桜井市の住み心地は?移住に関する暮らし・住まい・子育て情報を解説|奈良県
今回の記事では、地方への移住を考えている方に向けて、奈良県の桜井市(さくらいし)に関する生活情報をご紹介します。
桜井市は奈良県中央東南部に位置し、飛鳥時代以前の歴史遺産や由緒ある神社仏閣が多く残ることで知られています。奈良市まで30分、大阪市まで1時間という利便性と、豊かな自然や歴史的な景観が身近にある環境が桜井市の大きな魅力です。
今回は、そんな桜井市の特徴や暮らし、住宅情報について、市の移住担当者からのお話を基にお伝えしていきます。
桜井市の魅力がわかる3つの特徴
奈良県桜井市は、歴史資源や神社仏閣が豊富で、身近に自然や歴史の魅力を感じられる土地です。古代遺跡や伝統的な建造物を巡ったり、四季折々の風景を楽しみたい人にとって魅力的な場所といえるでしょう。
桜井市への移住は、特に次のような人におすすめです。
1)歴史資源に興味がある
2)利便性の良い環境で子育てをしたい
3)手頃な価格でマイホームを持ちたい
それでは、桜井市の具体的な特徴について詳しく見ていきましょう。
特徴1:歴史資源が豊富で魅力的な風景が身近にある
▲長谷寺の五重の塔と秋の風景
桜井市には長谷寺(はせでら)をはじめ、談山神社(たんざんじんじゃ)など、有名な寺社仏閣が点在しています。ここでは、観光名所としても知られる場所をいくつかご紹介します。
長谷寺は真言宗豊山派の総本山で、西国三十三観音霊場第8番札所として多くの参拝者が訪れる寺院です。「花の御寺」と称されるほど季節の花々に包まれる光景が素晴らしく、国宝である本堂や重要文化財の建物と合わせて、多くの見どころを堪能することができます。
▲紅葉が映える美しい秋の長谷寺の本堂内
公式:長谷寺
談山神社は藤原鎌足公が祀られており、形状が美しい社殿や世界で唯一といわれる現存の木造十三重塔が有名です。また、桜と紅葉の名所としても広く知られています。
▲談山神社で行われる「けまり祭」では、蹴鞠の実演奉納が行われる
公式:談山神社
奈良時代に創建された聖林寺(しょうりんじ)は、落ち着いた佇まいを見せる真言宗の山寺です。小高い丘にある門前からは美しい奈良盆地の風景が望め、裏山には四国八十八箇所を模したミニ遍路道があり、参拝者が巡ることができます。
→スライドすると聖林寺の写真がご覧いただけます。
公式:聖林寺
さらに、桜井市には弥生時代終末期から古墳時代前期の集落である纒向遺跡(まきむくいせき)や多くの古墳が発見されており、国の史跡に指定されています。邪馬台国の卑弥呼の墓とも言われている「箸墓古墳(はしはかこふん)」は特に有名で、全長約280mの巨大な前方後円墳であり、現在は宮内庁によって管理されています。
参考:箸墓古墳(桜井市観光協会)
このような豊富な観光資源が点在する桜井市では、車で10~20分も走れば、歴史的建造物と四季折々の景色を満喫できます。
特徴2:土地が安く戸建を購入しやすい
桜井市は大阪まで約1時間というアクセスの良さに加え、奈良県内の他市と比較して土地の価格も手頃です。大阪方面に通勤しながらマイホームを手に入れたいという人にもおすすめのエリアといえます。
市の移住担当者によると、移住してきた理由として「周辺の市よりも土地が安い」「家が安い」という声が多かったとのこと。都心部に比べて手頃な価格で戸建てが購入しやすいという印象があるようです。
大手不動産・住宅サイトで土地価格相場を確認したところ、奈良市は33.6万円/坪、橿原市(かしはらし)が31.9万円/坪、天理市が24.9万円/坪に対し、桜井市は24.1万円/坪でした。(2023年10月時点)
参考:桜井市の土地価格相場情報
さらに、桜井市は自然災害が比較的少ないとされています。多くの歴史遺産が現存していることからも、大きな災害を免れてきたことがわかります。こうした土地環境は、マイホームを購入する際の重要な判断材料の一つになるかもしれません。
特徴3:地域の豊富な歴史資源や伝統文化を活かした独自の教育がある
もう一つの特徴として挙げられるのが、教育面での地域性を活かした独自の取り組みです。
2022年度~2023年度にかけて、桜井市の遺跡や歴史資源についてまとめたアプリ「YAMATO桜井周遊ARガイド」が作成されました。
