厚沢部町移住のすすめ:人気の保育園留学と自然豊かな北海道の暮らし

この記事では、地方への移住を考えている方に向けて「北海道厚沢部町(あっさぶちょう)」をご紹介します。

厚沢部町は近年、「保育園留学」の留学先として注目を集めており、のびのびとした環境で子育てをしながらテレワークをしたい方に特におすすめのエリアです。豊かな自然と充実した子育て支援が魅力の町です。

今回は、厚沢部町役場で移住関連の政策推進に携わる木口さんへのインタビュー内容を中心に、地域の魅力や仕事・住宅事情などを詳しく解説していきます。

本日お話を伺った方
厚沢部町 政策推進課 政策推進係 係長 木口 孝志さん

厚沢部町 政策推進課 政策推進係
係長

木口 孝志さん

北海道厚沢部町の魅力:3つの特徴

北海道厚沢部町の暮らしの特徴

北海道の南部に位置する厚沢部町は、「世界一素敵な過疎のまち」というユニークなキャッチフレーズのもと、魅力的なまちづくりを進めています。

その中で、保育園留学など革新的な取り組みを実施しながら、子育ての期間だけ移住してくるといった「やわらかな定住」など、気軽に試せる移住スタイルを提案しています。

厚沢部町が移住者や子育て世帯から支持される主な特徴として、以下のものが挙げられます。

  • 大人にも子どもにも人気の「保育園留学」
  • 「キッズドクター」など先進的な子育て支援制度
  • 新鮮な野菜が豊富に手に入る農業のまち

それでは、これらの特徴について詳しく見ていきましょう。

リピート希望率97%の人気プログラム「保育園留学」

厚沢部町にある認定こども園はぜるで遊びまわる子どもたち
▲「認定こども園はぜる」の広い園庭で遊びまわる子どもたち

厚沢部町で、全国の子育て世帯から注目されている取り組みの一つが、「認定こども園はぜる」の保育園留学です。

留学は1〜2週間ほどの短期間で行われ、子どもたちは公園の芝生や築山をそのまま利用した広い園庭など、豊かな自然の中で遊ぶことができます。子どもを預けながら仕事ができる新しいタイプのワーケーションとして注目されています。

「こども一人ひとりが主役」という、子ども主体の保育を徹底するなか、2022年度には全国から150組の留学家族を受け入れており、リピート希望率97パーセントという高い満足度を実現しています。キャンセル待ちは1000組を超えるほどの人気です。

こうした取り組みが評価され、ミキハウス子育て総研から全国で初めて「子どもを通わせたい認定こども園」のモデル園として認定を受けたほか、日本子育て支援協会が実施した「日本子育て支援大賞」も受賞しています。

なお、「日本子育て支援大賞」では保育園留学プログラムだけでなく、オンライン診療アプリ「キッズドクター」の導入や、中高生向けの家庭学習支援「公営塾」といった厚沢部町ならではの取り組みも高く評価されました。
※参考:第4回子育て支援大賞2023

厚沢部町にある認定こども園はぜるの建物と園児らの人文字
▲「はぜる」は、築50年を迎えた町内の保育所を統合する形で、2019年に新設されたばかり

木口さんによると、2019年4月に開園した最新設備の建物というハード面はもちろん、先生たちの保育への姿勢といったソフト面が大きな魅力なのだと言います。

例えば、子どもにきちんと向き合って気づいた点を保護者としっかり共有する中で、保護者が抱える悩みが明らかになるケースも少なくないそうです。

こうした丁寧な対応が、特に親御さんの高い満足度につながっていると考えられます。

このほか、外国人の英語講師を常駐させるダイバーシティインストラクター制度を導入し、小さいころから異文化に触れられる環境を整えています。

さらに、希望する家庭に週数回、お惣菜の一品料理を提供する「おむかえテイクアウト」を始めるなど、多様な角度から子育て世帯を支援するサービスを展開しています。

このように保育園留学は、就学前の子どもに新しい環境で成長の機会を与えたい、また働きながら子どもと向き合う時間をしっかりと確保したいと考えている方には、特におすすめのプログラムです。

厚沢部町 政策推進課 政策推進係 係長 木口 孝志さん
木口さん

はぜるでのきめ細かい目配りや丁寧に相談する姿勢は、子どもたちも感じてくれているようです。保育園留学では、お子さんからも親御さんからも「また行きたい」という声を頂戴しています。

