【宮城県南三陸町への移住】住み心地はどう?暮らしの特徴・仕事・支援情報

この記事では、地方への移住を検討している方のために、宮城県南三陸町の魅力を紹介していきます。

南三陸町は、宮城県の北東部に位置する人口約11,700人の町です。三方が山に、一方が海に面しており、山・海・川・森・里のすべてに恵まれた自然豊かな地域です。

新たなことに取り組んでいる人も多く、挑戦しやすい土壌や風土があります

そんな南三陸町での暮らしの特徴やその魅力について、南三陸町移住・定住支援センターの方に伺ったお話とあわせて、詳しく解説していきます。

本日お話を伺った方
センター長の上野さん

南三陸町移住・定住支援センター
センター長

上野 英律さん

移住サポーターの及川さん

南三陸町移住・定住支援センター
移住サポーター

及川さん

移住サポーターの國枝さん

南三陸町移住・定住支援センター
移住サポーター

國枝 万里さん

宮城県南三陸町の暮らし、3つの特徴

宮城県南三陸町の暮らしの特徴

南三陸町は太平洋沿岸に位置しており、東北地方の中でも雪が少なく、過ごしやすい気候の地域です。

世界で初めて森林に関するFSC認証と養殖に関するASC認証の両方を取得した自治体であり、バイオガスや木質ペレットなどの再生エネルギーの活用にも力を入れています。

そんな南三陸町は以下のような特徴があります。

  • 環境への負荷を軽減し、循環型社会を目指す町
  • 挑戦できる土壌や風土があり、ユニークな人も多い
  • 自然が学びの場であり遊びの場。特色ある教育も

それではここから、南三陸町の魅力や特色について更に掘り下げていきたいと思います。

特徴1:環境への負荷を軽減し、循環型社会を目指す町

南三陸町の田束山
▲町内を一望できる田束山からの景色。南三陸町の自然の豊かさ、美しさがわかる

南三陸町は町づくりの指針である「南三陸町震災復興計画」の中で「エコタウンへの挑戦」を掲げており、その取り組みとしてバイオガスや木質ペレットなどの再生エネルギーの活用に力を入れています

2014年には農林水産省から「バイオマス産業都市」として選定され、その後、町内にバイオガス施設「南三陸BIO」を建設しました。

町内の家庭や事業所から出る生ごみなどを活用してバイオガスと液体肥料を生成し、地域内でエネルギーと資源の循環を行っています。

参考:農林水産省(バイオマス産業都市の取組)
参考:アミタ株式会社(南三陸BIO(ビオ)|資源循環の基盤づくり事例)

また、木質ペレットを生産し、ボイラーやストーブへ熱利用する取り組みも行っています。

使われていなかった木材や、森林保全のための間伐材などを木質ペレットとして生まれ変わらせることで、環境に負荷がかからないような生産をしています。

木質ペレットや薪などを燃料とするペレットストーブや、薪ストーブの普及も推進し、資源と経済が循環する仕組みを構築しています。

公式:南三陸町(南三陸町木質バイオマスエネルギー利活用推進事業費補助金について)

南三陸町は面積の約76%を森林が占めており、その内、町有林を含む複数の森林で「FSC-FM認証」を取得しています。

南三陸町の森林を歩く
▲まだ雪が残る森林内を歩く。レジャーとしても森は人気のスポット

FSC-FM認証は、国際的機関である森林管理協議会(Forest Stewardship Council)が運営・管理する森林認証制度において、適正な森林の管理がされていると認証されたことを意味します。

参考:農林水産省「わがマチ・わがムラ」(宮城県南三陸町)
参考:南三陸森林管理協議会
参考:FSCジャパン(FSC認証について)

スギの良産地である南三陸町の森林は、適正な管理の元で利用・保護をされていることになり、そこから出た材木は南三陸町役場や、新国立競技場にも活用されています。

公式:南三陸町移住・定住支援センター(南三陸について)

FSC国際認証材木
▲FSC認証を取得している材木

国際的な認証を取得しているのは森だけではありません。宮城県漁業協同組合志津川支所は、2016年に戸倉海域のカキ養殖業において「ASC認証」を取得しました。

ASC認証とは、水産養殖管理協議会(Aquaculture Stewardship Council)が、運営・管理する養殖に関する国際認証制度のことです。

引用:南三陸町観光協会(ASC認証)

