瀬戸内町で暮らす良さとは?移住のための仕事・住居・支援情報 | 鹿児島県|縁結び大学
この記事では、鹿児島県大島郡瀬戸内町(せとうちちょう)への移住を検討している方に向けて、まちの魅力や暮らしに関する情報を紹介していきます。
瀬戸内町は、世界自然遺産でもある奄美大島の最南端に位置する、自然豊かな地域です。大島海峡は外海に比べ波が穏やかでマリンスポーツに適しているため、マリンスポーツを趣味とする移住者も多くいることが特徴です。
また、離島ならではの環境の中、集落全体で子育てをしていることも大きな魅力です。「子どもに都会ではなかなか経験できない体験をさせたい」と考えている方にもおすすめの地域といえるでしょう。
それでは早速、移住する際に役立つ情報を中心に、瀬戸内町役場の手嶋さんにお話を伺った内容と合わせてお伝えしていきます。
瀬戸内町で暮らす3つの魅力を紹介
瀬戸内町は奄美大島の南部に位置するまちで、豊かな自然と穏やかな海に囲まれています。マリンスポーツ愛好家が多く集まっていることも特徴的です。ダイビングやサーフィンなど、海を楽しむアクティビティが充実しているため、「海のそばで暮らしたい」という方に特におすすめの移住先といえるでしょう。
また、地域全体で子育てを支援する文化があるため、「多くの人々との交流を通じて子どもを育てたい」と考える方にも適しています。瀬戸内町は、以下のような希望を持つ人々にとって魅力的な移住先です。
- 自然が豊かな場所で暮らしたい
- 海が近くにある生活を楽しみたい
- 都会とは違う環境の中で子育てをしたい
それでは、瀬戸内町の魅力についてより詳しく見ていきましょう。
魅力1:世界自然遺産に登録された島にあるまち
▲目の前に広がる青い海がまぶしい
瀬戸内町は2021年に世界自然遺産に登録された奄美大島の中にあり、その雄大な自然が多くの人の心を癒してくれます。町内では天然記念物のアマミノクロウサギやルリカケスなどを見ることもでき、スケールの大きい自然とふれあいたいと考えている人におすすめです。
都会の光害がないため、満天の星や天の川も、瀬戸内町なら肉眼で楽しむことができます。仲間や家族と一緒にゆったりと夜空を眺めるひと時は、忙しい毎日の疲れを癒してくれることでしょう。
参考:瀬戸内町HP(瀬戸内町の概要)
そのほかにも、樹齢数百年のガジュマルや、初夏に鮮やかな赤い花を咲かせるデイゴ並木など、南国ならではの豊かな自然がたくさんあります。「奄美大島の自然が気に入って移住してきた」という方も多く、南国の美しい景色を求めて、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
参考:奄美せとうち観光協会(スポット情報)
魅力2:美しい海に囲まれたまち
▲嘉鉄(かてつ)ブルーと称される澄み切った青色が美しい嘉鉄湾
瀬戸内町は美しい海に囲まれているので、「なにより海が大好き!」という方にぴったりです。
都会ではなかなか見られないような澄んだ青色の海で、様々なマリンアクティビティを楽しむことができます。大島海峡は外海に比べ波がおだやかなため、シーカヤックやスタンドアップパドルボード(SUP)を楽しむのに最適な環境です。
また、潜りやすい環境でもあるので、フリーダイビング愛好者にとっても魅力的なポイントです。移住されたフリーダイバーの方によると、大島海峡内の波がおだやかなので練習しやすく、このポイントを目当てに移住してきた方もいるほどです。
町内には多くのビーチがあり、マリンスポーツを思いっきり楽しみたい人だけでなく、ビーチでゆっくりくつろぎたい人にも最適な環境が整っています。
魅力3:「子どもは町の宝」。みんなで子育てをするまち
▲学校のカリキュラムには伝統芸能の授業もあります。写真は諸鈍(しょどん)シバヤを演じる子どもたち
瀬戸内町には、都会では体験することのできない特色ある教育環境があります。特に町の中心部以外の小中学校では生徒数が少なく、教師が生徒一人ひとりに細やかな指導ができる環境が整っています。さらに、豊かな自然に囲まれた環境で、のびのびと子どもを育てることができます。
また、学校のカリキュラムに伝統芸能の授業を取り入れるなど、離島ならではの文化や習慣を大切にしています。集落全体で子育てをする文化が今も残っているため、「子どもには多様な人間関係を経験しながら成長してほしい」と考える家族におすすめの地域です。
