【熊本県錦町移住ガイド】自然豊かな暮らしと充実した支援制度

この記事では、地方移住を検討している方に向けて「熊本県錦町」をご紹介します。

熊本県の南部に位置する錦町は、豊かな自然に囲まれたまちです。その自然、特に県内最大の川である球磨川の恵みを活かした、フルーツ栽培など農業が盛ん。フルーツが好物という方や、農業に興味のある方にはおすすめの移住先です。またその他の産業もバランスよく栄えているので、仕事の選択肢が多いのも嬉しいところです。

錦町は歴史が古く、数々の文化財を有するまちでもあります。まちにゆかりのある剣豪・丸目蔵人佐(まるめくらんどのすけ)の墓をはじめ、寺社や古い住宅などがあり、歴史が好きな方なら日々の散策が楽しめそうです。

そんな錦町について、暮らしの特徴や仕事・住まい探し情報など、移住に役立つ情報をたっぷりとお届けします。

本日お話を伺った方
錦町のマスコットキャラクター錦太郎(きんたろう)

錦町企画観光課 主事

上原 亨さん

錦町のマスコットキャラクター錦太郎(きんたろう)

錦町企画観光課 主事

古賀 翔馬さん

錦町移住の魅力:3つの特徴から見る暮らしやすさ

錦町の暮らしの特徴

地方移住を検討している方の中でも、特に次のような方には錦町がおすすめです。

  • 新鮮なフルーツが好物
  • 就農、特に果樹栽培に興味がある
  • 日本の歴史が好き。歴史を感じる名所や文化財などが身近にある暮らしに憧れる
  • 自然が豊かなまちに暮らしたいが、地方で仕事があるかが心配

なぜこのような方に錦町が向いているのか、その理由を踏まえつつ、錦町の暮らしの特徴を紹介していきます。

(特徴1)球磨川の恵みと豊かな自然:フルーツ栽培が盛んな錦町

錦町の水田風景

熊本県の南部に位置する錦町には、県内最大の川である球磨川が流れています。その球磨川沿いには広大な田園が広がる、自然豊かな風景。そして山間部では、水の恵みに加え昼夜の寒暖差の大きさが果樹栽培に適することから、桃や梨をはじめとするフルーツの栽培が盛んです。

フルーツが好きで、旬の新鮮おいしいフルーツを食べたい方、もしくは農業・果樹栽培に興味がある方には、とてもおすすめの移住先です。

実がたくさんなった桃の木

カットした梨が皿に盛られている

町内の農産物直売所「くらんど市」には、フルーツや新鮮野菜、各種ご当地グルメなどが並びます。

中でもフルーツは、地元産の品種の豊富さに加え、同じフルーツでも何軒もの生産者から出荷されるところが特徴。常連のお客さんの中には、生産者を名指しで購入する方や、遠方から買いに来る方も珍しくないというほど、充実の品ぞろえなのです。

公式:錦町農産物直売所「くらんど市」

(特徴2)剣豪ゆかりの地:歴史と文化財が息づく錦町の魅力

土屋観音
▲人吉球磨地方の「相良三十三観音めぐり」の第三十一番札所となっている「土屋観音」(画像引用元:錦町観光サイト

錦町は「剣豪とフルーツの里」です。ここでいう「剣豪」とは、宮本武蔵と並ぶ剣豪・丸目蔵人佐(まるめくらんどのすけ)のこと。

丸目蔵人佐は1540年、現在の熊本県八代郡に生まれました。「伊勢守門下の四天王」の1人に数えられたほどの剣の達人で、自らの流派「タイ捨流」も開いています。

そんな丸目蔵人佐が晩年を過ごしたのが錦町です。90歳で亡くなるまで、この地で水田を開いたり畑を耕したりと、農業の指導者として活躍したと伝えられています。現在、錦町では丸目蔵人佐を記念した剣道大会などが開催され、また町内にある彼の墓は、町指定有形文化財となっています。

そのほかにも、錦町は数多くの文化財を有するまちです。一例をあげれば、相良三十三観音三十一番札所にもなっている町指定有形文化財の「土屋観音堂」、この地方に特徴的な鍵型住宅で国指定重要文化財の「桑原家住宅」など。

