【サウザーの婚活指南Vol.3】「女性には2つの人格がある」モテ男が教える”女の姿
マッチングアプリ大学特別企画、「サウザーの婚活講座」第3回。
彼女のいない歴=年齢のまっちゃん(仮名)が、恋愛の師として数多の男性から崇拝されるサウザーさん(@Fist_of_Phoenix)に出会って成長していく本当の話を、小説風のタッチでお届けします。
<これまでのあらすじ>
モテに関するあらゆるテクニックを知っている不思議な男・サウザーの指導を受け、マッチングアプリで出会いを探し始めたまっちゃん。
なかなか出会いを掴めない中で、サウザーから「男らしいプロフィールに修正すること」「有料課金アイテムを使っていいねを集めること」と指導を受ける。
女性から「会いたい」と思われる男になるべく、まっちゃんは奮闘するのであった。
記念すべき初めてのデートで得た自信
サウザーさんにアドバイスをもらったあと、僕は急いでマッチングアプリのプロフィールを作り直した。
オス度が低い文言はすべて削除。
代わりに仕事の内容ややりがい、趣味や特技についてたっぷりと書いた。Pairsではブースト機能を使い、ひたすら女性に足跡をつけることも忘れなかった。
すると、今までとは比べ物にならないほど女性からいいねが届き、簡単にマッチングするようになって、僕は驚いた。
サウザーさんのすごさをヒシヒシと感じながら、「僕もサウザーさんのようなモテ男になれるんじゃないか」なんて希望も湧いてきている。
「やっぱり、夜になるとちょっと肌寒いですね」
由美さんはそう言って、身震いをするように軽く肩をすくめる。
由美さんは都内の中小企業で働く29歳のOL。マッチングアプリで出会った女性だ。
ダイニングバーで食事をした僕と由美さんは、共通の趣味である楽器の話題で、それなりに会話が盛り上がった。
ひとしきり食事や会話を楽しんだところで、「酔い冷ましに、少し歩いて帰りませんか?」なんて言葉を掛け、無事に二次会のお散歩デートへこぎつけたところだ。
「寒暖差が激しくて、風邪引いちゃいそうですよね」
他愛もない言葉を返しながら「手を繋ぐ」を果たす機会を伺う。
サウザーさんから、手を繋いで脈ありかを見分けろと指導されていたから。
これは僕の中で、大きなミッションだった。
でも……。
今まで女性と手を繋いだこともない僕が、初対面の女性と手を繋ぐなんて。想像だけでも、心臓が口から飛び出しそうなほどに緊張する。
「嫌われたっていいんだよ」
サウザーさんの言葉が、よみがえる。
僕は意を決して、隣を歩く由美さんの手を握りしめた。
まるでぎこちない握手のような繋ぎ方だが、由美さんは僕の手を振りほどこうとはしない。
僕も、やればできるんだ。
胸が熱くなった。
「初対面で手を繋いで、不快感を与えないんですか」
……でも。
由美さんと順調だったのは、手を繋ぐところまでだった。
由美さんは手を繋いでから明らかに言葉数が少なくなった。
そして、ろくな会話もないまま最寄駅まで歩いた。
「じゃあ、また」
「ええ」
別れた僕らは、その後、1度も連絡を取っていない。彼女の中で、僕が『ナシな男』に割り振られたのは、言うまでもないだろう。
由美さんとの出来事に落ち込む間もないまま、僕はまた別の女性とデートをした。
次に会ったのも、マッチングアプリで出会った女性。28歳、都内不動産会社で営業職をしている香織さんだ。
香織さんと僕には不動産という共通の興味があったため、会話はかなり盛り上がった。
ただ……僕は香織さんと手を繋ぐのをすっかり忘れてしまうという失態を犯した。
由美さんの失敗で傷ついた気持ちもあって。
手を繋ぐことを無意識に避けたかも。
ところが、香織さんとはデートをした後も連絡を取り続けている。
手を繋いで連絡が途絶えた由美さん。手を繋がずに連絡が続いている香織さん。
もしかしたら、初回で手を繋ぐのはやっぱり女性に不快感を与えてしまうのではないか。
僕の頭の片隅にそんな仮説が浮かんだとき。
サウザーさんから「明日の夜、飲みに行かないか?」と連絡が届いた。
モテる男が教えてくれた「2つの人格」
「まっちゃん、この間のデートはどうだった?」
サウザーさんと初めて出会ったバーで、僕は約1ヶ月ぶりにサウザーさんと会った。
「ひとりは今も連絡を取っているんですけど、もうひとりはダメでした」
由美さんと香織さん、それぞれのデートについて詳しく話す。