充実の子育て支援:オンライン診療や教育サポート

認定こども園はぜるの室内で遊ぶ子どもたち

厚沢部町では、子育て世帯のニーズに応える新しい支援サービスを積極的に導入しています。

その一つが、オンライン診療アプリ「キッズドクター」です。このアプリを通じて、医療チームにチャット形式で相談したり、オンラインで診療を受けたりすることができます。

夜間に受診すれば、翌朝には地元の薬局へ処方箋が届くシステムになっています。医療機関に直接行く必要がなく、スムーズに薬を受け取れる点が特に利用者から評価されています。

「キッズ」という名称ですが、実際には大人も利用可能です。平日の日中に受診する時間を取りにくい働く世代にも、このサービスは好評です。

教育面での支援も充実しています。厚沢部町内に高校がないため、2023年7月からは高校生のバス通学定期券代の8割を助成する取り組みを開始しました。

さらに、町が運営する「公営塾」では中高生に英語と数学を教えており、教育環境の向上に力を入れています。

厚沢部町が運営する公営塾の授業風景
▲厚沢部町が運営する公営塾の授業風景

経済面でも、子育て世帯を支援する様々な制度があります。

  • 50万円の誕生祝金
  • 18歳まで自己負担なしの医療費助成
  • 認定こども園の無料化
  • 学校給食の無料化

これらの子育て支援制度の詳細や、その他の支援については、厚沢部町の公式サイトで確認できます。

公式:厚沢部町(子育て

特産メークインなどの新鮮野菜で豊かな食生活

厚沢部町に広がるメークインの花畑
▲厚沢部町に広がるメークインの畑

厚沢部町は、農業を中心とするまちで、新鮮な野菜を手軽に入手できることが特徴です。

例えば「道の駅あっさぶ」では、町の特産品であるメークインをはじめ、アスパラやトウモロコシなど、地元農家が丹精込めて育てた野菜が豊富に並んでおり、移住者からも高い評価を得ています。

参考:厚沢部町 移住・定住&観光情報 総合サイト(道の駅あっさぶ

さらに、「はぜる」の保育園留学では、子どもたちが野菜の収穫体験や地元食材を使った料理を味わうアクティビティが用意されており、自然と食の魅力を体感できる環境となっています。

加えて、町内には自然を満喫できるオートキャンプ場や複数の温泉施設があり、豊かな自然を存分に楽しむことができます。

厚沢部町で開催された「あっさぶふるさと夏まつり」の様子
▲「あっさぶふるさと夏まつり」では、メークインを使ったジャンボコロッケも登場!

厚沢部町の暮らし:仕事・住宅事情と生活情報

厚沢部町から見た星空

それでは次に、厚沢部町の暮らしに関する情報について、各種のデータを見ていきましょう。

気候 1月:平均気温-0.6℃
8月:平均気温22.6℃
※参考:気象庁(江差)
人口 3,425人
(令和5年10月末時点)
病院 病院:1、歯科:1、薬局:1
学校 小学校:3、中学校:1
車でのアクセス ・函館市まで約1時間15分
・札幌市まで約4時間30分
・新幹線「新函館北斗駅」まで約50分
・函館空港まで約1時間30分
近隣都市 北斗市、上ノ国町、江差町、乙部町、八雲町、森町、木古内町

厚沢部町は北海道の南部に位置しているため、暑さも寒さも適度であり、過ごしやすいと感じる人が多いようです。四季の変化がはっきりしているので、自然の移り変わりを楽しみながら暮らせるでしょう。

町内には日常的な買い物ができる店舗があります。さらに、隣接する江差町の大型スーパーまでは車で10分ほどで行けるため、日常生活に大きな不便はないようです。

ただし、より多様な商品を求める場合や大型の買い物をする際は、車で1時間ほどかけて函館市まで足を運ぶことが一般的だそうです。

仕事事情:求人状況とテレワークの可能性

厚沢部町にある総合給食センター

大手求人サイトで厚沢部町の正社員求人を検索したところ、約20件の求人情報が見つかりました。また、車で約30分程度の通勤圏(25キロ範囲)まで広げると、約100件の求人情報がありました(2023年11月時点)
※参考:求人情報の一例(厚沢部町のみ)
※参考:求人情報の一例(厚沢部町から25キロ範囲

