【東酒造】160年の伝統が生んだ「神泉」で楽しむカップルのおうち居酒屋デート

この記事では「おうち居酒屋デート」をテーマに、日本屈指の酒処石川県にある創業1860年「東酒造」のこだわりの日本酒の魅力をご紹介します。

大量生産ではなく、品質に徹底的にこだわり、創業からの伝統を守りながら『地酒らしい日本酒』を追求し続けている酒蔵です。

看板商品の「神泉(しんせん)」は、日本酒愛好家を満足させる奥深い味わいのものから、日本酒初心者にもスッキリと飲みやすいワインのような口当たりのものまで、幅広いラインナップが揃います。

おすすめの銘柄と相性の良いおつまみもご紹介しますので、ふたりで飲み比べや、おつまみ作りの参考にして、おうちデートを楽しんでください。

飲酒は二十歳になってから

飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中や乳児期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。お酒は楽しく適量を。飲んだ後はリサイクル。

100年以上の歴史と少数精鋭主義が育む東酒造の日本酒

東酒造の歴史ある造り酒屋建屋の雪景色

東酒造は、石川県小松市にある創業1860年、160年以上の歴史を誇る老舗の造り酒屋です。石川県は良質な水と米に恵まれた日本酒造りに適した風土で、大正時代の最盛期には300社ほどの酒蔵がありました。その後、酒税法の改正などにより、現在県内の酒蔵は35社に減少しましたが、東酒造は高級酒と言われる大吟醸・純米・本醸造を主体としたこだわりの酒造りを続けています。

歴史ある酒蔵の建物は、建築物としても趣があり、老舗らしい重厚感や長年の時を経て醸し出された味わい深い風合いが魅力的です。敷地内には茶室や和風建築が建ち並び、創業時から変わらない、ゆったりとした時間が流れています。

今回は、東酒造の代表取締役である東さんに、創業からの歴史やお酒造りへのこだわり、おすすめの日本酒や相性の良いおつまみなどについてお話を伺いました。

東酒造敷地内の和風建築と苔むした庭園

江戸時代末期から続く歴史ある東酒造

編集部

石川県は寒冷な気候や上質な水、酒造りに適した米の産地であることから、美味しい日本酒が多いと聞きます。「東酒造」の特徴、創業のきっかけや歴史について教えてください。

東さん

万延元年(1860年)、農家であった野田村の源右衛門が30歳の時、余り米で酒造りを始めたのがこの地での酒造りの始まりです。

明治8年(1875年)に政府が酒造りの規制を緩和し、技術と資本のある者なら自由に酒造りができるようになりました。そこで初代栄松が酒造を専業とし、銘酒「旭菊」を広めました。昭和3年に二代栄松が継ぎましたが、同11年に火災で酒蔵がほぼ全焼。翌年の企業整理で小松税務署管内の酒造業者が20社から11社に削減される中、東酒造は現在まで営業を続けています。

老舗酒屋の雰囲気を醸し出す酒屋の門
▲老舗酒屋の趣ある正門は戦後に建てられたもの

編集部

全焼の被害は大変だったでしょう。そこからどのように復興されたのですか?

東さん

火災直後はまず主屋を再建し、仮の酒蔵で営業を再開しました。戦後、現在の観音下石の酒蔵や正門を建設し、庭園に茶室「桂松庵」も新築しました。

3代目栄松は昭和35年に新銘酒「神泉」を発売。平成21年には石蔵と住宅が国登録有形文化財に指定され、石蔵は小松市の石文化「珠玉と歩む物語」の中で日本遺産構造文化財として認定されました。

>>東酒造の国登録有形文化財と日本遺産構造文化財について

登録有形文化財指定のプレートが威厳を誇る酒蔵の門構え
▲国登録有形文化財に指定された価値ある建造物

編集部

火災や戦争という危機を乗り越え、今日までこだわりの酒造りが続いてこられたのは、歴代当主の方々の日本酒に掛ける熱い想いがあったからでしょうね。また、この地の酒造り文化を継承したいという使命感のようなものも感じました。

地元石川県産にこだわる、東酒造の原材料選び

石川県産の上質な酒米を丁寧に仕込む様子
▲熟練の職人が上質な酒米を丁寧に仕込む

編集部

酒造りの命とも言える、原料のお水や原料米はどんなもの使用しているのですか?