歴史・文化的なものが好きな方なら、日々のまち歩きや週末のちょっとしたお出かけが、この上もない楽しみになるかもしれません。

(特徴3)多様な就業機会:バランスの良い産業構造とテレワーク環境

錦町は、農業、工業、商業がバランスよく栄えていて、それぞれの分野で仕事を探せるまちです。「移住して仕事が見つかるか心配」という方には、大きな安心材料となるのではないでしょうか。

様々な就農支援もあります。農業に興味がある方、移住を機に新規就農を希望している方は、まずは町役場への相談をおすすめします。

錦町は観光業にも力を入れています。「球磨カントリー倶楽部」や「ひみつ基地ミュージアム」といったお出かけスポットがあり、ガイド業や飲食店などの仕事も充実。また、特産品のフルーツをはじめ地域のさまざまな素材を使った、カフェ経営やおみやげ開発という働き方もあります。

移住を機に、起業など新しいチャレンジをしたい方は「起業支援補助金」も利用できるので、あわせて検討してみてください。

起業者支援 町内で起業する方を対象に、対象経費の50%を補助
上限:50万円(※IT関連など一部企業は100万円)

錦町では、まちが運営する光インターネットを使用できるため、通信速度を心配せずテレワークを行うことも可能です。町内にはコワーキングスペースがあり、ワーケーションなどの一時利用から長期利用まで対応できます。

錦町は、移住後に「自然に囲まれた環境」も「自分らしく選べる働き方・生き方」も叶えたい方にはピッタリと言えそうです。

錦町の暮らしデータ:移住前に知っておきたい生活情報

ここでは、移住を検討するうえで重要となる、錦町の暮らしに関してのさまざまなデータをお届けします。

人口

10,215人
※2023年5月末現在

近隣都市 人吉市、球磨郡相良村、あさぎり町
宮崎県えびの市
公共交通 鉄道:くま川鉄道湯前線
バス:産交バス
大都市へのアクセス 熊本市へ:車で約1時間40分(高速道路利用)
鹿児島市へ:車で約1時間
福岡市へ:車で約2時間(高速道路利用)
病院 診療所6、歯科3
学校 高校1、中学校1、小学校3、保育施設6
特産・名産 梨、桃、メロン、球磨焼酎
名所・観光 新宮禪寺、ひみつ基地ミュージアム
行事 町民ゴルフ大会、町民体育祭、ふるさと祭り、ふるまい福餅つき

錦町は都会ではありませんが、スーパーや大型商業業施設、衣料品店、病院などがそろい、生活にも仕事探しにも不自由することの少ないまちです。

電車やバスの本数が少ないので生活に車は必須ですが、マイカーさえあれば、熊本市内へ約1時間半、鹿児島市へはより近い約1時間と動きやすく、行動の幅も広がるでしょう。ただし気候面の特徴として霧の発生があり、冬場にはライトを点けないと前方が見えないようなこともあります。運転には十分気をつけてください。

町内では、年間を通して様々な行事があります。地域に溶け込んで暮らしたい方、周りの人と積極的に交流したい方にとっては、良い機会となるでしょう。特に、11月開催の「ふるさと祭り」は、サンバや芸能ショーなどが行われる、まちの一大イベント。農業が盛んなまちだけあり、トラクターが販売されたりもするそうです。

自然に囲まれ、歴史・文化に彩られた錦町。そんなまちの魅力がギュッとつまったスポットが「新宮禪寺(新宮寺)」です。ここは、日本遺産相良三十三観音巡りの三十二番札所であり、また紅葉の名所。風情あふれる美しい秋の風景に会いに、ぜひ出かけてみてください。

新宮禪寺の紅葉
▲燃えるような紅葉があざやかな新宮禪寺。夜には紅葉のライトアップも行われる

住まい探しのポイント:多様な選択肢がある空き家バンク

錦町での住まい探しには、空き家バンクの利用がおすすめです。
参考:空き家バンク物件一覧

店舗兼住宅として利用できる物件や菜園付きの物件など、さまざまな住宅が見つかるので、移住後のライフスタイルと照らし合わせながら探してみてはいかがでしょうか。ただし、すぐに住めるような状態の物件は人気が高く埋まりやすいとのことです。

リフォームをするにせよ、すぐ住める物件とマッチングできるまで待つにせよ、スケジュールに余裕をもった住まい探しをおすすめします。

住宅関連の支援としては以下のようなものがあります。特に「引っ越し費用補助金」に関しては利用する方が多いそうですよ。

空き家リフォーム補助金 最大20万円
空き家片付け補助金 最大5万円
移住促進住宅取得費等補助金 住宅(新築・中古)を購入する方に、購入代金の5%を補助(上限:40万円)
※町内業者で施工すると10万円加算
※18歳未満の子ども1人につき3万円加算
引っ越し費用補助金 最大5万円

