北海道知内町への移住を考える!子育て支援と就農サポートが充実の街
この記事では、地方移住を検討している方に向けて北海道知内町(しりうちちょう)の魅力や移住に役立つ情報をまとめました。
知内町は北海道の南部・渡島半島の南西に位置するまちで、青函トンネルの北海道側出入口として有名です。
北海道生産量トップを誇るニラを主軸に農業が盛んで、新規就農を目指す方向けのサポートが充実しています。さらに、子育て支援や住宅補助金制度など、移住者の経済的負担を軽減する制度も豊富です。
知内町の魅力をより詳しく知るために、知内町役場政策調整課の島津さんにお話を伺いました。
知内町の3つの魅力:充実の子育て環境と農業支援
知内町は農業が盛んで、就農目的で移住する方も多いまちです。2018年に「しりうち地域産業担い手センター」を設立するなど、新規就農者の支援・育成を図ってきました。
子育てにおいては医療費・給食費・教育費の無償化を実現している他、段階的に地方創生を学べる地域色豊かな教育体制も魅力です。
このような知内町への移住は、以下のような方に向いています。
- 移住を機に農業・漁業・林業などにチャレンジしたい方
- 育児や教育にかかる経済的負担を抑えたい子育て世帯
- 移住後に家族を増やしたいと考えている夫婦
- 自然体験だけでなく多様性のある授業を受けさせたい方
知内町の魅力とともに詳しく解説します。
特徴1:しりうち地域産業担い手センターで就農支援と住まいを提供
知内町は北海道生産量トップを誇るニラ「北の華」を主軸に、トマトやほうれん草などの施設型園芸作物の農業が盛んです。知内町産の野菜は「知内ブランド」として広く認知され、道内のみならず本州各地へ出荷されています。
また、カキや高級魚であるマコガレイなども水揚げされるように、新鮮な山の幸・海の幸に恵まれている環境です。そのため、第1次産業に従事することを目的に知内町へ移住する方も珍しくありません。
そんな新たな地域産業の担い手の育成と居住環境を支援するために、2016年に就農・就業研修施設「しりうち地域産業担い手センター」が設置されました。
新規就農希望者の研修を中心に、学生インターンシップや就業体験の場としても活用されています。さらに、センター内には家具・家電を完備した個室の居住スペースがあり、就農・就業を目指す移住者や地域おこし協力隊の方の住まいとしても提供されています。
▼「しりうち地域産業担い手センター」宿泊・居住の詳細
居住費 | ・単身用:1日750円~ ・世帯用:1日1,000円~ ※水道光熱費込み |
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戸数 | ・単身用:1DK(3戸) ・世帯用:1LDK(2戸) |
入居資格 | ・新規就労に向けた研修を行う50歳以下の方 ・就労・生活体験を希望される方(6カ月以内) ・町内の企業や・法人に従事している方 など |
設備 | 家具・家電は一式完備 |
就農・就労に関する知識の習得と住まいの確保が同時に叶うため、移住者の居住先としても好評です。
農業体験で来られた方や地域おこし協力隊の方へ居住先を提供することも移住支援の一つとして、環境整備に取り組んでいます。
特徴2:子育て世帯への手厚い支援:給食費・医療費・教育費の無償化
知内町は子育て世帯の経済的負担を軽減するために、給食費、医療費、教育費の無償化を実現しました。給食費は幼児から中学生までが無料で、医療費に関しては18歳までの子どもが対象です。
教育費は小・中学校が対象ですが、2023年度の公約では高校生までの教育費の無償化を掲げているため、今後さらに教育費の負担が減る可能性が期待できるでしょう。
知内町では子育てや教育に関する支援以外に、妊娠・出産の助成事業も手掛けています。
▼妊娠・出産・子育てに関する支援制度一例
不妊治療費助成事業 | 不妊治療費の一部を助成 ・特定不妊治療:20万円/回 ・一般不妊治療:10万円/回 |
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不育症治療費助成事業 | 不育症の因子検査・治療費を一部助成 ・20万円/回を上限 |
