪庭」

倶知安町の市街地にあるホテル第一会館内のレストラン「雪庭」では、道産食材をつかったオリジナル創作料理が楽しめます。倶知安風土館からは車で約5分ほど。

特にじゃがいもでんぷんから作られた「豪雪うどん」や「ニセコラーメン」は、普通の麺とは違った触感が特徴で、倶知安ならではのグルメ!

「豪雪うどん」と「ニセコラーメン」は、ホテル第一会館の売店でお土産用のものが売っているので、そちらもおすすめですよ。

公式URL:雪庭

その他の周辺デートスポット

まとめ:より魅力的な倶知安に出会える一日を

様々な視点から倶知安の姿を伝える「倶知安風土館」では、これまで気に留めてこなかった地域の特徴を発見できる可能性に満ちています。新たな発見を通じて、倶知安でのデートがより充実したものになるかも!

アクティビティを満喫するデートも楽しいですが、地域についての理解を深め、温泉でゆったり過ごすデートも素敵ですよ。