厚沢部町では、建設や介護、医療系の求人があります。ただし、必要な資格や待遇面で、希望とマッチしにくい場合もあるようです。

一方で、都市部と比べると収入は減る可能性がありますが、生活費などの支出も低く抑えられるため、実際には自由に使えるお金が増えるケースもあるようです。

移住後の生活費が気になる方は、下記リンク先の生活費シミュレーターを利用すると、具体的な生活をイメージしやすくなります。

参考:くらしごと(移住 生活費シミュレーション@厚沢部町

また、町内にはインターネット環境が整っています。特に「保育園留学」を利用する場合、多くの人がテレワークを行っているそうです。

さらに、町内で就農する場合には、最大100万円の「新規就農者奨励金」や、農用地の賃借料・固定資産税などの補助を受けられる「新規就農者補助金」など、さまざまな支援制度を活用することができます。

参考:厚沢部町 移住・定住&観光情報 総合サイト(行政支援

住宅事情:賃貸物件の課題と行政の取り組み

厚沢部町にある認定こども園はぜるの建物

厚沢部町では賃貸住宅が非常に少なく、インターネットで物件を探すのが困難です。また、町内に不動産業者がいないため、住宅に関する問い合わせは行政に集中しています。

所得基準を満たす場合、公営住宅が重要な選択肢となり、多くの人が利用しています。

空き家バンクは存在しませんが、厚沢部町役場と町が全額出資する「素敵な過疎づくり株式会社」が、町内の空き家情報をある程度把握しています。

すぐに入居可能な物件は限られていますが、興味のある方は問い合わせてみることをおすすめします。

厚沢部町 政策推進課 政策推進係 係長 木口 孝志さん
木口さん

空き家に興味のある方は、ぜひ一度ご連絡ください。

木口さんによると、この住宅事情は町の重要課題として認識されており、現在は賃貸住宅の整備を進めているそうです。

例えば、保育園留学の寮として使用されている戸建て住宅を、移住者向けの賃貸住宅として提供することなど、様々な対策が検討されています。

厚沢部町移住者の声

北海道厚沢部町への移住者の声

それでは、実際に厚沢部町へ移住した人の声をいくつか紹介します。

  • 保育園留学で訪れた際に、住みやすそうなまちだと感じて、移住に興味を持ちました。
  • 空が広々としていて、水がきれいで、何より地域で出会った方々が親切な人ばかりでした。
  • 子どもが厚沢部町をすっかり気に入ったことから、在宅勤務を活用して移住することにしました。
  • スーパーやコンビニが近くにあるので、日常生活で不便を感じることはありません。

厚沢部町では、保育園留学を通じてまちの魅力を実感し、実際に移住を決意するケースが見られます。

親子ともにまちの環境や人々に魅力を感じているという声が、特に印象的でした。

厚沢部町への移住ステップ

それでは最後に、厚沢部町への移住を検討している人におすすめの行動についてご紹介します。

「ちょっと暮らし」で厚沢部町の生活を体験

厚沢部町の移住体験で利用できる住宅の内装
▲移住体験「ちょっと暮らし」では、テレワークにも適した快適な空間を提供

厚沢部町では、移住体験「ちょっと暮らし」を実施しており、基本的な生活備品がそろった戸建て住宅で、1週間から最長6か月の生活を体験することができます。

利用料は1週間で約5万円、1か月で約10万円と手ごろな価格設定です。滞在中は、徒歩圏内にある温泉施設を利用したり、周囲の美しい田園風景を楽しんだりすることができます。

申し込みは毎年1月に翌年度(4月~翌年3月)分を受け付けています。興味のある方は早めに日程を調整し、申し込みをご検討ください。ただし、申し込みが多数の場合は抽選となりますのでご注意ください。

公式:厚沢部町 移住・定住&観光情報 総合サイト(移住体験

厚沢部町への移住に関するお問い合わせ

厚沢部町への移住の世話取りをしている木口さん
▲今回インタビューに応じてくださった厚沢部町役場の木口さん(左)とキッチハイクの山本さんは保育園留学を推進している

厚沢部町への移住をお考えの方は、「素敵な過疎づくり株式会社 厚沢部町ちょっと暮らし係」までお問い合わせください。移住に関する詳細な情報や支援制度についてご案内いたします。

担当 素敵な過疎づくり株式会社 厚沢部町ちょっと暮らし係
住所 〒043-1112
北海道檜山郡厚沢部町緑町72-1
電話番号 0139-64-2022
町公式サイト https://www.town.assabu.lg.jp/
移住サイト https://www.sutekinakaso.com/iju/