妊産婦安心出産支援事業 | ・健診・出産時交通費:1,860円/回 ・宿泊費:5,000円/泊 |
新生児聴覚検査事業 | 新生児聴覚検査の初回検査費用全額補助 |
子育て支援交付金 | 出産祝い金として70,000円/人を支給 |
その他、妊産婦健康診査や産後ケア、緊急時に病院へ搬送してもらえる『妊婦安心「ホッ」とサポート』の設置など、体と心のケアも行き届いています。
子育て世帯はもちろん、移住後に家族を増やしたい夫婦にとってもライフプランニングしやすい環境です。
公式:知内町「知内町で子育て」
特徴3:地域に根ざした特色ある教育:町民講師による総合的学習
▲知内高校の野球部。1993年には町立高校として初めて選抜大会に出場したことで話題となった
知内町では教育・保育の一体化を推進する独自の教育に注力しています。中でも特徴的な取り組みが、町民が講師となって授業を行う独自の総合的学習です。
小学校から高校まで段階的に地域創生を学ぶことが目的で、小学校では川遊びや生き物観察、田植え体験などの自然学習を行います。
中学校では地元漁師や商工会議所の方などを講師として招いて職業理解を深められるため、早期の進路選択にも役立つでしょう。高校では地産地消を学ぶ調理実習やインターンシップを通して、より地域に根ざした学びを習得します。
総合的学習以外には、タブレット端末を活用した遠隔授業の実施やインクルーシブ教育の採用など、多様性の時代に応じた教育体制も魅力です。
また、知内高校は北海道屈指の野球強豪校で、2022年の南北海道大会準優勝の成績を誇り全国から生徒が集まります。寮付近にはコンビニもあり便利です。
知内町の地域別特徴:市街地と自然豊かな地域の暮らし
知内町へ移住する際は、移住目的や理想のライフスタイルに合うエリアを選択しましょう。
利便性を重視する場合は、「きらく地区」「元町地区」がおすすめです。どちらも市街地で、きらく地区にはスーパーやホームセンター、コンビニが集まっています。元町地区はモデル住宅が建つエリアで、分譲の土地が多く家も建ち始めていることから人気です。
市街地以外は利便性に劣るものの、海や山などの豊かな自然を存分に堪能できます。家庭菜園や自然のアクティビティを楽しみたいなど、移住を機にスローライフを送りたい方におすすめです。
知内町の暮らし:気候、医療、教育、レジャーなどの基本情報
▲知内町の景観。美しい田園風景の先には津軽海峡が見える
「知内町は雪深い?」「どんなレジャー施設やイベントがあるか知りたい」などの疑問を解消するために、知内町の基本情報と暮らしに役立つ情報を紹介します。
気候 | 1月平均気温:-2.3 ℃ 8月平均気温:21.6 ℃ ※参考:気象庁 ※知内町のデータに平均気温の記載がないため最寄りの木古内地点を参照 |
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人口 | 人口:3,940人 世帯:2,007世帯 ※2023年7月31日時点 |
病院 | 診療所:2院 歯科:1院 |
学校 | こども園:1園 小学校:2校 中学校:1校 高校:1校 |
レジャー | ・松前矢越道立自然公園 ・イカリカイ駐車公園 ・知内温泉・重内展望台 ・知内町農村公園 ・ファミリースポーツ広場 ・知内町営スキー場 など |
交通 | 【電車】 ・北海道新幹線:木古内駅 ・道南いさりび鉄道:木古内駅 ※町内に駅なし。最寄りの「木古内駅」までは車で約15分 【バス】 ・路線バス:函館バス ・町内バス:デマンドバス 【車】 ・国道:228号線 |
都市圏へのアクセス | 函館:車で約40分 青森:新幹線で「新青森駅」まで約50分 仙台:新幹線で「仙台駅」まで約2時間30分 東京:北海道新幹線で約4時間 |
近隣地域 | 木古内町、福島町、上ノ国町 |
※人口以外の数字は2023年9月現在
知内町は道南に位置するため、気候は北海道の中でも比較的温かく雪も少ない方です。ただし、異常気象の影響で積雪が多い年もあることから、雪の心配がないとは言い切れません。市街地でも各家庭で除雪は必要です。
