【三重県尾鷲市への移住】住み心地はどう?暮らしの特徴・仕事・支援情報
この記事では、地方移住を考えている方に向けて三重県尾鷲市(おわせし)での暮らしについて紹介します。
尾鷲市は三重県南部、東紀州地域の中央に位置しており、海と山に囲まれた自然豊かなまちです。
漁業が盛んなので、水揚げされた旬の美味しいお魚を食べることができます。海で釣りを楽しんだり、シーカヤックなどマリンスポーツを満喫するのもよいでしょう。
市内には漁村が多く、都市部では少なくなった「人情味」があふれています。移住者の方々からは、そんなご近所さんたちの心遣いがうれしかったという声を耳にします。
今回は、尾鷲市政策調整課の中村さんと尾鷲市地域おこし協力隊の山田さん、戸田さん、平尾さんにお話をうかがいました。先輩移住者の皆さんによる感想や体験談と合わせて、暮らしの特徴や魅力を紹介していきます。
尾鷲市での暮らし:3つの特徴
尾鷲市は太平洋・熊野灘に面しており、西側には高峰山などの山々がそびえています。海の幸と山の幸に恵まれた環境は、田舎暮らしを満喫するにはうってつけではないでしょうか。
特に次のような方には移住先としておすすめします。
- 自然を近くに感じてゆっくり暮らしたい
- とれたての美味しい魚を食べたい
- 子どもをたくましく育てたい
- 田舎ならではのご近所づきあいを楽しみたい
それでは、なぜおすすめするのか理由を説明していきます。
特徴1:魚が新鮮で美味しい。釣り好きにはたまらないまち
太平洋の黒潮が流れる熊野灘は日本有数の漁場です。尾鷲市の漁港にはブリをはじめカツオ、マダイ、ガシ(カサゴ)、シイラ、シオ(カンパチ若魚)など四季折々の魚が水揚げされます。
特に春を旬とするブリが冬の「寒ブリ」に劣らず美味とされ、尾鷲市では「春ブリ」や「桜ブリ」と呼ばれるほど有名です。
▲尾鷲市の名物「ブリ」を捌いて刺身にするところ
▲大皿に盛られたブリの刺身
私も移住者ですが、尾鷲市に来てから、魚ってこんなに美味しいんだなって驚きました。移住前に都市部で食べていたブリと全然違うんですよ。
市内の飲食店ではブリだけでなく新鮮な魚を使った料理が食べられます。尾鷲魚市場で行われる「尾鷲イタダキ市(※第一土曜日開催)」でも購入できるのは嬉しいですね。
そんな尾鷲市は釣りのメッカとして知られ、冬に開催される「尾鷲磯釣大会」には各地から多くの釣り客が参加して盛り上がります。
▲漁港に停まる漁船と漁村の家々
▲漁船が停泊する海も透明度抜群
他県から釣りに来ているうちに尾鷲市が気に入って移住した人や、漁業体験をきっかけに移住して漁師になった人もいます。
特徴2:子どもがのびのび育つ。自然豊かで子育てしやすいまち
尾鷲市の子どもたちにとって、一番の遊び場は海や山です。海の磯で魚やカニを見つけたり、山道を歩けば木々や花々、鳥や動物との出会いを楽しんでいます。
さらに尾鷲市の水産農林課でイカダ作り体験や山林でのハンモック体験など、子どもたちが自然に触れるイベントを企画しており、民間による体験イベントもあります。
砂浜がキレイな三木里ビーチでは、三木里町を拠点に活動する「みきさといーぐみ」が、シーカヤック体験をはじめヨガ体験や海岸清掃などを行っています。
▲三木里ビーチは遠浅の真っ白な砂浜の海水浴場として人気がある。
また、山間部にある「おわせむかい農園」では田植え・稲刈り、とうもろこし狩りなど農業を体験できます。
その「おわせむかい農園」内に、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで誰もが立ち寄れる皆の居場所「むむむ。」が開所しました。
「むむむ。」は、尾鷲市の豊かな自然や文化を活かして持続可能な地域を目指す一般社団法人つちからみのれが運営しており、尾鷲の自然や文化などをテーマにしたイベントが毎月開催されます。
▲「むむむ。」の体験イベントに参加する子どもたち
▲おわせむかい農園内で開所した「むむむ。」のイベント
尾鷲市には他にも子育て支援サークルや子育て支援センター、子ども食堂など子育てしやすい環境が整っています。
そして、子育て世帯にとって何より嬉しいのがご近所さんの優しさではないでしょうか。
特徴3:”世話好き”な人が多い。助け合いの文化がある
尾鷲市の人は人情に厚い“おせっかい”な気質でめんどうみがよく、子どもたちを地域ぐるみで育てるようなまちの雰囲気があります。
地方移住で田舎らしいご近所づきあいを体験したい方や、子育てに協力的なまちを探しているご家族にはおすすめです。
地域おこし協力隊の方によると、「地区によってご飯の味や方言も違い、それぞれの文化がある」そうです。
漁村地区は他の地区と比べて“おせっかい”な人が多く、向こうから世話を焼いてくれる空気感があります。そのため、漁村地区ではすぐ顔見知りになるので「単身でも寂しくない」と話してくれました。