東さん

『石川の地酒らしい日本酒』を目指し、酒造りに関わる全ての要素が石川県産にこだわること、をモットーとしています。酒造りに重要な水は白山の伏流水を用い、地元の酒米と地元の酵母で醸しています。

弊社の地酒「神泉」では酒造りの原料である酒米を半数以上を地元産の酒米で仕込んでいます。20年前より、地元小松産の原料にこだわり、すべて地元の「五百万石」に切り替え、10年前には他社に先駆けて「コシヒカリ」を使用した純米酒を製造し、5年前には地元の「山田錦」で製造しています。

「神泉」と名付けられた由来は、近くの神社から出た湧き水で仕込んだことによるものです。

温度や湿度が管理された酒蔵の内部

酒蔵内の仕込み風景

スクロールで酒蔵内の写真が見られます→

編集部

石川県の自然の中で育まれた米、大地から湧き出た水を使うからこそ、この土地ならではの地酒として奥深い味を醸し出すのでしょうね。

神社から出た湧き水と聞くと、とても神秘的なイメージがしますね。名前の由来を知ってから飲むと、神様からの恵み、特別感を味わえそうです。

グローバル展開への挑戦:海外に日本酒の魅力を発信

歴史ある風情の神泉販売店

編集部

原料へのこだわりや酒造りへの思いを伺いましたが、この先の目標などあればお聞かせください。

東さん

弊社は万延元年(1860年)創業の酒造メーカーです。醸造量は300石(約54,000リットル)で小規模な酒蔵ですが、高級酒を得意としています。10年前に比べ製造量、売上ともに約2倍に増え、従業員数も2人増えて4名になりました。

また、海外での販売を目的に会社形態を変更し、「合資会社東栄松商店」から現在の「東酒造株式会社」に改めました。これからは、海外に美味しい日本酒を広めていくことを目標としています。

東酒造が誇る「神泉」ブランドの主要ラインナップ

東酒造では「神泉」を中心に、豊富なラインナップがあります。まずは、東さんに教えて頂いた酒蔵の顔とも言える看板商品、定番人気の日本酒をご紹介します。

栄誉ある「神泉大吟醸」:初代政府専用機での採用

政府専用機の正式機内酒として選ばれ、機内の貴賓室や広報室等で提供された栄誉ある大吟醸。フルーティな口当たりで、繊細な味わいと華やかな香りのバランスが絶妙です。日本の伝統と技術が詰まった逸品といえるでしょう。

東酒造の看板商品神泉大吟醸 原料米 山田錦
精米歩合 40%
日本酒度 やや辛口
アルコール分 17%
金額 1,800ml:7,700円
720ml:3,850円
味わい フルーティな口当たり

地元コシヒカリを使用した女性向け純米自然酒「蛍舞」

地元小松産のブランドコシヒカリ「蛍米」を使用した、地元でも人気の商品です。すっきりとした辛口で、特に女性に好評です。地元の商品コンテストである「こまつもんゴールド」を受賞しており、その品質が認められています。

純米自然酒蛍舞 原料米 蛍米(コシヒカリ)
精米歩合 68%
アルコール分 15%
金額 1,800ml:3,190円
720ml:1,650円
味わい さっぱりとした辛口で、様々な料理と相性が良い

コストパフォーマンス抜群の辛口「純米酒」

キレのある辛口純米酒で、雑味を取り除きながら米の旨味やコクを引き出しました。コストパフォーマンスに優れた家飲みにおすすめの日本酒です。

純米酒 原料米 五百万石
精米歩合 60%
日本酒度 辛口+2
アルコール分 15%
金額 1,800ml:2,640円
720ml:1,320円
味わい 豊かな味わいの純米酒
なめらかで飲みやすい口当たり

