【奈良県御杖村への移住】住み心地はどう?暮らしの特徴・仕事・支援情報

この記事では、地方移住を検討している方に向けて「奈良県御杖村(みつえむら)」をご紹介します。

奈良県と三重県の県境に位置する御杖村は、山と川の豊かな自然に囲まれた村。夏には村内をホタルが飛びかい、家の窓を開けていればカブトムシが飛び込んでくることもある(!)という環境は、都会とは正反対の暮らしがしたい方にピッタリです。

他にも、小中学校一貫の教育体制や、神話と歴史に彩られたまち並みなど、魅力はたくさん。そんな御杖村について、暮らしの特徴や、仕事・住まい探しなど、移住に役立つ情報をたっぷりとお届けします。

本日お話を伺った方
男性のアイコン

御杖村役場 むらづくり振興課

大西 聡史さん

女性のアイコン

御杖村役場 むらづくり振興課

掛川 はる菜さん

御杖村の暮らしの特徴3つ

御杖村の暮らしの特徴

地方移住を検討している方の中でも、特に次のような方には御杖村がおすすめです。

  • 暑さは苦手。夏に涼しい地域で暮らしたい
  • 自然が豊かで空気も水もきれいな、都会とは真逆の環境を希望
  • 子どもは、小中一貫教育のアットホームな学校に通わせたい
  • 歴史に興味がある。ノスタルジーを感じるまち並みが好き

なぜこのような方に御杖村が向いているのか、その理由を踏まえつつ、御杖村の暮らしの特徴を紹介していきます。

特徴1:冷涼で自然豊かな山里

村の田園風景

面積の90%が山林の御杖村は、冷涼な気候と豊かな自然が特徴の村です。

標高が高いため気温が低く、夏でも快適。全国的に、夏場には猛暑で外出もままならない現代にあって、これは嬉しいですよね。

日本三百名山の1つにも選ばれている御杖村のシンボル「三峰山(みうねやま)」では、春の新緑、初夏には白ツツジの群生、秋の紅葉、冬は霧氷と四季折々の色鮮やかな風景に出会えます。また、村内には一級河川・名張川の源流が流れ、「みつえ高原牧場」からは美しい星空が眺められます。

都会ではお金を払って「レジャー」として楽しむようなこれらの自然が、御杖村では日常のあらゆるところにあります。自然の中にいると癒しを感じる方や、都会のビル群や人混みを離れのびのび暮らしたいと希望している方にとっては、毎日が感動の連続になるかもしれません。

三峰山の白つつじ
▲三峰山に群生する、珍しい白ツツジ。初夏の緑と青空、そして花の色の爽やかなコントラストが目にまぶしい

村内で鑑賞可能なホタルの写真
▲6月~7月にかけては、山でも川でも、村内のあちこちでホタルに出会える

村内で鑑賞可能な星空の写真
▲美しい星空が見えることで有名な「みつえ高原牧場」には、多くの星空好きが訪れる

春日神社のラッパイチョウ
▲紅葉の名所「春日神社」にあるイチョウの大木は、筒の形になった珍しい葉が付くことから「ラッパイチョウ」として親しまれている

三峰山の霧氷
▲真冬には、樹々の枝に付いた空気中の水分が凍り付く「霧氷」の、幻想的な光景に出会える

特徴2:家庭・学校・地域が一体となった教育体制

村営の英語塾で地元の子供達が勉強している様子
▲村営の英語塾の様子。

小中学校は一貫教育を実施しており、村内にそれぞれ1校ずつある小学校・中学校の児童と生徒が同じ校舎で過ごします。学年を越えた活動を通して、子ども達はそれぞれの年齢なりの役割を知り、人を思いやる心を学んでいきます。

また、御杖村の保育所では週1回の英語教室を開講しています。村営塾では小中学生を対象に英語教育も実施しており、国際社会で活躍する人材の育成にも力を入れています。

さらに、御杖村では「ふるさとでの学びを活かし“新しい時代を切り拓く心豊かな子ども”をはぐくむ」という教育スローガンのもと、家庭・学校・地域が一体となる「地域学校パートナーシップ事業」を展開。その他にも以下のような支援や取り組みを行っています。

