【熊本県湯前町】移住者に人気の理由とは?仕事・住居・子育て情報を徹底解説
この記事では地方への移住を検討している人に向けて、熊本県湯前町(ゆのまえまち)の魅力や仕事、住まいといった、暮らしに関する情報をまとめています。
湯前町は自然と歴史的文化遺産が風情を織りなすまちでありながら、「まんがのまち」として活気がある、若い世代も住みやすいまちです。
しかし移住を検討する中で、支援制度や子育て環境などのディープな情報も気になるでしょう。
そこで、今回は湯前町役場企画観光課の滝上さんに移住に役立つ情報を伺いました。
湯前町の暮らしを彩る3つの魅力
湯前町は、熊本県南部の球磨地方にあるまちです。「九州の隠れ里」と呼ばれる人吉市の奥地に位置し、九州山脈や球磨川の清流をはじめとする美しい自然に恵まれています。
町内には「八勝寺阿弥陀堂」などの歴史的文化遺産が多く、自然と歴史が織りなす景観にひかれて移住する人も少なくありません。
古き良き伝統が残る一方で、「まんがのまち」として毎年「漫画フェスタ」を開催するなど、子どもも楽しめるイベントも豊富です。さらに、子育てに役立つ支援制度もあります。
そんなさまざまな魅力を持つ湯前町の暮らしの特徴3選を紹介します。
特徴1:四季を感じる自然と歴史が息づくまち湯前
▲夏は水田が一面水鏡に。もう1つの空を映し出す幻想的な光景が広がる
湯前町は球磨盆地(人吉盆地)の東端部に位置し、東部・南部には九州山地が連なる自然豊かなまちです。
山々は季節ごとに新緑・紅葉・雪山と景観が異なり、町内に広がる水田もまた田植えや収穫期によって色を変えます。暮らしの中で四季の移り変わりをはっきりと味わえるのが魅力です。
下城(したじょう)と古町(ふるまち)を結ぶ「下町橋(したまちばし)」は、町内でも希少な石造の橋です。自然との調和が美しく、新緑の時期には木々の緑に溶け込む情景を撮影しに、県内外から観光客が訪れます。
▲青々とした緑との調和が美しい石造の生活道「下町橋」
5月下旬~6月中旬には、下町橋がかかる都川をはじめ、幸野溝(こうのみぞ)・仁原川(にわらがわ)でホタルが観賞できます。都会ではまず見ることができない幻想的な光景に、子どものみならず大人も感動するはずです。
▲夏には水辺に無数の蛍が集まり光を灯す
四季折々の自然を五感で体感できるのは、盆地ならではの魅力と言えるでしょう。
「市房山神宮里宮神社」もおすすめのビュースポットです。紅葉が見頃の時期はライトアップされるため、夜も楽しめます。
歴史を物語る文化財と伝統芸能の宝庫
自然だけでなく、重要文化財や伝統芸能などの歴史文化資源も豊富です。
まちが誇る代表的歴史文化資源と言えば、鎌倉時代に建立された県内最古*の木造建築「浄心寺(城泉寺)」。
*参考:人吉琉球ガイド「城泉寺・八勝寺阿弥陀堂」
境内の七重・九重石塔、そして阿弥陀堂内に祀られている阿弥陀如来坐像・両脇侍像は、国指定重要文化財に指定されています。
▲仏教文化の象徴とされている「浄心寺(城泉寺)」。境内には七重・九重・十三重の塔が建立されている
▲檜材の寄木で造られた「阿弥陀如来坐像」
他にも、湯前町は九州南部に伝わる奉納舞「臼太鼓踊」の伝承地で、太鼓踊のひとつである「東方組太鼓踊り」は町指定無形民俗文化財に指定されています。毎年11月には市房山神宮里宮神社で、勇壮な東方組太鼓踊りが披露されます。
このように湯前町は、自然だけでなく歴史文化も色濃く残る風情あるまちです。
特徴2:子育て世帯に優しい!充実した支援制度と豊富な遊び場
ファミリー世帯は養育費や住居の購入など、何かと費用がかかるでしょう。湯前町では、そんなファミリー世帯の経済的負担を減らすために、多様な子育て支援制度を設けています。
一例として、出生祝い金の給付や通学費の一部補助、リフォーム等費用の助成などが挙げられます。その他、高校生までの医療費助成、入学祝い金などがあります。
なお、若い世代の結婚生活をサポートする「結婚新生活支援事業」も手がけていて、新婚で29歳以下の夫婦は60万円・30歳〜39歳の夫婦は30万円の受給が可能です。
子育てに関する支援制度の詳細は、「湯前町の暮らしに関する情報」で一覧で紹介します。
自然を活かした多彩なアクティビティが充実
さらに、遊び場が多い点も子育てしやすい環境の理由です。