サウザーさんは「うーん」と考え込んでから、静かに口を開いた。
「その手を繋いでダメになった子、
まっちゃんと手を繋いだときに深層的な人格が出てた可能性があるな」
「深層的な人格?」
「多くの女性は”表層的な人格”と”深層的な人格”、2つの人格を持っているんだ」
いわゆる性格の表裏だろうかと思いながら、僕はスマホのメモ帳を開く。
「俺の経験から言うけど。女性は、「表層的な性格」でいうと理性的。”男女の友情は成立するか”とか”男女間の奢り奢られ問題”みたいな話が大好物だ」
「会社の女性もよくランチタイムに恋愛にまつわる議論をしていますね。
あれは表層的な性格なんですね」
「そうだ。一方で、深層的な人格はもっと感情的。
本能のままに生きている5歳児みたいなものが、女性にはあると個人的に思ってる」
5歳児みたいな人格というのがピンと来なくて、僕は少し考え込む。
そんな僕の思考に助け舟を出すように、サウザーさんは言葉を続けた。
「要するに、深層的な人格が出たときは、ベラベラお喋りはしない。
由美は手を繋いだときに黙ってたんだろ?
お喋りじゃなくなった、イコール、深層的な人格が出ていたかもしれないってことだ」
「なるほど……。
深層的な人格って、どんなタイミングで出てくるものなんですか?」
「大体は怒っているときや、興奮しているときだな。
由美が怒りと興奮、どちらで深層的な人格が出ていたかは分からないが」
「もしかしたら、僕がいきなり手を繋いで怒っていたんですかね……」
「かもしれない。由美の本心は分からないが。
その後連絡がないのなら、由美の深層的な人格に好かれなかったことだけは確かだ」
「女の子から好かれるためには、表層的な人格と、深層的な人格の両方に好かれなきゃいけないんですね」
サウザーさんは首を横に振った。
「違うんだよ、まっちゃん。
女に好かれるには、深層的な人格にさえ好かれればいい」
「えっ!? 表層的な人格には好かれなくてもいいんですか?」
「持論だが、恋愛の決定権は深層的な人格が持っている。
表層的な人格に嫌われていても、深層的な人格に好かれていれば問題ない。
モテない男は表層的な人格に好かれようと奔走する。深層的な人格に好かれないと、モテないんだ」
手を繋げ。女性の「深層的な人格」に好かれるまで
「なあ。まっちゃんは今、こんな風に思っていないか?
“由美とは手を繋いで失敗した。香織とは手を繋がなかったら連絡が続いてる。
ということは、初回では手を繋がないほうがうまくいくんじゃないか”と」
僕の仮説をズバリと言い当てられ、サウザーさんには僕の考えがすべて見透かされているような気がしてドキッとした。
「正直、少し思いました……」
「まあ、普通に結果を分析すればそうなるよな。
でも、それは間違っている。次会う女とも、絶対に手を繋げ」
由美さんと手を繋いだ後の気まずい空気を思い出す。
「またあの、凍る空気を味わうのか」と、恐ろしい気持ちになった。
僕のそんな気持ちを知ってか知らずか、サウザーさんはさらに言葉を紡ぐ。
「深層的な人格に好かれるためにはな。
恋愛における女の本能的な欲求を満たす必要がある」
「そのために、手を繋ぐなどの身体的接触があるってことですか」
「友達と恋愛関係の1番の違いって、身体的な接触があるかどうかだろ?
友達じゃなくて恋愛関係になるなら、身体的な接触が絶対に必要だ」
でも……。
また、由美さんのときのように失敗してしまったらどうしよう。
そんな不安が頭にチラつく。
僕へエールを送るように、サウザーさんは言った。
「基本的には、手を繋げればそのあとは大体うまくいく。
由美のことは何かの事故だと思え。
次からも手を繋ぐことにチャレンジするんだ」
「抱かれた男を好きになるのが女だ」とサウザーさんは語る
サウザーさんとバーで飲んだ数日後。僕は21歳・大学生の彩香ちゃんとデートした。
3回目のデートとなると僕も慣れたもの。難なく食事を終えた。
由美さんのトラウマはある。
でも、僕はサウザーさんの言葉を思い出しながら、二次会のお散歩デートの途中で彩香ちゃんの手を握りしめた。
すると、驚くことに彩香ちゃんは僕の手を強く握り返してきて、その後も『脈ありサイン』を見せてきたのだ。
そのままトントン拍子で2回目のデートの約束を取り付ける。
そして、2回目のデートのときには一緒にアプリを退会。
恋人としてお付き合いをスタートさせた。
人生初の彼女ができた!!
