秋田県大潟村での移住はどう?暮らし・仕事・住居・支援内容を解説

この記事では、地方への移住を検討している人に向けて、秋田県南秋田郡大潟村(おおがたむら)の特徴や生活情報をご紹介します。

大潟村は八郎潟干拓地に約60年前に誕生し、多くの移住者により村づくりが行われました。約60年前に誕生した村なので「みんな移住者」という意識があり、新しい移住者が比較的馴染みやすい土壌があります。加えて、定住化促進住宅をはじめとした「移住者受け入れ体制」が整っていることが大きな魅力だといえます。

また、村の周囲を水路が囲み、商業地区や住宅街は全て総合中心地という集落にまとまっているのが特徴です。生活に必要な施設がコンパクトにまとまっているので、郊外エリアとは思えないほど徒歩や自転車での生活がしやすい村だといえます。

そんな大潟村は、子育て世帯へのサポートが充実しており、子どもと一緒に移住をしたいと考えている人に特におすすめのエリアです。「移住者によって作られた移住者が住むまち」である大潟村で、新しい生活を始めてみませんか?

大潟村総務企画課企画財政班の小形谷範子さん

秋田県大潟村の暮らし、3つの特徴

秋田県大潟村の暮らしの特徴

郊外移住と聞くと、豊かな自然に囲まれたスローライフを思い描く人も多いでしょう。その反面で、生活の利便性に不安を抱いている人も多いのではないでしょうか。大潟村では、自然に囲まれた暮らしと利便性の高い暮らしの両立が可能です。その背景には、大潟村ならではの個性的な村の成り立ちがあります。

大潟村は、1964年に八郎潟を干拓して誕生し、干拓地に移住した多くの人々により村づくりが行われました。古くから続く慣習や郊外特有の密なコミュニケーション文化が薄いため、都会からの移住者も比較的暮らしやすい雰囲気がありますよ。

現在も、村の外から大潟村に働きに来ている人が多い傾向にあります。暮らしているほとんどの人がもともと移住者であるため、新しい定住者が受け入れてもらいやすい土壌があるんです。

ここからは、大潟村の特徴や移住の際の魅力をご紹介します。

特徴1:徒歩圏内で暮らせるコンパクトシティ!村内のどこに住んでも暮らしやすい

菜の花ロードに花が咲き誇る様子
▲「菜の花ロード」では、春には花が咲き誇る

大潟村は人口約3,000人の小さな村で、生活に必要な施設は村の西中央部にある総合中心地に全てまとまっています。商業施設や住宅も同じ区画にまとめられているため、村内の住居エリア内であればどこに住んでも生活しやすいことが魅力です。

スーパー・銀行・学校・診療所・役場など、暮らしに必要な施設がすべて徒歩圏内にあるのは「コンパクトシティ」である大潟村ならではの特徴といえます。産直センターで新鮮な野菜を購入できるなど、日常の買い物は村内で完結できます。

また大潟村の大部分は広大な農地なので、中心部から少し足を延ばすだけですぐに自然を感じられるのも嬉しいポイントですよね。

このように、日常生活は村内で完結させることができますが、県庁所在地の秋田市までも車で1時間ほどで行くことができます。1時間以内で大きな町にアクセスできることは、移住する上で安心材料になるでしょう。

特徴2:子育て支援が充実!先進的なリモート授業環境も整っている

大潟村は子育て支援に注力しているまちで、小さな子どもがいる世帯にとって暮らしやすい環境が整っています。

以下に、大潟村の代表的な子育て支援をご紹介します。

チャイルドシート購入費補助事業 6歳未満の乳幼児のために購入した額に半額(補助上限額2万円)を補助
潟っ子Babyギフト

妊娠届提出時に5万円、出産時に17万円を支給

見守りおむつお届け事業

満1歳未満の乳幼児を養育している家庭を対象に助産師、保健師がおむつや離乳食を配達

福祉医療制度 高校修了までの子どもが医療機関にかかるときの自己負担分を県と村が全額助成
児童手当(特例給付) 中学校修了前の子どもを養育している人に児童手当(特例給付)を支給
子育て世帯へのごみ袋支給事業 子育て世帯にごみ袋を支給
季節保育 農繁期である5月と稲刈り時期のそれぞれ1ヶ月間は土曜日も一日保育をしてもらえる
住宅子育て応援商品券