町内で定番の遊び場といえば、「ゆのまえグリーンパレス」です。園内には多目的に使える広々とした芝生広場をはじめ、ゴーカートやパターゴルフ、オートキャンプができるエリアも併設されています。
▲「ゆのまえグリーンパレス」内にあるオートキャンプ場
▲ゴーカートで笑顔の家族連れ。丸一日心ゆくまで遊べるスポット
遊び疲れた後は、グリーンパレスに併設された温泉施設「湯楽里(ゆらり)」で体を癒しましょう。薬湯・サウナ・ジェットバス・家族湯などレパートリーが豊富な上、露天風呂からは湯前町の自然景観が一望できます。
▲温泉施設「湯楽里」。館内にはレストランと宿泊施設も併設されている
▲露天風呂からは夕陽や輝く星空も眺められる
スイミングや屋内スポーツをするなら、運動施設「湯前町B&G海洋センター」へ行きましょう。プールや体育館、テニスコートなどが設置されています。
また、湯前町B&G海洋センターでは水辺の安全を学ぶ体験型学習を開催しており、学習会では安全器材の装着方法の他、カヌーなどの海洋性レクリエーションが体験できます。
▲海洋性スポーツに挑戦する子どもたち。夏ならではのレジャーを満喫
豊富な育児サポートはもちろん、多くの自然体験活動が楽しめる点からも、子育てに適した環境といえるでしょう。
特徴3:「まんがのまち」としての魅力と4,000冊以上の無料漫画
▲まんがのまちを象徴する「漫画フェスタ」
風刺漫画家・那須良輔氏の出身地である湯前町は、「まんがのまち」として有名です。
那須良輔氏の作品を収納・展示している「まんが美術館」はもちろん、4,000冊以上の漫画がそろう「まんが図書館」の存在がまんがのまちを象徴しています。
また、30年前から開催している11月の恒例イベント「ゆのまえ漫画フェスタ」は、毎年大盛況です。
▲小さな子どももコスプレを楽しんでいる
漫画キャラクターの衣装に身を包んだ地元民のほか、県外から訪れるコスプレイヤーも珍しくありません。
当日はコスプレ姿のスタッフによるお出迎えや特産品の販売、有名アニメの声優や人気漫画家によるトークショー、アニソンライブなど、内容盛りだくさんです。
▲イベント当日は町役場の方もコスプレでお出迎え
湯前町は、まんがのまちとして魅力ある発信を行い、イベントシーズン以外も地域外から観光客がやってくる活気あるまちです。
春には「湯前まんが美術館」前の桜が咲き誇るため、漫画を見るだけでなく花見もできます。
湯前町での暮らしを支える生活基盤情報
▲人吉市~湯前町を結ぶローカル鉄道「くま川鉄道」。通勤・通学にも使われる
湯前町の公式サイトを参考に暮らしに関する情報をまとめました。仕事・住まい・教育についても詳しく解説します。
▼湯前町の概要
気候 |
1月:平均気温4.1℃ |
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人口 | 人口:約3,600人 世帯数:約1,530世帯 ※2023年1月時点 |
医療機関 | 病院・クリニック2、歯科1 |
学校 | 保育所2、小学校1、中学校1 |
遊び | 【観光】 ゆのまえ温泉「湯楽里(ゆらり)」、ゆのまえグリーンパレス、湯前まんが美術館、湯~とぴあ 【名所・旧跡】 浄心寺(城泉寺)、八勝寺、弘法大師坐像(御大師堂)、市房山神宮 里宮神社、潮神社、塞神社、下町橋 【運動施設】 湯前町B&G海洋センター(体育館・町民テニスコート) |
イベント | ゆのまえ漫画フェスタ、ぶどうまつり、ロゲイニング |
特産品 | 球磨焼酎、ぶどう、いちご、米、市房漬、栗 |
伝統工芸品 | 手打ち刃物(熊本県伝統工芸品指定) |
近隣都市 | 球磨郡水上村、球磨郡多良木町、宮崎県児湯郡西米良村 |
交通 | 【空港】 ・鹿児島空港(約1時間40分) ・熊本空港(約1時間40分) 【鉄道】 ・くま川鉄道湯前線:湯前駅(湯前線の終点) くま川鉄道株式会社「時刻・運賃」 【バス】 ・産交バス ・西米良村営バス 【道路】 ・九州自動車道人吉IC(約40分) ・フルーティーロード・県道33号・国道219号 |