このアプリでは、文化財についての解説があり、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)の技術を利用して疑似体験をすることができます。観光客も含め、市内の小学校5年生が理解できる内容で作られており、学校の授業でも活用される予定です。
参考:「YAMATO桜井周遊ARガイド」(桜井市役所)
また、棚田の風景が美しい吉隠(よなばり)地区では、棚田地域の魅力を知ってもらう目的で小学生の米作り体験イベントを行っています。
▲吉隠地区での小学生の田植え体験
子どもたちは地元のブランド米について学び、田植えと稲刈りを体験することで、地域に対する理解を深めています。
さらに、桜井市は日本三大手延べ素麺として知られる「三輪そうめん」の産地として有名です。7月7日の「そうめんの日」には、そうめん組合と協力して各市立保育所、幼稚園の給食で、三輪そうめんを振る舞う事業を実施しています。
→スライドするとそうめんの写真がご覧いただけます。
このように地域への関心を深められる環境づくりは、子どもたちの地域への愛着を育む大切な教育の一環となっています。
エリアによる暮らしの違い
桜井市のエリアによる違いも見てみましょう。桜井市は、山間部と平野部の市街地にエリアが分かれています。市街地にはスーパーマーケットや病院が多く立地しており、日常生活に便利で暮らしやすい環境といえます。
一方の山間部でも、市街地までは車で15分ほどでアクセスできるので、それほど不便は感じないでしょう。一部の地域では市街地まで30分ほどかかる場所もありますが、自然豊かな環境で田舎暮らしを楽しみたい人には、山間部がおすすめです。
山間部では下水道設備が整っていない地域もありますが、浄化槽を設置することで対応可能です。そのため、生活上の大きな支障はなく、山間部での暮らしも十分に実現可能です。
桜井市の暮らしに関する情報
気候 | 8月平均気温:25.1℃ 1月平均気温:2.1℃ ※気象庁ホームページ(観測地点:大宇陀) |
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人口 | 約55,000人、約25,000世帯 (2023年9月30日時点) |
病院 | ・一般診療所:43カ所 ・病院:3カ所 ・歯科医院:29カ所 (2022年11月時点) |
学校 | ・保育所・保育園:9カ所 ・認定こども園:1カ所 ・幼稚園:5園 ・小学校:11校 ・中学校:4校 ・高校:3校(2023年10月時点) ・大学校:1校(2023年10月時点) (高校、大学校以外は2022年3月時点) |
祭事・催し | おんぱら祭、けまり祭、大和さくらい万葉まつり、長谷寺のだだおし |
交通 | 【鉄道】 ・JR桜井線(万葉まほろば線):3駅 ・近鉄大阪線:4駅 【バス】 ・奈良交通 ・桜井市コミュニティバス 【道路】 ・国道169号、国道165号、国道166号 |
近隣都市 | 奈良市、橿原市、天理市、宇陀市、磯城郡田原本町、高市郡明日香村、吉野郡吉野町 |
買い物は、全国チェーン店の「イオン」があり、一般的な日用品や衣類などは市内で揃います。隣の市には「ユニクロ」などもあり、市街地から車で約10分で行けるため、十分に利用範囲内といえます。
病院の数は、県内の人口比で見た場合でも比較的多いとされています。産科もあるため、子育て世代の医療面での不安も少ないといえます。
移動手段としては公共交通が十分ではありません。市内全域を回るコミュニティバスはありますが、本数が少ない状況です。日常生活では車がないと不便を感じる可能性が高いでしょう。
特に子育て世帯は、車があると断然便利です。バスが通っていない山間部の一部では、デマンド型乗合タクシーが利用できます。
街が活気づくイベントとしては、「大和さくらい万葉まつり」「おんぱら祭」など、伝統的な祭りが行われています。
▲大和さくらい万葉まつりの様子
▲大神神社(おおみわじんじゃ)で7月に行われる「おんぱら祭」
子どもから大人まで多くの人が参加するこれらの祭りは、地域の連帯感を強め、文化を継承する重要な行事として受け継がれています。
