土津神社で四季折々の美しさに囲まれた神前式|福島県耶麻郡の神社

「神前式がおこなえる趣深い神社を紹介!」でご紹介するのは、福島県耶麻郡にある「土津神社」さんです。

土津神社は、約350年の歴史をもつ「こどもと出世の神さま」が祀られている神社です。

春夏秋冬がおりなす桜色・新緑・紅葉色・雪景色の4つの背景に、真っ白な白大鳥居がよく映えて、とても美しい景色が迎えてくれます。

そんな土津神社は、神前式場としても人気です。

結婚式を考えているカップルは、下見をかねて一度デートで訪れてみてはいかがでしょうか?

「こどもと出世の神さま」が祀られている土津神社

土津神社の花嫁行列の様子

土津神社は、延宝3年(1675)に創建された「こどもと出世の神さま」が祀られている神社です。福島県の猪苗代町に位置しています。

敷地内には男坂と呼ばれる石段が、その右隣りには緩やかな女坂があり、イロハモミジが並んでいるのが見どころです。

また、春には桜、夏には双葉葵、秋には紅葉と四季折々で草花を楽しむことができます。

今回は、土津神社禰宜の宮澤重嗣さんに、土津神社の魅力や神前式についてお伺いしました。

桜や紅葉の名所でもある土津神社

インタビュアー

土津神社がどのような神社か教えてください。

宮澤さん

土津神社は、1675年に創建されました。主祭神は保科正之公です。

霊峰・磐梯山の麓に鎮座する福島県有数の神社、桜・紅葉の名所で、会津藩歴代藩主をお祀りしています。

インタビュアー

約350年の歴史がある神社なのですね。

ホームページの写真を拝見し、桜だけでなく夏の新緑や紅葉、さらには雪景色まで美しく圧巻でした。

土津神社の見どころについて

土津神社の真っ赤な紅葉の絨毯に立つ、赤い着物を身につけた新婦

インタビュアー

土津神社を訪れた際の見どころはどこですか?

宮澤さん

はっきりとした四季の美しさに白色が映える、一の鳥居の白大鳥居が特徴です。

春は天下第一の桜と称される愛らしい「タカトオコヒガンザクラ」、夏は爽やかな「双葉葵」や「青もみじ」が鮮やかです。

秋は京都から移植されたと伝えられる彩りあざやかな「イロハモミジ」、冬は枯れ木に咲く凛とした「雪の花」に圧倒されます。

この白大鳥居の四季折々の風景は目をみはるものがあります。

インタビュアー

真っ白な鳥居と景色のコントラストが美しく、とても迫力がありますね。全ての四季の美しい風景をこの目で見に行きたくなってしまいます。

他にも見どころがありますか?

