岩手県紫波町で暮らす良さとは?移住のための仕事・住居・支援情報

この記事では、東北圏での移住を検討している方に向けて、岩手県紫波町(しわちょう)での暮らしに役立つ情報を紹介します。

岩手県紫波郡にある紫波町は、県庁所在地の「盛岡市」や県内でも人口の多い「花巻市」に面していることから、ベッドタウンとして機能しているまちです。近年は、都市と農村の暮らしを「愉しみ」、公民連携で環境や景観に配慮したまちづくりを実現する「オガールプロジェクト」にも注力しています。

今回は紫波町企画総務部・企画課総合政策係の主任、武藤さんにインタビュー取材させていただいた内容をもとに、新しい取組みに挑戦し続ける紫波町の特徴や魅力についてお伝えしていきます。

本日お話を伺った方
紫波町の職員・武藤さん

紫波町 企画総務部 企画課 総合政策係
主任

武藤宇将さん

紫波町の3つの特徴

岩手県紫波町の位置を紹介する画像

紫波町で暮らす大きな特徴として、次の3点が挙げられます。

ここからは、これらの特徴について詳しく紹介します。

特徴1:豊かな自然を活かして「農業」にチャレンジできる

奥羽山脈と北上山地に挟まれた場所にある紫波町は、自然の恵みが豊かなまち。北上川が中央に流れ、東西には美しい田園風景が広がります。

そんな紫波町の基幹産業は農業で、近年は農村と都市の融合を目指す「オガールプロジェクト」に注力。日本初のバレーボール専用コート「オガールアリーナ」や芝生エリアのある憩いの場「オガール広場」を整備するなど、公民連携で町有地を有効活用することで、地元住民が住みやすいまちづくりに取り組まれています

■参考:OGAL(オガールプロジェクト)

紫波町にあるバレーボール専用コート「オガールアリーナ」
▲民営のバレーボール専用体育館「オガールアリーナ」は、オリンピックでも採用されている国際基準のタラフレックスを床材に使用

紫波町では、新たに農業を始めたい方、親族から農業を継承した方をサポートするため、農業技術や経営管理に関する研修機会の提供や支援金の交付、就農相談などの手厚い支援を行っています。

町の東部にある長岡地区では、元小学校(長岡小学校)を活用した「ノウルプロジェクト」が始まっています。訪れた人が自然との調和を感じられる小麦、そば、花を栽培する広大な畑など、雄大な景色が広がり、憩いの場としてだけでなく、参加型の農作業体験も行われる予定です。

そのほか、紫波町産の農産物を中心に新鮮な食材を使った料理が味わえるオーベルジュ(宿泊施設付きレストラン)や農産物を販売するグローサリーショップ、国内最高レベルの断熱性能を誇る住居棟が整備される見通しです。

校舎部分では地域の交流拠点としての役割だけでなく、サテライトオフィスやシェアオフィス、通信制アカデミーとして農業関連の産業振興を図っています。さらに新規就農者や農業経営に興味のある人材の育成にも力を入れ、地域の農業の持続的な発展を目指しているとのことです。

■参考:NOLL(ノウルプロジェクト)

同じく東部の彦部地区にある元小学校(彦部小学校)を再利用し、岩手県のプロバスケットボールチーム「岩手ビッグブルズ」を引退した選手によるレベルが高い指導を受けられる「バスケットスクール」が開校されるなど、各地で新たな取組みが展開されています。自然豊かな場所での暮らしを楽しみつつ、新しいものに触れたい方にとって、紫波町はぴったりのまちと言えるでしょう。

特徴2:町内の産直は8ヶ所。地元産の新鮮な農作物を気軽に購入できる

紫波町のもち米栽培の様子
▲秋が近づくにつれ、もち米の稲穂風景が広がる

先述のとおり、紫波町は農業が盛んなまちとして知られています。「米」「小麦」「そば」「大豆」など様々な作物が生産されており、中でも「もち米」は全国有数の生産量を誇ります。また、果樹栽培が盛んな東部地区の山あいでは、りんごやぶどうなどが作られています。

畜産も盛んで、餌にもち米を与えることで甘みが強く柔らかさが特徴の「しわもちもち牛」や飼料にこだわり甘みとコクがある「しわ黒豚」などのオリジナルのブランド肉の産地にもなっています。

紫波町のぶどう栽培のようす
▲紫波町は岩手県内でも有数のぶどうの生産地として知られる

そんな紫波町には8ヶ所の産直があります。地元で採れた四季折々の新鮮な農産物をはじめ、地場産加工品や山菜などが店頭に並ぶため、町内外の方で賑わっているのだそう。

紫波町の産直のようす
▲オガール内にある「紫波マルシェ」には、年間約30万人もの人が訪れる

利用する産直によって取り扱う商品が異なるので、移住した際はお気に入りの産直を見つけ、紫波町ならではの新鮮な食材を楽しんでみてはいかがでしょうか。

■参考:紫波の食ナビ(紫波の産直)

