肝付町への移住はどう?暮らし・仕事・住居・支援内容を解説|縁結び大学
肝付町(きもつきちょう)は、鹿児島県の南東部にあり太平洋に面している町です。またJAXAのロケット発射場もあり美しい海岸線が続くことから、「東洋のフロリダ」と呼ばれています。さらに肝付町は子育て支援が充実しているのも特徴。町役場には移住の専任職員がいて、移住相談にきめ細かく対応しています。
そんな、海と山に囲まれた肝付町で暮らす魅力や、移住情報について肝付町役場の仲西さんに話をうかがいました。
温暖な気候と子育てのしやすさが魅力の「肝付町」
肝付町は鹿児島県の南東に突き出た大隅半島にあります。こういうと、とても遠いイメージを抱くかも知れませんが、実は都市圏からの交通の便もそう悪くはありません。鹿児島空港から高速道路を利用すると車で1時間強であるため、羽田空港からなら3時間ほど。大阪からは、夕方フェリーに乗ればのんびりと船旅を楽しんだあと、翌朝には志布志港に到着します。港からは車で35分ほどで肝付町に到着です。
そんな肝付町への移住に向いているのは、こんな方です。
- 自然が豊かな土地で子供を育てたい
- 貯金はあまりないが一軒家や古民家で暮らしたい
- 景色がキレイなのんびりした田舎町で老後を過ごしたい
それではこれから、その内容について詳しく紹介していきましょう。
特長1:子育て支援が充実!子どものいる世帯が暮らしやすい町
肝付町では、2ヶ所に子育て支援センターを設置し、子育てをサポートしています。また、次のような特徴ある子育て支援があります。
【1】すこやか赤ちゃん誕生祝金の支給
出生後1年以内の申請により、「現金5万円+町商工会商品券5万円分」が支給
【2】子ども医療費助成制度
18歳までの子どもの保険診療による医療費の全額を助成
もちろん他の市区町村でも医療費の助成制度はありますが、「18歳まで全額を助成」という制度は他に見ない手厚さです。子どもがたくさんいる家庭は特に助かりますね。
また肝付町には、病気回復期の子どもを預かってくれる施設があります。パパ・ママどちらも働く家庭にとっては嬉しいところ。特に頼れる親戚や知人宅が近くにない移住者にとっては、本当に助かりますよね。
(参考URL)肝付町:子育て支援制度について
特長2:温暖な気候と豊かな自然が魅力の「東洋のフロリダ」
▲国道448号沿いに約50キロにわたって美しい海岸線が続きます
肝付町の魅力と言えば、なんといっても人の手がほとんど入っていない白い砂浜。町の東側に、美しい海岸線が約50キロにわたって続いています。海岸線を通る国道448号は人気のドライブコースで、この景色を目当てに移住する方も多くいらっしゃるほどですよ。
肝付町の海岸は遠浅でないため、海水浴場がないことから人工の建造物がありません。ウミガメが自然産卵する岸良海岸は、手つかずの自然が大切にそのまま残っています。
▲ウミガメの自然産卵地でもある岸良海岸
肝付町は、本土最南端の半島に位置すること、白い砂浜やロケット発射場があり、温暖で雨の多い気候など、アメリカフロリダ州と一致するポイントがたくさんあることから、「東洋のフロリダ」とも呼ばれています。
本州の最南端にある大隅半島に位置しながら、東京ほど暑くないのも特長の1つです。真夏の7・8月でも平均気温は27℃ほどで、最高気温も32℃程度。真冬の寒い時期でも、平均気温は9℃ほどと比較的過ごしやすい気候です。
移住者にとって気候は意外と見落としやすいポイントですが、「いざ移住してみると、すごく暑くて過ごしにくい」「冬は予想以上に雪が多くて不便」といった失敗が起きにくいのは嬉しいところですね。
特長3:ここでしか味わえない美味しいものもいっぱい!
