【長野県】泰阜村の暮らしの魅力は?移住を成功させるための情報を徹底解説

この記事では、地方移住を検討している方に向けて「長野県泰阜村(やすおかむら)」をご紹介します。

泰阜村は、自然に囲まれた小さな村です。その自然を存分に活かした教育が行われ、また子育て支援も手厚いので、子育て世帯の方に特におすすめの移住先です。

村では静かで穏やかなスローライフが叶う反面、車を30分ほど走らせれば、長野県の主要都市の1つである飯田市へ到着。ショッピングセンターで買い物をしたい時など、すぐに行ける距離感が便利です。

そして泰阜村は「福祉の村」でもあります。在宅医療・在宅福祉に力を入れ、住人が年を重ねても、楽しく穏やかな暮らしができるようバックアップ。移住後すぐだけでなく、将来にわたって村で暮らすイメージがしやすいでしょう。

そんな泰阜村について、移住に役立つさまざまな情報をお届けしていきます。

本日お話を伺った方
泰阜村役場 村づくり振興室の山崎さん

泰阜村役場
村づくり振興室 主任主事

山崎 笙吾さん

泰阜村の暮らしの特徴3つ

泰阜村の暮らしの特徴

地方移住を検討している方の中でも、特に次のような方には泰阜村がおすすめです。

  • 子育て支援の充実している自治体で暮らしたい
  • 子どもには、自分で物事を切り開いていく力をつけてほしいと思っている
  • 田舎でのスローライフを希望しているが、都市にも出やすい方がいい
  • 移住後すぐだけでなく、将来まで長いスパンで生活のイメージをつかみたい

なぜこのような方に泰阜村が向いているのか、その理由を踏まえつつ、泰阜村の暮らしの特徴を紹介していきます。

特徴1:子どもと暮らす・子どもが暮らす。さまざまな子育て支援

放課後預かりで火をおこしている様子
▲学童保育での体験一例。自然教育のプロであるNPOスタッフが見守る中、一からの火を起こしにチャレンジ

泰阜村は、子育て世帯に対するサポートが手厚く、また子どもが学び、育つのにピッタリと言える環境のある村です。まず、支援・補助制度としては次のようなものがあります。

出産祝金 子どもが生まれた家庭に対し、以下の出産祝金を支給
第1子:10万円
第2子:20万円
第3子以降:50万円
チャイルドシート購入補助金 チャイルドシートの購入価格に対して補助金を交付 ※1人2回まで
(上限:1台につき1万円)
学校給食費補助 小学校・中学校の給食費の1/2相当額を村が負担
中学入学祝金 泰阜中学校入学予定者に、制服1着分の引換券を支給
通学定期助成金 電車通学する高校生のいる家庭に、定期購入額の50%相当額を支給

出産祝い金は、第3子以降では50万円と高額。何かと物入りになる多子家庭にとっては嬉しいところです。またチャイルドシート購入や給食費の補助と、それぞれのステージに寄り添った支援が受けられます。

教育面では、子どもたちの教育について考え、さまざまな活動をする団体やサークルが、村内に数多くあります。中でも特徴的なのが、村と「NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター」との連携事業。学童保育(放課後預かり)や野外活動イベントを通し、自然環境を最大限活用した教育を実施しています。

村の伝統文化にも子ども達の出番がたくさん。お祭りで踊ったり、太鼓をたたいたりといった活動を、地域の一員として行います。泰阜村の子ども達は、ここならではの体験を通して、のびのびと心豊かに育っていくのです。

「浦安の舞」を踊る、泰阜村の子ども達
▲歴史あるお祭りで、小中学生の出番。行事を通して先人たちの暮らしや思いを感じ、伝統文化をつないでいく

子どもだけで暮らす、山村留学とキャンプ

泰阜村の山村留学で大勢が食卓を囲んでいる様子

泰阜村では、子どもだけでも村で暮らすことができる一年間の山村留学「暮らしの学校だいだらぼっち」と、全国の小中学生を対象にした「信州こども山賊キャンプ」(夏休み・冬休みに開催)を実施しています。

公式:NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター

どちらも、ご飯づくりやお風呂焚きをはじめとする暮らしのすべてを、子ども達が自ら考え、自然の中で行動するというプログラム。マスコミにも多く取り上げられ、数々の受賞歴があります。

子どもには、自然の中で、真の“生きる力”を身につけてほしい」とお考えの方は、移住とあわせて検討してみるのもおすすめです。

特徴2:自然豊かなスローライフ、すぐそばには便利なまち

村内風景

泰阜村は、その総面積が山手線の内側と同じくらいという小さな村。そしてそのうち86%は山林が占めています。村内に信号やコンビニはありません。夜はひっそりと静かで、星の明るさで歩けるような環境です。

居住エリア内に標高差が大きいことから、村内にはさまざまな植物が生い茂り、通勤や散歩をするだけでも、四季折々の草花や樹々に心が癒されそうです。

こんな泰阜村は、豊かな自然に囲まれて、穏やかなスローライフを楽しみたい方にピッタリと言える移住先です。

一方で、泰阜村の立地的な特徴として、長野県の主要都市の1つ・飯田市まで車で15~30分で行けるという点があります。このため、ショッピングセンターで買い物をしたい時などにもそれほど困りません。