特徴3:醸造のまちが誇る、日本酒・ワイン・ハードサイダーを嗜める

日本三大杜氏(※)集団の一つ「南部杜氏」発祥の地として知られる紫波町では、酒造りも盛んに行われています。町内には酒蔵が4つあり、4銘柄の日本酒を嗜むことができるので、日本酒好きの方にはもってこいの移住先と言えるでしょう。
※杜氏(とうじ):お酒を造る職人

紫波町にある日本酒の酒造
▲町内の酒蔵で酒造りを行うようす

また、日本酒のほかにも、地元産の「ぶどう」を活用したワインや、同じく地元産のりんごを原材料としたお酒「ハードサイダー」の醸造も行われています。

そんな紫波町では、地方創生の取組みの一つとして、「100年後に100の醸造関連事業者を生み出す」という目標に向け、地域が一丸となって「酒のまち紫波」のブランディングを推進しています。行政と地元酒造業者が連携した新商品の開発や元小学校(水分小学校)の跡地を活用して酒造りをする人の育成を担う「はじまりの学校」を作るプロジェクトを進めているのだそう。

お酒造りに興味がある方はもちろん、移住先での地域活性に関心がある方も、紫波町での暮らしを検討してみてはいかがでしょうか。

紫波町の廃校を活用したプロジェクト「はじまりの学校」プロジェクト参加者の記念写真
▲廃校を活用したプロジェクト「はじまりの学校」では、多種多様なお酒づくりに挑戦中

■参考:公式インスタグラム「はじまりの学校」

紫波町の暮らしに関する情報

それでは、紫波町の暮らしに関するデータを見ていきましょう。

気候 1月:-2.0℃
8月:23.3℃
※参考:気象庁ホームページ
人口 32,730人
(2024年6月末時点)
病院 病院:1、診療所:16、歯科:12
学校 保育施設:14、小学校:5、中学校:3、高校:1
文化・芸術 城山桜ウィーク、山屋ミズバショウまつり、オガールまつり、全国蔵元フェスティバル、紫波夏まつり、紫波あづまねトレイル、紫波産直まつり、紫波産業まつり、紫波町芸術祭 など
食べ物 米、そば、りんご、ぶどう、しわもちもち牛、しわ黒豚、酒(日本酒、ワイン、ハードサイダー)、紫波もっちりハムカツ、紫波もちもち牛コロッケ など
交通 【電車】JR東日本(東北本線)(古館駅、紫波中央駅、日詰駅)

【バス】岩手県交通、デマンド型乗合バス「しわまる号」

【高速道路】東北自動車道(紫波IC)、国道4号
娯楽 城山公園、五郎沼、オガール、天然温泉ラ・フランス温泉館、あづまね温泉保養施設ききょう荘、ひづめ湯、紫波フルーツパーク、野村胡堂・あらえびす記念館、ビューガーデン、紫波ローズガーデン、岩手ゴルフ倶楽部、志和稲荷神社、志賀理和氣神社、水分神社、日詰商店街、平井家住宅、武田家住宅 など
近隣都市 盛岡市、花巻市、矢巾町、雫石町、西和賀町

※人口以外の数字は2024年6月時点のものです

紫波町は、県の中心都市である盛岡市や花巻市に隣接しているため、生活していく上で便利な場所。町内には「紫波中央駅」「日詰駅」「古館駅」の3つの鉄道駅があり、交通の便も良いことから近隣都市のベッドタウンとしても機能しています。

町内にはデマンド型乗合バス「しわまる号」が運行しており、500円(乗合時は300円)というリーズナブルな運賃で自由に移動することができますので、車を利用できない高齢者も安心して暮らすことができます。

■参考:紫波町役場(デマンド型乗合バス「しわまる号」)

また、「いわて花巻空港」へは車で30分ほどでアクセスできるため、地方への出張が多い方や、国内旅行を楽しみたい方にとっては、空港へのアクセスが良く時間を節約できる場所と言えるでしょう。

紫波町の職員・武藤さん
武藤さん

近年はインバウンドで訪れる方も多く、海外の方からも関心が高まりつつあるまちとなっています。

【子育て】就学前の親子に人気。紫波町子育て応援センター「しわっせ」

紫波町にある子育て応援センター「しわっせ」のようす
▲子育て応援センター「しわっせ」の室内

紫波町子育て応援センター「しわっせ」では、未就学児を対象に「子育て支援事業」「一時預かり保育」「放課後児童クラブ」の3つの事業を行っています。

中でも、子どもと親が集まって遊べる「ひろば」は、毎週月曜~土曜日(9:00~16:00)ならいつでも利用でき、四季折々のハロウィンやクリスマスなど様々なイベントや講座が開催され、町内に住む親子の交流の場として活用されています。