冬の雪景色に映える土津神社の白大鳥居

宮澤さん

もう1つの見どころとして、境内に全高7.6m・重さ30トン・面積22畳分ある石碑「土津霊神碑(はにつれいじんひ)」があります。

碑の大きさは日本一と言われ、主祭神である保科正之公の生い立ちや人柄・功績・功徳を称える文が刻まれています。

境内の北には、正之公の奥津城(お墓)があります。境内地は会津藩主松平家墓所として国指定史跡に指定されており、歴史に触れることができます。

インタビュアー

7.6mだなんて、見上げきれないほどの高さですね。

ぜひ、日本一の大きさを誇る碑に刻まれる正之公の生い立ちを読み、土津神社の歴史を感じたいです。

土津神社の神前式について

土津神社で神前式に参加する新郎新婦の様子

インタビュアー

土津神社で神前式を行うようになったのはいつ頃からですか?きっかけや始めた理由などがあれば教えてください。

宮澤さん

日本の神話である古事記・日本書紀に伊邪那美命と伊邪那美命の結婚が描かれており、それが結婚式の起源と言われています。

その後、明治33年大正天皇のご成婚の慶事から広く一般に浸透しました。土津神社でもそれ以来、ご希望があれば斎行しています。

インタビュアー

神前式は歴史があり意義深いですね。

四季折々の趣のある静謐で清らかな境内での挙式

インタビュアー

土津神社の神前式ならではの良さを教えてください。

宮澤さん

春は愛らしい桜、夏は爽やかな青もみじ、秋は彩りあざやかな紅葉、冬は凛とした深雪。

霊峰・磐梯山に抱かれた、四季折々の趣のある静謐で清らかな境内での挙式は、全員にとって心に残るひとときになります。

インタビュアー

四季折々の美しさの中で、人生最大の式典を挙げられるなんて、日本人の特権でもありますよね。

その季節に合わせた着物を選ぶのも、土津神社で式典を挙げるにあたって特別な楽しみかもしれません。

最近は西洋式の挙式を行う人が多いため、神前式に馴染みのない方も多いと思います。

神前式は「三献の儀」「指輪の交換」「誓詞奏上」を執り行う

インタビュアー

神前式では実際にどのようなことを行うのでしょうか?おおまかな流れと時間を教えてください。

宮澤さん

土津神社における神前式は、幣殿・本殿へと続く拝殿で執り行います。

神前式は、「三献の儀」「指輪の交換」「誓詞奏上」と挙式を通して新郎新婦の2人で執り行う儀式が多いことも特徴です。

神さまへの結婚の誓いを通して、2人の絆も深まっていきます。

神職が新郎新婦の心身の穢れを祓い清める「修祓の儀」は、神前式独自の儀式です。

「雅楽奏上」や控室として神饌所や神楽殿の使用など、新郎新婦の希望にあわせて儀式の内容が変更できるものもあります。

挙式は30分前後で、次のような流れになります。


1. 新郎新婦入場:拍手で新郎新婦をお迎えします。

2. 修祓:参列者は神官からお祓いをうけます。
おじぎの要領で軽く頭を下げます。神様へ祈る前に心を清める意味を持ちます。

3. 斎主一拝:一拝を通して、これから神前式を始めることを神さまに報告します。

4. 祝詞奏上:斎主が神前へと進み、神さまにお二人の結婚を報告します。
ここで2人の幸せと参列者の安泰を祈願します。

5. 三献の儀:三三九度の盃のことです。神前に供えられたお神酒で夫婦固めを行います。
杯にお酒が注がれたら、最初の2度は口を付ける程度に小さく、3度目で飲みほします。

6. 指輪の交換:神前に供えられた指輪を、初めに新郎から新婦へ、次に新婦から新郎へ交換します。

7. 誓詞奏上:これから夫婦として互いに寄り添い、お互いを思いやりながら夫婦としての道を歩んでいくことを神さまに誓います。

8. 玉串奉奠:新郎新婦の幸せと両家の繁栄を玉串に祈念し、神前に捧げます。

9. 親族固めの盃:両家の親族が揃ってお神酒をいただくことにより、親族の契りを交わします。
御神酒が全員に行き渡ったら、代表者の音頭で乾杯を行います。乾杯後は拍手でお祝いします。

10. 親族紹介:親族の縁が固まったところで、お互いの親族を紹介します。

11. 斎主一拝:一拝を通して、神前式のお開きを神さまに報告します。

12. 斎主祝辞:神官である斎主がお祝いの言葉を述べ、儀式の最後を締めくくります。

13. 新郎新婦退場:拍手で新郎新婦を見送ります。

インタビュアー

神前式の一連の流れを知る機会はなかなかないですよね。

1つ1つの流れに、どのような意味が込められているかを知ることで、神前式の素晴らしさや美しさがよく理解できます。

土津神社の神前式の申し込みについて

春の大津神社境内の様子

インタビュアー

挙式申し込みまでの流れを教えてください。

宮澤さん

神前式について説明し、日程などのご意向を確認します。

まずはホームページhttps://hanitsujinja.jp/shinzenshiki/)からお問い合わせください。

電話でも可能です。

インタビュアー

電話やWebからの問い合わせが可能ということなので、遠方に住むカップルも安心ですね。

紅葉の季節の神前式を希望する場合は1年前の予約がおすすめ

インタビュアー

挙式予約は何ヶ月前頃から可能でしょうか?