子育て環境の充実:支援制度と教育・遊び場の魅力

錦町は「合計特殊出生率(1人の女性が15歳から49歳までに産む子どもの数の平均)」が熊本県でトップ、全国でも9位にランクインしています。このことは、錦町が子育て世帯にとって住みやすいまちであることを示しているのかもしれません。

まちの育児環境として、まず、以下の「子宝祝い金制度」があります。

錦町子宝祝い金 子どもが誕生した家庭に対し、以下のお祝い金を支給
第1子:15万円
第2子:20万円
第3子以降:25万円

また子どもの医療費は0歳から18歳まで無料。町内には保育施設が6ケ所あり、待機児童はゼロです。

教育面では、子ども達にも自分のふるさとについて知ってもらうため、地域おこし協力隊が小学校へ行き、農業に関する「出前授業」などを実施しています。

遊び場に関しては、道の駅の敷地内にある「錦・くらんど公園」が人気です。広大な敷地に芝生広場や、巨大なアスレチックのあるわんぱく広場などがあり、一日中、家族でのびのびと身体を動かすことができます。

さらに、太平洋戦争の歴史を伝える体験型フィールドミュージアム「ひみつ基地ミュージアム」も、子どもから大人まで一緒に学べるスポットとして注目されています。

「ひみつ基地ミュージアム」の外観
▲「ひみつ基地ミュージアム」があるのは、太平洋戦争中に海軍が使用していた「人吉海軍航空基地」の跡地。平和を願い、多角的に歴史を見ることを目的に開館された

「ひみつ基地ミュージアム」内の、地下魚雷調整場
▲地下魚雷調整場で調整されていたと考えられる、航空魚雷の実物大模型も展示されている

錦町では、育児支援制度と教育体制、また自然豊かで子どもが遊び学べる場が充実していることなど、各面のバランスの良さが、子育て世帯にとっての住みやすさにつながっていると言えそうです。

先輩移住者の声:錦町での暮らしの実感を紹介

錦町へ移住した人の体験談

ここでは、実際に移住して錦町に暮らしている方の体験談や感想をご紹介します。

  • 買い物が便利で、人吉・球磨地方の中心部なのでアクセスも良く暮らしやすい
  • 地域活動やスポーツ大会などがあり、地域の人同士のつながりが実感できる
  • 盆地特有の霧は、運転には注意が必要だけど、風情があって良いと思う
  • 親切で温かい人が多く、溶け込みやすい雰囲気

錦町は、豊かな自然と便利な生活環境の、バランスの良いまちです。また地域のイベントなど、周囲の人と交流する機会も多く、移住者にも溶け込みやすいという声が多く見つかりました。

錦町移住へのステップ:体験住宅と問い合わせ先

ここでは、錦町への移住に向けて、実際に起こせる行動をご案内します。

まちの雰囲気を体感:移住体験住宅の利用ガイド

移住体験住宅の外観

錦町では、移住を検討している方が実際にまちでの暮らしを体験できる「移住体験住宅」を用意しています。

施設のある「木上(きのえ)地区」は、歴史の深い錦町の良さが残るエリアです。住宅は駐在所を改修した建物で、各種家電のほか無料Wi-Fiも完備されているので、テレワークを検討している方にもおすすめ。周辺にはスーパーや小学校、保育園、郵便局、公園などがあり、移住後の暮らしをイメージしやすいでしょう。町内散策に利用できる自転車も用意されているので、ぜひ積極的にまちの中を見てみてください。

ご担当の方に、訪れる季節のおすすめをうかがったところ「夏がイチオシ。熊本の夏は暑いけれど、まちの“らしさ”が味わえますよ。特産品の梨がおいしい季節でもあります」とのこと。また秋には美しい紅葉が眺められます。

移住の相談窓口:錦町役場への問い合わせ方法

担当課 企画観光課
住所 熊本県球磨郡錦町大字一武1587番地
電話番号 0966-38-4419
対応時間 8:30~17:15(土・日・祝日、年末年始を除く)
公式サイト https://www.town.kumamoto-nishiki.lg.jp/ijyuu/default.html