ふるさと学習 地域の人々の協力のもと、ふるさとの自然や文化、歴史について学ぶ
給食費助成 保育所~中学校の給食費を全額助成
菜園活動 保育所にて、地域の人々の協力のもと、米づくり・野菜づくり・茶つみなどを実施
学力向上支援 小学生には漢字検定、中学生には漢字検定と英語検定の受験料を年1回全額補助

豊かな自然環境が子ども達にとっては大きな学びの場になります。子ども達は遊びや体験を通して、たくさんのことを学び、たくましく成長していきます。

川遊びをする子ども達

たくさんの大人の目の届く中で、子どもをのびのびと育てたい方にとって、御杖村の育児教育環境は理想的と言えるかもしれません。

特徴3:伝説と歴史のノスタルジーに彩られた村

御杖神社
▲御杖神社には、倭姫命が残したとされる杖が今も祀られている

「御杖村」の名前は、その昔、日本の第11代である垂仁天皇の皇女「倭姫命(やまとひめのみこと)」がこの地を訪れ、その印に自らの杖を残したという伝説がもとになっています。

村内には、その倭姫命ゆかりの神社などが点在。また他にも、平安時代に弘法大師が建立したと伝わる「安能寺」や、推定樹齢400年以上のイチョウの大木を有する「春日神社」などがあり、悠久のロマンを感じさせます。

伊勢本街道付近を歩く人々
▲往時のにぎやかな声が聞こえてくるような、伊勢本街道。現在でも、街道沿いの家々の軒先には、夜になると明かりが灯される。

また御杖村は、近畿地方と東海・中部地方を結ぶ交通の要所でもあります。

中世の時代までは、奈良・大阪方面から伊勢神宮を参拝するための「伊勢本街道」が発達し、御杖村はその宿場として栄えました。村を横断する伊勢本街道沿いには、現在も道標や旧旅籠が残り、かつてのにぎわいを感じさせます。

このように、御杖村はさまざまな伝説や逸話が残り、ノスタルジックな雰囲気がただよう村です。歴史情緒豊かな村内をゆっくりと歩けば、遠い昔にタイムスリップするよう。歴史の好きな方にはたまらない環境ではないでしょうか。

御杖村の暮らしに関する情報

ここでは、移住を検討するうえで重要となる、御杖村の暮らしに関してのさまざまなデータをお届けします。

気候 内陸性気候、冷涼多雨地帯
年間平均気温:13.2℃
人口 人口:1,442人
世帯数:791世帯
※令和5年4月1日現在
近隣都市 宇陀郡曽爾村、宇陀市
三重県:名張市、津市、松阪市
公共交通 鉄道:なし
路線バス:御杖コミュニティバス「御杖ふれあいバス」、三重交通
大都市へのアクセス 奈良市へ:車で約1時間20分(高速道路利用)
大阪へ:車で約1時間40分(高速道路利用)
病院 診療所1、歯科1
学校 中学校1、小学校1、保育施設1
※通園・通学のためのスクールバス運行
行事・イベント やまと姫マラソン、ザ!雑巾ダッシュ!!inみつえ、秋まつり
特産品 米、ほうれん草、こんにゃく

冷涼で雨の多い御杖村。避暑地でもあり、夏はクーラーなしでも過ごせるという人もいるほど涼しく、快適に過ごすことができます。一方、冬場は寒く、積雪が多くなります。道路が凍ることもあるため、スタッドレスタイヤが必要です。

御杖村には村営バスがありますが本数が少ないため、生活にはマイカーが必須と考えましょう。買い物面では、道の駅や商店があるもののスーパーがなく、近隣の名張市や宇陀市へ出かける方が多いそうです。都市部まで車で30分ほどかかりますが、交通量も信号も少ないため、それほどストレスは感じず走れそうです。

自然に恵まれた御杖村の、肥沃な大地と源流に近い清涼な水は、数々のおいしい農産物もはぐくんでいます。特産品はほうれん草やトマト、自然薯など。みずみずしく甘い新鮮野菜が、毎日の食事をいっそう楽しくしてくれそうです。

段ボール箱に入ったさまざまな野菜

御杖村では年間を通して、特色あるさまざまなイベントも行われています。地域の歴史や伝統を感じ、また地域の人々との交流も深められるチャンスなので、移住後はぜひ積極的に参加してみてください。

