「オス度を高める!?」人生を変えたい非モテ男が踏み出した最初の一歩【サウザーの婚活指南Vol2】
マッチングアプリ大学特別企画、「サウザーの婚活講座」第2回。
彼女のいない歴=年齢のまっちゃん(仮名)が、恋愛の師として数多の男性から崇拝されるサウザーさんに出会って成長していく本当の話を、小説風のタッチでお届けします。
<これまでのあらすじ>
恋愛経験がないことで同窓会で惨めな思いをしたまっちゃん。
同窓会後に立ち寄ったバーで、いかにも女にモテそうな雰囲気が漂う不思議な男・サウザーに出会い、非モテな自分の人生を変えるための一歩を踏み出す。
サウザーがまっちゃんに恋や愛を教えるマンツーマン指導が始まった。
- 第1回:彼女のいない歴=年齢。なぜ僕に恋愛経験がないのか。
自分を変えたいと決意した夜から、1ヶ月が経った
季節はすっかりと春めいてきている。暖かな日差しが降り注ぐ昼下がり、開放的なテラス席のあるカフェで、僕は人を待っていた。
久しぶり、まっちゃん。
あっ、サウザーさん! お久しぶりです!
バーで会ったときと同様、シンプルな服装に身を包んだサウザーさんは、相変わらず強烈なほど”女にモテそうなオーラ”を放っていた。
サウザーさんの注文を聞きに来た女性店員の接客が、心なしか先ほどより丁寧になったように感じるのは、僕の被害妄想だろうか。
最近はどう? 体を鍛えるのとマッチングアプリは順調?
体重は少し増えました。1kgだけですけど……
すぐに運ばれてきたアイスコーヒーを飲みながら、サウザーさんはまじまじと僕の体を見る。
サウザーさんと出会ったあの夜から1ヶ月、自分なりに努力と工夫を重ねてきたつもりだ。
けれど、どうしても無理をすると身体を壊す自分の軟弱さに、僕はすっかり気持ちが落ち込んでいた。
僕の現状を聞いたサウザーさんは、
1ヶ月で1kgはいいペースだ。もし、プロテインを飲めないなら、体作りの方法を医者に相談してみよう。
はい!
僕の体質を責めずにアドバイスをくれるサウザーさんのおかげで、僕はすっかり前向きな気持ちになっていた。
マッチングアプリではプロフィールのオス度を高めよ
マッチングアプリのほうはどうだ。何人とマッチングした?
マッチング数は、Pairsが19人で、withが12人ですね!
自分的には、まずまずのマッチング数だと感じていた。
しかし、サウザーさんは顔色ひとつ変えずに「少ないな」と呟く。
えっ……す、少ないですか!?
ああ、すごく少ない。ちょっとプロフィールを見せてくれ。
バシッと一蹴されて心が折れそうになるも、僕は素直にマッチングアプリを開いて、サウザーさんに自分のプロフィールを見せる。
サウザーさんは無言で僕のプロフィールをチェックする。
どんな指摘を受けるのかと、僕は息を呑んだ。
簡潔に言うと、オス度が足りない。
お、オス度って……男らしさってことですか?
そう。まっちゃんのプロフィールって、人畜無害系なんだよね。
害はなさそうなんだけど、オス度が低くて弱い男感があるんだ。
なるほど……
このプロフィールじゃ、女からは恋愛対象と思われない……かもな。
強烈なダメ出しが次々と飛ばされるが、サウザーさんからの厳しい言葉に落ち込んでいる暇はない。サウザーさんからスマホを受け取り、急いでメモ帳に指摘をメモした。
例えば俺なら、いただいたメッセージはその日のうちに返さないし、絵文字も使わない。 それに、モテるからなかなか出会いがないってこともないんだ。
サウザーさんは、僕が血眼になって読んだ「好感度アップ! 女からモテるプロフィールの作り方」というコラムに書いてあったテンプレート文章をすべて否定した。
どうやら僕が書いていたのは、人畜無害で嫌われないプロフィールを作るためのテンプレートにすぎなかったようだ。
あと、お前本当に夜景が好きなのか?
これは……半分は本当です。もう半分は女の子に好印象を与えようとしてというか。 実際、書いていたら女の子が夜景の話題を振ってくれたりもしたので……
この文章は、あわよくば夜景スポットに連れ出そうという下心感が満載だぞ。女はそういうのにも敏感だから、気をつけたほうがいい。
す、すぐ消します!
