トロッコ列車跡で歴史を感じる!「岩村醸造」での酒蔵見学を楽しむデート|岐阜県

この記事でご紹介するのは、岐阜県恵那市岩村町にある酒造「岩村醸造」での酒蔵見学デートです。

岩村醸造は1787年に創業した老舗の酒造で、代表の銘柄は「女城主」や「幻の城」、「ゑなほまれ」です。重要伝統的建造物群保存地区の一角に佇む築300年ほどの家屋には、酒や米の運搬に使われていたトロッコ列車の線路跡も残されており、自由に見学ができます

今回は、代表取締役の渡會充晃(わたらいみつてる)さんに、岩村醸造の酒造りのこだわりや酒蔵見学の楽しみ方について話を伺いました。

飲酒は二十歳になってから

飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中や乳児期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。お酒は楽しく適量を。飲んだ後はリサイクル。

町の名前と醸造の名残を背負った「岩村醸造」

岩村醸造の外観写真
▲築300年ほどの歴史を感じさせる家屋

岩村醸造は、蔵元である渡會家が年貢として岩村城に納めていた米を生かし、1787年(天明7年)に造り酒屋をスタートさせました。その後、1921年(大正10年)に株式法人を設立し、酒のみならず味噌や醤油造りも始めました。

現在では、酒づくりに専念するため、味噌や醤油の製造は行っていませんが、社名には「酒造」ではなく「醸造」が入っており、当時の名残が伺えます。

また、社名を「渡會醸造」とするのではなく、酒造のある岩村町をその名に掲げた「岩村醸造」と名付けました。これは真の意味での"地酒"づくりを目指し、岩村町で酒造りをする意義と岩村醸造の存在理由を常に意識するためだそうです。

岩村醸造の醪造りのようす
▲大きなタンクの中に蒸米、米麹、酒母、水を入れ、醪造りを行う

原材料にもこだわっており、仕込みに使う水はおよそ400年ほど前に掘られた井戸から汲み上げる天然水をろ過することなく使用しています。

井戸水は木曽川水系の軟水で、酒造りのシーズンには大量の水を使うことから井戸が空になることもありますが、3時間も経つと元の水量が湧き上がってくるほど、水に恵まれた土地です。

米は、岐阜県産の酒造好適米である「ひだほまれ」や、大吟醸を作る際には兵庫県産の「山田錦」を使い、精米歩合は平均して52%と、ほぼ米の半分を削り落として使用しています。

デンプンの含有率が高まるため、酒の雑味が減り、軟水の井戸水が酵母をゆっくりと発酵させるため、なめらかな口当たりの酒が生まれるそうです。

岩村醸造で切り返しを行う蔵人たち
▲米の温度を下げるため、「切り返し」と呼ばれる手作業を行う蔵人たち

酒造りは全て手作業で行われるのが良いイメージがあるかもしれませんが、岩村醸造では、手作業と機械のバランスを上手くとった酒造りを行っています

例えば、麹は2日間かけて作られますが、岩村醸造では1日目を手作業で、その後は機械に任せ、設定した品質になるよう麹の温度と湿度を管理しています。

こうすることで毎回同じ品質の麹ができると共に、通常であれば夜中でも関係なく、3時間置きに麹の箱を積み替える作業が発生する負担を減らしています。

公式:岩村醸造(岩村醸造について)

こうしてこだわり抜いて造られた酒は、「全国新酒鑑評会」や「岐阜県新酒鑑評会」などの国内の大会のみならず、フランスで行われる日本酒のコンクール「KuraMaster」でも数々の賞を受賞しています。

大会名 年:受賞した賞
全国新酒鑑評会 ・2004年、2008年、2009年、2010年、2015年、2020年:金賞
・2006年、2014年:入賞
名古屋国税局新酒鑑評会 ・2005年、2006年:首位賞
・2011年:金賞
岐阜県新酒鑑評会 ・2006年、2015年:本醸造酒部門第1位
・2007年:純米吟醸酒部門第1位
・2008年、2011年:連合会会長賞
・2009年、2010年:県議会議長賞
・2012年、2014年:金賞
・2023年:純米酒部門第1位
南部杜氏協会新酒鑑評会 ・2009年、2010年:優等賞
社団法人岐阜県観光連盟 観光土産品審査会 ・2012年:特選入選
INTERNATIONAL WINE CHALLENGE ・2012年:銅賞
LONDON SAKE CHALLENGE ・2012年:金賞・銅賞
WineGlassAword ・2013年:金賞
KuraMaster ・2017年、2018年、2020年、2022年:金賞
・2021年:プラチナ賞