親子で留学できる制度
瀬戸内町には、親子で留学する「にほんの里加計呂麻留学」という取り組みがあります。これは、加計呂麻島(かけろま)・与路島(よろじま)などの離島に親子で移住し、地域の学校に子どもが通うという制度です。
高校生向けには「古仁屋高校地域みらい留学生」制度があり、古仁屋高校に留学することができます。奄美大島本島外から進学する場合は月4万円が補助されます。古仁屋高校には寮も完備されており、経済的な負担を抑えられる点で注目されています。
瀬戸内町の留学に関する詳細情報は以下の表をご覧ください。
概要 | リンク | |
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にほんの里 加計呂麻留学 | ・町外の小学1年生から中学3年生までの児童生徒を対象に、瀬戸内町立の小中学校に通学(古仁屋・阿木名小中学校を除く) ・児童・生徒1人あたり月額3万円を助成(中学卒業月まで) ・家賃の2分の1(上限額1万1千円)を助成(入居後1年間) ※税、水道料、光熱費等は自己負担 ・留学に伴う住居は自身で確保 ・最長1か月の体験留学も可能 |
公式 |
古仁屋高校 地域みらい留学生 | ・古仁屋高校に通う高校生を募集 ・奄美大島本島内から入学する場合:月3万円の補助 ・奄美大島本島以外から入学する場合:月4万円の補助 |
公式 |
「移住を考えているけれど、いきなり行くのは不安」「子どもが環境になじめるか心配」という方には、この制度の利用をおすすめします。子ども一人当たり月3万円の助成金や家賃の補助を受けることができ、段階的に移住を進められます。
瀬戸内町の暮らしに関する情報
ここからは、実際に瀬戸内町へ移住し、生活する際に必要な情報を紹介していきます。
気候 | ・古仁屋地点での8月の平均気温は28.5度、1月の平均気温は15.3℃ ・亜熱帯海洋性気候で年間を通して温暖多雨 ・台風の来襲が多い地域 ※参考:気象庁ホームページ、瀬戸内町HP(瀬戸内町のあらまし) |
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人口 | 約8,400人(令和4年11月末現在) |
医療機関 | ・病院・クリニック:6か所 ・歯科医院:4か所 |
教育機関 | 小学校11校、中学校8校、高校1校 |
文化・芸術 | ・諸鈍シバヤ(国指定重要無形民俗文化財) ・油井の豊年踊り(鹿児島県指定無形民俗文化財) ・与路船漕ぎ大会(5月開催) ・奄美シーカヤックマラソンin加計呂麻 |
特産品 | 【水産品】 カツオ、キハダマグロ、カマスサワラ、イセエビ、ヤコウガイ、マガキガイ、モズク 【水産養殖】 クロマグロ、カンパチ、シロチョウガイ(白蝶真珠)、マベガイ(マベ真珠)、マダイ、クエ、イシダイ 【農産品】 サトウキビ、タンカン、パッションフルーツ、カボチャ、キク 【林産品】 ソテツ、シイタケ 【加工食品】 鰹節、薩摩揚げ、きび酢、みき、干ししいたけ、かしゃ餅、あくまき 【菓子】 黒砂糖(純黒糖)、黒砂糖かりんとう、型菓子(落雁) |
交通 | 【空路】 ・奄美空港 【海路】 ・奄美海運(マルエーフェリー系列)、フェリーかけろま、せとなみ、海上タクシー 【バス】 しまバス、南部交通、加計呂麻バス |
観光スポット | ・水中観光船 ・ホノホシ海岸(引き波で玉石が奇妙な音を立てる) ・ヤドリ浜海水浴場 ・高知山展望台 ・油井岳展望台 ・大島海峡ほか各地の珊瑚礁ダイビングスポット ・渡連海岸海水浴場 ・徳浜海岸海水浴場 ・西阿室海岸海水浴場(夕日の名所) ・デイゴ並木(映画『男はつらいよ 寅次郎紅の花』ロケ地) ・嘉徳海岸(サーフィン適地) |
近隣自治体 | 奄美市、大島郡宇検村 |
瀬戸内町は、大島海峡をはさんで加計呂麻島(かけろま)、請島(うけじま)、与路島(よろじま)の3島からなる自治体です。
年間を通して温暖な気候ですが、台風の来襲が多い地域でもあります。移住する際は地域の人と連携を取りながら、町内のハザードマップを確認しておくなど、天災に対する備えも忘れずに行いましょう。