「責任ある養殖」によって生産されたカキは「戸倉っこかき」と名付けられ、南三陸町の特産物としても人気が高い海産物です。

公式:戸倉っこ牡蠣生産グループ

ASC国際認証取得牡蠣
▲ASC国際認証を取得した牡蠣

FSC認証とASC認証の両方を取得した自治体は世界でも稀であり、南三陸町が持続可能な開発と環境保全に力を入れていることがわかります。

特徴2:挑戦できる土壌や風土があり、ユニークな人も多い

アルティメットの様子
▲アルティメットを楽しむ人々(引用:南三陸町移住・定住支援センター

東日本大震災の発生後、南三陸町には全国から多くの人たちがボランティアにやってきました。「この町のために何かをしたい」という思いから、新たな取り組みを始めた人や、そのまま定住を決めた人も多く、南三陸町は新しい人や物事を受け入れるための土壌ができています

「アルティメット」というスポーツをご存知でしょうか。アメリカンフットボールやバスケットボールにも似ていると言われるスポーツですが、使うのはボールではなく一枚のディスクです。敵味方にわかれて、このディスクをパスしながら運び、ゴールを目指します。

南三陸町にアルティメットをもたらしたのは、移住者である佐藤さんでした。「アルティメットを広めたい」という彼女の力になったのが地元の南三陸町観光協会の方で、ついにはビーチでアルティメットを行う「ビーチアルティメット」の大会を開催するまでに至ったのです。

ビーチアルティメットの大会を開催したのは、東北では南三陸町が初めてのことでした。開催にあたっては町内の多くの人が協力し、1回目の大会から140名近くの人が集まるほどの盛況ぶりでした。

公式:南三陸町移住・定住支援センター(インタビュー03佐藤茜さん)

新しいことに挑戦しているのは移住者だけではありません。南三陸町の出身で、漁師を生業にする高橋さんが魅入られたのは「化石の発掘」でした。

南三陸町で発掘された化石
▲知る人ぞ知る化石の町、南三陸町で発掘された化石

南三陸町は、世界最古級の魚竜化石が発掘された、知る人ぞ知る化石の町です。高橋さんは、研究者と共に化石発掘体験に参加したことをきっかけに化石にハマり、ついには私有地を借りて発掘場所として管理するまでに至りました

化石発掘体験として、一般の方も受け入れており、年間1,000人以上の人が化石発掘にやってきます。

南三陸町でしかできない特別な体験として、高橋さんなりの「町のためにできること」に楽しんで取り組んでいます。

公式:南三陸町観光協会(ワクワクが止まらない!南三陸は化石の宝庫)

ここで紹介したのはお二人だけですが、南三陸町にはまだまだユニークな人たちがたくさんいます。何かを新たに始めたい方にもぴったりの町です。

特徴3:自然が学びの場であり遊びの場。特色ある教育も

カヤックを楽しむ親子
▲マリンアクティビティの1つであるシーカヤックを楽しむ親子

山・海・川・森・里の全てに恵まれている南三陸町では、地域の中に学びの場がたくさんあります。その南三陸町ならではの自然の豊かさや資源を活かし、町内にある南三陸高等学校では、課題解決型の学習プログラムも行っています。

独自のカリキュラムである「地域学」「地域探求学」を通し、生徒たちは町内をフィールドに、地域の現状理解や、他地域との比較、課題の把握と解決策の検討を行い、考える力を養っていきます。

町内に住む生徒だけでなく、南三陸高等学校では「南三陸kizuna留学」と題し、地域外からの生徒の受け入れも行っています。町外からの生徒は寮に住むこととなり、寮での生活を通じて、自立性も育まれていきます。

地域の資源を遊びの場にするだけでなく、実情や課題を理解した上で学びの場として捉えるユニークな取り組みです。

宮城県南三陸町の暮らしに関する情報

南三陸町の例大祭
▲例大祭は250年もの歴史がある伝統的な催し

ここからは南三陸町での生活に関する基本情報を、データとともに紹介します。

気候 ・夏(8月):平均気温23.0℃
・冬(1月):平均気温0.7℃
※参考:気象庁ホームページ(志津川地点)
人口 約11,700人(約4,400世帯) ※2023年10月末現在
病院 町内にはクリニックも含め4件の医療機関がある ※2023年11月時点
学校 保育所3園、認定こども園2園、保育園1園、幼稚園1園、小学校5校、中学校2校、高校1校 ※2023年11月時点
交通 【バス】
・バス高速輸送システム:気仙沼線BRT(陸前戸倉駅-志津川駅-南三陸町役場・病院前駅-志津川中央団地駅-清水浜駅-歌津駅-陸前港駅)
・路線バス:ミヤコーバス(仙台-南三陸線)、南三陸町町民バス

