【兵庫県香美町への移住】住み心地はどう?暮らしの特徴・仕事・支援情報
この記事では、地方への移住を検討している方のために、兵庫県香美町(かみちょう)の魅力を紹介していきます。
香美町は、兵庫県の北部に位置する人口約16,000人の町です。町内全域が山陰海岸ジオパークに属しており、北側は日本海に面し、南側はスキー場を有する山岳や美しい里山が広がる自然豊かな地域です。
町内を車で北から南に縦断しても1時間もかからない広さですが、海側と山側では暮らしや人の雰囲気が全く違うユニークな一面もあります。
このような特徴を持つ香美町での暮らしはどんなものか、「まちなか移住相談室」の方に伺ったお話とあわせて、詳しく解説していきます。
兵庫県香美町の暮らし、5つの特徴
町内に山陰海岸国立公園、氷ノ山後山那岐山国定公園の一部を有するため、その面積の約6割が自然公園区域に指定されている香美町。海、山、川、里の全てに恵まれた町で、その恩恵や雄大さ、時には厳しさを感じながら、豊かな自然の中に溶け込むように暮らすことができます。
海側と山側で異なる暮らしと人々の雰囲気。海側はお店が密集している地域もあり、生活に適度な便利さがあるエリアです。山側は海側と比べると買い物などで少し不便な点もありますが、海側まで車で30分ほどで行けるので、不便さもひっくるめて楽しむことができる方にぴったりです。
そんな香美町は以下のような人におすすめです。
- 海の幸も山の幸も、新鮮で美味しい物を食べたい方
- 季節によって景色を変える自然の中で、心豊かに生活したい方
- 少人数ならではの特色ある学校教育を子どもに受けさせたいと考えている方
- 地域の素材を活かして、新たなことにチャレンジしてみたいと思っている方
それではここから、香美町の魅力や特色について掘り下げていきたいと思います。
特徴1:香住、村岡、小代。エリア毎に異なる顔を持つ
▲香美町を3つのエリアに分けた図(引用元:香美町移住定住ガイド)
香美町は3つのエリアにわけることができます。海側に面した香住(かすみ)区、江戸時代に城下町として栄えた村岡区、美しい棚田が広がり畜産が盛んな小代(おじろ)区です。
エリア | 特徴 |
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香住区 | 居住人口が最も多く、スーパーマーケット・コンビニ・郵便局・町役場などがあり、商業・行政の中心であるエリア。山陰有数の漁港である香住港では、香住ガニなどが水揚げされる漁師町でもある。 |
村岡区 | 1,000m級の山々に囲まれ、エリア内には2つのスキー場を有する。登山やトレッキングはもちろん、ツリーイング*やキャンプ、渓流釣りなどの自然のアクティビティを楽しむことができる。一方で江戸時代には城下町として栄えたことから、陣屋や武家屋敷などの風情ある町並みも残っている。*専用のロープを使った木登りのこと |
小代区 | 四方を山に囲まれ、町の中央に流れる矢田川の源流域である。松阪牛や神戸牛の素となる但馬牛(たじまうし)の原産地で、エリア内にはつなぐ棚田遺産に選ばれた「うへ山」の棚田などの美しい里山の風景が広がっている。平成24年には「日本で最も美しい村」連合への加盟が認められた。 |
海側である香住区と比べると、山側である村岡・小代区は豪雪エリアであり、冬には1mから2mほどの雪が積もるそう。実際に住むとなれば、利便性は大きく異なりそうなので、希望の生活様式に合わせて、どこのエリアが良いかじっくり検討してみて下さいね。
特徴2:海の幸も山の幸も、何を食べても全部美味しい
▲香美町でのみ水揚げされるベニズワイガニ「香住ガニ」のセリの様子
海・山・川・里に恵まれた香美町は、その場所がら海の幸にも山の幸にも恵まれています。きめ細かな霜降り肉の但馬牛に、カルシウムやビタミンを豊富に含むスッポン料理。冬の風物詩である松葉ガニや香住ガニに、活イカ料理などなど。他にもなめこ、乾しいたけ、グリーンアスパラガスなど、季節に応じ、旬の新鮮な食べ物を味わうことができます。
学校給食でも地域の食材を取り入れているそうなので、香美町の美味しい食材を糧に子どもたちもすくすくと成長できそうです。時には近所の方がおすそ分けとばかりに野菜や蟹を持ってきてくれることもあるそうですよ。
特徴3:教育システムや子育ての施策に力を入れている
少子高齢化社会ですが、それは香美町でも当てはまることで、年々人口が減少するにつれ、子どもたちの数も減っているそうです。ですがその状況を逆手に取り、教育のシステムや子育ての施策に力を入れているのが香美町の強みといえます。
▲教室ではなく、児童全員が集まって給食を食べる
