鹿児島県天城町への移住ガイド:世界自然遺産の島で暮らす魅力
この記事では、地方への移住を検討している方のために、鹿児島県天城町の魅力を紹介していきます。
天城町は、鹿児島県の徳之島の北西部に位置する人口約5,500人の町です。「トライアスロンIN徳之島」の開催地として知られており、スポーツを行うにも最適な自然環境です。子育て支援にも力を入れ、「山海留学制度」で島外からも子どもたちを受け入れています。
そんな天城町での暮らしの特徴やその魅力について、移住コンシェルジュの方に伺ったお話とあわせて、詳しく解説していきます。
天城町の暮らし:4つの魅力的な特徴
天城町のある徳之島は奄美群島の内の一島です。天城町の他、徳之島町と伊仙町の三町から成り立っています。温暖な亜熱帯性の気候で、サトウキビやパッションフルーツ、マンゴーにジャガイモなどの農作物の生産が基幹産業です。
島内には概ね光回線が引かれているので、リモートワークをする環境もあります。
そんな天城町には以下のような特徴があります。
- 世界自然遺産に登録された自然豊かな町
- 子育て支援に力を入れている
- 家賃や育成費の補助が出る「山海留学制度」
- 移住者を受け入れる体制が整っている
それではここから、天城町の魅力や特色について更に掘り下げていきたいと思います。
特徴1:世界自然遺産の島で体験する豊かな自然環境
▲空、海、山の全てが見える前野展望台からの風景
天城町がある徳之島は、奄美大島の隣に位置する島です。「東洋のガラパゴス」と呼ばれる奄美大島に負けず劣らず、徳之島にはアマミノクロウサギに代表される希少な動植物が数多く生息しています。天城町とガラパゴスにちなんで、キャッチコピーは「おいでよ!魅惑のアマパゴス」です。
2021年には奄美大島、沖縄島北部、西表島と共に世界自然遺産へ登録されました。
▲鹿児島県の天然記念物で絶滅危惧種のオビトカゲモドキ。徳之島のみに分布
日本最大級の水中鍾乳洞である「ウンブキ」も天城町にあります。
▲珍しい水中鍾乳洞として観光客からも人気の高いウンブキの内部
天城町は「トライアスロンIN徳之島」の開催地として知られていますが、釣りやサーフィン、ダイビングなどの自然を活かしたアクティビティが楽しめる場所もたくさんあります。
冬にはクジラやイルカが見られることもあり、綺麗な海を始めとした自然と共に、島の穏やかな雰囲気の中で暮らせます。
▲ナイトツアーでオビトカゲモドキを観察する参加者
一年を通して温暖な気候であり、11月半ばくらいまでは半袖で過ごせることもあります。毎日美しい景色を見ることができるので、日々の小さな悩みなど吹き飛ばしてくれます。
▲散歩で海岸まで行き、夕焼けを眺める贅沢な日々を過ごすことができるかも
遠浅で誰でも遊べる安全な海なので、ヨナマビーチが一番人気です。ダイビングをするなら千間海岸がオススメですよ。
特徴2:充実した子育て支援制度と環境
▲神様にお餅を奉納する「もちたぼれ」の行事で、地域の人にお餅の代わりにお菓子を貰いにいく子どもたち
「子どもは島の宝である」との考えから、天城町は子育て支援にも力を入れています。町では子育て世帯をサポートすべく、支援制度を用意しています。
制度名 | 概要 |
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天城町出産祝金支給事業 | 出産時において天城町内に居住し、引き続き定住することが見込まれる方に対して出産祝金を支給 ・第1子:10万円 ・第2子:20万円 ・第3子:30万円 ・第4子:40万円 ・第5子:50万円 |
在宅育児支援 | 保育所などを利用せず、在宅で育児をしている家庭へ支援金を支給 ・対象乳幼児1人(生後6ヶ月後~3歳未満)につき、月額1万円 |
天城町少子化対策児童養育助成事業 | 町税等を完納している世帯を対象に、納入した保育料を年度末に返還し、実質無償化 |
出産祝金については上限額がなく、出生数に応じて10万円ずつ増額されることや、保育料の実質無償化から、天城町の子育て支援への力の入れようがうかがえます。
また、新婚世帯に対する支援制度もあります。
制度名 | 概要 |
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天城町新婚さん応援生活補助金 | 夫婦ともに婚姻日における年齢が45歳以下である世帯を対象に、住居費、引越費用、家具等購入費用を合計した額の1/2以内、上限15万円を補助 |
このように、島に定住をする新婚世帯に対しての支援と、子育てに関する支援制度が整っています。
自然の中で子育てをしたいと思っている方にはぴったりの町です。地域全体で子どもの成長を見守ってくれていて、近所の人がよく気にかけてくれるという子育て世帯の声もよく聞きます。