【高速道路】
・三陸沿岸道路(志津川IC-南三陸海岸IC-歌津IC-歌津北IC)
隣接自治体 石巻市、登米市、気仙沼市
大都市からのアクセス 【仙台から】
・車:約90分程度
・高速バス:約1時間40分
・電車・路線バス:小牛田駅を経由し、BRT志津川駅まで約2時間30分

【空港から】
・仙台空港:車で約2時間
・花巻空港:車で約2時間20分

東北と言えば雪のイメージがあると思いますが、太平洋に面した南三陸町では雪が積もることはあまりありません。20~30cmほど積もったとしても、天気が良ければ昼間には溶けてなくなります。

日課のように雪かきをしなくてはならない、ということもありませんが、気温は低いため道路が凍り、アイスバーン状態になることはあります。スタッドレスタイヤは必需品です。

町内は戸倉、志津川、入谷、歌津の四つのエリアにわかれています。中心地は役場のある志津川で、病院やスーパー、100円均一、ドラッグストアなどもこのエリアに集まっています。

日用品を買うには町内で事足りますが、大きな買い物をする場合は近隣自治体に行く人が多いようです。ただ、ネットショッピングでも何でも買うことができるので、買い物に不便をすることはないでしょう。

センター長の上野さん
上野さん

映画を見に行くなど遊ぶ時は、石巻市、登米市、気仙沼市など周りの大きな市まで足をのばす方が多いですね。

【仕事】近隣市に通う人も。地域おこし協力隊も募集中

大手求人サイトで「南三陸町×正社員」で検索したところ、約200件の求人情報が見つかりました。車で30分以内の通勤圏内(町内から25km以内)で検索したところ、求人情報は約1,300件まで広がりました。※2023年11月時点
※参考:求人情報の一例(南三陸町のみ)
※参考:求人情報の一例(南三陸町から25km以内)

三陸沿岸道が通っており、登米市や気仙沼市まで30分ほど行くことができるため、近隣市町村に通う人もいます。地域おこし協力隊も募集しており、それをきっかけとして南三陸町にやってくる人も多いようです。

公式:南三陸町(地域おこし協力隊)

町内で仕事を探す場合は、町が運営している「南三陸町無料職業紹介所」を活用するのも良いでしょう。WEBサイトで求人票も掲載しているので、それを見ながら相談をしたり、企業とのマッチングもサポートしてくれます。

公式:南三陸町(南三陸町無料職業紹介所)

【住まい】賃貸物件を探す場合は、地元の不動産屋に直接問い合わせを

大手住宅情報サイトで南三陸町の物件を探したところ、賃貸が可能なアパート・マンションは数件のみ見つかりました。※2023年11月時点

南三陸町にはHPなどには載せず、地元の不動産屋に聞かないとわからない物件の情報もあるそうです。家探しに困ったら、直接不動産屋に問い合わせるか、役場に相談してみるのも良いでしょう。

移住者を対象にした家賃補助制度も有ります。期間は最大2年間で、18歳未満の子どもを有する子育て世帯は月額2万円を上限とした補助が出ます。賃貸物件が見つかったら、こちらの制度も活用するようにしましょう。

公式:南三陸町(移住者向け南三陸町賃貸住宅家賃助成事業補助金について)

また、町が管理する賃貸「定住促進住宅」もあります。原則的に単身での利用は不可ですが、間取りによっては単身でも入居することも可能です。

随時募集であり、募集情報は町のHPに掲載されるので、定期的にチェックしてみて下さい。

公式:南三陸町(定住促進住宅)

移住サポーターの及川さん
及川さん

災害公営住宅も通常の公営住宅と同じく、入居条件を満たせば災害被害者以外の方も入居が可能です。こちらは3月、6月、9月、12月に募集しています。募集情報はHPに掲載しています。

公式:南三陸町(町営住宅について)

【子育て】海や川に近い公園も。自然を活かした遊びができる

桜が咲く公園▲春には桜を見ながら遊べる公園も

南三陸町には、志津川エリアを中心として大小さまざまな公園があります。海水浴場の近くにあるものや、キャンプ場に隣接していて川遊びができるところなどがあるので、親子で自然を楽しめます。