香美町には現在10の小学校が存在しています。全校生徒数が350人程度の学校が1校で、その他の9つの学校は30人から60人程度。小規模学校ならではの「先生の目が1人ひとりに行き届く」「のびのびとした環境下で教育が行われている」などの強みがあります。
子どもたちの同士の交流が限られていたりと、どうしても外部との交流が少なくなりがちな部分を、香美町では、「学校間スーパー連携チャレンジプラン」として、小学校同士が連携し、「子どもたちの生きる力の育成」を進める施策に取り組んでいます。
具体的には小規模の9つの学校が2グループにわかれ、学校混合で合同による多人数授業を行ったり、反対に1人ひとりの理解度に寄り添えるよう、小人数にグループ分けした授業を行ったりしています。他にも、学校合同で行事を行うこともあり、他の学校の生徒や先生と触れ合える機会を設けています。
子どもの教育について考え、少子化を逆手に取った教育プログラムを進めているんですね。
独自の教育システムを持つ香美町では、子育ての施策にも力を入れています。ここではその一部をご紹介します。
施策名 | 概要 | リンク |
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医療費助成制度 | 0歳から18歳までの子どもを対象に、医療費が無料(※所得制限有) | 香美町(乳幼児等医療費助成制度)/(こども医療費助成制度) |
保育料の無償化 | ・0歳から2歳までの子ども:住民税非課税世帯は保育料が無料 ・3歳から5歳までの子ども:全ての子どもの保育料が無料 |
香美町(保育料の無償化) |
保育園での一時保育 | 事前予約で8:00から16:00の間で一時預かりが可能 | 香美町(保育園での一時保育) |
町としても子育てをバックアップしたいとの思いがあるので、いろいろな支援制度が設けられています。妊娠~出産~育児までのサポートをまとめたガイドブックもあるので、お子さんがいる方はこちらもチェックして下さいね。
特徴4:春夏秋冬。日本の豊かな四季の移ろいを感じられる
▲棚田が広がる山間部の美しい風景をドローンで撮影したもの
▲紅葉時期「猿尾滝」の様子。日本の滝百選にも選ばれており、紅葉とのコントラストが美しい
季節によって景色の表情をがらりと変えるのが香美町の魅力でもあります。
新緑の美しい春、真っ青な空と海で澄み渡る夏、紅葉に色づく秋、雪に覆われた白銀の冬と、季節に応じた景色をダイレクトに感じることができるので、都会では気づくことの少ない日本の四季の移り変わりを肌で実感することができますよ。
特徴5:新たなことに挑戦できる素材や土壌がある
自然に恵まれた香美町では元から住んでいた人や、Uターン、Iターン者に関係なく、新しいことに挑戦できる土壌があり、まさにチャレンジする場としてブルーオーシャンのまちと言えます。
例えば、キャンプ場を作ってみたり、古民家を改修してサウナをつけ一棟貸しを始めてみたり、香美町の特産物である蟹を使ったラーメン屋をOPENしてみたりなどなど、色々な人が様々なことに挑戦しているまちでもあるんです。
移住は大きなライフイベントの一つ。環境がガラリと変わるこの機会に、新しいことに挑戦してみるのも面白いかもしれません。香美町を知らないからこそ気づく、「新しい香美町の魅力」を見つけてみてください。
やりたいことがあるならば、香美町でそれが実現できるかを検討してみてはいかがでしょうか。
兵庫県香美町の暮らしに関する情報
▲化学肥料や農薬の使用を控えて作られた但馬村岡米。海・山の幸と一緒に食べればますます食が進みそう
ここからは香美町での生活に関する情報を、データとともに紹介します。
気候 | 12月〜2月は積雪あり。 1月の平均最低気温:1.1℃ 1月の平均最高気温:9.0℃ ※参考:気象庁ホームページ 夏:夜になると最低気温が20℃を下回ることもある。 冬:積雪がある豪雪地帯だが、氷点下を下回ることはない。 |
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人口 | 約16,000人(約6,300世帯)※令和4年10月31日時点 |
病院 | クリニック含め、市内には18の医療機関がある。 「公立香住病院」「公立村岡病院」の2院が町内の中核医療機関 |
学校 | 幼稚園9園、保育所4所、認定こども園1園、小学校10校、中学校3校、高等学校2校、特別支援学校1校 |
