島根県西ノ島町に暮らす良さとは?まちの魅力・仕事・住まい情報

この記事では、地方移住を検討している方に向けて「島根県隠岐郡西ノ島町」をご紹介します。

隠岐諸島の1つ「西ノ島」がそのまま1つのまちとなった、西ノ島町。「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」にも認定されるエリアに位置し、豊かな自然によってつくり出される絶景が最大の魅力です。

格式高い神社や、象徴的な存在である運河など、町のあちこちでその歴史や文化を感じることができます。また離島でありながら、お店や施設がそろっていて日常生活に困らないという面もあります。

そんな西ノ島町の暮らしの特徴、仕事や住まいに関する支援、実際に移住された方の体験談など、移住に役立つ情報をたっぷりとお届けしていきます。

西ノ島町役場の担当者

西ノ島町の市町村の特徴3つ

西ノ島町の暮らしの特徴

地方移住を検討している方の中でも、特に次のような方には西ノ島町がおすすめです。

  • 自然の豊かな場所や絶景に憧れる
  • 歴史や文化が香るまちに暮らしたい
  • 神社やパワースポットに興味がある
  • 日常生活は、住んでいるまちの中で完結させたい

なぜこのような方に西ノ島町がおすすめなのか、まちの特徴を解説しながらお伝えしていきます。

特徴1:「ユネスコ世界ジオパーク」認定の豊かな自然

摩天崖の草地と、眼下に広がる海
▲海面から垂直にそびえる摩天崖は、海面から257m。日本有数の高さを誇る

西ノ島は島根半島の北東、隠岐諸島に4つある有人島のうちの1つ。この4つの島と海域は「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」として認定されている区域です。

「世界ジオパーク」とは、価値の高い地質・地形を多く有するエリアのことを指し、その地質遺産や景観を保護し、持続可能な形で開発していくことが目指されています。

西ノ島には、その隠岐ユネスコ世界ジオパークの中でも見どころと言える景勝地が多くあります。

最も有名なのは、断崖絶壁の「摩天崖」を中心とする国賀海岸。長い年月をかけ、日本海の荒波によって形づくられた浸食海岸の、ダイナミックな造形美が見られます。

一方で崖の上は牧草地となっていて、放牧されている牛や馬が草を食む、のどかな風景が広がっているのも特徴的です。

放牧されている牛馬が草を食んでいるところ
▲摩天崖一帯は放牧地となっていて、牛馬がのんびりと歩く、日本でないような光景に出会える

また、この海岸沿いを走る「西ノ島ハーフマラソン」は大自然を感じることのできる絶景マラソンコースとして人気です。

西ノ島ハーフマラソンを走る人たち
▲西ノ島ハーフマラソンは、壮大な自然を感じられる絶景コースが人気

さらに、豊かな自然の財産を活かした、シーカヤック、ダイビング、キャンプ等のアウトドアも楽しめる西ノ島町。「ダイナミックな自然の中で過ごすこと・遊ぶこと」が好きな方にはピッタリです。

特徴2:歴史と文化が息づく、散策の楽しいまち

隠岐諸島は、古事記や日本書紀にも登場するほど、歴史の古い土地です。

4つの有人島にあわせて100社を超える神社があり、神様やパワースポットが好きな方は、日々の散策や週末のプチ旅行が存分に楽しめるでしょう。

海上守護神をまつる西ノ島町の「由良比女神社」は、日本最古の全国神社リストに記載され、その中でも強い力を持つ神をまつる「名神大」の格が与えられた神社です。2年に1度行われる例大祭は、神輿(みこし)を乗せた船が海を周遊し、漁師町らしいにぎわいにあふれます。