公共交通機関は路線バスのみなので、移住する際は車の保有を検討しましょう。自宅から市街地まで運行する予約制の「デマンドバス」があり、路線バスと併用すれば函館まで行くことも可能です。
町内にはスーパーとホームセンターがあり、食料品・日用品の買い物には困りません。ドラッグストアはなく、薬品などは調剤薬局で受け取る必要があります。
国道の除雪は真冬でも路面が見えるほど丁寧に行われます。近隣地域へ移動しやすい状態まで整備されるので、雪道の不安を軽減できると思います。
レジャースポット:スポーツセンターからキャンプ場まで多彩な遊び場
知内町の子どもたちの遊び場と言えば、まちの中心部にあるスポーツセンターです。館内ではバレーボールやテニスなどの球技をはじめ、鬼ごっこやボルダリングが楽しめます。幼児室も完備されていて小さな子ども連れも利用可能です。
その他、公民館にはギターやグランドピアノを自由に弾けるスペースが設けられています。
野外で遊ぶ場合は、キャンプ場や河川敷の公園を利用しましょう。磯遊びや海水浴などを楽しむなら「イカリカイ駐車公園」がおすすめです。駐車場横にはテントを張れるキャンプスペースがあり、夏のレジャーを満喫できます。
▲イカリカイ駐車公園では、大パノラマの海を眼下にキャンプも楽しめる。
レジャースポットは、市街地から車で約10分の小谷石集落が有名です。ダイナミックな奇岩が連なる「松前矢越道立自然公園」やエメラルドグリーンが美しい「青の洞窟」など、自然の神秘を堪能できる絶景スポットが集結しています。
青の洞窟を楽しめる「矢越クルーズ」を目当てに、県外から訪れる観光客も少なくありません。
▲「松前矢越道立自然公園」。澄んだ海と噴火活動や荒波により形成された奇岩がそびえる
▲小谷石地区の海岸沿いの風景。晴天の日は津軽半島と下北半島が見えることもある
▲小谷石地区の海岸から見る夕景。日中とは違った幻想的な風景が美しい
その他、8月~10月には町内会のお祭りが開催されます。この機会に地域の方々と交流を図ってみてはいかがでしょうか。
知内町は町内会の加入率がほぼ100%で、町内行事なども活発です。イベントを通して地域の方々との交流を楽しみましょう。
就業情報:農業を中心とした仕事と体験制度の紹介
▲自然の恵みに溢れた知内町では、仕事の大半が漁業・農業・林業に集中している
知内町の仕事は、農業・農業・林業関連がメインです。法人で就農している方が多く、就農目的の移住者のほとんどが独立を目指しています。
知内町では独立就農への意欲や適性を判断できるように、最長3カ月農業体験ができる「地域おこし協力隊インターン」制度を導入しました。期間中は地域おこし協力隊員として報酬をもらえて、「しりうち地域産業担い手センター」に住めます。
第一次産業以外の働き口としては、町内にあるスモークサーモンのトップブランド「三洋食品株式会社」の工場が人気です。地域の方だけでなく移住者や外国の方も働いています。
その他、大手求人サイトに掲載されている知内町の正社員求人数は以下の通りです。
知内町 | 約20件 求人一例 |
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木古内町(通勤30分圏内) | 約60件 求人一例 |
※縁結び大学調べ(2023年9月現在)
知内町は求人が多くないため、木古内町まで範囲を広げるのも一つの手です。木古内町には介護・医療職やサービス業、製造業などの求人がそろいます。
一度の就農体験では適性が判断しづらいため、お試しとしてインターンから始める方が多い印象です。
住まい情報:空き家バンクと補助金制度で住居探しをサポート
知内町の住まいの選択肢は、大きく分けて「しりうち地域産業担い手センター」「空き家バンク」「賃貸」の3つがあります。
就農に限らず、商工業や加工業などを目的に移住した方は、「しりうち地域産業担い手センター」へ居住するケースが多いです。
空き家バンクは需要が高く、募集開始から1週間で物件がなくなるケースも珍しくありません。ただし、登録物件を増やす見込みのため、今後は探しやすくなることも予想されます。
新築・中古物件を購入する場合は、条件によって以下の補助金制度が利用可能です。