紫波町の親子が集まって遊ぶ「ひろば」の様子
▲ハロウィンイベントで仮装しながら子ども達とふれあう熊谷町長

また、町の一部地域では、地区公民館で地域の子育てボランティアの方々が遊び、交流などを行う「ボランティアひろば」の活動が行われています。しわっせでは、補助金により活動を支援するとともに、ときには職員が出向いて一緒に遊んだり、ボランティアの育成を行ったりなど地域の子育て活動にも積極的に関わっています。身近な場所に交流の場を設けてもらえるので、日々育児に追われるママパパの息抜きの場所としても活用できそうです。

また、しわっせのYouTubeチャンネルは注目度が高く、人気の動画は2024年6月末時点で216万回再生されています。自宅で子どもと一緒に楽しめるコンテンツが盛りだくさんなので、紫波町での子育てを検討している方はぜひチェックしてみてください。

■公式:紫波町役場(紫波町子育て応援センター「しわっせ」)
■公式YouTubeチャンネル:子育て応援センターしわっせ

紫波町の職員・武藤さん
武藤さん

住民が地元の子どもたちサポートをする「ファミリーサポートセンター」もあり、地域ぐるみで子育てを行っていますよ。

参考:紫波町役場(ファミリーサポートセンター事業)

【仕事】就農支援あり。近隣の盛岡市・花巻市で働く人も多い

紫波町の正社員求人を大手の求人情報サイトで検索したところ、282件の求人が見つかりました。また、車で30分程度の通勤圏(25km圏内)まで範囲を広げると、8,877件の求人情報がありました(2024年6月時点)
※参考:求人情報の一例(紫波町のみ)
※参考:求人情報の一例(紫波町から25km圏内)

紫波町の基幹産業は農業ですが、職員さんのお話では、車で15~30分ほどの場所にある盛岡市や花巻市で仕事をされている方も多いとのこと。また、盛岡市や花巻市には新幹線が通っていることから、普段は自然豊かな紫波町でリモートワークを行い、必要に応じて都内の会社に出社する…という働き方も叶います。

また、手厚い就農支援もあることから、農業に興味のある方が脱サラ後に紫波町へ移住して来られることもあるのだそう。要件に当てはまれば、研修支援金や家賃補助などの金銭的な支援を受けられるので、紫波町での農業に興味のある方は公式サイトをチェックしてみてください。

■公式:紫波町役場(【新規就農】紫波町新規就農希望者支援事業)

【住まい】空き家バンクあり。近隣自治体のベッドタウンとして機能

大手住宅情報サイトで紫波町の賃貸物件を検索したところ、68件の物件が見つかりました(2024年6月時点)。家賃相場は5.18万円で、1Kから3LDKまでの物件があるため、世帯人数に合わせた物件選びが可能です。
※参考:賃貸物件情報の一例
※参考:紫波町の家賃相場

近隣都市の中では比較的地価が安いことから、ベッドタウンとして機能している紫波町。豊かな自然に囲まれて生活できるため、都会の喧騒から離れて暮らしたい方にとってはピッタリのまちと言えるでしょう。
また、紫波町には空き家バンクがあり、2024年6月末時点の物件登録数は2件、売買価格は500~600万円で掲載されています。あまり数は多くないので、紫波町の空き家を活用した生活に興味のある方は、公式サイトを小まめにご確認ください。

■公式:紫波町役場(紫波町空き家バンク)

紫波町の職員・武藤さん
武藤さん

紫波町では、町産木材を利用して住宅を建てる方を対象に、町内で使えるクーポン券を配布しています。環境に配慮した木造マイホームの建築に興味のある方は、公式サイトをチェックしてみてください。

■公式:紫波町役場(町産木材利用住宅等建設奨励事業)

紫波町への移住に関するお問い合わせ

紫波町への移住については、紫波町役場までお問い合わせください。

担当課 企画総務部 企画課 総合政策係
住所 〒028-3392
岩手県紫波郡紫波町紫波中央駅前二丁目3-1
電話番号 019-672-6884(直通)
対応時間 8:30〜17:15
公式サイト ▼紫波町役場
https://www.town.shiwa.iwate.jp/
▼移住・定住ポータルサイト
https://www.town.shiwa.iwate.jp/soshiki/4_1/2_3/5109.html
紫波町の職員・武藤さん
武藤さん

自然風景が美しい7~9月は、まちの下見におすすめの時期です。毎年8月には「オガール祭り」や「紫波夏まつり」などのイベントも開催しているので、ぜひ気軽にお立ち寄りください。