このプロフィールをアプリ上で何百人、何千人もの女性たちに見られてたことが、すごく恥ずかしく思えてきて、耳が熱くなった。
サウザーさんだったら、どういうプロフィールにしますか?
そうだな……。まず『プロフィールを見てくれてありがとうございます』とは言わない。
えっ! この定番の挨拶、いらないんですか!?
いらないな。あと、出会いがないとか思い切って登録とかも書かない。出会いがない非モテだと思われたくないし。
思い切ってマッチングアプリを使うって、なんか強さが感じられないだろ。
言われてみれば……
そういうのを書かない代わりに、自分の仕事とか趣味嗜好をたっぷり書いて、自分がどういう人間なのかがわかるプロフィールにするかな。
僕のプロフィールを改めて読み返してみる。
仕事や趣味の話は、ほとんど書いていない。今のプロフィールとは真逆の内容だ。サウザーさんの言っていることは分かる。
でも、恋愛経験がない僕だからこそ、サウザーさんの指導を受けている僕が、オス度なんか出せるのだろうか。
僕も、サウザーさんのようにオス度を出せるでしょうか……
心配しなくていい。単純に、弱い男っぽさを出さなければいいだけだから。
オス度を出すために無理に”強い男”を演じる必要はないんだ。
弱い男っぽさを出さなければいい、ですか
そう、出会いがないとかを書かないだけでも、女からの印象はだいぶ変わるはずだ。
そのくらいならできそうな気がしてきました!
励まされてすぐにやる気を取り戻す単純な僕を見て、サウザーさんは少し頬を緩めて表情を和らげながら「それと」と続けた。
人気上位の男はな、プロフィールが本当によくできてる。読んでると、俺も男としての自信を失うくらいだ。
プロフィールを直す前に、人気ユーザーのプロフィールを見てみるといいぞ。
僕は力強く頷いて、メモ帳にサウザーさんからのアドバイスを記した。
いいねを集めて人気者の男になれ
あと、Pairsはプロフィールの強化もしたほうがいいな。
プロフィールの強化?
ああ。具体的にいうと、Pairsはプロフィールに”もらったいいね数”が表示されるから、そこの数を増やすために女からたくさんいいねをもらうんだ。
そうだな……ひとまず、100いいね超えを目指してみよう。
Pairsで僕のいいね数を確認すると、マッチングした女性からもらった19いいねだけだった。
100いいねまでの道のりは、かなり長そうだ。
行列ができてるラーメン屋には、なんとなく行ってみたくなるだろ?
そういうふうに、人気のあるものには、さらに人気が集まりやすいんだ。
たくさんいいねをもらってる男は、さらにいいねをもらいやすくなるってことですね!
そうだ。有料アイテムである”ブースト”を使って
いいねを集めるのが手っ取り早い。
そういえば、Pairsの有料アイテムで、ブーストという雷マークを見たっけ。
ブーストを使うと、1時間、自分のプロフィールが女に表示されやすくなる。
さらに、ブースト発動中に足跡をつけてくれた女には無料でいいねが送れるんだ。
ブーストって、そんなことができるアイテムだったんですね。
ブースト発動中はとにかくいろんな女に足跡をつけまくって、その女が足跡を返してくれたらいいねを送る。
女がいいねを返してくれれば、”もらったいいね数”が増えるってわけだ。
僕だけじゃ到底思いもつかなかった作戦に感動するものの、ふと疑問が浮かぶ。
でも、女の子がいいねを返してくれなかったら、いいねは集まらないですよね?
その通り。ただ、足跡を返してくれている時点で向こうは多少はこっちに興味を持ってくれてるから、いいねを返してくれる可能性は高い。
な、なるほど…!
2週間くらいはアクティブユーザーが多い金曜と土曜の夜にブーストを使って、関東全域、全年齢の女を対象に足跡をつけまくれ!