▲尾鷲市にある9つの漁村地区の一つ
漁村地区では人との距離が近くて「これぞ地方暮らし!」と感動しました。お刺身を持って来てくれたり、洗濯物を入れていてくれたりする助け合いの文化があります。
そこまでの濃いご近所付き合いを求めていないなら、中心部にある市街地地区が良いでしょう。市街地でも自分から地域のコミュニティーに入ろうとすれば受け容れてもらえますが、漁村部ほどの濃いご近所付き合いはそこまで見られません。
▲市街地にある尾鷲商店街
市街地にはスーパーマーケットやイオン、マクドナルドもあって買い物には困りません。
尾鷲市の暮らしに関する情報
ここからは、尾鷲市の気候や人口、病院、学校などのデータを紹介します。
気候 | 8月平均気温:26.8℃ 1月平均気温:6.5℃ ※参考:気象庁HP |
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人口 | 人口:約16,000人 世帯:約8,900世帯 (※2023年7月31日現在:外国人を含む) |
大都市へのアクセス | 【自動車】 名古屋:約2時間5分 京都:約2時間15分 大阪:約3時間 【鉄道】 名古屋:約2時間30分 京都:約3時間30分 大阪:約3時間10分 【高速バス】 東京:約8時間30分 名古屋:約3時間 |
市内の交通 | JR紀勢本線:5駅(尾鷲駅、大曽根浦駅、九鬼駅、三木里駅、賀田駅) 三重交通:路線バス、高速バス ふれあいバス |
近隣自治体 | 熊野市、北牟婁郡紀北町、奈良県吉野郡上北山村 |
病院 | 総合病院:1、病院・クリニック・診療所:16、歯科医院:6 |
学校 | 小学校:5、中学校:2、高校:1、特別支援学校:1、保育園:7、幼稚園:1 |
尾鷲市は降水量が多いことから「雨の町」として有名です。一度に多くの雨が降るためそうしたイメージを持たれますが、実は晴れの日も多く、日照時間は全国平均値とほぼ同じです。黒潮がもたらす海洋性気候のため夏は爽やか、冬は温暖で穏やかに過ごせます。
また上の表からも分かるように、市内の交通機関はJRやバスがありますが、車はあったほうが便利です。
また、尾鷲市にはお祭りや絶景スポットなどもたくさんあります。ここからは、尾鷲市内の見どころやイベント、仕事や住まいなどの情報をお届けします。
“奇祭”や秘境「オハイ」、朝日の絶景など見どころ満載
尾鷲市で毎年2月に行われる「ヤーヤ祭り」は、豊漁と豊作を祈願するため300年以上も前から続いていると言われます。
男衆が激しくぶつかり合ってまちを練り歩く「押し合い」や、自らを清めるため裸で海に飛び込むところなど迫力があるお祭りです。
▲尾鷲市の“奇祭”ヤーヤ祭りに集まった人々
▲ヤーヤー祭りでは体を清めるため裸で海に飛び込む
ヤーヤー祭りはそのような光景が全国的に珍しいことから”奇祭”と呼ばれますが、大名行列や道中踊りには男衆に限らず子どもも参加できるため、家族連れで賑わいます。
イベントのみならず、さまざまな場所で素晴らしい景観を楽しめるところが尾鷲市の魅力でもあります。
JR尾鷲駅から歩いて15分ほどのところに、約4000平方メートルの見事な竹林が見られます。尾鷲の林業家「土井家」が薩摩から孟宗竹などを移植したもので、「土井竹林」と呼ばれて観光スポットになっています。
▲見事な竹林が約4000平方メートルも広がる「土井竹林」
漁村部の一つ九鬼町(くきちょう)にある「オハイ」は、山道を歩いて約1時間半かかる“秘境”です。リアス式海岸の断崖絶壁から眺める海の美しさは「オハイブルー」と例えられます。
▲絶景スポット「オハイ」の海は「オハイブルー」と呼ばれる
また、尾鷲湾の湾頭にある佐波留島(さばるじま)は美しい朝日が見える、日の出の撮影スポットとして知られます。日が暮れ始めると、漁港の海と夕日の風景が美しいところなど尾鷲らしいですね。
▲朝日が美しいことで知られる佐波留島
▲漁港と夕日の風景も美しいことで知られる
最後に紹介する観光スポットは、市街地から近い天満浦地区です。山の景観を楽しめるうえに尾鷲湾が一望できる美しいまちです。
▲市街地から近い穴場観光スポット・天満浦
【仕事】地元企業の求人や職人の募集あり。漁師になる道も
尾鷲市役所の中村さんによると、市内の求人状況は「仕事を選ばなければ選択肢はある」そうです。大手求人サイトで尾鷲市付近の求人状況(正社員雇用)を調べてみました。
尾鷲市内の求人 | 約270件(2023年8月現在) ※求人情報の一例 |
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25km圏内 (通勤時間30分相当) |
約800件(2023年8月現在) ※求人情報の一例 |