国際的に評価された甘口「純米吟醸旨口」

日本酒度-10ですが、スッキリした甘口で、世界の女性が審査員を務めるフランスの国際ワインコンクール「フェミナリーズ2021」で金賞を受賞しました。さらに、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2019」でも最高金賞を獲得した、国内外で高い評価を得ている人気の日本酒です。

純米吟醸旨口 原料米 五百万石、山田錦など
精米歩合 60%
日本酒度 -10
アルコール分 14.5%
金額 1,800ml:3,960円
720ml:1,980円
味わい 世界の女性に認められた純米吟醸。スッキリとした甘口

日本酒通が唸る東酒造のプレミアム銘柄

神泉ロゴ入り御猪口3つ

日本酒好きなカップルのおうちデートでは、異なる特徴を持つ銘柄をいくつか選んで飲み比べるのがおすすめです。それぞれの香りや味わいの違いを利き酒のように楽しむことで、より深い日本酒の魅力を感じることができるでしょう。

以下では、東さんに教えていただいた、日本酒愛好家の方におすすめの銘柄をご紹介します。様々な特徴を持つ日本酒を楽しんでみてください。

東酒造が誇る最高峰「純米大吟醸」

金沢酵母を使用した、料理に合う辛口の大吟醸。金沢の地域性を活かした東酒造の一番人気商品です。

純米大吟醸 原料米 山田錦
精米歩合 50%
アルコール分 17%
金額 1,800ml:5,500円
720ml:2,750円
味わい 芳醇辛口 
豊かな味わいと旨味が広がります

国際コンクール受賞の「純米吟醸ブルーラベル」

小松産の山田錦を使用した純米吟醸ブルーラベルは、辛口でありながらスッキリとした旨味が後味に残るのが特徴です。海外の日本酒コンクール「クラマスター2020」でプラチナ賞、翌年「クラマスター2021」で金賞を受賞した人気商品です。

東酒造の純米吟醸ブルーレベル 原料米 山田錦
精米歩合 60%
アルコール分 15%
金額 1,800ml:3,740円
720ml:1,870円
味わい 香りと味わいのバランスが取れた淡麗辛口

純米吟醸ブルーラベル
▲「クラマスター」を2年連続受賞した純米吟醸ブルーラベル

東さんからのコメント

「辛口のおすすめ」でも紹介した「純米酒」も、日本酒を愛好する方には特におすすめです!

日本酒デビューにぴったり!初心者向け東酒造の銘柄

「日本酒に興味はあるけれど、あまり飲んだことがないから外で飲むのはちょっと躊躇してしまう…」という方も、おうちデートなら気軽に試してみるチャンスです。

日本酒デビューを考えているカップルにおすすめの、初心者でも飲みやすい銘柄をご紹介します。きっと二人で楽しめる一本が見つかるはずです。

ワイン愛好家も驚く季節限定「あらばしり吟醸」

季節限定で、少しオリの混ざった旨口吟醸です。フレッシュでしっかりした味わいが特徴で、爽やかな香りと共に楽しめます。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2021」で金賞を受賞しており、その品質が高く評価されています。

あらばしり吟醸 原料米 五百万石
精米歩合 60%
アルコール分 19%
金額

720ml:1,430

(*2023年4月21日現在、発売未定)

味わい 力強く個性的な味わい

あらばしり吟醸

洗練されたデザインの「HOTARUMAI POMME」

蛍舞発売10周年を記念して、プレミアム蛍舞として製造されました。地元産コシヒカリで醸造された純米吟醸酒で、爽やかな酸味が特徴です。酸味と甘味のバランスが良く、リンゴを思わせる味わいが楽しめます。

HOTARUMAI POMME 原料米 蛍米(コシヒカリ)
精米歩合 60%
アルコール分 14%
金額 500ml:1,430円
味わい 青りんごのような爽やかな味わい