宮澤さん

神前式の希望が多い紅葉の季節の場合、約1年前までにお申し込みいただくとご希望に添える可能性が高いです。

挙式は午前と午後で1組ずつ、1日2組まで受けることができますが、神社行事で受付できない日もあります。

インタビュアー

どの季節もとても美しい景色の中の挙式になりそうですが、その中でも紅葉が一番人気なのですね。

紅葉シーズンを狙っているカップルは、急いで予約を進めていく必要がありますね。

新緑と紅葉の季節に挙式する方が多い

インタビュアー

年に何件ほど神前式の予約が入るのでしょうか?

宮澤さん

冬季など神前式ができない日や期間もありますので、年平均10件前後です。新緑と紅葉の季節に挙げられる方が多いです。

インタビュアー

冬は神前式ができないのですね。

まだ気になっているだけという段階であっても、早めに希望時期を相談してみるのが良さそうですね。

土津神社の神前式の具体的な内容について

土津神社で神前式をおこなっている新婦

インタビュアー

神前式に参列可能な人数を教えてください。

宮澤さん

新郎側参列者30名・新婦側参列者30名、計60名まで参列可能です。ご友人など親族以外も参列することができます。

インタビュアー

現代では珍しいとされている神前式だからこそ、より多くの方に見に来てほしいですね。

雨天時でも挙式は可能でしょうか?

宮澤さん

雨天でも行えますが、花嫁行列は取り止めとなります。

インタビュアー

ぜひ花嫁行列も執り行ってほしいので、天候が悪くなりがちな時期はできるだけ避けたいところですね。

貸衣装・着付け・ヘアメイクなどはホテルリステル猪苗代で

貸衣装・着付け・ヘアメイク・写真などはお願いできますか?

宮澤さん

土津神社では行っておりません。

当神社を神前式指定神社としていますホテルリステル猪苗代様をご紹介することができ、そちらで全て対応することができます。

ホテルリステル猪苗代ホームページ(https://www.listel-inawashiro.jp/wedding/

インタビュアー

自分で全てを手配するのはとても大変なので、このように紹介を受けられるのはとても助かります。

神社内に控室として利用できる場所はありますか?

宮澤さん

ご希望により、拝殿両脇にあります神饌所および神楽殿を控室として使用することができます。

インタビュアー

結婚式にはたくさんの事前準備などが必要なので、控室があるのはありがたいです。

土津神社で神前式を挙げた夫婦が子どもを連れてお詣りに

土津神社のなかを歩く新郎新婦

インタビュアー

挙式されたご夫婦、または参列者の方々からはどのような感想が多いですか?

