東広島市で風情あふれる酒蔵通り&お酒の神様を祀る神社を訪れる映えデート

この記事では、東広島市観光協会の専務理事・上向さんにお聞きした情報をもとに作成した、東広島市内の"映え"スポットを巡るデートコースをご紹介します。

広島県の中央部に位置する東広島市は、灘・伏見と並ぶ『三大名醸地』として知られる日本酒の産地です。醸造文化を全国的に発信しており、市内の各地で「酒都」ならではの体験を楽しめます。

特に西条駅近くにある酒蔵通りには、登録有形文化財(建造物)に指定されている酒造施設が数多く点在しています。「漆喰塗りなまこ壁(※1)」や「レンガ造り煙突」が織りなす風情ある町並みを眺めながら、酒蔵見学や試飲などを楽しむことができます。
(※1)なまこ壁:日本の伝統的な外壁仕上げ様式のひとつで、四角い瓦を並べて打ち付け、その目地に漆喰を塗って仕上げたもの

今回は、この魅力的な酒蔵通りを含む東広島市内の"映え"スポットを巡るルートをご紹介します。日本酒好きのカップルはもちろん、歴史ある町並みや文化に興味のある方にもおすすめです。

東広島市内の“映え”スポットを巡るおすすめルート

今回は、「酒都」として知られる東広島市の魅力を堪能するべく、JR西条駅を起点とした酒蔵地区をゆっくりと散策するルートをご紹介します。

まずは西条駅改札口を出てすぐのところにある「西条酒蔵通り観光案内所」に立ち寄りましょう。ここで「西条酒蔵通り まちあるきMAP」を入手できます。このマップには、その日に見学可能な蔵元や試飲の情報、イベント案内なども掲載されており、効率的に酒蔵通りを巡るのに役立ちます。

▼各蔵元の営業スケジュールはこちらからもチェックできます

公式:東広島市観光協会「西条酒蔵通り蔵元営業スケジュール(営業案内)」

観光案内所から1分ほど歩くと、酒蔵通りのシンボルである「漆喰塗りなまこ壁」や「レンガ造り煙突」が見えてきます。各蔵元では醸造所の見学や試飲(有料・無料)を楽しむことができます。また、地酒や酒スイーツなどのお土産購入も可能です。ここで、古き良き日本の醸造文化を体験してみてはいかがでしょうか。

酒蔵地区を十分に堪能したあとは、約10分歩いてお酒の神様を祀る「松尾神社」へ向かいます。境内には各蔵元の酒樽が並ぶ「御建(みたて)神社」があり、見応えがあります。

西条駅周辺には芸術文化ホールや美術館、公園なども多数あるため、散策の合間にこれらのスポットも訪れてみるのもおすすめです。また、スマートフォンアプリの「膝栗毛」をダウンロードしておくと、周遊時に役立つ情報や音声ガイドを利用できて便利です。

公式:膝栗毛

以下では、各スポットの魅力について詳しく解説していきます!

おすすめ“映え”スポット1「西条酒蔵通り」

西条酒蔵通りの風景

西条酒蔵通りは、西条地区の酒造りを支える7つの蔵元が集結したエリアです。各酒造は漆喰塗りなまこ壁や白壁に赤い瓦の屋根といった外観で統一されており、屋根の上には銘柄を掲げるレンガ造りの煙突が建ち並ぶ風情豊かな景観が広がっています。

7つの蔵元を巡る順番は自由ですが、東側から賀茂鶴酒造→福美人酒造→賀茂泉酒造→亀齢酒造→西條鶴醸造→白牡丹酒造→山陽鶴酒造の順に回るとスムーズです。

各蔵元の主な特徴は以下をご参照ください。

■賀茂鶴酒造

1873年(明治6年)創業の酒造で、代表銘柄である「特製ゴールド賀茂鶴」は大吟醸酒の先駆けとして愛されるロングセラー商品
酒造内には蔵元限定酒や期間限定酒なども購入できる直売所をはじめ、酒造りを学べるコーナーや3Dアートのフォトスポット、大吟醸などのプレミアムなお酒をリーズナブルに楽しめるBARなどがあります。