▲肝付町周辺でしか採れない「辺塚だいだい」
肝付町は絶品食材の宝庫です。鹿児島県といえば高級肉である黒牛と黒豚が有名ですが、それだけではありません。
毎年春・秋には「えっがね(伊勢エビ)祭り」と呼ばれるお祭りが開催され、肝付町内之浦で捕れた伊勢海老料理をたっぷりと満喫できます。黒潮が流れる漁場で育てられた養殖カンパチもおススメですよ。
また、温暖な気候を生かして、固有種の「辺塚(へつか)だいだい」やマンゴーの栽培も盛んにおこなわれています。「辺塚だいだい」をエサに混ぜた「辺塚だいだいカンパチ」は、身からほんのりと柑橘系の香りがするのが特徴。子どもや魚が苦手なかたでも食べやすいと評判です。
特に海辺の内之浦地区では海の幸が豊富ですから、居住地選びの際にはその辺りも視野に入れると良さそうです。
特長4:本土唯一のロケット発射場あり!あの「はやぶさ」も肝付町から打ち上げ
▲タイミングが合えば、ロケットの発射を間近に見ることができるかも!
肝付町の内之浦宇宙空間観測所は、1963年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)のロケット発射場として開所しました。また2003年には、あの「はやぶさ」を打ち上げたことでも知られています。
タイミングが合えば、ロケットの発射を間近に見ることができるかも知れません。もしお子さんがロケットの発射を間近に見る機会があったなら、大きな夢を抱くきっかけにもなるかも知れませんね。
(参考URL)肝付町:内之浦宇宙空間観測所について
里山と海沿い、2つの顔を持つハイブリットタウン肝付
肝付町には里山と海側、大きく分けて2つのエリアがあります。海沿いの内之浦地区と高山地区は車で約20分の距離です。どちらが住みやすいかは人それぞれ。2つのエリアの特徴を知り、まずは自分に合いそうなエリアで住居を探してみると良いですよ!
肝付町は「里山」と「海沿い」という2つの特徴を持つ地区があることから「ハイブリットタウン」と名付けました。
鹿児島の中核都市に隣接、里山で暮らす「高山地区」
▲利便性の高い高山地区
町の北東部にある高山(こうやま)地区には町役場があり、人口の7割以上が集中しています。鹿児島県の中でも中核都市に該当する鹿屋(かのや)市とは隣接しており車で約15分という近さ。そのため高山地区ならば買い物にも困らないでしょう。
特に、鹿屋市で勤務される方、鹿屋市の学校に通う子どものいる家庭は、高山地区のほうが住みやすいかもしれませんね。
電車はありませんが、本数が少ないとはいえ鹿屋・高山間を運行するバスもあります。車があるほうが便利であることは否めませんが、なくても通えそうです。
白い浜が続く海沿いで暮らす「内之浦地区」
▲ロケット発射場もある海沿いの内之浦地区
町の南西部にある内之浦(うちのうら)地区は、「高山地区」とトンネルで結ばれています。海と山に囲まれた自然豊かなエリアです。またJAXAのロケット発射場のある町でもあります。
海岸の美しさや、自然環境の良さに魅力を感じる人が多いからか、肝付町への移住者も多く暮らすのは、こちらの内之浦地区です。最初は同じ移住者同士のほうが、同じ悩みを分かち合ったり、相談もしやすいかもしれません。「ちょっと心細いな」という方は、移住仲間の多い内之浦地区を居住地に選ぶのも良さそうですね。
肝付町での暮らし(仕事と住居情報)
どんなに魅力があっても、実際に移住するとなると気になるのが仕事と住居ですよね。その他にも、買い物はどこでするのか、病院はあるのかなど生活に必要な情報はたくさんあります。ここからは、気になる肝付町の暮らしについて紹介していきましょう。
【仕事】働き方の選択肢はさまざま!就農支援もあり
自然が多い町への移住となると、もっとも心配なのは仕事があるかどうかでしょう。肝付町に移住した場合は、大きくわけて次のような4つの選択肢を取ることができます。
隣接する鹿屋市などで仕事を見つける
肝付町内で仕事を探すことは難しいかも知れませんが、隣接する鹿屋市ならば正職員やパートの求人が数多くあります。職種も事務・販売・接客・Webデザイナー・クリエイターなど多岐に渡ります。
必ずしも希望の職種の求人があるとは限りませんが、自分の希望にあう仕事が見つかったタイミングで移住を考えるのも1つの手です。実際に一度、求人サイトで検索してみると良いですよ。