地域の自治会加入は強制ではありませんが、災害時などを考慮すると、やはり加入していただき、互いに助け合う関係を築いていただくことで、より安心な生活が送れると思います。
【仕事情報】市外への通勤者が多い。30分圏内の求人数が豊富
桜井市では、主に製造業に従事する人が多い傾向にあります。そのほかには卸売業、教育、医療福祉といった分野への就業も見られます。
大手の求人情報サイトで調べてみると、市内の正社員の募集は約1,200件です。検索範囲を30分圏内まで広げると、60,000件以上と求人数が大幅に増加します。(2023年10月時点)
※桜井市の求人情報の一例
近鉄とJRが利用できるため、近隣都市に通勤する人が多いようです。大阪までは1時間、難波までは40~50分でアクセスが可能です。大阪のほかに、桜井市から通勤しやすい奈良県内の都市としては、奈良市、天理市、田原本町、橿原市、大和郡山市などがあり、通勤先は多岐にわたります。
東京圏からの移住で就業・起業者に支援金あり
桜井市では、奈良県と共同で移住支援金制度を設けています。東京圏から桜井市に移住し、就業または起業する方を対象に、単身世帯には60万円、2人以上の世帯には100万円を支給しています。ただし、支給には一定の条件があるため、該当する可能性のある方は詳細を確認することをおすすめします。
参考:桜井市の移住支援金交付事業について(桜井市役所)
起業を考えている方向けには、まちづくり部商工振興課にワンストップ相談窓口が設置されています。ここでは関係機関と連携し、起業に関する様々な相談に対応しています。さらに、創業者向けの低金利融資制度も用意されているので、起業の際には積極的に活用することをお勧めします。
参考:桜井市の起業支援について(Local Life in Nara Okuyamato)
NAFIC なら食と農の魅力創造国際大学校(アグリマネジメント学科)で就学して就農する道もある
一方、就農に関しては、市内に農業の担い手を育成する学校があります。桜井市では、定住を目的とした就農支援として、年間150万円の助成金や融資を用意しています。市としては、この学校で学んだ後、桜井市内で農地を見つけて定住してほしいという願いがあります。
【住まい情報】賃貸物件が豊富。空き家バンクのマッチング率も高い
大手賃貸情報サイトで検索すると、桜井市の賃貸物件は約470件と比較的多い印象です。家賃相場は2LDKで7~9万円程度の物件が多く見られます。(2023年10月時点)
※桜井市の賃貸物件の一例
また新興住宅地の開発が進んでいるので、新築物件の購入もおすすめです。地元の不動産業者に相談して物件を取得する人も多いようです。
一方、桜井市の空き家バンクは登録物件数はそれほど多くありませんが、マッチングは比較的順調に進んでいる印象です。興味がある方はチェックしてみると良いでしょう。2023年10月時点の登録件数は、契約交渉中も含め7件となっています。
公式:桜井市空き家バンク
活用したい住まいに関する補助金制度
そのほか住宅に関しては、次のような補助金事業が整っています。
- 木造住宅の耐震改修工事に対し最大50万円の補助金
- 市内産木材を使用した家の建築に対し上限20万円の補助金
- 下水道未整備地域における浄化槽設置に対する補助金(例:5人槽で332,000円)
- 水洗便所改造資金の貸付制度(1件につき30万円以内)
参考:桜井市の住宅助成について(奈良県奥大和地域の暮らし情報サイト)
【子育て情報】市独自の健診補助やLINEを活用した情報発信がある
▲生後2~5カ月の初めての子育てママを対象としたBP1プログラムの様子
桜井市は子育て世帯を応援する制度が充実しています。以下に、主要な支援事業をご紹介します。
乳幼児健康診査 |
4カ月・10カ月・1歳6カ月・2歳6カ月(歯科)・3歳6カ月で実施 |
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BP1プログラム事業 | 生後2ヶ月~5ヶ月の初めての子育て中の母親が参加できる子育て支援プログラム |
ファミリーサポートセンター | 生後6か月~小学6年生までの子どもの保護者が利用できる支援制度。平日1時間の利用料は600円 |