特徴3:「山海留学制度」で島の教育を体験
▲ヨマナビーチでボートレースを行う人々。写っているのは大人だが、子どもたちも自然と触れ合う機会は多い
自然豊かな場所でのびのびと学び、心豊かに育ってほしい、そんな希望を叶えられるのが天城町の「山海留学制度」です。
天城町内には6つの小学校がありますが、そのうち「西阿木名小学校三京分校」「西阿木名小中学校」「岡前小学校与名間分校」の3つの小学校で山海留学の児童を募集しています。
山海留学は、補助を受けながら天城町内の小学校に通える制度で、移住した世帯の子どもが山海留学制度を活用する場合に、上限3万円/月の家賃補助と、児童1人あたり3万円/月の育成費の補助が出ます。
受け入れ先の小学校では、三味線や和太鼓など、島の文化に触れるような取り組みも行われています。
大自然に囲まれた豊かな環境の中でのびのびと学習できるだけでなく、補助金まで出るという、子育て世帯にとって嬉しい制度です。
全小学校で一輪車に力を入れているのも天城町の面白い特色です。鹿児島県内の大会では1位になったこともあるんですよ。
特徴4:移住者に優しい地域コミュニティ
▲天城町の夏祭り。祭りは地域の人たちとコミュニケーションが図れるイベントなので、移住したら積極的に参加したいところ
天城町を含む徳之島は、人々が助け合い励まし合う「ユイの島」と言われており、不便さも全てひっくるめて、島民同士で手を取り合った暮らし方をしています。
移住してきたばかりの時は、周りの人が知らない人だらけなので緊張するものですが、天城町の人たちは移住者を歓迎してくれるので、気さくに話しかけてきてくれます。
玄関先にお裾分けの野菜をそっと置いてくれたり、近所の人たちが気にかけてくれたりと、都会とは違った「人々の絆の深さ」を感じられるのも天城町の魅力です。
受け身で待つのも良いですが、思い切って自分から飛び込んでみると島暮らしはきっとぐっと楽しくなりますよ。
天城町での生活:暮らしに役立つ基本情報
▲闘牛が盛んな天城町では牛を散歩させる光景を見かけることも。移住当初はびっくりする人も多い
ここからは天城町での生活に関する基本情報を、データとともに紹介します。
気候 | ・夏(8月):平均気温28.8℃ ・冬(1月):平均気温15.6℃ ※参考:気象庁ホームページ |
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人口 | 約5,500人(約3,000世帯) ※2023年11月1日現在 |
病院 | 町内にはクリニックも含め4件の医療機関がある ※2023年12月時点 |
学校 | 保育所6園、幼稚園2園、小学校6校、中学校3校、高校1校 ※2023年12月時点 |
交通 | 【空港】 ・徳之島空港:日本航空(JAL) 【港湾】 ・平土野港:奄美海運 【バス】 ・徳之島総合陸運 ・デマンドバス「ユイ結いバス」 |
隣接自治体 | 大島郡徳之島町、伊仙町 |
日常生活に必要なものは島内でほぼ全て揃うと言えます。集落内には地域に密着した小さな商店があり、隣町には大型のスーパーやドラッグストア、ホームセンターなどもあります。
ネットショッピングは本土よりも配送に時間がかかることや、台風が来るとフェリーが動かなくなるので、島外からの物資の調達には少しだけ不便を感じる可能性があることも頭に入れておくと良いでしょう。
島内の移動は、車やバイクが主流です。路線バスやタクシーもありますが、本数が限られているので、利便性を高めるなら移動手段の確保は必須と言えます。
台風の襲来頻度は実は本土と変わりませんが、威力はけた違いに強いです。
仕事事情:一次産業中心の求人と起業支援制度
大手求人サイトで「天城町×正社員」で検索したところ、約20件の求人情報が見つかりました。車で30分以内の通勤圏内(町内から25km以内)で検索したところ、求人情報は約450件まで広がりました。※2023年12月時点
※参考:求人情報の一例(天城町のみ)
※参考:求人情報の一例(天城町から25km以内)
天城町を含む徳之島内の仕事の傾向としては、農業・畜産・漁業などの一次産業が主流です。また、医療・介護分野の資格を持っている場合は就職に困ることはないそうです。
新たに農業を始めようと考えている場合は、「農業研修生受入事業」を活用するのも手でしょう。
1年間かけて島ならではの作物の育て方を学ぶことができ、日当も5,000円支給されます。卒業後は町のビニールハウスを期限付きで借りることもできるのもポイントです。
参考:天城町(令和5年度天城町農業センター研修生募集のお知らせ)