宮澤さん

「歴史ある神社で桜や紅葉など素晴らしい自然の中での結婚式となり、心に残る晴れやかな門出になりました」とのお声をいただきます。

リハーサルでは、式次第について、儀式の意義を含めて1つ1つ説明します。

この儀式にどういった意味があるのか理解したうえで式に臨みますので、神前式の見え方が変わるようです。

インタビュアー

儀式の意義を知ることで、式典に馳せる想いがより大きくなると思います。

今までに執り行われた神前式で、印象に残るエピソードなどあれば教えてください。

宮澤さん

新郎新婦のご両親から「私たちも土津神社で結婚式を挙げたんです」とお声掛けいただくことがたびたびあります。

また、挙式後に安産祈願や初詣、七五三詣などでお詣りいただくことも多いです。

「人生を通じて結婚式を挙げた神社を節目節目でお詣りでき、思い出深い」とのお声もいただきます。

土津神社で結婚式を挙げたご夫婦が、安産祈願・初宮詣・七五三詣、またご家族で初詣などでお詣りにいらっしゃるのがとても嬉しいです。

そのこどもたちが大きくなってまた結婚式や安産祈願などへと繋がっていきます。自分がした体験を自分のこどもや孫も体験し、世代を超えて人生を共有することができます。

そして人生の晴れの日、節目節目を共にお祝いすることができます。

「社会や誰かの幸せを願う」という、素敵で幸せな仕事をさせてもらっているなと思います。

インタビュアー

挙式後に家族が増えても末長く参拝できる神社があるというのは、とても幸せなことですね。

「お父さんとお母さんはここで結婚したんだよ」とこどもに伝えられることを想像するだけで、幸せを感じます。

とても温かい神社だと感じられるエピソードです。

主祭神が健やかな人間形成を資する心を大切にしたことが由来

インタビュアー

「こどもと出世の神さま」が祀られている土津神社ですが、主祭神である保科正之公はどのような方だったのでしょうか?

宮澤さん

保科正之公は江戸幕府二代将軍・徳川秀忠公のご落胤で、初代将軍・家康公の孫、三代将軍・家光公の異母弟にあたります。

家光公と四代将軍・家綱公を輔佐し、幕閣に重きをなしました。

「敬内義外」の精神を中心に据え、会津藩政と江戸幕政に臨み、265年に渡る徳川幕府の礎を築き上げます。

力によって押さえつける「武断政治」から信頼関係に基づく「文治政治」へと転換しました。

インタビュアー

「敬以て内を直くし、義以て外を方にす。」

つつしみを持って心を真っ直ぐにし、義理を持って周りへの行いを方正とするという意味の言葉ですね。

主祭神が時代に与えた影響を知ると、その偉大さやありがたみが分かります。

宮澤さん

正之公が大切にした義の心は、健やかな人間形成に資することです。

不遇な生い立ちながら、徳川家への忠義の心が篤く優秀で江戸幕府大政参与まで引き立てられました。

そのことから、「こどもと出世の神さま」としてお祀りしています。

インタビュアー

こどもと参拝へ行き、文治政治を築き上げた正之公の義の心を感じてほしいですね。

結婚が決まった、結婚を考えているカップルへメッセージ

土津神社の禰宜

インタビュアー

最後に、結婚が決まった、または結婚を考えているカップルへメッセージをお願いします。

宮澤さん

この度はおめでとうございます。神社では日々「祈り」が行われています。

「祈り」は、自分の意思を宣言する「意宣り」であり、「願うこと」と「誓うこと」の2つの意味があります。つまり、行動に結びつく行為です。

神前式では、夫婦となる誓いを神さまに宣言しますが、意思を持つということがとても大切です

家族は集団の最小単位と言われます。人が2人以上集まると、足並みを揃えることは簡単ではありません。

夫婦円満・家内安全もみんなに「そうありたい」という意思があるからこそです。しかしながら人間は弱いもので、日々の生活の中でその誓いを忘れてしまうものです。

神社をお詣りしてその誓いを新たにすること、お守りを身につけて見返すことで誓いを思い返すこと。

その祈りの反復・継続で願いが叶えられていきます。

「神前式は儀礼が大変そう」と思われるかもしれませんが、神職がそばで介添えしますので、どうぞご安心ください。

四季折々の趣のある静謐で清らかな境内での挙式は、新郎新婦にとってのみならずご両家の親族や参列者にとっても心に残るひとときです。

ご夫婦で初詣、お子さまを授かったら安産祈願にお宮詣り、七五三と人生を通じて神さまとのご縁が深められていきます。

神社はふらりと行けて、お2人を見守り、世代を超えて変わらず在り続ける場所です。

お2人の門出、人生の晴れの日を土津神社で共にお祝いできれば幸いです。

インタビュアー

今の時代において神前式を経験している人は多くないと思います。

日本らしい神前式を執り行いたいと思っても、神前式についての知識がないからこそ、不安を感じるカップルは多そうですよね。

本日のインタビューを通して、土津神社はその不安を拭ってくださる、とても温かい神社だと感じられました。

貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。

土津神社の基本情報

住所 〒969-3102 
福島県耶麻郡猪苗代町字見禰山3
電話番号 0242-62-2160
公式サイト https://hanitsujinja.jp/