由良比女神社の例大祭で神輿を担ぐ人々
▲由良比女神社の例大祭は西ノ島最大のお祭り。奇数年の7月に開催される

同じく海上安全の神とあがめられているのが「焼火神社」です。隠岐諸島の中では最も古い建築と言われ、国の重要文化財にも指定されています。

焼火神社の社殿
▲岩穴と一体化したような姿が印象的な、焼火神社の社殿

そして、西ノ島の歴史・文化のもう1つの側面を見ることができるのが「船引運河」です。1915年、西ノ島の中央あたりにあった地峡(細長い陸地)を開いて作られました。

「内海と外海を結ぶ」という当時としては画期的なこの事業により、漁業をはじめとする島の産業や、住民の生活は、格段に便利になったそうです。

船引運河をわたる船

船引き運河周辺は、西ノ島町の象徴的な風景。西ノ島町は、何気ない散策の中で、歴史や文化の息吹を感じられる町なんです。

特徴3:買い物も、スポーツも、交流も。日常生活は島内で完結

西ノ島は離島ですが、スーパーや病院、飲食店などがひと通りそろう「便利な離島」です。

西ノ島町にお住まいの方の中には「島から出るのは観光や旅行、もしくは島内の病院で治療ができない際の通院程度」という方も多いそうです。それというのも、島内で日常生活が十分事足りるからでしょう。

「せっかく離島に移住するのなら、頻繁に島外に出るのではなく島暮らしを満喫したい」とお考えの方にはおすすめといえる環境です。

また、多目的広場や体育館を備えた総合公園や、町民プールなどもそろい、家族で過ごす休日や趣味のスポーツなどを楽しむにも不便はありません。2018年にオープンした「西ノ島町コミュニティ図書館」は、キッズスペースや「料理とモノづくりスペース」なども備え、地域の方との交流の場としても機能している素敵な施設です。

西ノ島町コミュニティ図書館の内部
▲西ノ島町コミュニティ図書館の書架は収蔵冊数最大5万冊。絵本など、子ども向けの本も充実している

西ノ島町の暮らしに関する情報

人口 人口:2,548人
世帯:1,485世帯
※令和5年12月31日時点
近隣都市 隠岐郡海士町、知夫村
町内公共交通 町営バス
病院 隠岐広域連合立 隠岐島前病院、西ノ島町国民健康保険浦郷診療所、にしのしま歯科
学校 保育園2、小学校1、中学校1
買い物 スーパーマーケット1、コンビニエンスストア1、食料品商店7、飲食店27 など
行事 由良比女神社例大祭、精霊船流し、美田八幡宮の田楽、西ノ島ハーフマラソン

西ノ島町は、日中の気温差が比較的少なく、年間平均気温も比較的温暖なまちです。

冬場は、ひと冬に2~3回の積雪(15cm程度)がありますが、数日のうちに溶けてしまうことがほとんどです。ただ、北西の季節風によって海が荒れ、島と本土をつなぐフェリーが欠航することがあります。

町営バスは、安全に支障がない場所であれば停留所以外でも乗り降りできるなど、利用者に優しい体制です。とはいえ便数が多くないので、生活には自動車が必須。雪に備えて冬用タイヤも用意しておきましょう。

西ノ島町に移住したらぜひ見てほしいのが、西ノ島ならではの行事です。お盆の行事「精霊船流し」は、麦わらの船を色とりどりの旗で飾り海に流す、西ノ島町の夏の風物詩です。

精霊船流しの様子
▲精霊船流しで作る船には、色紙で作ったたくさんの旗を結びつける。素朴ながらも目を引く美しさ

また、国の重要無形文化財にも指定されている「美田八幡宮の田楽」も必見です。西ノ島町では四季折々に伝統の行事があり、自然に寄り添った暮らしをより一層実感することができます。

美田八幡宮の田楽
▲衣装の色彩も鮮やかな田楽。国の重要無形文化財にも指定されている

【仕事】島内で仕事を探す方が多数派。支援は手厚い

西ノ島町の方は、その多くが島内でお仕事をされています。高齢化によって事業継承をしていきたいお店があったり、役場でも求人が出ていたりする状況で、働く場所には困らないと言えそうです。