飯田市は、東京や名古屋方面への交通アクセスも便利で、さらに今後は、リニア中央新幹線が通る予定となっています。また、飯田市ー浜松市(静岡県)を結ぶ「三遠南信自動車道」も開通予定です。泰阜村の「スローライフと利便性を両立する暮らし」も、ますます進化することが期待できそうです。

特徴3:充実の福祉体制が、将来の生活もサポート

泰阜村保健福祉支援センターの前でポーズとる人々
▲保健福祉支援センターは、診療所を中心にデイサービスセンターや居住部門などを併設した、村の一大拠点

泰阜村は、約30年前から在宅福祉・在宅医療に取り組んできた、別名「福祉の村」です。平成12年に「泰阜村保健福祉支援センター」を開所し、総合的な福祉サービスの供給体制を確立してきました。

センターの中核となる診療所では、高齢者が安心して家で暮らせるよう、状態や家族環境を把握しています。

介護予防拠点「あさぎり館」は、デイサービスなどが展開されるほか、地域の集会所としても活用される憩いの場。お年寄りのシェアハウス「やすらぎの家」では、ヘルパーさんが生活のお手伝いをしつつ、知り合い同士楽しく過ごす老後をサポートします。

移住先にこの先ずっと暮らすのならば、働いたり子育てをしたりといったステージを過ぎた後について考えることも大切です。特に泰阜村のような、人口が少なく都市機能から離れた地域では「若くて体力のある頃は良くても、その後はどうやって生活するのだろう?」と考える方もいらっしゃるでしょう。

泰阜村の手厚い福祉施策は、村に暮らす人々の生活をサポート。「おじいちゃん・おばあちゃんになっても、豊かな自然と親しい人に囲まれ、穏やかに楽しく暮らしたい」という方にとっては、頼もしいバックアップになるのではないでしょうか。

泰阜村の暮らしに関する情報

ここでは、移住を検討するうえで重要となる、泰阜村の暮らしに関してのさまざまなデータをお届けします。

気候 1月:平均気温1.0°C
8月:平均気温25.4°C
(泰阜村に観測地点がないため、近隣の飯田市を参照)
※参考:気象庁ホームページ
人口

人口:1,493人
世帯数:665世帯
※令和5年5月1日現在

近隣都市 飯田市、下伊那郡阿南町、下條村、天龍村
公共交通 鉄道:JR東海飯田線
バス:南部公共バス
大都市へのアクセス 東京へ:車で約4時間
名古屋へ:車で約2時間
病院 診療所1、歯科1
学校 保育施設1、小学校1、中学校1
レジャー 二軒屋キャンプ場、あいパークやすおか

泰阜村は標高差の大きい地形で、そのため種類豊かな植物など、美しい自然の風景が楽しめる村です。

一方で、アップダウンの激しさから車の燃費が落ち、タイヤもすり減りやすいです。道も曲がりくねっていて運転技術が必要になるという面もあります。冬場は路面が凍結するため、スタッドレスタイヤが必要になることも覚えておきたいところです。

もっとも、村内には信号がなく交通量も少ないため、その意味ではストレスなく走行できるでしょう。また、JRの駅が4つあり、駅前に住めば車がなくてもそれほど不自由しないので、運転が心配な方は駅近くの住まいを探すのも1つの方法です。

村内の買い物をする場所としては、雑貨店や商店などがあります。ショッピングセンターやドラッグストアなどを利用したい時は、近隣の飯田市などへ出かける方が多いそうです。

自然の豊かな泰阜村では、大自然の中でのレジャーも満喫できます。山奥の秘境「万古渓谷」の入口にある「二軒屋キャンプ場」は、公衆トイレ以外何も用意されていない、言わば上級者向けのキャンプ場です。見渡す限りの樹々と清流の音に囲まれて、大自然の一部になるような感覚を味わってみてはいかがでしょうか。

二軒屋キャンプ場のある万古渓谷で川遊びをする人々
▲雄大な滝や巨岩・奇岩も多い、万古渓谷。沢歩きの醍醐味を満喫できる

子連れでのお出かけには「あいパークやすおか」が人気です。広々とした園内から眺める、中央アルプスや南アルプスの山々は絶景。またパターゴルフ場やアスレチック広場、全長522mのダイナミックなボブスレーなどがあり、大人も子どもも、のびのびと遊ぶことができますよ。

「あいぱーく泰阜」で、サマーボブスレーをする親子

【仕事】近隣市へ通勤が多い。フルリモート勤務の方も

2023年5月現在、大手求人情報サイトで泰阜村内の正社員求人を検索すると、約70件がヒットしました。これを、通勤約30分圏内(泰阜村から25km以内)まで広げると、約3,900件と大幅に増加します。

参考:正社員求人情報の一例(泰阜村内のみ)
参考:正社員求人情報の一例(泰阜村から25km以内)