大都市へのアクセス | 〇福岡 ・電車:約2時間30分 ・バス:約3時間40分 ・車:約3時間 〇鹿児島 ・電車:約3時間15分 ※JR肥薩線(八代~人吉)間が令和2年7月の豪雨の影響で運休中のため、電車のみの移動は2023年3月現在不可 ・バス:約3時間 ・車:2時間 〇熊本 ・電車:約2時間 ・バス:約3時間 ・車:約2時間 〇宮崎 電車:約3時間 バス:約3時間15分 車:約2時間 |
買い物に関しては、町内にスーパーがあり、食料品の買い出しには困りません。
その他、ドラッグストアは車で約10分の多良木町、ショッピングモールは車で約1時間30分の八代市、百貨店は熊本市にそれぞれあります。なお、熊本市と鹿児島市までの移動時間はどちらも車で2時間程度なので、隣県の鹿児島市へ買い物へ行く人も多いです。
町内の医療機関は歯科と内科のみですが、多良木町に公立病院があるため、緊急の場合はそちらを利用しましょう。
湯前町は自然災害が少ないのも特徴です。2016年の熊本地震では県内震度が震度4*と最も低く、民家にはほとんど被害が出ませんでした。2022年の豪雨災害では河川の氾濫などが起こりましたが、ごくまれです。
*参考:熊本県公式「熊本地震の概要」
仕事探しのコツと起業支援:近隣エリアも視野に
湯前町の正社員求人を調べたところ、ハローワークで30件・大手求人情報サイトで約140件が見つかりました。町内の求人は限られるため、近隣地域を含めて探すのがおすすめです。
特に多良木町は半導体や機器オペレーターなどの工場の他、事務職や営業職など職種が豊富にあります。球磨地方の中心地である人吉市までは車で約40分で、通勤圏内と捉えている人も少なくありません。
湯前町 | 約140件 ※求人情報の一例 |
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湯前町から10km圏内 (多良木町・あさぎり町・水上村) |
約700件 ※求人情報の一例 |
人吉市 | 約1,400件 ※求人情報の一例 |
なお、町内全域にNTTフレッツ光が整備されていて、リモートワークを行う場合も不便がありません。仕事によっては現職を継続することも可能です。その他、農業にチャレンジしたい方向けの就農支援も行われています。
ワーケーション事業には2022年度から着手し、2024年度ごろから本格的に展開する予定です。今後は起業支援の設置も視野に入れています。
住まい探しのポイント:リフォーム助成と空き家バンクの活用
大手住宅情報サイトで湯前町の賃貸物件を検索したところ、空き物件がありませんでした。
※縁結び大学調べ(2023年2月時点)
というのも、湯前町には民間大手のマンションが入っておらず、町営・公営住宅が大半を占めています。そのうち単身用が6室・民営は7室程度なので、賃貸より購入が多いようです。
補助制度が適用される点も、住宅購入者が多い理由のひとつでしょう。住宅リフォーム、空き家のリフォーム・解体も補助金給付の対象となります。
なお、2023年2月現在、空き家バンクには約10件が登録されています。小中学校に近い物件や駅まで徒歩圏内の物件、元店舗兼住居などバリエーション豊富です。
空き家バンクの紹介を承っています。ただし、良い物件はすぐに契約が決まるので、移住を決めた時点で早めにお問い合わせください。
手厚い育児サポート:出生から就学までの充実した支援制度
湯前町は出生から就学まで、子育てに関する支援制度が充実しています。
▼子育て支援制度の一例
出生祝い金制度 | 出生時に祝い金がもらえる。 ・出産後も5年以上居住が見込まれる場合 ・1人につき15万円 |
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子ども医療費助成 | 0歳~18歳の子どもの医療費を助成 |
入学祝い金 | 小・中学校入学時に祝い金を給付。 小学校入学時:10,000円 中学校入学時:20,000円 |
学校給食費補助 | 給食費の3割を補助 |
小中学生修学旅行費補助金 | 修学旅行費の補助金を給付。 ・小学校:1人あたり10,000円 ・中学校:1人あたり20,000円 |
高校生通学費補助 | 高校生の通学にかかる交通費の1/3以内を補助 |
特別支援教育就学支援奨励費 | 特別支援教育学級に在籍する児童へ支給 ・支給例:勉強道具・給食費・通学費など |