文化・芸術 | ・百手の儀式 裃(かみしも)に身を包んだ村の青年たちが、青竹でできた101本の弓矢を射る儀式。壇ノ浦の合戦(1185年)に敗れた平家の落ち武者たちが、再興と源氏への怨念を矢に託したのが始まりと伝えられている ・みかた残酷マラソン 小代区内全長24kmを周回して走るマラソン大会。コース自体はうねりが多く、高低差が400mもあるハードなものだが、小代区民の応援・協力が温かく、リピーターも多い ・イカソーメン早食い大会 皿に盛られた100gの香住の活イカを、細くて長い箸を使いながら食べる速さを競う。つるつる滑る活イカを掴むのに参加者は苦戦するそう |
観光スポット | ・かえる島 今子の海岸にあるカエルの形をした岩のこと。祈願岩としても有名 ・小代古代体験の森 縄文時代の住居跡、土器の破片、石器などが出土したことをきっかけに整備された。竪穴式住居や古代高床式倉庫を見ることができるほか、土器づくり体験などもできる ・かすみ矢田川温泉 硫酸塩高温泉の日帰り温泉。サウナもあり、地元民のリピーターも多い |
食べ物 | 【山の幸】 但馬村岡米、但馬牛(たじまうし)、スッポン料理、二十世紀梨、川魚料理(アユ、ヤマメ、アマゴ)、山菜料理(ふきのとう、よもぎ、ぜんまい、タラの芽)、米地みそ、矢田川みそ 【海の幸】 松葉ガニ、香住ガニ、活イカ料理、エテガレイ、白エビ、鬼エビ、ドギ、ニギス、ハタハタ |
交通 | ・鉄道:西日本旅客鉄道(山陰本線:佐津—柴山—香住—鎧—餘部) ・バス:全但バス、香美町町民バス |
近隣都市 | ・兵庫県:豊岡市、養父市、美方郡新温泉町 ・鳥取県:八頭郡若桜町 |
大都市へのアクセス | 【車】 ・豊岡市までは約30分〜1時間程度 ・鳥取市までは約40分〜約1時間程度 ・神戸市や大阪市までは約2時間半〜3時間程度 【飛行機】 ・大阪行き 一番近い空港は車で約30分の「コウノトリ但馬空港」。JAL便が1日2便、伊丹空港行きで出ている(約35分) ・東京行き 車で約1時間の「鳥取砂丘コナン空港」の活用がおすすめ。ANA便が1日5便、羽田空港行きで出ている(約75分) |
香美町は豪雪地帯であることから、冬になると海側で最大30cm、山側では1から2mほどの雪が積もります。車はスタッドレスタイヤが必須で、運転にも注意が必要です。長靴、スコップなどもいろいろな種類があるので、何を買えばいいのか迷ったら地元の人に聞くといいでしょう。
同じ町内でも海側と山側で天気が全く違うこともあります。海側では晴れていたのに、山側では雨が降っているなんてこともあるので、移動の際は天気予報を確認するようにして下さい。
【仕事】近隣都市も含めれば選択肢は多い
大手求人サイトで「香美町×正社員」で検索したところ、約180件の求人情報が見つかりました。車で30分程度の通勤圏(香美町から25km以内)を含め検索すると結果はさらに増え、約5,900件でした。(2023年7月現在)
※参考:求人情報の一例
町内に限らずに探すと、選択肢はかなり広がりそうです。
町内の会社に就職するのか、町外に通うのか、それとも思い切って起業するのか、自分のライフスタイルに合わせ、この機会に働き方についても検討してみてはいかがでしょうか。
香美町にはどんな企業があるのか気になる方はこちらもチェックしてみて下さいね。
公式:香美町移住定住ガイド「WONDER KAMI」(企業情報)
【住まい】賃貸物件は希少。空き家は年間20件ほど増加中
大手賃貸サイトで香美町の物件を探したところ、賃貸が可能なアパート・マンションは3LDKの物件が数件見つかったのみでした。
※縁結び大学独自調べ(2023年7月現在)
その一方で、空き家の登録数は年間20件ずつほど増加しているそう。空き家バンクの情報を見てみると、確かに約20件の物件が登録されていました。割合としては売却希望の物件が多い傾向にありますが、賃貸希望物件も登録されています。立地条件の良さや、古民家として好まれそうな物件はすぐに売れてしまうそうなので、こまめにチェックするようにしてみて下さい。
ただし、山奥にある物件の場合、インターネットが繋がらないエリアもあるそうなので、家探しの際には合わせて確認することをお忘れなく。
なお、空き家バンクに住むとなった場合、「家財道具等搬出・処分補助」「住宅取得奨励金」「空き家改修費補助」などの補助金を使える可能性もあります。
公式:香美町移住定住ガイド「WONDER KAMI」(空き家バンクと支援制度)
兵庫県香美町に暮らす先輩移住者の声
「人が優しい」「人柄が良く、暮らしやすい」なんて声も聞こえてくる香美町。先輩移住者は香美町への移住を決意し、どんなことを感じているのでしょうか。
ここでは、そんな先輩移住者の声をいくつか紹介します。
香美町のいいところ
- 日本海がこんなに透明で綺麗だと知らなかった
- 親切にしてくれる人が多かったので移住を決めた
- 自然の風が気持ちいいので、窓を開けっ放しにしていることが多い