▼住まいに関する補助金制度
しりうち暮らし促進事業 | 子育て世代(20~49歳以下)を対象に新築で最大200万円支援 ※下記の該当項目を加算して上限200万円 ・戸建てを新築する場合:100万円 ・町内の工務店を利用して新築する場合:100万円 ・18歳以下の子どもがいる世帯:25万円/人 ・元町定住団地に新築する場合:50万円 ・複数世帯員が移住して新築する場合:200万円 |
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空き家購入・リフォーム支援 | 空き家のリフォームにかかる費用を一部助成 ・購入・リフォームにかかる費用の1/2以内(上限200万円) |
※参考:公式:知内町「住まいの支援」
なお、町内に不動産会社はなく、賃貸物件を探す際はアパート管理会社へ直接連絡する必要があります。管理会社一社あたり2戸~6戸ほど物件を所有しているので、比較的見つけやすいと言えるでしょう。(2023年9月時点)
空き家バンクの登録状況やアパート管理会社の選び方など、まずは役場へ相談してみましょう。
知内町移住者の声:豊かな食材と温かい人間関係の魅力
ここでは、知内町に移住した方の体験談や感想を紹介します。
- スーパーや居酒屋などもあるので不便はない。函館にも約1時間で行ける。
- 食材が豊富でおいしい。おすそ分けをいただいたりするので料理の楽しみが増えた。
- 世間話ができるような近い距離感で接してくれるので毎日が楽しい。
移住者の方からは、「ニラ」や「トマト」などの地産食材のおいしさに驚く声が寄せられました。作り手として就農目的で移住を決意した方も少なくありません。
数ある体験談の中でも、「職員さんが移住に対して熱心だった」「フォローがあってスムーズに移住できた」など、人の良さに対する声が多い印象です。役場職員の熱意や住民の人柄の良さが、知内町の魅力をより一層引き立てていることが分かります。
移住者の方から「人が温かい」という声をよく聞きます。おすそ分け文化が根付くように、知内町の住民は交流が好きな方が多い印象です。
知内町お試し移住:移住促進モデル住宅で町の暮らしを体験
移住失敗を回避するには移住先の下見は欠かせません。「知内町移住促進モデル住宅」を利用してリアルな暮らしを体感しましょう。
「知内町移住促進モデル住宅」は、2016年に完成した移住体験住宅です。テレビや冷蔵庫、電子レンジ、食器類などが完備されていて気軽に移住体験ができます。
▼「知内町移住促進モデル住宅」の詳細
住所 | 北海道知内町字元町143-30 |
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構造 | 木造2階建 3LDK |
宿泊日数 | 1泊2日~2泊3日 ※1週間につき1組限定 |
料金 | 1,000円/日 |
対象者 | ・移住を検討している50歳未満の方 ・地域材を活用した戸建住宅の建築を検討している方 |
年末年始や大型連休、町内イベント時は宿泊できません。また、上記以外に利用条件もあるため確認が必要です。
お試し移住住宅以外に、希望があれば個別のガイドも実施しています。職員や地域の方々から知内町の説明や職業紹介、町内案内などを受けてマッチ度を確かめましょう。
次のステップとして就農体験も提案しています。「地域産業担い手センター」で宿泊しながら農業体験できますので、興味のある方はご相談ください。
知内町移住相談:政策調整課へのお問い合わせ方法
担当課 | 政策調整課 |
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住所 | 〒049-1103 北海道上磯郡知内町字重内21-1 |
電話番号 | 01392-5-6161(代表) |
対応時間 | 8:30〜17:15 土・日曜、祝日、年末年始を除く |
公式サイト | https://www.town.shiriuchi.hokkaido.jp/ |
知内町にご興味をお持ちになりましたら、まずはお気軽にご相談ください。移住へ向けてサポートをさせていただきます。