また『おわせ暮らしサポートセンター』公式サイトに掲載されている「しごと情報」では、地元の水産会社、紀州備長炭を作る炭焼き窯での製炭職人、海洋深層水の塩づくり、林業、大工職人などの求人情報が見受けられます。
参考:『おわせ暮らしサポートセンター』公式サイト「しごと情報」
さらに漁港のまち尾鷲市では、漁師の後継者育成をかねて漁業体験教室を開催しています。これまで漁業体験をきっかけに尾鷲市へ移住して漁師になった人が複数いるだけに、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
参考:『尾鷲市』公式サイト「尾鷲市漁業体験教室を開催します」
【住まい】空き家バンクの物件多し。空き家活用に支援制度あり
尾鷲市の賃貸住宅について尾鷲市役所の中村さんにお聞きしたところ「空いてもすぐに入居者が決まってしまうので少ない」とのことでした。大手住宅情報サイトで調べると4件ありました。(2023年8月現在)
参考:賃貸物件情報の一例
尾鷲市の空き家率は全国平均より高く、空き家バンクの登録物件も50件以上あります(2023年8月時点)。賃貸物件が見つからないときは、空き家バンクを活用しましょう。
参考:『おわせ暮らしサポートセンター』公式サイト「空き家を探す」
なお空き家バンクや空き家物件探しに関しては『おわせ暮らしサポートセンター』に相談できるので安心です。
参考:『おわせ暮らしサポートセンター』公式サイト「空き家バンクとは?」
▲空き家バンクについては『おわせ暮らしサポートセンター』に相談できる
尾鷲市に移住した人の体験談や感想
ここでは、実際に尾鷲市へ移住して暮らしている方々の声を紹介します。
- 思ったより田舎じゃなくて、駅前にコンビニがあった時はホッとしました。車は要るけど、スーパーも病院もあるし生活するには問題ないです。
- 自然が豊かで、空気がとても澄みわたっていて、静けさもあって。何だか自分が浄化されるような気持ちになる。
- 水が驚くほど美味しい。古江の水でご飯を炊くととっても美味しくて、感激しました。
- 雨が降ったら洗濯物を取り込んでくれていたり、みんなで子どもを見てくれたり。日常で困ったなと思った時に助けてもらっています。
他には、車がないから市街地まで行くのが大変で、近所の小さなお店で買っているうちに顔見知りになったという方もいて「最近は少しおまけしてもらうときもあって、コミュニケーションが取れて楽しい」と語っていました。
尾鷲市への移住に役立つ体験住宅や支援情報
尾鷲市への移住に興味を持ったら、まずは移住体験住宅を利用する方法があります。
移住体験住宅「みやか」で漁村集落の暮らしを味わおう
▲明治期以前に建てられた古民家を改修した、移住体験住宅「みやか」
漁村集落の一つ、九鬼町にある移住体験住宅「みやか」は古民家を改修して作られました。尾鷲市への移住を考えている方なら、月2万円で最短1か月〜最長3か月まで利用できます。
築100年以上とは思えぬ母屋と町民がイベントや集会に利用できる立派な離れがあり、インターネットも使用可能です。滞在中は、地域おこし協力隊がサポートしてくれますよ。
▲漁村巡りの様子
詳細:『おわせ暮らしサポートセンター』公式サイト「移住体験住宅『みやか』」
下見に来られるなら、比較的過しやすい春と秋がおすすめです。海のレジャーを楽しむならば夏ですね。
新婚世帯に朗報。尾鷲市での住居取得などに支援金
尾鷲市で新生活を始める新婚世帯は「夫婦ともに39歳以下」「2年以上継続して尾鷲市内に居住すること」などの諸条件を満たせば、住居の取得費や家賃、引越費用等の補助金として最大で60万円もらえます。移住を考えている新婚世帯の方はぜひ活用しましょう。
参考:『尾鷲市』公式サイト「結婚新生活支援補助金事業について」
移住を考えている方の相談窓口『おわせ暮らしサポートセンター』
▲地域おこし協力隊のメンバーと尾鷲市役所の中村さん
“サポセン”こと『おわせ暮らしサポートセンター』は移住を考えている方の相談窓口です。窓口となる地域おこし協力隊は移住に関わるイベント、仕事バンク、空き家バンクを運営しています。
▼おわせ暮らしサポートセンター
住所 | 三重県尾鷲市朝日町10-19 |
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電話番号 | 0597-37-4010 |
公式サイト | https://owasegurashi.xsrv.jp/ |
尾鷲市への移住に関するお問い合わせ
担当課 | 尾鷲市役所 政策調整課 地域創生係 |
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住所 | 三重県尾鷲市中央町10番43号 |
電話番号 | 0597-23-8116 |
公式サイト | https://www.city.owase.lg.jp/ |