東さんからのコメント

「純米吟醸旨口」もおすすめです。フルーティな甘口でワインのように楽しめるため、日本酒初心者の方にも親しみやすい一本です。

「神泉」に合うおつまみとカップルでの楽しみ方

純米吟醸旨口と寿司2貫
▲純米吟醸旨口と寿司2貫のベストマッチング。お互いの旨味を引き立て合います。

神泉と相性抜群:魚料理とのマリアージュ

基本的に「料理に合う日本酒」を目指して造られているので、どんな料理にも合いますが、北陸の地酒ですので、特に魚料理や刺身、寿司との相性が抜群です。例えば、富山湾の新鮮な白身魚や甘エビなどの刺身と一緒に楽しむと、日本酒の旨味が引き立ちます。

東さんからのコメント

料理の後は、チーズにもよく合いますよ。特に、熟成したハードチーズや、クリーミーな白カビチーズなどと一緒に楽しむのが私のお気に入りの組み合わせです。日本酒の繊細な風味とチーズの豊かな味わいが見事に調和します。

基本は「冷や」で、ワインの感覚で楽しもう

旨口とシャンパングラス
▲ワイングラスやシャンパングラスで飲むとお洒落な雰囲気が演出できます

飲み方については基本的に冷やがおすすめですが、旨口の日本酒はぬる燗(40度程度に温めたもの)でも美味しく楽しめます。

おうちデートで楽しむなら、辛口の日本酒はもちろん、甘口や酸味のある日本酒もワイン感覚で飲みやすくおすすめです。例えば「HOTARUMAI POMME」は、500mlサイズなので2人で適量を楽しむのにぴったりです。

東さんからのコメント

お酒好きの方と一緒に楽しむなら、辛口の純米酒に梅シロップを少し加えるのもおすすめです。甘さと酸味のバランスが絶妙で、新しい味わいを楽しめますよ。

東酒造の日本酒:購入方法とオンラインショップ情報

神泉の取り扱い商品が並ぶショップの様子

神泉の販売は、石川県内の酒屋に限定されています。

▼石川県内の取扱店一覧はこちらでご確認いただけます
http://www.sake-sinsen.co.jp/shoplist.html

石川県外にお住まいの方は、公式オンラインショップでご購入いただけます。
▼公式オンラインショップはこちらからアクセスできます
http://www.sake-sinsen.co.jp/shop/shoptop.html

まとめ:地域に根ざし、愛される東酒造の魅力

湯気の中で酒仕込みをする様子

160年の歴史を持つ東酒造の酒蔵は、有形文化財に指定されているため、増改築が非常に困難です。この貴重な酒蔵を守るため、効率化や大量生産ではなく、少数精鋭の体制で神泉独特の味を後世に伝えています。

年に一度、酒蔵の一般公開が行われ、普段は見ることのできない仕込み蔵や庭園の見学ができ、限定酒の試飲も楽しめます。地域の人々が多く集まるこのイベントは、神泉を飲んで酒蔵に興味を持ったカップルにとって、デートにも最適な機会です。

最新情報はFacebookでも発信しているので、ぜひチェックしてみてください。
https://www.facebook.com/sakesinsen/
取締役代表の東さんから、神泉の購入を考えているカップルへメッセージをいただいています。

東さんからのコメント

日本酒だけでなく、蔵見学等も行っていますので、ぜひお二人で酒蔵にお越しください。

東酒造へのアクセスと基本情報

酒蔵の重厚な扉の向こうに積み重ねられた酒樽

住所 〒923-0033
石川県小松市野田町丁35
お問合せ TEL:0120-47-2302
営業時間

9:00〜18:00

定休日:不定休(日曜日はイベント開催のため休業の場合があります)

公式サイト http://www.sake-sinsen.co.jp/

※最新の情報は公式ホームページでご確認ください。
※記事中の金額はすべて税込表示です。