静岡県の老舗「杉井酒造」で愉しむ!日本酒マニア向けおうちディナーデート

おうちディナーデートをおすすめする本記事では、静岡県の酒蔵「杉井酒造」のお酒(日本酒など)をご紹介します。

杉井酒造は、江戸時代から続く老舗の蔵元であり、日本でも数少ない生酛(きもと)造りや山廃造りで日本酒を製造しています。生酛造りと山廃造りは、酒造りに必要な酒母や乳酸を自然の力で発生させてお酒を造る伝統的な方法です。これらの製法によって生まれる深みのあるコクや味わいが、多くの日本酒愛好家から高い支持を得ています。

今回は、杉井酒造の酒造りへの思いや日本酒通におすすめの銘柄、さらにお酒があまり得意でないカップル向けのお酒などをご紹介します。おうちデートの際の参考にしてみてください。

飲酒は二十歳になってから

飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中や乳児期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。お酒は楽しく適量を。飲んだ後はリサイクル。

杉井酒造が守り続ける昔ながらの日本酒製法

昔ながらの製法で酒造りをする杉井酒造

1842年(天保13年)に創業した杉井酒造は、昔ながらの製法にこだわり、生酛造り・山廃造りを中心にさまざまな日本酒を製造しています。

生酛造り・山廃造りは、時間と手間をかけて造る伝統的な製法です。この方法で造られた日本酒は、酸味や複雑な味わいが特徴で、普段の食事にも合わせやすく親しまれています。杉井酒造のお酒は個性的な味わいながら、一度気に入ると癖になると評判です。また、味醂(みりん)は自炊の増加に伴い人気が急上昇しています。

近年では海外からも高い評価を得ており、「普段とは異なる日本酒を楽しみたい」「伝統的な日本酒の味わいを体験したい」というカップルにも最適です。

今回は、杉井酒造の専務である杉井健太郎さんに、酒蔵の歴史や特におすすめの日本酒について詳しくお話を伺いました。

180年の歴史を誇る杉井酒造の創業秘話

編集部

杉井酒造は大変歴史のある酒蔵だと伺いました。酒造を始めたきっかけや歴史について教えていただけますか?

専務の杉井さん

江戸時代末期1842年(天保13年)に創業しました。蔵の位置する静岡県志太平野は大井川の扇状地で、豊かな水に恵まれ稲作も盛んな地域です。黒船来航が1853年ですから、それより11年前に創業していたことになります。

編集部

静岡県志太平野はお酒造りに適した土地柄ということですが、使用している水や原料米について詳しく教えていただけますか?

専務の杉井さん

赤石山脈から流れてくる大井川の伏流水(井戸水)を使っています。軟水が多い静岡県の中では比較的ミネラル分が多く、強い発酵力を持つ水です。その水で醸されるお酒は濃厚で複雑な味わいのお酒となっています。

純米吟醸には兵庫の山田錦を使っています。純米酒には静岡の酒米「誉富士」と志太産の「玉栄」というお米を使用しています。誉富士は山田錦の改良種で柔らかな味わいの酒ができます。玉栄はコクのあるお酒を造るのに適した酒米で、弊社との相性が非常に良いです。

コクを生む生酛造り・山廃造りへのこだわり

杉井社長が作業している様子

編集部

お酒造りに対するこだわりは何かありますか?

専務の杉井さん

弊社は生酛造り・山廃造りという昔ながらの製法で造る酒が90%です。生酛造りの酒は国内総生産量のわずか数%といわれています。手間がかかりますが、その分コクのある日本酒ができます。

編集部

代々受け継がれてきた方法でお酒造りをされているのですね。昔ながらの生酛造りは杜氏の腕前次第だと聞いたことがあります。杉井酒造のお酒は、日本酒通にもすすめることができそうですね。

日常に寄り添う杉井酒造の日本酒づくりの哲学

編集部

どのような想いでお酒づくりをされていますか?

専務の杉井さん

米をできるだけ削らない酒造りと生酛造りの2点に注力しています。そうして造られたお酒は食事とよく合い、世界にも受け入れやすい酒だと考えています。

現代で飲まれている吟醸酒の一部は香りの華やかさに重きを置きすぎて、食事との相性が悪く飲みあきしやすい欠点があります。そのため「酸味を抑え甘味を多くすべし」という思想で造られた吟醸酒は、お店で一杯楽しむには適していますが、家でゆっくり楽しむには不向きだと考えます。

一方で米を削らないほど雑味や酸味が多くなりますが、生酛造り・山廃造りと組み合わせることにより野趣に富んだ複雑な味わいが生まれます。普段の生活の中で楽しんでいただく酒として、食事との相性も優れています。また、できる限り米を削らないので食品ロスを減らすという点でもエコな商品だと言えます。

また、世界的に飲まれているワインには渋み、苦み、酸味がありますが、近年の日本酒はそのような味をなくす方向に動いています。私たちは、「日本酒が世界的に受け入れられるためには渋み、苦み、酸味が調和した昔ながらの味であることが不可欠だ」と考え、そのようなお酒を造ることを目指しています。