また、天城町では「天城町UIターン起業家支援補助金」制度があり、UIターン者の起業も支援しています。対象経費の1/2以内で、最大50万円までの補助が出るため、起業を考えている人はこちらの制度の活用も検討してみてください。
天城町では、1つの仕事に絞らず複数の仕事を自身のライフスタイルに合わせ、組み合わせて仕事をしている人が多いですね。例えば農業と飲食とか、漁業と農業とか。特に一次産業は天候等にも左右されるので、他のものと組み合わせておくと安心だと思います。
住まい情報:空き家バンクと引っ越し費用補助の活用
大手住宅情報サイトで天城町の物件を探したところ、賃貸が可能なアパート・マンションは見つかりませんでした。※2023年12月時点
移住者の多くは空き家バンク制度を活用して家探しをするのが一般的です。単身者向けのアパートなどは、ほとんどなく、賃貸する場合は一軒家を借りるパターンが多いです。
離島への引っ越しは、通常よりも引っ越し費用が高くつくため、天城町では「ウェルカムあまぎ引越費用補助金」制度を整備しています。対象経費の1/2以内で、最大10万円までの補助が出るため、必ず活用したい制度です。
私も空き家バンク制度を活用して今の家に巡り合えました。一人暮らしでは広めですが、家賃は月3万円です。町営住宅もありますが、人気が高くなかなか空きが出ないのが実情ですね。
公式:アマパゴス(住まい情報)
子育て環境:自然を活かした遊び場と充実した学校活動
▲犬の門蓋(いんのじょうふた)と呼ばれる景勝地。島のそこかしこには自然が溢れている
天城町内にはいくつかの公園があります。その中でも大きいのは「天城町総合運動公園」です。多くの遊具が設置されているほか、陸上トラックなどもあるので運動するにもぴったりな場所です。
海も山も近いため、都会のように「自然の中で遊ぶには公園に行くしかない」ということはなく、町全体が遊び場になると言ってもいいかもしれません。
小学校では部活動も盛んに行われており、特に野球、サッカー、バレーボールが人気のスポーツです。
その他、空手や柔道、テニス、スイミングなどもあり、子どもたちがやりたいことができる環境は整っていると言えます。
天城町の暮らし:先輩移住者たちの生の声
実際に天城町で暮らし始めた移住者の皆さんは、その暮らしをどのように感じているのでしょうか。ここではそんな先輩移住者たちのリアルな声を紹介します。
- 満点の星とダイナミックな景色に疲れも癒される
- 趣味のゴルフが一年中できて、ダイビングもできるのが嬉しい
- 虫とねずみは、本土よりも大きく、生命力が強いので未だに慣れない存在
- 自然が大好きなので、身近なところで生き物の多様性が感じられることが本当に幸せ
- 台風の時はフェリーの欠航が続き、島に物資が入ってこなくなるので事前の対策は必須
- 1人で子育てしている孤独感などは全く感じられず、何か困ったり悩んだときに、近くに頼れる人がいるのがとても心強い
離島ならではの不便さも生活の一部として受け入れながら、豊かな自然の中でのびのびと暮らしていることがわかりますね。
鹿児島県天城町への移住
▲天城町立図書館前の景色。何気ない風景からも南国の雰囲気が漂う
天城町への移住を考え始めたら、まずは現地に行ってみるのが良いでしょう。天城町では、「お試し移住体験」制度を用意しています。移住を考えて島を訪れる人に対して、滞在費として宿泊料とレンタカー代の一部を補助しています。移住体験は2日から最大2週間程度の滞在が可能です。
宿泊料とレンタカー代を合計した金額の50%以内で、1人1泊あたり5,000円が上限となります。家族で来た場合も、ひとりひとりに補助金が出るので、滞在の助けになるでしょう。
また要望に応じて、職業体験や生活体験、地域での活動、山海留学制度の体験入学などの調整もサポートしてもらうことができます。
予め天城町に移住に関する相談を行う必要があるので、問い合わせから始めるようにしましょう。
天城町への移住に関するお問い合わせ
▲夕暮れ時の天城町役場から見える景色。彼方には海が一望できる
天城町に興味を持った方は、まずはふるさと創生室に問い合わせてみてくださいね。移住について親身に相談に乗ってくれますよ。
担当 | 天城町役場 企画財政課 ふるさと創生室 |
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住所 | 〒891-7692 鹿児島県大島郡天城町平土野2691-1 |
電話 | 0997-85-3116 |
公式サイト | https://www.town.amagi.lg.jp/ |
移住サイト | https://www.town.amagi.lg.jp/amapagos/ |