北海道美幌町への移住ガイド:自然と便利さを両立する暮らしと充実の支援制度

この記事では移住を考えている人に向けて、北海道美幌町の特徴や仕事、住まいといった、暮らしに役立つ情報をご紹介します。

北海道美幌町(びほろちょう)は北海道の東部に位置し、オホーツク海から約30kmほど内陸にあります。農業を基幹産業とした人口約18,000人が暮らすまちです。

町名の由来は、アイヌ語で「ピ・ポロ(水多く・大いなる所)」といい、これがなまって「ビホロ」となったとされています。

今回は、美幌町役場・総務部政策課政策統計グループの佐藤さんと、移住定住コンシェルジュ、地域おこし協力隊の一戸さんに、地域の魅力や暮らし、移住支援などについてお聞きしました。

本日お話を伺った方
美幌町役場・総務部政策課政策統計グループ主事の佐藤広基さん

美幌町役場・総務部政策課政策統計グループ主事

佐藤 広基さん

移住定住コンシェルジュ、地域おこし協力隊の一戸現貴さん

移住定住コンシェルジュ、地域おこし協力隊

一戸 現貴さん

美幌町の暮らしを彩る3つの魅力

北海道美幌町暮らしの特徴

美幌町には町名の由来の通り、大小多くの川が流れており、とくに美幌峠を源とする美幌川は、まちに多くの恵みをもたらしてきました。また、道内としては降雪量が少なく空港が近いことから、道外からの移住者が多いまちです。

そんな美幌町での暮らしは、次のような方に適しています。

  • 旅行や出張が多い
  • 大都市と地方の二拠点生活をしたい
  • 自然もいいが、便利な生活も捨てがたい
  • まずは旅行気分で移住を試してみたい

上記のような方に適している理由を、美幌町に見られる3つの特徴から解説します。

抜群の交通アクセス:空港まで車で15分の好立地

女満別空港の外観

美幌町の中心部から、オホーツクエリアの玄関口である女満別空港までは、なんと車で15分。飛行機に乗って、主要都市までひとっ飛びで行けてしまいます。旅行や出張、二拠点生活に便利ですね。

女満別空港から 札幌(新千歳空港)まで約45分
東京(羽田空港)まで約1時間40分
大阪(関西国際空港)まで約2時間

美幌町には幹線道路が複数通っているため、道内の主要都市へのアクセスもよく、北見市まで車で30分、網走市まで車で40分で到着します。札幌市行きや新千歳空港行きの高速バスも運行されています。

また、美幌町にはJR石北本線の美幌駅があり、特急列車も停車します。旭川駅まで約3時間20分、札幌駅まで約5時間で到着します。少し時間はかかりますが、どちらも乗り換えなしで行くことができるのはラクですね。

自然と利便性の共存:コンパクトシティの魅力

美幌町の美幌峠から望む屈斜路湖と日の出
▲冬の美幌峠から望む屈斜路湖と日の出

美幌町を象徴する景勝地・美幌峠は、阿寒摩周国立公園内にあります。峠に向かう白樺並木を抜けると、眼下には日本国内最大のカルデラ湖である屈斜路湖の絶景が広がります。気象条件がそろえば、雲海が出現するそうです。

また、空気が澄んでいるため、晴れた日には世界自然遺産の知床連峰まで見渡せますし、冬は、幻想的なダイヤモンドダストや樹氷を見られることもあります。

「こんなに美しい自然に囲まれているということは、生活するには少し不便かもしれないな」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

美幌町は、網走川と美幌川に挟まれた半径約2kmの市街地に、人口の8割以上が集中するコンパクトシティで、その中心部にはスーパーマーケットやホームセンター、銀行、医療機関など、日常に必要な機能が集約されています。

道路も渋滞することはほとんどありません。冬の降雪量も道内としては少なく、除雪もこまめにされているので、運転しやすいと評判です。

さらに、美幌町は、降水量の少なさと日照率の高さは国内有数。湿度が低いので、夏でもカラッと過ごしやすい気候です。厳しい自然や不自由に耐える必要があると思いきや、実は快適で便利なまちなのです。

美幌町役場・総務部政策課政策統計グループ主事の佐藤広基さん
佐藤さん

スギ花粉が少ない点も、花粉症に悩む人には喜ばれます。

美幌町のリリー山スキー場
▲リリー山スキー場。まちの中心部から車で10分ほどで行ける、初級・中級者用のファミリーゲレンデ。そり滑りコースもあるので、小さなお子さんも楽しめる

気軽に体験できる移住生活:充実の移住体験住宅

美幌町のマンスリー賃貸住宅「青山北」外観
▲1か月から利用できるマンスリー賃貸住宅「青山北」。中心市街地の住宅街にあるので、美幌町の特徴である利便性の高い生活が体験できる

美幌町は、移住体験住宅を複数用意しています。1泊から宿泊できる民泊タイプと、1か月から利用できるマンスリー賃貸タイプなどがあるので、目的に応じて選択できます。

基本的な家具・家電はそろっており、インターネット環境も整っているので、リモートワークやワーケーションにもおすすめです。

実際に住んでみてこそわかることもたくさんあります。美幌町のさまざまなスポットを見て回り、地域の人々とも交流して、移住後のイメージをふくらませてみましょう。

移住定住コンシェルジュ、地域おこし協力隊の一戸現貴さん
一戸さん

移住を迷っている方もお気軽にどうぞ!