海も山も森も川も里もあるので、自然の中で遊べるのも南三陸町の魅力です。

山に入って虫取りをしたり、山菜を取ってみたり、波打ち際で砂遊びをしたりと、子どもたちはそこにあるものを生かして遊んでいるようです。

宮城県南三陸町に暮らす先輩移住者の声

宮城県南三陸町に移住した人の声

実際に南三陸町で暮らし始めた移住者の皆さんは、その暮らしをどのように感じているのでしょうか。ここではそんな先輩移住者たちのリアルな声を紹介します。

  • 町の人たちが移住者をありのまま受け入れてくれる雰囲気がある
  • 人と人との繋がりがすごくいいところだと感じる。あたたかい人が多い
  • 食べ物とか、エネルギーとか、生活に必要なものを町の中で生み出すことができる地域だと思う。それが、災害の時の強さにもなっていると思う
  • 四季を強く感じるようになった。春になったら山菜をとったり、梅の時期に梅をとって、梅干しを作ったりとか。旬な物を味わえることが幸せに感じる

新しい人を受けいれる土壌ができているのも手伝って、移住後も地域の中に溶け込みやすく、人との繋がりや自然の恵みを感じながら生活していることがわかりますね。

宮城県南三陸町への移住

南三陸町の田園風景
▲一見すると海なし県に見える田園風景も、南三陸町の風景の一つ

南三陸町への移住を考え始めたら、まずは動画から情報収集を始めてみましょう。疑問がわいてきたら、オンライン相談を活用して、移住サポーターに質問するのも良いですね。

実際に現地に行くときには、移住体験ツアーやオーダーメイド視察プランを使うのが便利です。

南三陸町のリアルがわかる「動画で見る南三陸町」を見てみよう

南三陸町についてもっと知りたいと思ったら、「動画で見る南三陸町」を見てみて下さい。南三陸の四季について紹介した動画や、移住者へのインタビュー動画、南三陸町での暮らしの中で感じる「幸せ」にフォーカスした動画など、暮らしのリアルがわかります。

特におすすめなのが、架空のスナックを舞台に移住・定住支援センターの上野さんと移住者が語り合う「移住トーク」動画です。南三陸町の公式メディア「南三陸なう」との共同企画として、さまざまな人が登場します。

先輩移住者が語る赤裸々なトークから、南三陸町の雰囲気に触れてみて下さい。

公式:南三陸町移住・定住支援センター(動画で見る南三陸町)

移住についてオンラインで相談してみよう

南三陸への移住を誰かに相談したい、でもいきなり現地まで行くのはハードルが高い、と思ったら、南三陸町移住・定住支援センターのオンライン相談を活用してみましょう。

zoomを活用し、移住サポーターが質問に答えてくれます。開設曜日は月・水~土で、時間は9時~17時の間です。

公式:南三陸町移住・定住支援センター(オンライン相談受付中!)

移住サポーターの國枝さん
國枝さん

事前予約制ですが、相談はもちろん無料なので、気軽にいろいろと相談して下さいね。

移住体験ツアーやオーダーメイド視察プランに行ってみよう

南三陸町では暮らしを体感できるような移住体験ツアーや、オーダーメイドの視察ができるプログラムを用意しています。

例えば、「移住体験ツアー」では南三陸町に先輩移住者たちに話を聞いたり、町内をバスで移動しながら震災・防災について学んだり、地元の人たちとの交流できたりと、いろいろな視点から町のことを知ることができます

参考:南三陸町移住・定住支援センター(私のミライフ 南三陸町移住体験ツアー ~心機一転編~)

「オーダーメイド視察プラン」では、参加者の希望に応じてツアーを組み立ててもらうことができます。

「買い物事情について知りたい」「保育園や小学校の環境が知りたい」「先輩移住者に会って話を聞いてみたい」などなど、知りたいことに合わせて一緒にプランを考えてもらえます。

公式:南三陸町移住・定住支援センター(南三陸町めぐる オーダーメイド視察プラン募集中です)

「移住体験ツアー」は不定期開催ですが、「オーダーメイド視察プラン」は随時募集中です。どちらもタイミングが合えば参加してみて下さい。

南三陸町への移住に関するお問い合わせ

南三陸町移住・定住支援センターのスタッフ
▲「南三陸町移住・定住支援センター」のスタッフの皆さん

南三陸町に興味を持った方は、まずは南三陸町移住・定住支援センターに問い合わせてみてくださいね。移住について親身に相談に乗ってくれますよ。

担当 南三陸町移住・定住支援センター
住所 〒986-0725
宮城県本吉郡南三陸町志津川字沼田101番地
南三陸町役場 本庁舎1階
電話 0226-25-9552
公式サイト https://www.town.minamisanriku.miyagi.jp/
移住サイト https://www.minamisanriku-iju.jp/
移住パンフレット 南三陸に会いさこマップ(PDF)