編集部

大変なこだわりを持って、お酒造りに取り組まれているのですね。若者の間では「日本酒離れ」も進んでいるといわれていますが、杉井酒造では、日常の中で気軽に飲めるお酒造りに力を入れているのがわかります。

お酒が入るとお料理も美味しく感じられ、会話も自然と弾みます。晩酌を通してふたりの仲が深まることもあるでしょう。充実したおうち時間を過ごしたいカップルにとって、お料理とも相性がよい杉井酒造の日本酒はぴったりだと思います。

また、世界にも目を向けて、あえて昔ながらのお酒造りに力を入れているところも杉井酒造の特徴ですね。

個性際立つ生酛系日本酒への挑戦と評価

編集部

過去の受賞歴などがあれば教えてください。

専務の杉井さん

はい、以下の主な受賞歴があります。

  • KURAMASTERプラチナ賞:2018年より4年連続受賞
  • 静岡県清酒鑑評会第一位県知事賞:平成19年・平成21年・平成29年受賞
  • 全国新酒鑑評会金賞:平成14年・平成15年・平成16年受賞 など

平成14年から16年は、腕試しのために全国新酒鑑評会向けの酒質で出品しました。3年連続で金賞を受賞したことで、その後は酒造設計の方針を変更しました。鑑評会向けの吟醸系の酒ではなく、自分の造りたい生酛系の酒造りに注力するようになりました

その結果、吟醸系が重視される日本の鑑評会での入賞は最近では減少しましたが、生酛の酸味や複雑な味わいが評価される海外では高い評価を得ています。

編集部

国内でも様々な賞を受賞されているのですね。日本と海外で評価されるお酒の特徴が異なる点も興味深いです。杉井酒造のお酒は、ワイン好きのカップルにも親しみやすい味わいかもしれませんね。

杉井酒造が誇る多彩な日本酒ラインナップ

杉井酒造では、日本酒通の方を満足させる本格的な銘柄から、お酒が苦手な方でも楽しめる飲みやすい銘柄まで、幅広い種類の日本酒を製造しています。お二人の好みに合わせて選べるので、デートを楽しむのにぴったりです。

おうち料理に大活躍!超甘口「みりん飛鳥山」

「みりん飛鳥山」は、新型コロナウイルスの影響による自粛期間中に家庭で料理をする機会が増えたことで売上No.1になったお酒です。

料理などで使う一般的な「みりん」は実際には「味醂風調味料」のことであり、味醂にブドウ糖や水飴等を調合して作られます。一方、みりん飛鳥山は、味醂風調味料とは異なり、江戸時代に確立した伝統的なみりんの製法に従い製造している本格的なお酒です。アルコール度数も高く、料理だけでなく飲用としても楽しめます。

毎日の晩酌に最適「杉錦 本醸造」の魅力

「杉錦 本醸造」は、みりん飛鳥山が売上No.1となる以前、30年以上にわたって売上No.1を維持していた商品です。半世紀以上前から「毎日楽しめるお酒」をテーマに、時代のニーズに合わせてレシピを改良しながら製造を続けています

特に晩酌を楽しむ方や、毎日リーズナブルにお酒を味わいたい方におすすめです。豚の角煮、鴨のロースト、もつ鍋など、肉の旨味が強い料理との相性が抜群です。

杉井酒造の杉錦 本醸造 原料米 国産米100%
アルコール分 15.5度
日本酒度 +7
酸度 1.6
価格(税込) 300ml 440円
1,800ml 2,035円
味わい 辛口
飲み方 冷酒でも美味しく飲めますが、燗酒がより一層おすすめです。

受賞歴

全国燗酒コンテスト2021「お値打ちぬる燗部門」にて最高金賞(上位5%)を受賞

みりんと山廃純米のリキュール「やなぎかげ」

「やなぎかげ」は、山廃純米と伝統的な製法で造った味醂、日本酒をブレンドしたお酒です。

日本酒のカクテルは一見珍しいように思えますが、江戸時代には女性を中心に、味醂と日本酒のカクテルが普通に飲まれていたそうです。味醂の甘さが山廃純米の酸味とうまく調和しており、12年もの歳月をかけて熟成させたことで深みのある味わいとなっています。

受賞歴

フランスフェミナリーズ世界ワインコンクール銀賞受賞

本格派日本酒「杉錦 山廃純米 天保十三年」の魅力

「杉錦 山廃純米 天保十三年」は、昭和初期の濃厚なタイプの純米酒をイメージした日本酒です。近年の酒造りと真逆の低精白、高酸度、熟成感、雑味をテーマにしている点が特徴といえます。海外でも高い評価を受けています。