こども園に通っていない2歳までの子どもを自宅で養育する保護者に、該当の子ども1人につき月額1万4千円の商品券を支給

子育て支援センター 親子の交流の場としてこども園の一室を解放。子育て相談やイベントも実施。
おおがたネウボラ 妊娠から子育て期の相談窓口
産前・産後の家事支援(養育支援訪問事業) 妊娠や子育てに不安や孤立感を持つ人、産後ストレスを抱える人などを対象に家事支援(ヘルパー派遣)にかかる費用を助成

このように大潟村には、子育てをしながら働くお父さんやお母さんをサポートする制度が特に充実しています

大潟村の認定こども園「大潟こども園」は子育て支援センターとしての役割も担っている、幼保一体型の施設です。比較的新しく、綺麗な施設であることも嬉しいポイントでしょう。地域の子育て支援の拠点でもあり、支援制度とあわせて保護者をサポートしてくれる場所です。

大潟こども園の外観
▲大潟村には子どもが思いっきり遊べる環境が整う

大潟こども園で遊ぶ子どもたち
▲大潟こども園の様子。地域ぐるみで育児をサポートする

公式URL:大潟こども園

総合中心地内には同一校舎の小中学校があり、徒歩15分程度で学校に通えるのも魅力です。県内ではまだ珍しいリモート授業環境が整備されています。一人一台タブレット端末が配布され、先進的なスタイルで授業を受けることができますよ。

さらに、小中学校の給食にもこだわりあり。校舎内で給食を作っているうえ、お米は大潟村の名産品「あきたこまち」を100%使用しています。農業が盛んな地域であるため、お米以外にも地場産の食材をたっぷり使用しているそうですよ

大潟小学校と大潟中学校の外観
▲大潟小学校と大潟中学校。先進的な環境で教育が受けられる

大潟村の暮らしに関する情報

大潟村の総合中心地
▲大潟村の総合中心地を上空から撮影した写真。生活圏や商業区域がまとまっている

ここでは、大潟村への移住を考えた場合に必要になる、生活に関する情報をご紹介します。まずは、大潟村の主な情報をまとめた表をご覧ください。

人口 約3,000人
世帯数 約1,100世帯
気候 ・8月:平均気温26.0℃
・1月:平均気温2.9℃
※参考:気象庁ホームページ
病院 診療所:2院
学校 ・公立大学:1校
・公立中学校:1校
・公立小学校:1校
・こども園:1園
■近隣都市の高校
・男鹿市:2校
・潟上市:1校
・五城目町:1校
交通 南秋地域広域マイタウンバス
秋田自動車道
・琴丘森岳IC
・五城目八郎潟IC
近隣都市 ・男鹿市
・潟上市
・八郎潟町
・井川町
・五城目町
・三種町
名産品 あきたこまち、潟たまねぎ、かぼちゃ、グルテンフリー食品
大都市へのアクセス 鉄道とバスで秋田駅まで約1時間5分

大潟村は、八郎潟という巨大な湖沼を干拓して作られた土地です。上から見ると、八郎潟の残存水域に囲まれた島のような形をしています。そのため大潟村と周辺市町村は直接接しておらず、村の外に出る際には各地に設けられた7基の橋を利用します。

東北への移住を考える際、不安要素のひとつとなるのが積雪ですよね。大潟村は秋田県内の中では比較的積雪量が少なめで、村内に標高が高い山がないため、なだれの心配はありません。雪解け時期の県内天気予報では「大潟村を除く県内全域に雪崩注意報が出ています」と報道されます。

大潟村の航空写真
▲大潟村は湖沼の残存水域に島のような形をしている。7基の橋が他の市町村とつながっている

村の西中央部の総合中心地には、役場や学校、診療所などの暮らしにかかわる施設の他に「ツルハドラッグ」やファミリーレストラン、「ローソン」や「セブンイレブン」などのコンビニも点在しており、コンパクトシティならではの住みやすさを感じられます

大量の食品や特定の日用品が必要な場合は、村の外(近隣都市である男鹿市・潟上市・八郎潟町・井川町・五城目町・三種町など)に買い物に出かける人が多いとのことです。

大潟村~男鹿市 車で約16分
大潟村~潟上市 車で約24分
大潟村~八郎潟町 車で約18分
大潟村~井川町 車で約22分
大潟村~五城目町 車で約23分
大潟村~三種町 車で約13分