美幌町の民泊タイプ「丘宿(おかやど)」内観
▲1泊から利用できる、民泊タイプ「丘宿(おかやど)」。住宅街から少し離れた小高い場所に立地し、窓からは美幌町内が一望できる

美幌町での暮らし:子育て・仕事・住まいの充実サポート

ここからは、美幌町の暮らしに関する情報をご紹介します。

気候 8月平均気温19.6℃
1月平均気温-8.3℃
参考:気象庁
人口 人口:約18,000人
世帯:約9,400戸
(令和5年2月末現在)
病院 病院・クリニック:9か所
歯科:10か所
学校 保育園:3園
幼稚園:2園
小学校:3校
中学校:2校
高等学校:1校
交通 【空港】
女満別空港(車で15分)

【電車】
JR石北本線の美幌駅
美幌駅から旭川駅まで約3時間20分、札幌駅まで約5時間

【バス】
阿寒バス:美幌駅循環線、美幌駅旭小学校線、登下校線/美幌高校線
北海道北見バス:津別方面、北見方面、高野第三より女満別空港
網走バス:新千歳空港方面(千歳オホーツクエクスプレス)
網走バス・北海道北見バス・北海道中央バス:札幌方面(ドリーミントオホーツク号)
美幌町営バス:デマンド型の申込バス(愛称「もーびー」)

【車】
北見市まで30分、網走市まで40分
近隣都市 北見市

美幌町では、まちの中心部にスーパーマーケットやホームセンター、銀行、医療機関などがそろっていて、日常の買い物は町内ですみます。

美幌町はコンパクトシティのため、町内での移動は車がなくてもスムーズです。循環バスや高齢者向けタクシーチケット配布も行っていますが、町外への移動には車が必要になってきます。

大きな商業施設でのショッピングは、車で北見市へ行くことが多いようです。また、町内に産婦人科がないため、北見市か網走市まで行く必要がありますが、通院にかかる交通費の補助が受けられます。

町内での休日のレジャーにおすすめの施設には、下記のような場所があります。

  • 日帰り温泉施設「峠の湯びほろ」
  • 美幌の自然や歴史を展示している「美幌博物館」
  • 美幌町市街地と知床連峰が一望できる「美幌みどりの村森林公園キャンプ場」
  • 「しゃきっとプラザ」のプールとジム
  • ナイター設備完備の「リリー山スキー場」 など

美幌町の峠の湯びほろの露天風呂
▲峠の湯びほろの露天風呂。冬は雪見風呂が楽しめる

美幌町の「しゃきっとプラザ」のプール
▲保健福祉総合センター「しゃきっとプラザ」のプール。「しゃきっとプラザ」は、健康と生きがいづくりの拠点となっている

子育て支援:木育で育む豊かな心と充実の施設

美幌町には、前述したキャンプ場やスキー場があるほか、24もの公園もあり、外遊びには困りません。また、天候を気にせず遊べる屋内施設もあります。

JR美幌駅の2階にある美幌林業館「きてらす」には、美幌の木をふんだんに使った大型遊具や、木のおもちゃがたくさんあります。美幌町では「木とふれあい、木に学び、木と生きる」という「木育(もくいく)」に取り組んでおり、木とふれあう場を提供することで、子どもの豊かな心を育んでいます。

美幌町の美幌林業館「きてらす」
▲無料で利用できる美幌林業館「きてらす」。施設内には0〜2歳専用スペースやオムツ替え室、授乳室もある

保健福祉総合センター「しゃきっとプラザ」には、0歳〜小学校低学年までが遊べるプレイルームがあります。子どもを遊ばせながら、ママ友・パパ友と交流できるので、積極的に利用しましょう。

美幌町の「しゃきっとプラザ」のプレイルーム
▲「しゃきっとプラザ」のプレイルーム

子育て支援センター「ぽかぽか」では、体操や紙芝居などが行なわれています。子育てについて話し合ったり相談できる場でもあるので、子どもだけでなく、親にとってもうれしい場所です。