町には大きな総合病院が1つありますが、軽度の怪我や風邪などは町内のクリニックや診療所で診てもらうことができます。なお、島内に産婦人科はなく、基本的には奄美市で出産をする方が多いそうです。出産を予定している方は事前に確認しておくとよいでしょう。
バスも運行していますが、本数が少ないため、日常の買い物や島内の移動には自家用車があると便利です。
参考:瀬戸内町HP(瀬戸内町のアクセス)
スーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアが揃っているので、生活必需品の購入に困ることはありません。より多くの選択肢が欲しい場合は、車で約50分の奄美市まで足を延ばす人が多いとのこと。
奄美市でも入手できない商品はインターネットでの購入が便利です。
また、加計呂麻島に住んでいる人は、フェリーに車を積むと往復で約6千円ほどかかるため、古仁屋側に1台、加計呂麻島に1台と、車を2台所有する方も多いです。
参考:奄美せとうち観光協会(加計呂麻島へ)
▲瀬戸内町自慢の海を利用したシーカヤック大会
数多くの祭りやイベントが開催されていることも瀬戸内町の魅力です。アクティブな活動や人との交流を楽しみたい方にとって、瀬戸内町の暮らしは魅力的でしょう。
▲大自然の中で開催される加計呂麻島ハーフマラソン大会
また町は、伝統的な祭りを次世代に継承することも重視しています。移住後は、地域のイベントや集落行事への積極的な参加が期待されることを心に留めておきましょう。
▲古仁屋の豊年祭の様子(2019年)
豊かな海の幸と温暖な気候を活かした農作物の栽培が盛んな瀬戸内町では、多様な食材を楽しむことができます。
▲甘くておいしいタンカンは瀬戸内町の特産品
瀬戸内町では集落全体で子育てや行事の運営を行っています。人々の結びつきが強い分、集落ごとのルールを尊重して生活できる方が移住に適しているでしょう。
【仕事】役場の担当者に相談を
大手求人サイトで検索すると、瀬戸内町には約120件の求人がありました。
※求人情報の一例
瀬戸内町役場の手嶋さんによると、求人を出しても応募がないため掲載していない事業所も多く、人手不足が深刻とのこと。町内で仕事を探したい方は、役場の担当者に直接相談することをおすすめします。
特定の職種にこだわらず、様々な仕事に挑戦しながら自分に合った働き方を見つけるという方法もあります。時間はかかるかもしれませんが、定期的に求人情報をチェックすることが大切です。
ハローワーク名瀬では、Zoomによるオンライン相談を実施しています。遠方にいながら担当者と face to face で相談できるため、便利です。
ただし、ハローワークへの求職登録が必要条件となっているので、事前に登録を済ませておくことをお勧めします。
リモートワークをしながら住むという選択肢も
瀬戸内町にはコワーキングスペースがあり、リモートワークを行うことが可能です。加計呂麻島まで光回線が整備されているため、自宅で仕事を行い、必要な時に出社するという柔軟な働き方も実現できます。(※与路島・請島は未開通)また、完全な移住の前に2拠点生活を実践している方もいるそうです。
瀬戸内町のコワーキングスペースの詳細は以下の通りです。
概要 | リンク | |
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瀬戸内町すこやか福祉センターHUB | ・コワーキングスペース、プライベートブースなどを完備 ・年間契約、1日利用プランなど利用者のニーズに合わせた選択が可能 |
公式 |
農業研修生として町に住む方法がある
瀬戸内町では、新たに農業を始めたい方向けに、農業の基礎知識・経営方法、技術に関する研修を実施しています。対象は自己資金等の条件が整っており、農地の確保が見込める方に限定されますが、瀬戸内町での就労を検討されている方にとって、魅力的な選択肢の一つとなるでしょう。興味をお持ちの方は、ぜひ詳細をご確認ください。
概要 | リンク | |
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「農業研修生」の募集について | ・新規就農を目指す方に向けて、知識、技術、経営方法の研修を行う。 ・期間は1年間 ・瀬戸内町に住所があり、研修後も瀬戸内町で農業に従事できる者 |