※上記時間はGoogleMapを参考にしたリストです

「道の駅おおがた」はレストランを利用できたり、地域の新鮮な食材や名産品を購入できたりと、地元の良さを感じながら買い物ができる場所です。

道の駅の産直センターの賑やかな様子
▲道の駅の産直センターでは地元の新鮮な食材を購入できる。野菜だけではなく肉や加工品なども豊富

公式URL:道の駅おおがた

また村の中には「ポルダー潟の湯」という温浴施設があり、地域住民に親しまれています。

ポルダー潟の湯の内湯
▲村内のポルダー潟の湯は保湿成分が豊富で「美肌の湯」として人気

公式URL:ポルダー潟の湯

村内の「南の池入植記念公園」のキャンプ場は、無料で利用可能です。春には桜、夏にはツツジと、季節の変化に応じて景観が変わる人気の公園なんですよ。

南の池入植記念公園の無料キャンプ場
▲南の池入植記念公園の光景。キャンプ場はなんと無料で利用可能

また「桜と菜の花ロード」は、11kmに渡って桜や菜の花に囲まれた道が続きます。特に花が満開になる時期は圧巻で、一度は訪れておきたい名所だといえそうです。

桜と菜の花ロードの光景
▲桜と菜の花ロード沿いに植えられた桜は約4000本。春の訪れを存分に感じられる

仕事情報:町外都市も勤務地候補に!就農希望の際は農業法人を活用

大潟村の農業の様子
▲大潟村は敷地の過半数が農地。名産品のあきたこまちは学校の給食にも導入されている

村の大部分が農地である大潟村の求人は、事務・米づくり・米販売・工場業務が多い傾向にあります。2022年12月現在は、約480戸の専業農家が水稲を中心とした農業経営を行なっています。
※2022年12月時点、縁結び大学調べ

大手求人サイトで検索したところ、大潟村の求人数は約50件でした。対象を30分圏内で通える範囲(25㎞以内)まで広げた場合は、約2,000件にまで増えます。

※参考:求人情報の一例

また大潟村の平均年収は以下の通りです。求人情報と比較しながら、生活の計画を立てていきましょう。

単身世帯 約380万円
二人以上世帯 約440万円

※参考:ハローワーク求人情報「秋田県大潟村の平均年収・平均給与データ」
※参考:住まいインデックス「南秋田郡大潟村の家計データ」

大潟村に住んでいる人の中では、車で通勤できる秋田市・男鹿市・能代市で働いている人も珍しくありません。生活をするのは大潟村、仕事をするのは近隣都市というライフスタイルもおすすめです。

また2022年12月現在は新しい農業用の土地が少ないため、新規就農をする際は独立を選ぶよりも農業法人のサポートを借り、会社員として農業に携わるのもひとつの手段です。

公式URL:農林水産省「農業法人について」

住まい情報:定住化促進住宅が大きな魅力。支援制度も幅広く展開!

大潟村にはアパートやマンションの情報は少ない傾向にありますが、定住化促進住宅が整備されています。定住化促進住宅の家賃は月額22,000円〜56,000円と幅があり、入居者の所得により決定されます。

中央3定住化促進住宅
▲中央3番地定住化促進住宅エリアの様子。移住者の住宅メインエリアとなっている

定住化促進住宅は、単身世帯やファミリー層まで幅広いライフスタイルの人たちに活用されています。中には、3LDKで92㎡の大型住宅も展開されているとのことです。安心感を持って移住・定住をスタートすることができます。

定住化促進住宅は全部で12棟、35世帯が展開中で、2023年6月現在では34世帯が入居済みです。現在、北地区に新たな集合住宅の建築も始まりました。なお、移住者が多く住んでいるエリアは「中央3番地」です。