「やまと姫マラソン」スタート直後の参加者たち
▲「やまと姫マラソン」では、倭姫命のゆかりの地を巡る。タイムを計測しないので、家族やお友達と楽しみながらゆったり走るのにもピッタリ

「ザ!雑巾ダッシュ!!inみつえ」の様子
▲「ザ!雑巾ダッシュinみつえ」は、旧小学校の101mもある廊下で雑巾がけのタイムを競う、ユニークなイベント

御杖神社の秋まつりで神輿をかつぐ人々
▲御杖神社の秋まつりでは、神輿の上で子ども達が太鼓を叩き、村内を練り歩く

【仕事】村内では農業・林業が盛ん。新規就農支援もあり

2023年7月現在、大手求人情報サイトで御杖村内の正社員求人を検索すると、約40件がヒットしました。ちなみに、この検索範囲を通勤約30分程度(村から25km圏内)に広げると約3,600件と大幅に増加するので、仕事の選択肢を広げたい方にはおすすめです。

参考:正社員求人情報の一例(御杖村内)
参考:正社員求人情報の一例(御杖村から25km圏内)

御杖村では農業(ほうれん草、お米など)や林業が盛んで、就農に関する支援も充実しています。そのほか、創業をしたい方向けのサポートもあるので、移住を機にお店を開いたり、新しい働き方にチャレンジしたい方は、ぜひ相談してみてください。

【住まい】多世代の同居・近居をサポート

村営住宅の前に集合した数組の親子
▲若者向けの村営住宅(御杖村特定公共賃貸住宅)には、建材として地元の木材が使用されている

御杖村での住まい探しには、新築のほか、空き家バンクや村営の賃貸住宅を利用することができます。

参考:空き家バンク物件一覧
参考:御杖村村営住宅について

住まいに関する支援としては以下のようなものがあります。多世代の同居・近居に対するサポートもあるので、家族2世代・3世代、お互いに目の届くところで行き来しながら生活したいという方は、検討してみてはいかがでしょうか。

空き家家財道具等処分費補助金 空き家バンク登録物件を購入・賃貸する移住希望者に対し、空き家に残存する家財道具等の処分及び搬出に要する費用を補助(上限:20万円)
多世代による同居・近居推進事業 村内で新たに2世代・3世代で同居や近居を始める方に、住宅の新築・増改築・改修に要する費用の一部を補助

御杖村へ移住した人の体験談・感想

御杖村に移住した人の体験談

ここでは、実際に移住して御杖村に暮らしている方の体験談や感想をご紹介します。

  • 夏にも涼しくて、アウトドアに出かけやすいところが気に入っている
  • 自然が豊かで水も空気もきれい。日常の何気ない風景がとても魅力的
  • 周囲を気にせず子どもを思いっきり遊ばせて、のびのび育てることができる
  • 村全体で子どもを育てているような、アットホームで温かい雰囲気がある
  • 地域の人達が心地よい距離感で接してくれるので、移住後、無理なく溶け込むことができた

子育て世帯の方からの「豊かな自然環境と地域全体で子どもを見守る雰囲気があり、子育てがしやすい」という声が多く見つかりました。

村の方の、新しくやってきた方に対する、親切ながらも踏み込みすぎない「ほどよい距離感」も、御杖村の魅力のようです。

御杖村への移住に向けた行動

移住体験が可能な住宅の外観

御杖村では、移住を検討している方を対象にした「移住体験住宅」を用意しています。

利用期間は7日間~30日間。村の風土・気候を体感したり、生活環境の確認、住まい・仕事探しなど、移住の基礎作りとして役に立つでしょう。体験住宅の徒歩圏内には道の駅があり、直売所で食材などを購入できるほか、温泉施設も併設されています。

詳細:御杖村移住体験住宅(PDF)

御杖村への移住に関するお問い合わせ

担当課 御杖村役場
住所 奈良県宇陀郡御杖村大字菅野368番地
電話番号 0745-95-2001
対応時間 8:30~17:15(土・日・祝日および年末年始を除く)
公式サイト https://www.vill.mitsue.nara.jp/kurashi/ijyu/index.html