今後、ワーキングスペースやレンタルオフィスの運用も予定されており、テレワーク等を希望する方には追い風となるでしょう。

移住者向けの下記のような支援もあるので、あわせてチェックしてみてください。

制度名 対象者 内容
U・Iターン者就業支援補助金 町内の事業所に正規職員として従事する方
ほか条件あり
○引っ越し費用
荷造り、運送に要した実費の半額を補助(上限10万円)
○車両運送費用
自家用車のフェリー航送に要した実費を補助(上限2万円)
○家電購入取付費用
町内の販売店で購入または取付した実費の1/5を補助(上限5万円)
わくわく西ノ島生活実現支援事業 東京23区(在住者または通勤者)から西ノ島町へ移住された方
新規就業・起業・テレワークなどそれぞれ条件あり
移住支援金を支給
世帯:100万円
単身:60万円

>>移住に関する支援の詳細はこちら

また、西ノ島町は一次産業が盛んなまちです。

西ノ島町の巻き網漁業の様子
▲西ノ島町の巻き網漁業の様子

まちの最大の産業である漁業や、畜産業を継承していくための支援も行われているので、興味のある方はお問い合せをおすすめします。

その他にも、医療福祉関連、地域おこし協力隊に参加された方の起業など、それぞれの分野に対する支援が充実しています。

漁業 ・漁業体験にかかる交通費・滞在費などの助成
・まき網就業者に対し、引っ越し費用などを助成
畜産業 畜産業を始める方に対し、初期投資の負担軽減を目的とした支援
医療福祉 ・保健医療福祉の資格を有する方が町内で職場体験などを実施する場合に、必要な旅費を助成
・町内の福祉作業所において介護福祉士、看護師などとして従事する方に対し、就業一時金を給付。また、旅費や引っ越し費用を一部支援
地域おこし協力隊 隊員が町内で起業または事業承継する場合、その費用に対し補助金を交付

【住まい】公営住宅を利用する移住者が多い

西ノ島町に民間の賃貸住宅はなく、移住者は公営住宅(町営住宅・地域優良賃貸住宅)を利用することが多いようです。入居に関してはそれぞれに要件があるので、確認してみてください。

種別 申し込み者要件
町営住宅 月額所得が15万8千円以下の方
ただし、同居者に未就学児がいる場合などには基準が緩和されます
入居方法や条件の詳細はこちら
地域優良賃貸住宅
(特定優良賃貸住宅)
・18歳未満の方、または妊娠中の方がいる世帯
・結婚後5年以内の世帯
など

戸建て物件を希望する方は、新築するほか、空き家バンクに登録されている戸建ての中古物件を活用するという選択肢もあります。人気が高く、条件の良い物件はすぐに埋まってしまう傾向があるので、こまめなチェックをおすすめします。

>>空き家バンク物件一覧

【育児・教育】小中一貫型の教育制度で子どもの成長をサポート

西ノ島町では、出産や育児に関して以下のような支援があります。

制度名 内容
出産準備金 出産にかかる交通費など、15万円を支給
妊婦など宿泊施設利用助成 宿泊費の一部(1人1泊2,000円または3,000円)を助成
町外通院にかかる交通費などの助成 中学校修了前までの児童および付き添い者を対象に、町外の医療機関への交通費宿泊費の一部を助成

町内には、地域の中核病院や診療所がありますが、産婦人科や耳鼻科などは常勤医師がいないため、本土の病院を利用することになります。

その負担を軽減するべく、交通費などを助成する、きめ細やかな体制が敷かれているんですね。

学校は小学校と中学校がそれぞれ1校あり、令和3年度からは小中一体型の教育を行っています。また中学生を対象にした町営の「西ノ島学習塾」では、自立学習の推進など、個々に応じた指導を実施。学校職員や地域の方がしっかりと子供たちを見守り、その成長をバックアップしています。