LINE公式アカウント「桜井市つなが~る」 | 子育てに関する情報をLINEで定期的に発信 |
子ども医療費助成制度 | 2023年度から18歳までの子どもの医療費を助成 |
【遊び場情報】未就学児~小学生まで遊べる施設が充実している
▲ひみっこぱーくではジオラマ遊びができる
桜井市では、屋外の遊び場として市内各所に都市公園がありますが、大きな遊具のある公園は多くありません。一方で、屋内の遊び場は魅力的な施設が充実しています。
子ども広場「ひみっこぱーく」は、遊具メーカーのボーネルンド社がプロデュースした桜井駅前にある屋内型の施設で、市外からも多くの親子連れが訪れます。毎月のお誕生日会や、さまざまなイベントが開催され、頭と体を使った遊び体験ができる人気の施設です。
▲ひみっこぱーくのボールプールで楽しそうに遊ぶ子どもたち
公式:ひみっこぱーく(まほろばセンター)
また、未就学児の子どもが主に遊べるスペースとして「つどいの広場」「ドレミの広場」があります。これらの施設には桜井市の保育士など職員が常駐しています。
一時預かりも利用できるので、母親がリフレッシュする時間を持つこともできるでしょう。
参考:子ども一時預かり事業について(桜井市役所)
▲桜井市保健福祉センター「陽だまり」3階にある「つどいの広場」の風景
参考:つどいの広場(桜井市役所)
▲ひみっこぱーくと同じ「まほろばセンター」2階にある「ドレミの広場」
公式:ドレミの広場(まほろばセンター)
さらに、市では各所で子どもを対象としたワークショップを開催しています。年に1度、親子で観賞できるオーケストラ公演を行うなど、積極的に子育て支援に取り組んでいます。
このように、桜井市は子育て世帯が満足できる環境が整っているといえるでしょう。
移住した人の体験談や感想
ここでは、桜井市に移住された方の具体例をご紹介します。
現在、古民家を改修してゲストハウスを運営されているご夫婦のケースです。奈良県内に実家があるご主人は、東京での生活を経て、改めて奈良の魅力を再認識されました。旅行好きということもあり、奈良に戻ってゲストハウスを始めたいという思いが移住のきっかけとなりました。
移住を決断したのは40歳の節目でした。ゲストハウスの少ない中南和地域で物件を探していたところ、「NPO法人 空き家コンシェルジュ」との出会いがありました。この団体を通して理想の物件を見つけることができ、現在ではゲストハウスをオープンして数年が経過しています。
近くには有名な長谷寺があり、のどかな田園風景を楽しみながらも、大阪への通勤や旅行にも便利な桜井市での暮らしに、ご夫婦は大変満足されているそうです。
桜井市への移住に向けて
桜井市への移住を検討している方は、まずは移住相談窓口に問い合わせることをおすすめします。住宅に関する相談には、ワンストップ相談窓口として、空き家コンシェルジュが対応しています。
古民家を利用して開業したいという場合も、空き家コンシェルジュに相談してみてください。
公式:空き家コンシェルジュ
現在、お試し住宅は整備されていませんが、移住のために桜井市を訪れる場合は、ゲストハウスの利用がおすすめです。2023年10月時点で体験ツアーは実施されていませんが、今後の実施が検討されています。
桜井市は、大阪や奈良市内へのアクセスが良好で、スーパーや家電量販店、病院も充実しており、生活しやすい地域です。同時に、のどかな田園風景が広がり、ゆったりとした時間の流れを感じられます。豊富な観光資源もあるため、歴史好きの方にとっては魅力的な土地だと言えるでしょう。移住相談には可能な限り丁寧に対応いたしますので、ぜひ一度お問い合わせください。
桜井市への移住に関するお問い合わせ
担当課 | 桜井市役所 市長公室 行政経営課 行政経営係 |
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住所 | 〒633-8585 奈良県桜井市大字粟殿432番地1 |
電話番号 | 0744-42-9111(内線1261) |
公式サイト | https://www.city.sakurai.lg.jp/index.html |