農業・林業・漁業などの第1次産業にチャレンジ!各種支援制度もあり
海と山に囲まれた肝付町は古くから農林水産業が盛んですが、農業・林業・漁業ともに後継者不足の状況です。人手不足のこれらの第1次産業であれば、チャレンジする気持ちがあれば仕事を見つけることは難しくないでしょう。
特に農業に関しては人手不足が深刻で、農業に新規参入する人、農業後継者として農業経営を継承する人に対しては、さまざまな支援や助成制度があります。ただし助成を受けるには様々な条件がありますので、自身が対象になりえるかをしっかりと確認してくださいね。
(参考URL)肝付町:新規就農支援等
農産品を加工する第6次産業に取り組む
▲辺塚だいだいを使った加工品の開発も
移住者のなかには、農産品を加工して付加価値を高める「6次産業化」に取り組む人たちもいます。移住者が考案した固有種の「辺塚だいだい」の調味料や、ソラマメの豆板醤は、すでに商品化されているのだとか。
「地域発展に貢献したい」「今までにない価値を生み出したい」という方にとっては、やりがいのある仕事かもしれません。
フルリモートで今までの仕事を継続する
肝付町でも全域光ファイバーが網羅され、インターネットに接続できる環境が整っています。そのため、現在の仕事がフルリモートできる内容ならば、今の会社に所属したまま移住することも可能です。
現在ではそうした働き方ができる会社も増えているため、これからそうした新しい働き方を選択する移住者も増えてくることでしょう。
【住居】手厚い支援あり!肝付町へ移住するなら住宅支援制度を要チェック
肝付町は住宅政策に力を入れているため、さまざまな住宅支援策があります。
例えば、新築・建売住宅の取得なら上限20万円、中古住宅の取得なら上限10万円、さらに家庭に高校生以下の子どもがいる場合は10〜20万円の商品券が追加でもらえます。移住などで転入してきた場合も10万円がプラス、さらに「空き家バンク」で探した一軒家を購入で10万円がプラスされます。
また住宅リフォームでも上限15万円の住宅支援がありますが、「空き家バンクで」探した一軒家をリフォームすると、さらに上限20万円の助成金がもらえる計算です。かなり手厚い支援ですよね。
住宅に関する補助・助成制度に関しては、チェックしておいて損はありません。肝付町への移住を考えるなら、以下の住宅支援一覧に一度目を通しておいてくださいね。
(参考URL)肝付町:住宅に関する補助・助成制度
その他の肝付町の暮らしデータ(買い物・医療・学校)
買い物は、生鮮食品や日用雑貨などは肝付町内のスーパーやホームセンターで購入できるため、日常生活のなかで困ることはありません。衣料品や装飾品、家具など、その他のものを買い物する場合は、鹿屋市を含めた近隣の市町村のショッピングセンターへ行けば手に入ります。
医療についても、肝付町内に病院や診療所、歯科診療所があり、一般的な病気やケガ・歯科治療はこれらの医療機関で対応できます。産婦人科、小児科の受診や夜間診療が必要な場合は、隣の鹿屋市内にある医療機関を利用することが多いようです。子どもが小さくて心配という家庭は、鹿屋市に近い高山地区のほうが、病院に近い安心感はあるのかもしれません。
学校は、小中学校がそれぞれ6つ、高校が1つ、町内にあります。高校は大隅学区に属することから、鹿屋市や志布志市等近隣の学校にも通えますが、バイク通学が認められているのも特徴です。
もっと知りたい!「肝付町への移住」Q&A
Q:移住相談はどのようにすれば良いですか?
移住に関して相談できる窓口はありますか?また住まいに関する相談もできますか?
A:きもつき移住サポートセンターにお問合せください
▲役場内に設置されている「きもつき移住サポートセンター」
町役場に「きもつき移住サポートセンター」が設置されています。実際の移住者でもある専任の職員があらゆる相談に対応してくれますよ。希望者には町の見学案内のほか、「空き家バンク」に掲載されている空き家の案内も行っています。
また住まいに関して、空き家に住みたい場合には各方面とのさまざまな調整が必要です。肝付町では「移住サポートセンター」が「空き家バンク」への各種相談にも対応しているので、住宅探しをスムーズに進めることができますよ。
(参考URL)肝付町:空き家に関する情報
Q:火山が噴火する心配はありますか?
