【サウザーの婚活指南Vol1】彼女のいない歴=年齢。なぜ僕に恋愛経験がないのか。
彼女いない歴=年齢の僕が、人生の師に出会い恋愛の真髄を教わるまで
マッチングアプリ大学特別企画、「サウザーの婚活講座」がスタート。
彼女のいない歴=年齢のまっちゃん(仮名)が、恋愛の師として数多の男性から崇拝されるサウザーさんに出会って成長していく本当の話を、小説風のタッチでお届けします。
この物語は真実に基づいて作られた、僕の恋愛小説だ。
きらびやかな夜に馴染めない、恋愛経験ゼロの僕
大人になれば、自然と恋を経験すると思っていた。
僕はいつか恋に落ちて、その女性と愛を育んで幸せになるんだ
けれど、僕は恋も愛も知らないまま大人になってしまった。
2020年2月。
僕は10年前に卒業した高校の同窓会に参加していた。
28歳になった同級生は皆、当時の面影を残しつつも大人になっていた。
高校時代は冴えなかった”真面目くん”がすっかり垢抜けていたり、茶髪に濃いメイクの”ギャル”が清楚なOLになっていたり……。
この会場にいなかったら、高校生活を共にした人物だとは気がつかないかもしれない。
シャンパングラスを片手に、社会人になってからのモテ武勇伝やパートナーのノロケ話に花を咲かせる皆の姿は、会場の窓に映る夜景によくマッチしている。
僕だけが、このきらびやさに馴染めていないのを除けば。
まっちゃんは?
彼女とかいないの?
皆の話にただ相槌を打つだけの僕を気遣ったのか、隣にいた山内さんが話題を振ってくれた。
高校時代はクラスのアイドルだった山内さんは、さらに垢抜けて綺麗になった。
そんな彼女から話題を振ってくれた僕に対し、周りの同級生たちはチラリと視線を向けた。
そう、だね。今は彼女いないんだ
“今は”なんて真っ赤な嘘だ。僕は今までずっと、彼女はおろか、本気で好きになった人もいたことがない。
へえ、そうなんだ。まっちゃん、生命保険会社で働いてるんだし、周りに女の子もたくさんいそうなのにね
……仕事の仲間を恋愛対象とは見れなくて
ちがう。僕はただ、誰かを好きになる勇気がないだけだ。
わかる、私も社内恋愛は抵抗あるほうだな
そう言って微笑んだ山内さんは、僕の嘘をすべて見透かしているんじゃないかと思えた。シャンパングラスを持つ手に、じんわりと汗がにじむ。
へえ!山内さん、社内恋愛ナシ派なんだ?
誰かの相槌で、話題はあっという間に山内さんへと移り、僕は少しだけホッとした。
それと同時に、やっぱりこのきらびやかな会場に合っていないのは僕だけだろうと、胸がギュッと苦しくなった。
ひとりきりの二次会で、運命を変える男に出会う
二次会に参加しなかった僕は、自宅の近くにあるバーで飲み直していた。
駅からしばらく歩いたところにあるこのバーは、今日みたいな”華金"でも人が少なく、ひとりで飲んでいても居心地がいい。
今日の客は、カウンター席に座る僕と、僕の隣の隣に座っている男性、少し離れたテーブル席にいる中年のカップルだけだ。
これ、同じのもらえますか?
バーテンダーにそう声をかけたのは、隣の隣にいる男性。反射的にそちらへ目を向けると、彼はいかにも”女にモテそうな男”だった。
シンプルなシャツに身を包んでいる彼は、程よくガッシリした体系で、洗練された雰囲気をまとっている。
バリバリに糊のきいたシャツとジャケットを着ている僕のほうが、よっぽどチープだ。
僕もこういう男だったら人並みに……。
いや、人並み以上に恋愛経験を持てたのかもしれない。
そんなことを考えているうちに、じっと彼を見つめてしまっていたのかもしれない。
彼がこちらを見て、視線がかち合った。
僕は反射的に目をそらす。
口を開いたのは、彼の方だった。
こんにちは。ここには、よく来るんですか?
えっ、あ、はい。家が近所で……
突然話しかけられて声が上ずってしまった僕に、彼は人懐っこく微笑んだ。
そうなんだ。ここ、良いところですね
不思議な男が教えてくれた非モテの理由
気づけば僕たちは隣同士に座って、ふたりで酒を飲んでいる。
彼の名はサウザーさんと言うらしい、おそらくニックネームだろう。北斗の拳に出てくる”聖帝サウザー”を思い出しながら、不思議としっくりきた。
サウザーさんはえらく聞き上手だった。
話し始めてからそう時間は経っていないのに、僕はすっかり自分のことを打ち明けてしまった。
恋愛経験が一度もないこと。
今日の同窓会で自分だけが取り残されているように感じたこと。
今まで恋愛に興味がないと自分に言い聞かせてきたこと。
本当は非モテな自分を変えて、モテる男になって恋愛をしたいこと。
僕のどの話にもサウザーさんはじっくりと耳を傾け、うんうん、と頷いてくれた。
まっちゃんはさ、なんで自分がモテないと思う?
女の子にフラれて傷つくのが怖くて……行動できなかったから、ですかね
そうだな。まあ、それもあるかもしれないが……君、体調はどう?
体調?