岩村城の築城800年を記念して生まれた「女城主」

女城主をワイングラスでテイスティング
▲「女城主」は岩村醸造の代表の銘柄の1つ

岩村町には、町のシンボルでもある岩村城跡があります。

岩村城は、1185年(鎌倉時代)に築城され、織田信長の叔母である「おつやの方」が城主として城下を治めていました。女性の城主としての珍しさだけでなく、おつやの方は絶世の美女としても語り継がれています。

岩村醸造の酒である「女城主」は、そんなおつやの方をリスペクトした一品で、岩村城築城800年を記念した銘柄として誕生しました。ラベルに描かれている肖像はもちろん、おつやの方、その人です。

2023年春に開催された岐阜県新酒鑑評会では、純米酒部門で「女城主 特別純米酒」が第1位である県知事賞も受賞しました。旨みのバランスが整っており、単品で長い時間味わいを楽しめるお酒です。

公式:岩村醸造(商品紹介)

岩村醸造の酒蔵見学の見どころ

岩村醸造の入口から続くレール
▲レールに沿ってうなぎの寝床を歩いてみよう

ここからは、岩村醸造の酒蔵見学についてご紹介します。予約なしで気軽に見学が可能ですが、事前予約をすれば、蔵の歴史から酒造りのこだわり、受賞歴について説明してもらうこともできます。

事前予約なしでも、酒蔵の見学や無料の試飲ができる

岩村醸造の角打ちスペース
▲雰囲気のある空間で、のんびりと角打ちも楽しめる

編集部

岩村醸造の酒蔵見学はどのようなものですか?

渡會さん

基本は予約なしで、自由に見学していただけます。入口から中庭まで散策できるので、いわゆる「うなぎの寝床」と呼ばれる酒蔵を、トロッコのレールに沿って歩いてみて下さい。見学の後は、5種類のお酒を無料で試飲できます。

編集部

事前予約をすれば、どのような見学ができますか?

渡會さん

事前に予約をいただければ、説明しながらのご案内も可能です。所要時間は大体20分くらいでしょうか。こちらも見学の後は無料で試飲ができます。

また、海外の観光客向けではありますが、蔵の中まで案内するツアーもあります。こちらは1人2,500円で、仕込み水を飲んだり、仕込み期間ですと櫂入れなどの体験をしたりすることもできます。

その後、4種類のお酒を試飲してもらいながら、日本酒のレクチャーを行っています。所要時間は大体90分ほどです。

岩村醸造の酒蔵見学の予約方法・所要時間・見学料金

岩村醸造の中庭にて
▲歩いて行くと右手には中庭があり、庭を見ながらの試飲も可能

ここでは、岩村醸造の酒蔵見学についての基本情報をまとめています。

予約 ・個人:予約不要
・団体・外国人観光客向け:事前予約が必要
見学方法 ・個人:自由に散策が可能
・団体:説明付き
・外国人観光客向け:酒造り体験、レクチャー有
※いずれも試飲が可能
見学可能時間 9:00~17:00
見学料金 ・個人・団体:無料
・外国人観光客向け:2,500円/人
所要時間 ・個人:約5分
・団体:約20分
・外国人観光客向け:約90分
※直売所での試飲は自由なので上記時間に含みません

岩村醸造の直売所では角打ちもソフトクリームも楽しめる

岩村醸造の角打ちのテーブルにお酒とおつまみがのっている様子
▲いろいろな種類の日本酒を気軽に楽しめるのが魅力の角打ち

岩村醸造は家屋に入ってすぐに直売所を設けており、店内では角打ちをしながらのんびりと過ごすことができます。また、お酒の他には、あま酒ソフトクリームやあま酒も販売しています。

あま酒ソフトクリームを手で持っている写真
▲あま酒ソフトクリームもぜひ試して頂きたい一品

ここからは岩村醸造ならではの直売所の楽しみ方をご紹介します。

瓶詰めをしない生原酒の量り売りも行っている

岩村醸造のにごり酒をついでいる写真
▲直売所でしか味わうことができないお酒を飲めるのも嬉しい

編集部

直売所ではたくさんのお酒を用意されていると思いますが、どのお酒を買うか迷っている場合にアドバイスをいただくことは可能でしょうか?