また美幌町では、子育て世帯に経済的な支援も行っています。ここでは、その一部を紹介します。

妊婦の健診や産後健診の交通費の助成 北見市または網走市の産科医療機関へ通院した場合の交通費を助成
出産応援金・子育て応援金の給付 出産育児用品の購入や子育て支援サービス利用の負担軽減を図るため、出産応援金5万円(妊婦対象)と、子育て応援金5万円(新生児対象)の給付
子ども医療費の助成 0歳から中学校3年生までの通院費と入院費を助成
第2子以降の保育料の減額 対象者の要件を満たした第2子の保育料は半額、第3子以降は無料
学校給食費第3子以降無償化 対象者の要件を満たした第3子以降の小中学生に対して、学校給食費の無償化

公式:美幌町「妊娠・出産」
公式:美幌町「子育て」

美幌町のせせらぎ公園
▲せせらぎ公園では野鳥や小動物が見られる

仕事探し:町内就職から起業・就農まで幅広い選択肢

大手求人情報サイトで美幌の求人を調べたところ、約200件がヒットしました。(2024年11月時点)
※求人情報の一例

求人数は多いので、条件が合えば町内で就職が可能です。移住者へのアンケートでは、約8割の人は通勤時間が10分以内でした(※)。町外へは、北見市へ通勤する人が多いようです。
美幌町「びほろ暮らし(美幌町移住定住情報サイト)」内「移住アンケート」

起業を目指す人には、支援制度がありますので、ぜひ活用しましょう。

起業家支援事業 起業に要する経費のうち、対象の要件を満たすものについて、200万円を限度に補助
空き店舗活用事業 中心市街地区域の空き店舗を活用して新たに事業を開始する場合に、月額家賃の2分の1を町と美幌商工会議所が1年間補助

公式:美幌町「起業をお考えの方へ」

就農を考えている人には、美幌みらい農業センターが全面的に支援してくれます。専門の研修施設と育成体制を整え、いつでも相談に応じてくれます。

また、美幌町では、女性農業体験実習生も積極的に受け入れています。農業に興味があり、農作業を体験してみたいという女性は、検討してみてください。

公式:美幌町「みらい農業センター」

住まい探し:豊富な物件と移住者向け住宅支援

大手住まい情報サイトで美幌の賃貸物件を調べたところ、約40件がヒットしました。陸上自衛隊の駐屯地や大規模事業所があるので、単身用・ファミリー用ともに物件数は多いようです。(2024年11月時点)
※賃貸物件の一例

新たに美幌町で就職する介護従事者に対しては、家賃(1か月分)、敷金、礼金、引越し費用が補助されます(上限20万円)。

公式:美幌町「美幌町介護従事者確保対策事業補助金」

また、東京23区から美幌町へ移住し、就業や起業等を行う人に、移住支援金として世帯100万円(18歳未満の者1人につき30万円を加算)、単身60万円を支給しています。

公式:美幌町「東京23区から移住された方に対する移住支援」

先輩移住者の声:美幌町での暮らしの実態

北海道美幌町移住者の声

次に、美幌町に移住した方の感想をご紹介します。

  • 空港が近くて、関東にいる親戚にもすぐ会えるし、東京へ出社もできるのがよかった
  • コンパクトシティというのが魅力。生活必需品は徒歩で15〜30分の距離で全てそろう
  • 周りの人がすごく温かく、自治会がちゃんと機能している
  • 単身移住してきたが、「よく来たね!」と温かく迎えてくれ、何かと声をかけてくれる。ウェルカムな雰囲気がうれしい

利便性と地域の人の温かさによい印象を持つ移住者が多いようです。移住者へのアンケートでも、暮らしてみて「とてもよかった」「よかった」と8割近い方が回答しており(※)、多くの方が移住に満足していることがわかります。
美幌町「びほろ暮らし(美幌町移住定住情報サイト)」内「移住アンケート」

美幌町への移住サポート:相談窓口と支援制度

美幌町への移住に興味を持ったら、まずは美幌町の移住定住情報サイトをチェックしましょう。先輩移住者の声も多く掲載されているので、とても参考になります。

公式:美幌町「びほろ暮らし(美幌町移住定住情報サイト)」

インターネットでの情報収集で理解が深まったら、次は現地に行ってみましょう。美幌町の移住体験住宅なら1泊から利用できるので、気軽に下見ができます。地域の人々とも積極的にお話しして、美幌町での暮らしの雰囲気をつかみましょう。

ワーキングスペース「KITEN」は、美幌博物館の近くにあります。移住定住の相談拠点となっており、移住定住コンシェルジュが常駐しているので、気軽に相談できます。オンラインでの相談も受け付けています。

「KITEN」では、コワーキングスペースやコミュニティカフェも運営しています。移住前の下見拠点としても、移住後のテレワークの合間にほっと一息つくカフェとしても活用できそうですね。

公式:Working Space KITEN

美幌町移住相談窓口:お問い合わせ先一覧

移住相談窓口 美幌町役場・政策課政策統計グループ
住所 〒092-8650
北海道網走郡美幌町字東2条北2丁目25番地
電話 0152-77-6529
公式サイト 美幌町「びほろ暮らし(美幌町移住定住情報サイト)