わかりました! withは何もしなくていいんですか?
withは実際にもらったいいね数と女側から見えるいいね数が違うから、いいね集めは必要ない。
ただ、withは性格診断をやると自分と相性のいい女には無料でいいねが送れるようになる。
その無料いいねを活用していいねを送りまくるといい。
「しょうがねぇから会ってやる」水曜日要員の僕
サウザーさんの指導のおかげで、今日も僕のメモ帳には有益な情報がズラッと並んでいる。
飲み物を飲むのも忘れてサウザーさんの話に聞き入っていたおかげで、僕の目の前にあるアイスコーヒーはすっかり氷が溶けて色が薄まっていた。
薄味になったコーヒーを少し飲んで喉を潤してから、僕は意を決して口を開く。
実は僕、マッチングしたうちのひとりとデートの約束をしたんです。
だいたい20人とマッチングすれば、ひとりくらいとはデートの約束ができる。だから、そうじゃないかと思っていたよ。いつ会うんだ?
なんでもお見通しのサウザーさんに、もはや僕は驚きすら覚えなくなっていた。
サウザーさんと話していると、「この人は何者なんだ?」と感じるときがある。
いくら女にモテそうなオーラを放っていると言えども、流石にモテについて詳しすぎるからだ。
けれど、サウザーさんの言葉を聞いていると「あなたは何者なんですか」なんて質問はひどく馬鹿げた質問に感じる。
そんな質問をしている時間があるなら、ひとつでも多く、サウザーさんからタメになる話を聞いたほうが有意義だ。
来週の水曜日です。それで、僕にデートの極意を教えてください!
サウザーさんは「任せろ」と言って、ニヤリと怪しげな笑みを浮かべた。
まず、一番大切なのは、デートプランはまっちゃんがすべて決めることだ。
女の子に行きたい店とか聞かなくていいんですか?
聞かなくていい。
集合場所も店も、二次会のプランも、お前ひとりで事前に決めておく必要がある。
わかりました。でも、二次会なんて、来てくれますかね……
それは一次会の盛り上がり次第だろうな。
もし二次会に来てくれたら、手を繋ぐことにチャレンジしてみるんだ
て、手を繋ぐ!? 初対面でそんなことしたら、嫌われちゃいますよ!
別に、嫌われてもいいんだよ。
サウザーさんの発言に、頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受ける。
相手が嫌がってるのに無理矢理手を繋いだり、抱きついたりしたらマナー違反だ。それは絶対にしちゃいけない。
でも、マナー違反さえしてなければ、嫌われたっていいんだよ。
僕からすると、せっかくマッチングしてデートまでしてくれた女の子に嫌われてしまったら、せっかくの出会いがもったいないように感じられる。
でも、この発想こそが”弱い男”のそれなのかも知れないと気づいて、僕は押し黙った。
もし、手繋ぎチャレンジが失敗したり二次会に断られたりしたら、残念だがその子はまったく脈がない。
すぐに解散して、もう二度と連絡しなくていい。
お礼の連絡とか、しなくていいんですか?
僕の質問に、それまで怪しげな笑みを浮かべていたサウザーさんは、キリッと真面目な表情に切り替わった。
しなくていい。いや、するな。
脈がないことを受け入れて連絡しないのは、男としての意地だ。
オス度を高めるには、男としての意地を大切にしなきゃいけない
サウザーさんの言葉には、今の”オス度が低い僕”が理解できる範囲を超えた、深い意味が隠されている気がした。
何かを言うのは無粋に思えて、僕は静かに頷く。
あ、ちなみに、デートを水曜に割り振られたってことは、まっちゃんは相手の中で”しょうがねぇから会ってやる男枠”だから
しょうがねぇから会ってやる男枠!?
女は、大切な男とは金曜土曜の夜か、月曜の夜にデートをする傾向にある。
水曜木曜は、優先度の低い男が割り振られる可能性の高い曜日って頭に入れておけ。
しょ、ショックです……
せっかくデートまでこぎつけたのに、女の子の中で僕の優先順位は限りなく低いことを知らされ、僕は落胆した。
そんな僕を見て、サウザーさんは小さく声をあげて笑う。
最初は”しょうがねえから会ってやる男枠”だったとしても、”会いたくて会いたくてたまらない男枠”にのし上がることはできる。
まずは水曜日のプランをしっかり練っておくことだな。
まっちゃんのメモ
【明日からやること】
・体作りの方法は医者に相談する!
・人気ユーザーのプロフィールも見て、オス度の高いプロフィールにする!
・Pairsは金夜と土夜にブーストを使っていいねを集める!目指せ100いいね!
※この内容はサウザーさんとまっちゃんの1対1指導をもとに、物語として編集を加えたものです。
【参考記事】