鹿児島県や宮崎県には活火山がありますが、肝付町への影響はあるのでしょうか?
A:肝付町への降灰はほとんどありません。
桜島から50キロメートル程度離れており、肝付町との間には標高1000メートル級の高隅山系があることから、これまでは降灰の少ない地域でした。
Q:買い物などの便は良いですか?
生鮮食品や日用品などを買えるスーパーなどは近くにあるでしょうか。
A:近くのスーパーや隣の市でも買い物できます
高山地区に生協や大手のスーパーがあります。隣接する鹿屋市へ買い物に出かける人も多いようです。鹿屋市にはショッピングセンターやさまざまな専門店があり、鹿屋市までは車で15~40分程度です。
移住前に「お試し移住」を利用してみよう
▲ 肝付町:移住体験住宅「里山の音(ね)」
見知らぬ町にいきなり「移住」をすることは不安があるもの。そんな人のために、肝付町ではお試し移住ができる施設として2棟「里山の音(ね)・海辺の音(ね)」が用意されています。1組1泊1,000円で移住体験をすることができます。時間の許す限り実際に体験してみると良いですね。
また移住体験とは異なりますが、1年間に渡ってプレ移住ができる家族向けの山村留学を利用してみるのも1つの手です。
家族みんなで1年間肝付町に留学できる「山村留学」
▲肝付町の子どもたちとウミガメのふれあい。
肝付町の内之浦地区、岸良地区の小中学校では、山村留学を受け入れています。山村留学とは学区内の住宅などに家族で留学する制度です。学校や地域のなかで肝付町の自然や文化、たくさんの人たちとふれあいながら、健康な心と体を育むことを目的としています。
内之浦の小中学校で行われる「銀河留学」では、内之浦宇宙空間観測所からのロケットの打ち上げを間近に見ることができたり、学校内で宇宙に関して学ぶ機会が多くあります。岸良地区で体験できる「ウミガメ留学」では、水族館と提携してウミガメの保護活動を体験できます。
これらの山村留学を利用した場合は、留学生1名につき毎月4万円の助成金があります。1年ごとの更新ですが、希望すれば子供が義務教育を終えるまで留学が可能です。本来は移住希望者のために設けられた制度ではありませんが、家族で1年間は肝付町に住むことになるため、本格的に移住する前に山村留学することで「移住後の暮らし」がよく分かると思います。
(参考URL)肝付町:肝付町山村留学制度
山村留学をきっかけに、家族みんなで移住する人たちもいます。子どもの好奇心を高める魅力的な教育プログラムに取り組んでいます。
無料の「町内案内ツアー」も上手に活用してみよう
移住前に肝付町を訪れた場合は、ぜひ移住サポートセンターへ行って町案内をお願いしてみましょう。専任職員から町並みや観光スポットを日帰りで案内してもらえます。
また、教育施設や医療福祉施設、空き家バンクに掲載されている物件などを無料で案内してもらうこともできるので、移住後の暮らしをイメージするのに役立ちますよ。
町内案内ツアーを利用したい場合は、あらかじめ移住サポートセンターに連絡し希望日を伝えておきましょう。そうすることでスムーズに案内してもらうことができます。
(参考URL)肝付町:町内案内ツアーについて
肝付町・仲西さんからのメッセージ
私も2022年春に北海道から移住してきました。休日には山歩きなどのレジャーを楽しんでいます。みなさまからの移住相談には、私たち専任の町職員が迅速に対応します。是非わたくしに会いに来てください!町の魅力をたっぷりご紹介します。
取材ライターのひとことメモ
移住をしようとして町役場に問い合わせをすると、住宅さがしは建設課、仕事さがしは産業課というように、さまざまな部署に連絡をとって転居するまで時間がかかったという話を良く聞きます。でも、肝付町では、そんな心配はありません。長年にわたって移住支援の業務をしている専任職員の仲西さんがきめ細かくサポートしてくれるのです。仲西さんのお話を聞いていたら、自分もフェリーに乗って肝付を訪れたくなりました。
肝付町への移住に関する情報・お問い合わせ
担当課 | 肝付町役場 企画調整課 移住サポートセンター |
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住所 | 〒893-1207 鹿児島県肝属郡肝付町新富98 |
電話番号 | 0994-65-8426 |
FAX | 0994-65-2587 |
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