渡會さん

はい、もちろんです。普段は何を飲むことが多いか、贈答用か自宅用かなどを質問し、好みにあったお酒をご提案しています。試飲をしながら気に入った味を探せます。

日本酒ビギナーの方でも質問しやすいように心がけているので、なんでも聞いて下さい。

編集部

直売所でしか味わえないお酒などはありますか。

渡會さん

瓶詰め販売をせず、生原酒の状態で量り売りをする時もあります。搾りたてのお酒を味わっていただけます。

岩村醸造の酒蔵見学に訪れた人の声・感想

岩村醸造の入口
▲古き良き歴史を感じる入口

ここでは、酒蔵見学に訪れた方の声をまとめています。

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いろいろなお酒がありますが、特徴などを丁寧に説明してもらえました。
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店内には、当時使われていたトロッコのレールがそのまま残されていたりと、あちこち見応えがあって楽しいです︎。
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甘酒ソフトクリームはほんのり甘く、酒粕の香りが鼻を抜けていくのが良い。
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店頭限定販売の生原酒を飲みました。コクがあって美味しいお酒でした。
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お店の人の接客も心地よく、店内の雰囲気も昔の良さを残した趣で、楽しく過ごせました。

事前予約をしなくても見学ができるので、気軽に立ち寄ってお酒やソフトクリームを楽しむ人も多いようです。

岩村醸造からカップルへのメッセージ

岩村醸造の店内にある飲食スペース
▲店内の和モダンな飲食スペース

編集部

最後に、カップルへのメッセージをお願いします。

渡會さん

お客様のお酒のスキルに合わせたオススメのお酒を紹介しますので、わからないことがあっても質問していただきやすい環境です。フランスで金賞よりも更に上のプラチナ賞を獲ったお酒もぜひ味わってみてください。

岩村醸造の酒蔵見学と一緒に楽しめる、周辺のおすすめデートスポット

ここからは、岩村醸造の渡會さんに教えていただいた岩村町でのおすすめデートスポットについてご紹介します。ぜひ酒蔵見学の前後で訪れてみてください。

岩村駅にはレンタサイクルも用意されているので、車では見過ごしがちな風景や香りをのんびり楽しむのも良いでしょう。

参考:城下町ホットいわむら(いわむらレンタサイクル)※PDF

当時を思い起こさせる遺構がたくさん「岩村城跡」

かつておつやの方が治めた岩村城は、難攻不落の山城として、明治時代に廃城令が出されるまでおよそ700年に渡って受け継がれてきました。

残念ながら城本体はその姿を残してはいませんが、石垣や本丸に入るための門、城主専用の井戸や畳橋など、現在でも在りし日を彷彿とさせる景色が数多く残されています

戦国時代に築かれ、日本一標高が高い山城であった岩村城、そのかつての姿を想像しながら、散策をしてみてはいかがでしょう。

参考:恵那市公式観光サイト(岩村城跡)

豊かな景観が楽しめる「農村景観日本一展望所」

岩村醸造から車で5分ほど走ると、「農村景観日本一展望所」に辿り着くことができます。展望所からは、眼下に広がる田園地帯や農家や土蔵が点在する昔ながらの農村景観が見られます

平成11年に行われた「第7回美しい日本のむら景観コンテスト」では、この景観が集落部門で農林水産大臣賞(最高賞)を受賞しました。

参考:全国山村振興連盟(「第7回美しい日本のむら景観コンテスト」受賞市町村一覧)

穏やかな岩村盆地を形成する緑の丘や、二重三重に連なった山々なども相まった豊かな景観にほっと一息つくのも良いですよ。

公式:岩村町観光協会(農村景観日本一展望所)

岩村醸造の基本情報(アクセス・営業時間)

住所 〒509-7403
岐阜県恵那市岩村町342番地
アクセス・最寄駅 JR東海中央本線「恵那駅」下車、明知鉄道の明知線に乗り換え「岩村駅」下車、徒歩約15分
電話番号 0573-43-2029
営業時間 9:00~19:00
定休日 元日
駐車場 ・店舗前:2台分(EV急速充電機1基、500円で利用可能。店舗で1,000円以上の購入をすれば無料)
・敷地外:6台分
公式URL https://www.torokko.co.jp/

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