■福美人酒造

1917年(大正6年)創業、全国から杜氏が学びに訪れたことから「西条酒造学校」とも呼ばれた蔵元で、「美人の井戸」の水を使用したやわらかでやさしい味わいの日本酒を醸しています。
酒造内の見学も可能な「恵比寿蔵」には福美人酒造の銘柄や酒粕を使った石鹸、大吟醸酒が入ったジェラートなどを販売しているコーナーがあります。また、醸造に使用された道具や陶器の酒樽などの展示も見どころです。

■賀茂泉酒造

創業は1912年(大正元年)、米と米麴のみで造る「純米酒」の製造を全国でいち早く始めたことで有名な酒造です。
併設するお酒喫茶の「酒泉館」では各種銘柄の飲み比べや酒スイーツ、仕込み水で淹れたコーヒーなどを堪能できるほか、藍染め体験を楽しめる工房「藍酒館」や、お酒にまつわる本が集結する「お酒図書館」もあります。

■亀齢酒造

明治中期創業、すっきりとした辛口の味わいが特徴的な銘柄「亀齢」の製造を手がける酒造です。
直売所の「万年亀舎(まねきや)」では蔵元限定酒をはじめ、酒粕のまろやかな味わいがクセになる豆菓子や、日本酒を使用した石鹸などのオリジナル商品が販売されています。

■西條鶴醸造

1904年(明治37年)創業、黒格子やステンドグラスを取り入れたレトロモダンな建築が特徴的な酒造です。
蔵を抜ける通路の壁面には酒造りの歴史に触れられるパネルが展示されているほか、直売所では代表銘柄の「神髄」や限定酒、吟醸酒入りのジェラートなどが販売されています。

■白牡丹酒造

創業は1675年(延宝3年)、300年以上の歴史を誇る西条エリア最古の蔵元で、夏目漱石や棟方志功といった文化人・芸術家たちもとりこにしたきめ細かな甘口のお酒が名物です。
本社見学室では棟方志功の版画や各種銘柄のラベル、酒造りの道具などを鑑賞でき、一角には蔵元限定商品を販売するコーナーも設けられています。

■山陽鶴酒造

1912年(大正元年)創業の酒造で、口当たりが良く飲みやすい、甘口のお酒造りを追求しています。
風情ある蔵の中でお酒と料理を楽しめる「割烹しんすけ」や限定酒やオリジナルグッズが並ぶ直売所が併設されており、直売所入口には赤いお猪口が人気のガチャも設置されています。
東広島市観光協会の上向さん
上向さん

撮影スポットとしては、レンガ造煙突が手前から奥まで3本きれいに並んで見える「賀茂鶴酒造」や、24mのレンガ造り煙突に触れる距離に近づける「福美人酒造」、昭和初期のレトロな洋館にて利き酒を堪能できる「賀茂泉酒造」がおすすめです。

蔵元から蔵元へと巡る途中には、西国街道(旧山陽道)の宿場町を象徴する「御茶屋(本陣)跡」や、左右の棟が屋根で繋がっていて門のように見える「くぐり門」など、情緒あふれるスポットがたくさんあります。また、賀茂鶴酒造・西條鶴醸造・白牡丹酒造に隣接するロケーションにある「西条本町歴史広場」では背景に漆喰塗りなまこ壁やレンガ造り煙突のすべてが揃っており、酒蔵らしいフォトスポットとして大人気です。

西条本町歴史広場の風景
▲酒蔵のイラストが描かれた広場入口の地面付近も人気のフォトスポットです

東広島市観光協会の上向さん
上向さん

エリア内の道路上には酒蔵や東広島市の観光マスコット・のん太が描かれているマンホールが点在しているので、ぜひアングルを工夫してマンホール×酒蔵通りの風景を写真に収めてみてください。

なお、酒蔵地区には数多くのお食事処・お土産処があるので、ぜひ散策の途中で立ち寄ってみてください。いくつかの店舗では、東広島の名物料理である「美酒鍋(びしゅなべ)」を味わえます。

美酒鍋とは、季節の食材をお酒・塩・胡椒のみのシンプルな味付けで食べる蔵人(くらびと)(※2)から生まれた、「酒都」ならではのユニークな料理です。加熱してアルコールは飛ぶため、子どもやお酒の弱い方でも楽しめます。
(※2)蔵人:「杜氏(とうじ)」と呼ばれる日本酒造りの最高責任者のもとで日本酒造りに従事する人のこと