定住化促進住宅に関する情報は定期的に更新されるため、自治体のホームページで最新情報を確認しておきましょう。

公式URL:大潟村GoogleMap

公式URL:中央3番地定住化促進住宅入居者募集について

最大200万円の補助も!大潟村の住まい支援制度

ここでは、移住者も利用できる大潟村の住まい支援制度をご紹介します。

名称 内容 詳細
大潟村住まいづくり支援事業 住宅の新築工事・リフォーム・増改築工事を行なった人が対象。最大200万円の補助金・商品券を受け取れる HP
結婚新生活応援事業 夫婦ともに39歳以下で移住した際、住宅の購入費・家賃・引っ越し費用を最大60万円補助してもらえる HP
情報発信者入村事業 芸術・スポーツ・研究などの活動を行う人が移住した際に、宅地無償貸付(700㎡)を行ってもらえる。また住宅建築・居住から7年経過した場合に無償譲渡してもらえる HP
空き家バンク 空き家を貸したい・売りたい人とマッチングしてもらえる。利用の際は申請書を提出し、審査後に情報提供が受けられる。 HP

※具体的な詳細や利用条件は、リンク先を参考にしてください

中でも注目したいのが、最大200万円分の補助がある「大潟村住まいづくり支援事業」です。支援事業ごとに細かく条件が定められているため、リンク先から当てはまる条件を調べてみましょう。

大潟村に移住した人の体験談や感想

秋田県大潟村の移住者の声

ここでは、実際に大潟村に移住した人たちの声をご紹介します。大潟村への移住を検討している人は、先輩たちの声をぜひ参考にしてくださいね。

  • 町がコンパクトで子育てがしやすいことが魅力
  • 環境への意識が高く、真摯な心で自然と共存していく気持ちになれる
  • 鮮やかな自然に囲まれて、心地よい生活ができています
  • 小学校やこども園との距離が近いのが助かっています
  • 道路にほとんど坂がないので、徒歩でも自転車でも快適です!
  • 住んでいる人たちが子どもを見守ってくれる安心感がある
  • 田舎特有の閉鎖意識がなく、開放的な雰囲気です。みんな親切。
  • 小さな村なので安全な生活環境だと思います
  • 家で花壇と野菜畑を作りながら、第二の人生を楽しんでいます

移住者の声の中には、コンパクトシティならではの生活のしやすさに感激する声が多く見受けられました。また郊外の移住の不安として挙がる閉鎖的な雰囲気が薄く、移住者が置いてけぼりにならないオープンな村民性も魅力であることがわかります。

移住者向けの補助制度・ポータルサイト・問い合わせ先

大潟村をつなぐ橋
▲高い山がない大潟村では地平線が一望できる

ここでは、大潟村の移住に役立つ制度やお問い合わせ先をご紹介します。

年間10万円がもらえる情報発信者入村事業(補助金)

住まいのサポートとしても利用できる「情報発信者入村事業」は、年間10万円を上限に補助金(活動資金)が受け取れる制度でもあります。芸術・スポーツ・研究などの活動を行う人が対象です。関連活動をしている人は、ぜひ活用しましょう。

公式URL:情報発信者入村事業

イベント告知多数!秋田暮らし「はじめの一歩」

秋田暮らし「はじめの一歩」は、大潟村を含む秋田県の移住情報・地域情報をまとめたポータルサイトです。エリアごとの支援制度や最新情報、移住者インタビューなども掲載されています。

オンラインツアーやサロンなどのイベント情報も随時更新されるため、定期的なチェックをおすすめします。

公式URL:秋田暮らし「はじめの一歩

最新情報をチェック!大潟村公式ブログ

大潟村には、最新情報を発信する公式ブログがあります。過去には大潟村が参加した移住オンラインツアーも告知されました。季節のお知らせや体験イベントなど幅広い情報が発信されていますので、上述の秋田暮らしと合わせてチェックしておきましょう。

公式URL:大潟村公式ブログ

大潟村への移住に関する問い合わせ

大潟村総務企画課企画財政班の小形谷範子さん
▲大潟村総務企画課企画財政班の小形谷範子さん

移住に関する質問や相談先は下記の通りです。些細なことでも、気になったらまずは相談してみましょう。

担当課 総務企画課・企画財政班
住所 〒010-0494
秋田県南秋田郡大潟村字中央1-1
電話番号 0185-45-2111
FAX 0185-45-2162
問い合わせフォーム https://www.vill.ogata.akita.jp/contact/index.html
開庁時間 平日8時30分~17時15分
公式サイト https://www.vill.ogata.akita.jp