- よそ者として扱われる雰囲気はなく、飛び込みやすい環境で、ぱっと入っても地域に溶け込めるまちだと思う
- 海の近くに住みたいと思って移住。仕事終わりの夕方にランニングをすると綺麗な海辺の綺麗な夕日を見ることもできる
香美町の自然や、地域の人の人柄の良さを魅力に感じている方が多いようです。特に地域の人の温かさは、移住をする上で大きな安心材料になるのではないでしょうか。
香美町で驚いたところ
- おじいちゃんおばあちゃんの方言が聞き取りにくいこともある
- 思っていたよりも公園の数が少ない。その反面、山や海で遊べる自然がたくさんあるので、コロナのときもストレスなく子供と一緒に過ごすことができた
- 想定以上の積雪量にはびっくり。雪かきや屋根の雪降ろしがいい体力トレーニングになっている
自然が身近にあるからこそ、生活が大変なこともあるようですが、不便さも全て受入れ香美町での暮らしを楽しんでいることが感じられる声が多く見られました。
公式:香美町移住定住ガイド「WONDER KAMI」(暮らしを聞く)
兵庫県香美町への移住ステップ
香美町の移住について気になってきたら、以下のステップでもっと香美町の暮らしに近づいてみましょう。
- 「まちなか移住相談室」に相談してみる
- 交通費の半額補助を活用して香美町へ行ってみる
- 実際に香美町で短期滞在をしてみる
「まちなか移住相談室」に相談してみる
▲「まちなか移住相談室」で談笑する町民の皆さん
香住区にある「まちなか移住相談室」には、不定期で移住相談員が滞在しています。町民の方も気軽に立ち寄ることが多いため、ここにいるだけでも香美町の人たちに出会えます。
とはいえ、いきなり現地に相談に行くのはなかなかハードルが高いもの。「まちなか移住相談室」では、メールやLINE、オンラインでの移住相談も随時受け付けているそうなので、まずは連絡を取って相談を始めてみてはいかがでしょうか。
Instagramやtwitter、Facebookなども活用し、活発に情報発信をしているようなので、見てみて下さいね。
交通費の半額補助を活用して香美町へ行ってみる
「まずは香美町に行ってみたいな」そう思ったらぜひ行動してみましょう。香美町では、移住の相談、住まいや仕事探し、地域の情報収集などを目的として、香美町に訪れる人を対象に、年度内2回を上限に往復交通費の半額補助を行っています。
対象経費 | 香美町への移動に要した往復交通費(公共交通機関利用料、高速道路等通行料など) ※ただし、自家用自動車利用のガソリン代、レンタカー費用等は対象外 |
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補助の金額 | 補助対象経費の50%以内、最大3万円まで |
夏と冬で景色の装いががらっと変わるそうなので、夏と冬の両方を訪れるのがおすすめだそうです。実際の暮らしもイメージしやすくなりそうなので、ありがたい制度ですね。
公式:香美町の移住定住対策(交通費の補助 (移住促進支援補助金))
実際に香美町で短期滞在をしてみる
「お試しで数日間滞在してみたい」、そんな方はゲストハウスを活用するのがおすすめです。滞在予定を「香美町まちなか移住相談室」と調整すれば、一緒にスーパーに行って地元の食材を買ったり、香美町を案内したり、相談に乗ったりとつきっきりでサポートしてくれることもあるそうですよ。
また、「空き家バンクで良い家を見つけたけど、本格的に住む前に仮住まいをしてみたい」という希望も香美町がサポートします。所有者の承諾が得られた場合かつ1ヶ月以上の賃貸をする場合、家賃の半額を補助してくれます。期間は最長1年までで、上限は2.5万円/月です。
公式:香美町の移住定住対策(お試し住宅家賃補助 (空き家利活用促進支援補助金))
香美町への移住に関するお問い合わせ
「実際に来てみて、いいなと思った人に移住して来て欲しい」とのことなので、香美町に興味を持った方は、まずは、香美町まちなか移住相談室に問い合わせてみてくださいね。移住について、親身になって相談にのってくれますよ。
担当 | 香美町まちなか移住相談室 |
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住所 | 〒669-6544 兵庫県美方郡香美町香住区香住1584-1 (レンタルスペースglass内) |
LINE | https://lin.ee/8t59D6l |
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香美町公式サイト | http://www.town.mikata-kami.lg.jp/ |