受賞歴

フランス KURAMASTER 2018 純米部門プラチナ賞(best5)
フランス KURAMASTER 2019 純米部門プラチナ賞

日本酒通も唸る!杉井酒造おすすめの逸品

日本酒好きの方におすすめの銘柄を、杉井さんに厳選していただきました。初心者の方から上級者の方まで、幅広い好みに合わせた日本酒をご紹介します。

赤ワイン愛好家も満足「杉錦 山廃純米 天保十三年」の奥深さ

昔ながらの日本酒が好きな方には、「杉錦 山廃純米 天保十三年」がおすすめです。豚の角煮や鴨のロースト、もつ鍋など、肉の旨味を引き出す料理とよく合います。温めて飲むと熟成した香りが立ち、豊かな風味を感じることができます。

杉井酒造の山廃純米天保十三年 原料米 国産米100%
アルコール分 15.3度
日本酒度 +9
酸度 2.3
価格(税込) 720ml 1,210円
1,800ml 2,420円
味わい やや辛口、濃醇
飲み方 お燗

杉井さんからのコメント

一般の消費者向けというよりも日本酒に詳しい方向けの銘柄です。濃厚な味わいとまろやかな酸味が赤ワイン愛好家に人気のようです。

お酒初心者でも楽しめる!杉井酒造の入門銘柄

杉井さんによると、日本酒以外では「みりん飛鳥山」やリキュールの「やなぎかげ」がおすすめだそうです。これらは、お酒が苦手なカップルや、飲みやすいお酒を探している方に適した銘柄です。「みりん飛鳥山」は甘みがあり、「やなぎかげ」は柔らかな味わいが特徴で、どちらも初心者でも楽しめる味わいとなっています。

女性にも大人気!甘口の「みりん飛鳥山」

「みりん飛鳥山」は、甘口のお酒が好きな人やお酒の苦みが苦手な人、料理好きな方におすすめのお酒です。ブランデーの代わりにお肉料理やホットケーキにかけることもできます。

また、カステラにかけるとしっとりとしたシフォンケーキのような味わいになります。アイスクリームにかけると大人の風味を楽しめるなど、単に飲むだけではなく様々な楽しみ方ができるのが、みりん飛鳥山の魅力です。

杉井酒造のみりん飛鳥山 アルコール分 14.0度以上15.0度未満
価格(税込) 500ml 1100円
720ml 1,430円
1,800ml 2,860円
味わい 超甘口
飲み方 ロック、水割り
・冷やして飲むと甘味が抑えられます。

杉井さんからのコメント

江戸時代には日本酒の苦手な女性は味醂を飲んでいました。お酒の苦みが苦手な女性の方でも気軽に楽しめるお酒だと思います。

和風カクテルを楽しむ「やなぎかげ」の新感覚

お酒の苦みが苦手な方や甘いもの好きな方には、「やなぎかげ」がおすすめです。デザートワインのような甘さがあり、フルーツやチーズと合わせて楽しむのが良いでしょう。

杉井酒造のやなぎかげ アルコール分 16度
日本酒度 -97
酸度 2.5
価格(税込) 500ml 1,760円
味わい 超甘口
飲み方 デザートワインのように食後酒として。
・冷やして飲むのがおすすめです。

杉井さんからのコメント

居酒屋やスーパーで見かける日本酒は淡麗辛口なタイプが多く、大企業が大量生産しているため手頃な価格です。一方、全国各地には小さな酒蔵が独自の考え方で様々なお酒を丁寧に造っています。
手間暇をかけて作られているため、やや高価になることもありますが、自宅デートでお金を節約できた分、少し贅沢なお酒を買ってみることをおすすめします。
きっとあなたの好みに合うお酒が見つかると思いますので、ぜひ新しい日本酒にチャレンジしてみてください。

杉井酒造の日本酒を手に入れる方法

品質維持のため、杉錦の販売は主に一部の酒販店に限定されています。ただし、一部の商品はAmazonでも購入可能です。お近くの取り扱い店舗や購入方法については、以下の公式ウェブサイトの酒販店一覧ページでご確認いただけます。

▼酒販店一覧ページはこちらから
http://suginishiki.com/stores

まとめ:伝統と革新が織りなす杉井酒造の魅力

静岡県藤枝市にある杉井酒造の作業場

昔ながらの方法で作られた日本酒を味わう機会は、なかなかありません。時間を気にせずじっくりお酒を楽しめるおうちデートだからこそ、普段とは違う特別な日本酒を選んでみてはいかがでしょうか

杉井酒造のお酒は料理との相性が抜群で、晩酌にも最適です。カップルでお料理と日本酒のペアリングを楽しむのもおすすめです。例えば、さっぱりした料理には辛口の日本酒、濃厚な料理には甘口の日本酒を合わせるなど、組み合わせを工夫することで、食卓がより華やかになることでしょう。

杉井酒造の基本情報

住所 〒426-0033
静岡県藤枝市小石川町4丁目6番4号
お問合せ 054-641-0606
営業時間 平日営業
午前8時~午後12時
午後1時~午後5時
公式サイト http://suginishiki.com/

※最新の情報は公式ホームページ等でご確認をお願いいたします。
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