移住者の声:湯前町での新生活の実態
ここでは、湯前町へ移住した方のリアルな声を5つ紹介します。移住者の体験をもとに、湯前町で暮らすイメージを膨らませてみてください。
- 四季を体感できて子育てに良い環境。また、高校生まで病院代が無料だったり電車通学の補助金が出たりと、育児に関する補助があるのでとても助かる。
- 地域の皆さんが明るくて、移住者に対しても親切に接してくれる。町主催のスポーツイベントで地域の方と一致団結して取り組んだことは、都会ではなかなか経験できない魅力だと感じた。(20代男性)
- 旬のおいしい野菜が食べられるのがとても贅沢。また、都会では見られない空一面にかかる虹やプラネタリウムのような星空を見たときは感動した。(20代女性)
- 大自然の中で伸び伸びと子育てができるので、UターンやJターンにもおすすめのまち。人が温かく自然が気持ちいいので、移住する前にぜひ旅行を兼ねて訪れてほしい。
- のびのびとしたセカンドライフが実現する環境。妻は移住後にオンラインで服飾教室を開いている。自分自身も趣味の音楽を通して地元の方と練習会などを行なっている。
湯前町は自然と人との距離を近くに感じられる環境だと感じる方が多いようです。
その他、豊かな自然に恵まれた穏やかな環境なので、自家菜園や農業、アウトドアなど新たな趣味にチャレンジしやすいという声もありました。
また、育児支援が充実しているため、20〜30代を中心とした若い世代の移住者も多い印象です。
自然の豊かさと、のびのび子育てできるという理由で移住される方が多いです。人吉球磨一体で風土が形成されているので、その一帯の風景に憧れて移住してきた方もいらっしゃいます。
湯前町への移住を成功させる2つのステップ
湯前町へ移住する前に、お試し住宅の利用と住宅支援制度のチェックを行いましょう。
特に後悔しないために、お試し住宅はぜひ利用しておきたいところです。以下で、2つのステップについて具体的に解説します。
ステップ1:お試し住宅で体験する湯前町の暮らし
湯前町には、まちの暮らしを体験できるお試し住宅が1軒あります。一度体験すると、自分の理想とマッチするか判断しやすくなるでしょう。
最長で90日間利用可能なので、風土や日常生活、地域の方々との交流をじっくりと体感してみてください。
名称 | 湯前町お試し住宅 |
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住所 | 熊本県球磨郡湯前町2632-3 |
使用期間 | 原則2日(1泊2日)から90日(89泊90日)まで |
利用料 | 1日あたり500円(1日あたりの利用料×利用日数×入居者数) |
▼「お試し住宅」のようす
スクロールでお試し住宅の様子が見られます→
お試し住宅を利用する場合は、希望日の7日前までに申込書を提出する必要があります。申し込み方法や借用の流れは下記よりご確認ください。
冬になると気温が下がり肌寒いかもしれません。寒さが苦手な方は、冬以外に体験されるのがおすすめです。ワ―ケーションでの利用も可能です。
ステップ2:活用すべき湯前町の移住支援制度
湯前町は、熊本県と共同で湯前町移住支援事業を手がけています。
支援金の給付対象は東京圏内23区からの移住者で、2人以上の世帯は100万円、単身の場合は60万円を受給可能です。
なお、東京圏へ通勤していた方も受給の対象です。転入後に熊本県公式求人サイト「ワンストップジョブサイトくまもと」に掲載された対象企業へ就業、またはテレワークの実施や起業をすると、給付が受けられます。
東京圏に住んでいる方や東京圏に勤める方で、移住後に湯前町で働きたいと考えている方はぜひ活用しましょう。
湯前町移住の相談窓口:お問い合わせ先
湯前町の移住にあたって疑問・相談がある場合は、下記にお問い合わせください。
担当課 | 企画観光課 |
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住所 | 〒868-0621 熊本県球磨郡湯前町1989-1 |
電話番号 | 0966-43-4111(代表) |
対応時間 | 平日8:30~17:00 |
公式サイト | ・湯前町役場 ・観光・移住定住情報サイト「ゆのまえかじり」 |