西条酒蔵通りへのアクセスと基本情報

住所 〒739-0011
広島県東広島市西条本町(JR西条駅南側一帯)
電話番号 082-421-2511(西条酒蔵通り観光案内所)
アクセス JR西条駅から徒歩ですぐ
営業時間・定休日 各蔵元により異なる(不定休)
公式サイト https://hh-kanko.ne.jp/

おすすめ“映え”スポット2「松尾神社」

松尾神社ののん太大明神

西条駅北口から徒歩約2分のところに位置する松尾神社には、「お酒の神様」が祀られています。日本三大酒神の一柱、大山咋神(おおやまくいのかみ)を祀る京都嵐山の松尾大社から分霊を受け、西条酒造組合(現・西条酒造協会)が1936年(昭和11年)に建立した神社です。

同じ境内にある「御建神社」には各蔵元の酒樽がずらりと並んでいます。「酒都」西条を訪れた記念に、ぜひ写真撮影を楽しんでみてはいかがでしょうか。また、御建神社の敷地内にはこの地に伝わる『旦過寺(たんがじ)の狸和尚伝説』をモチーフにした「のん太大明神」が鎮座しています。のん太の形代(かたしろ)(※3)に悩みや相談事、お願い事を書いてお賽銭と一緒に賽銭箱へ入れてお参りすると、ご利益があるといわれています。
(※3)形代:みそぎやおはらいの際に多く用いられる、人の形に切り抜かれた白い紙のこと

東広島市観光協会の上向さん
上向さん

のん太の形代はJR西条駅内の「東広島市観光案内所」で無料配布しています。ぜひ形代を入手してから松尾神社へ足を運んでみてくださいね。

周辺のおすすめスポット:「安芸国分寺歴史公園」

安芸国分寺歴史公園は、松尾神社から東へ徒歩約6分、「安芸国分寺」の周辺一帯に整備されている公園です。

安芸国分寺は奈良時代に聖武天皇が全国各地に建立した国分寺のひとつで、塔跡などが国史跡に指定されています。また、室町時代の1547年(天文16年)建立の「仁王門」が市の重要文化財に指定されているほか、「広島県安芸国分寺跡土坑出土品」が国の重要文化財に認定されているなど、歴史的価値の高い見どころが豊富です。

安芸国分寺の風景
▲堂内に安置されている、市重要文化財指定のご本尊「薬師如来坐像」も一見の価値があります

東広島市観光協会の上向さん
上向さん

近年は、宿坊での座禅・写経・写仏などの体験や宿泊も受け付けていますよ。これらの体験を通じて、より深く寺院の文化に触れることができます。

安芸国分寺歴史公園の敷地内には、復元された講堂や僧坊の基壇、安芸国分寺の調査により全国で初めて所在が判明した国師院の建物などがあります。散策をしながら国分寺創建当時の様子に想いを馳せることができます。西条酒蔵通りとは異なる静かな雰囲気の中で、ゆったりとした時間を過ごすことができるでしょう。

公式:安芸国分寺歴史公園

松尾神社へのアクセスと基本情報

住所 〒739-0001
広島県東広島市西条町西条296
電話番号 082-421-2511(西条酒蔵通り観光案内所)
アクセス JR西条駅北口より徒歩約2分
公式サイト https://hh-kanko.ne.jp/sightseeing/640/

カップルで楽しむ!10月初旬の「酒まつり」

西条駅南側一帯の街中では、毎年10月初旬に「酒まつり」が開催されます。全国的にも珍しい、お酒をテーマにした個性豊かなお祭りです。特設の「酒ひろば」では、全国各地から集められた約1,000銘柄もの日本酒を飲み比べることができます。

祭りの目玉として、蔵元のシンボルである杉玉を乗せた「大酒林神輿行列」や、女性だけで担ぐ「姫神輿」が酒蔵通りを練り歩きます。地元の方々や観光客で賑わい、街全体が活気に満ちあふれます。

カップルでの訪問もおすすめです。「酒都」西条の魅力を肌で感じることができるでしょう。

公式:酒まつり

取材協力・写真提供:東広島市観光協会(https://hh-kanko.ne.jp/