はずだったが。あまりにも急な展開に、僕は実感がないままだった。
ひとまずサウザーさんに「彼女ができました」と連絡。詳しく話を聞いてくれるとのことで、僕たちはいつものバーに集合した。
「まっちゃん、人生初の彼女おめでとう」
「ありがとうございます! サウザーさんのおかげです。
彼女と言っても、まだ何もしていないんですけどね」
「何もしてない?」
「はい……」
僕の言葉を聞いて、サウザーさんは目を見開いて驚く。
「それはまずいな。早く関係を進めたほうがいい。
このままだとまっちゃん、あっという間に振られるぞ」
「ふ、振られる!?」
女心と秋の空。
そんなことわざが、僕の脳内によぎる。
「前、深層的な人格に好かれろ。
そのためには、本能的な欲求を満たす必要があると言ったよな。
女は自分を抱いた男を、好きになるんだ。
だから、早くまっちゃんも早くに関係を進めて、相手の恋愛感情を高めろ」
サウザーさんの持論は、僕にグサリと刺さった。
本命を愛するためにも、タイプじゃない女とデートしまくれ
「これでまっちゃんも無事に彼女ができたわけだが……。
マッチングアプリはまだ辞めるなよ」
「彼女ができたのに、マッチングアプリ続けるんですか!?
僕はいろんな女の子からモテるより、ひとりの女の子と長く付き合っていきたいんですけど……」
「前にも言ったが、女と長く付き合うためには、
女性に好きになってもらうテクニックが必要なんだ。
まっちゃんは、女性に好きになってもらうテクニックが身についてるか?」
運良く彩香ちゃんという彼女はできたものの、僕にはまだまだ女性に好きになってもらうテクニックがない。
「ましてや、まっちゃんの彼女は大学生。
社会人になれば男を選ぶ価値観もガラリと変わる。
今のまっちゃんじゃ彼女が就職したタイミングで確実にフラれるぞ」
確かに、学生のころから長く付き合っていた彼氏と別れたなんて話は、女性からよく聞く。
「わかりました。
引き続きマッチングアプリで女の子と会って、テクニックを身につけます!」
「テクニックを身につけるためにも、しばらくは自分のタイプからはかけ離れている女と会うようにするといい」
えっ。
せっかく会うなら、可愛くてタイプな女の子のほうが、やる気も出るんですが……。
そんな不満がすぐに浮かんだ。
けれど、何か理由があるはずだと、僕は言葉を飲み込む。
「女に慣れていないうちは、タイプの女を目の前にすると緊張しがちだ。
あえてタイプじゃない女を狙って、緊張を和らげるといい。
そうやって徐々に女に慣れていけば、タイプの女を前にしても緊張しなくなるぞ」
「な、なるほど!」
サウザーさんの作戦に、僕はさっき不満を漏らさずによかったと心底思った。
「これからアプリで出会いを探すにあたって、他の戦略ってありますか?」
「いや。これまでに伝えたのが至高の戦略だから、今まで通りに続けていけばいい。
ひとつアドバイスを送るなら、”幼少期の話”を会話の引き出しに入れておくといいぞ」
「幼少期の話、ですか?」
「例えば”中学校のころはどんな子だったの?”とか、そういうのだ。
これは鉄板で盛り上がるネタだ。
相槌を打つだけで女性は、数時間級の大河ドラマを聞かせてくれるぞ」
「なるほど……会話のネタにつまづいたら幼少期のネタを出してみます!」
僕は、人生初の彼女ができた。
そして、彼女がいながらも別の女性と出会おうとしている。
こんな自分になっているなんて、数ヶ月前の僕は予想すらしていなかった。
ただ、どうやら僕が恋愛の真髄を知るには、もう少し時間が必要なようだ。
まっちゃんのメモ
【明日からやること】 ・一刻も早く彼女の彩香ちゃんとの関係を深める!
・いままでと同じ方法でPairsとwithを続ける!
・タイプじゃない女の子と会って女の子に慣れる!
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※この内容はサウザーさんとまっちゃんの1対1指導をもとに、物語として編集を加えたものです。
【参考記事】