西ノ島町に高校はありませんが、隣島に県立高校があり、無料の内航船を利用し10分程度で通学することができます。

西ノ島町に移住した人の体験談や感想

西ノ島町に移住した人の声

ここでは、実際に西ノ島町に移住した方の体験談などをご紹介します。

  • 豊かな自然に囲まれているので、気分良く過ごせる
  • 空気がきれいで、満天の星を眺められるのが嬉しい
  • 近所の方が通りすがりに野菜などをくれたり、親切にしてもらうことが多い
  • 物価は高めだけれど、町内にはスーパーがあって日用品の買い物に困らないのは助かる
  • 子育て環境に恵まれている。大自然の中で遊べるし、周囲の人も我が子のように見守ってくれる

自然の豊かな西ノ島町では「きれいな空気」を実感する方も多数。満天の星を日々見上げることも、都会ではなかなか叶わない贅沢ですよね。

近所の方からおすそ分けをもらうなど、田舎ならではの親切や支え合いに心温まることも多いようです。

西ノ島町への移住に向けた行動まとめ

ここでは、西ノ島町への移住に向けて具体的に起こせる行動をご案内します。

オンラインで気軽な個別相談

西ノ島町では、Zoomを使用した、オンライン移住個別相談を実施しています。仕事や住まいなどの具体的な相談はもちろん「島暮らしについてざっくばらんに聞きたい」といったことなども、気軽に相談してみてください。

>>オンライン移住個別相談について詳しくはこちら

お試し暮らし体験施設で、島暮らしを体感

お試し暮らし体験施設の外観
▲自然に囲まれた、お試し暮らし体験施設

お試し暮らしは、「いきなり移住をするのではなく、まずは島の暮らしを体験してみたい」という方におすすめです。実際に西ノ島町に滞在して、気候や雰囲気、お買い物・通学環境などを確認しましょう。

フリーwi-fiも完備されているので、テレワークや二拠点生活を検討している方がイメージを膨らませるのにも役立ちそうです。

滞在場所 西ノ島町浦郷
期間 1泊〜(短期滞在型)※要お問合せ
問い合わせ先 西ノ島町観光定住課
電話番号:08514-6-1257

>>お試し移住について詳しくはこちら

就労型のお試し移住「大人の島留学」もおすすめ

西ノ島町では、近隣の町村と合同で、1年間の就労型お試し移住制度「大人の島留学」を実施しています。

仕事をして、報酬を受け取りながら暮らすことで、よりリアルな「島暮らし」を体験しつつ、まちの魅力にたくさん触れることができます。町内に知り合いができたりと、移住後の生活の基礎固めにも役立つので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

就労内容例 ・ふるさと納税プロジェクト推進サポート業務
・島食プロジェクト
・一次産業チャレンジプロジェクト(岩ガキ「春香」、隠岐牛、農業など)
など
報酬 月額15万円(年間180万円)
参加資格 20〜29歳程度の方(学生も可)
勤務期間 令和5年度の4月から1年間

>>「大人の島留学」について詳しくはこちら

【移住後】はじめての島暮らしのためのサポートもあり

番外編になりますが、西ノ島町では実際に移住した方が「自分らしい島暮らし」を送れるよう、サポートも用意しています。

UIターン者応援企画 いっぷく いっぷく(休憩)しながら、定住サポーターとざっくばらんにお喋り。
初めての方は、定住サポーターとの「いっぷく対話」を実施
詳しくはこちら
メンタルノートブック 移住者が、出来事や気持ちを振り返るためのノート。先輩移住者のアドバイスなども掲載されている
詳しくはこちら

もしも移住後に心配や不安なことがあった時には相談できる場所があるということを、覚えておいてくださいね。

移住に関するお問い合わせ

担当課 観光定住課
住所 島根県隠岐郡西ノ島町大字美田600番4
電話番号 08514-6-1257
公式サイト http://www.town.nishinoshima.shimane.jp/
関連サイト https://www.kurashimanet.jp/cities?c=32526