そう。たとえば、ストレスが溜まっているとか
特に……あ、ストレスで前、胃をやってしまって。それから胃腸が少し弱いんです
胃腸の弱さとモテは関係ないだろう。と、思いながらも一応思い当たる節を挙げた僕に、サウザーさんは「それだ」と強く言った。
僕は首を傾げる。
俺の経験上、モテる男っていうのはさ、心身共に健康でいられるよう気配りしているケースが多いんだよ。
体に問題を抱えてる人間は、無意識に”生き延びようとする力”が強くなって、異性へのアピールに力を使ってる場合じゃなくなる。
そのせいで、性的な魅力がグッと落ちるんだ
そんなの、どんな恋愛テクニック本でも見たことがない。
その着眼点に僕は驚いた。驚きで言葉を失う僕に、サウザーさんは言葉を続ける。
まっちゃんの身長と体重は?
身長は165cmくらいで、体重は…40kgあるかないかってくらいですね
それは、痩せすぎだな
そうなんです。筋トレとかもしてるんですけどね
女の人は、男の体格や目線からもそいつが魅力的な男かどうかを見極めている。
ファッションにこだわっても、痩せすぎじゃ格好がつかないしね
確かに、僕が今日のサウザーさんと同じ服を着ても、サウザーさんのようなイケてる雰囲気は出ないはずだ。
反対に、今日の僕と同じファッションをしているサウザーさんを想像したら、すごくキマっていた。
どんなに恋愛テクニックを磨いたところで、軟弱な体型のままじゃモテない。まっちゃん、まずは太れ、体を鍛えろ
サウザーさんの言葉に納得するものの、僕にはひとつ懸念がある。
太りたいんですけど…食べれないんです
食べれない?
はい。さっき言った通り、僕は胃腸が弱くて。食べ過ぎるとお腹を壊すうえに、プロテインなんかを飲んでもお腹を壊すんです
それは厄介だな。でも、プロテイン、1種類しか試してないんじゃないか。
合うプロテインが見つかっていないだけかもしれないから、いろいろ試してみたり、こまめに間食を取って1日の摂取カロリーを増やしてみてはどうかな
サウザーさんの説得力のある言葉に、僕は従順な生徒のように「はい!」と返事をした。
いま、食事は1日何食摂ってる?
2食ですね
まさか、おにぎり1個とかカップラーメン1個とかで済ませてないよな?
そのまさかです
やれやれ……といったしぐさで、サウザーさんが笑う。
ダメだ。しっかりした食事を1日3食摂るんだ。金があるなら、近くの店で定食とかを食え。ジムは行ってないのか?
週に1度、休日にジムへ行ってます。平日は、投資仲間と株やFXの話をするのが日課で……
「非モテなまま結婚しても3年ももたない」
投資もやってるのか。俺も昔は投資をしていたが……。俺も投資をしていたことがあるんだが、当時は無意識に利回りばかり気にして女にも打算的になった。できれば控えたほうがいい
気づけば、僕はスマホのメモ帳にサウザーさんの言葉を一言一句漏らさずメモしていた。
サウザーさんの言葉には、高校時代から女の子に人気があった同級生や、社会人デビューを果たして色男になった同級生より、ずっと説得力があったからだ。
僕が身につけるべきなのは、恋愛のテクニックじゃなかったんですね
いや、恋愛テクニックも大事だよ。恋愛テクニックゼロの今のまっちゃんは、たとえドラゴンボールを7つ集めて神龍に嫁を出してもらっても、たぶん3年もたないだろうね
えっ!?
俺の経験上、女は年を重ねるごとに性格や価値観が変わる。特に、子供が産まれると環境も変わるからな。
だから、結婚をしても安泰じゃない。恋愛や結婚をするのはもちろん、結婚生活を続けるためにも女性に好きになってもらうテクニックが必要だ
サウザーさんの格言をスマホのメモ帳に打ち込んでいると、サウザーさんの硬い手のひらが僕の背中をポンと叩いた。
あと、君はもう勇気を出して一歩を踏み出した。 それ、自分を変えようとしてる証拠だろ。立派な一歩だよ
僕のスマホを指差して、サウザーさんはニヤリと笑う。
まっちゃん、まずは1日3食食え。おにぎりやカップ麺じゃない、ちゃんとした飯をな。
あとはジムに行けない日はYoutubeの動画を使って筋トレをしろ。 それで体格は少しづつ変わってくるから
はい!
あとは、そうだな。テクニックを身につけるために、マッチングアプリを使って女と出会うんだ
マッチングアプリ……。僕、使ったことないんですよね
大丈夫。とりあえず、Pairsとwithをダウンロードして使ってみろ
さっそく僕がアプリをダウンロードしていると、サウザーさんが「あ!」と何かを思い出したような声をあげた。
最後にひとつ。マッチングアプリを使うとき、女を選ぶんじゃない
え?
メッセージを返してくれる人とやりとりをして、会ってくれる人と会うんだ。お前は選ぶ立場じゃないことを肝に銘じろ
は、はい!
こうして、僕の「恋と愛を知る6ヶ月間」はスタートした。
まっちゃんのメモ
※この内容はサウザーさん(@Fist_of_Phoenix)とまっちゃんの1対1指導をもとに、物語として編集を加えたものです。
【参考記事】