先にご紹介した通り、福祉に力を入れている泰阜村内では、介護・福祉系などのお仕事が目立ちます。そのほか、隣接する飯田市(車で約30分)などに通勤される方も多いそう。最近は「本社が東京や名古屋にあり、フルリモート勤務」という勤務形態の方もいらっしゃるそうです。

また、長野県の公式サイトでは、泰阜村や飯田市をふくむエリアの、内職や自営型テレワーク案件も紹介されています。興味のある方はチェックしてみてください。

詳細:飯田下伊那の内職・自営型テレワーク求人情報

【住まい】戸建てタイプ・アパートタイプなど充実の村営住宅

泰阜村の村営住宅の外観

泰阜村には不動産会社がなく、民間のアパートなどがほぼありません。その代わりに村営住宅が多数整備されているので、こちらを利用する方が多いそうです。

戸建てタイプ、アパートタイプなどさまざまな種類の住宅があり、家賃は最大でも35,000円とリーズナブル(収入によって変動するタイプもあり)。さらに、中学生以下のお子様が同居する場合には2割引になります。

詳細:村営住宅入居者募集のお知らせ

また泰阜村では、一般的な空き家バンクにあたる「空き家ストック」で、賃貸・売買希望のある物件情報を管理しています。お問い合わせに応じて、条件に合う物件をご紹介という流れになるので、興味のある方は相談をしてみてください。まずは村営住宅を利用し、近所の方や環境になじんだ後に空き家を探すのもおすすめです。

お問い合わせ先 村づくり振興室 村づくり振興係
電話:0260-26-2111

住宅関連の支援としては、次のようなものが利用できます。

村営住宅家賃助成金 中学生以下の子どもがいて、村営住宅(公営住宅、特定公共賃貸住宅を含む)に入居している世帯に対し助成金を補助
補助額:月額の20%相当額
空き家解体補助 空き家を解体した後、新築住宅を建てて定住する場合に解体費用の一部を補助
補助額:対象経費の10分の8の額(上限:400万円)
空き家改修補助 空き家を改修して定住する場合に、改修費用の一部を補助
補助額:対象経費の10分の8の額(上限:100万円)

泰阜村へ移住した人の体験談・感想

泰阜村へ移住した人の体験談

ここでは、実際に移住して泰阜村に暮らしている方の体験談や感想をご紹介します。

  • 「山村留学」が移住の決め手になった。自然環境を、子どもの教育のために徹底的に生かしているところに感銘を受けた
  • 学校は少人数なので目が行き届いている。地域全体で子どもを見守り育てる雰囲気が嬉しい
  • 暮らしの中で自然を満喫できる。季節の花や野菜のことなど、子どもと共通の話題が増えた
  • 公共交通が不便なので、車は一人一台必要になる。でもこの環境だからこそ、のんびりと穏やかな、都会では味わえなかった日々を過ごすことができる

自然豊かな環境や、それを活かした教育体制が人気を集めました。

不便さも織り込んだ上で、都会とは正反対のゆったりとした日々を楽しんでいる方が多いようです。

泰阜村への移住に向けた行動

ここでは、泰阜村への移住に向けて、実際に起こせる行動をご案内します。

泰阜村の詳細な情報が得られる、オンライン移住相談会

泰阜村では、オンラインによる移住相談会を実施しています。

オンライン会議ツール「zoom」等で詳細な資料を画面共有してもらえるほか、村営住宅の内覧や、村内施設の見学も可能。電話やメールでのお問い合わせに比べイメージが湧きやすく、具体的な相談ができるでしょう。

移住セミナーなどに足を運んだりすることなく情報収集ができるので、泰阜村への移住を検討している方は、ぜひ利用してみてください。

詳細:オンライン移住相談会

オーダーメイド型体験ツアーでリアルな泰阜村を体験

「オーダーメイド型移住体験ツアー」で村内を歩く人々
▲画像引用:泰阜村

泰阜村では、移住希望者向けに「オーダーメイド型移住体験ツアー」を実施しています。ご希望に合わせてスケジュール調整のうえ、関心のある場所を案内してもらえるので「学校の雰囲気を見てみたい」「先輩移住者の話が聞きたい」など、明確な目的のある方にピッタリです。

担当の山崎さんに泰阜村を訪れる季節のおすすめをうかがったところ「花がきれいな5月~10月はいかがでしょうか。“花いっぱい運動”として、県道沿いなどに植えているマリーゴールドも夏には見ごろを迎えますよ」とのこと。

また、路面が凍る冬場の生活も体験しておいて頂きたいそうなので、可能ならば暖かい時期と寒い時期、2度訪れて、よりリアルに暮らしのイメージを掴んでくださいね。

詳細:オーダーメイド型移住体験ツアー

泰阜村への移住に関するお問い合わせ

担当課 村づくり振興室 村づくり振興係
住所 長野県下伊那郡泰阜村3236-1
電話番号 0260-26-2111
対応時間 8:30~17:15
公式サイト https://www.vill.yasuoka.nagano.jp/docs/2543.html