公式 |
【住まい】地域の住民から空いている物件を紹介してもらう必要あり
瀬戸内町の賃貸住宅を検索したところ、空室を見つけることができませんでした。空き家バンクには3件の情報がありましたが、十分な数とは言えません。そのため、オンライン上での物件探しは難しい可能性があります。
物件の数が限られているため、地域の方から空き物件を紹介してもらうことが重要です。地域に知り合いがいない場合は、移住を希望する集落の区長さんを紹介してもらえます。まずは役場の担当者に問い合わせることをおすすめします。
瀬戸内町企画課企画振興係
TEL:0997-72-1112
移住者の中には「職場で空き家を紹介してもらった」という事例もあります。移住前に現地を下見し、地域の方々と協力関係を築いておくことで、スムーズに住まい探しを進めることができるでしょう。
空き家を取得した場合は助成金が受けとれる
瀬戸内町内の空き家を取得しリフォームした場合、10万円の助成金を受け取ることができます。空き家を紹介してもらえた際は、この制度を活用して改修を進めることが可能です。ただし、工事費用が50万円以上であることが条件となります。
概要 | リンク | |
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瀬戸内町住宅リフォーム等助成金 | ・住宅のリフォーム工事の費用を助成 ・50万円以上の工事1件につき10万円を助成 |
公式 |
瀬戸内町へ移住した人の体験談や感想
ここでは、瀬戸内町に移住した方々の感想や体験談をご紹介します。実際に生活している方々の声は、移住を検討されている皆さまにとって貴重な情報源となるでしょう。島での暮らしの魅力や課題など、具体的な体験談をぜひご覧ください。
参考:(公式)鹿児島県の移住交流ウェブサイト籾山さん、村田さん
瀬戸内町へ移住してよかったこと
まずは、瀬戸内町へ移住してよかったことを紹介します。
- 大自然を実感しながら暮らすことができる
- 地域の人と一体となって行事を作り上げることができる
- 車の音などが少なく、静かに暮らすことができる
- 周りの人が温かく迎えてくれた
- 深い人間関係を築くことができる
やはり、世界遺産に登録されている大自然に魅了された方が多かったです。耳を澄ませば聞こえてくる波の音、歩いていると出会える貴重な動植物たち。自然を身近に感じる暮らしをしたい方にはぴったりな場所ですね。
また、人と人の繋がりが深いことも魅力です。都会では、隣に住んでいる人を知らないということもありますが、瀬戸内町ではみんなで協力して何かを作り上げたり、楽しんだりすることを大事にしています。
のんびりと、何もせず田舎暮らしを満喫したいという方より、積極的に地元の人と交流し、深い人間関係を築いていきたいと考えている人が瀬戸内町への移住に向いていると言えますね。
瀬戸内町へ移住して大変だったこと
次は、瀬戸内町へ移住して大変だったことを紹介します。
- イノシシなどの野生動物と遭遇することがある
- インターネット環境が整っていない(※現在は、大島側、加計呂麻島全域で光インターネットが利用可能)
自然豊かな地域ですので、都会ではめったに経験できない野生動物との遭遇機会があります。
インターネット環境に関しては、与路島・請島では回線が開通していないため不便を感じるかもしれません。しかし、瀬戸内町では口コミ情報が最も信頼できます。地域の情報は地元の人に聞くことで多くの疑問が解決できます。
インターネットだけに頼らず、人との交流や協力に価値を見出す方が瀬戸内町での移住生活に適していると言えるでしょう。
瀬戸内町への移住に関する情報・お問い合わせ
ここでは、鹿児島県の瀬戸内町へ移住を検討する方に役立つ情報や具体的なお問い合わせ先を紹介します。移住に関する疑問や不安を解消し、スムーズな生活の準備をサポートする内容となっています。
移住体験住宅に住んでみよう
▲加計呂麻島の移住体験住宅
瀬戸内町への移住を検討している方は、移住体験住宅を利用することができます。実際の瀬戸内町での暮らしを体験し、移住に関する不安を一つひとつ解消していくことができます。
移住体験住宅には、生活に必要な基本的な家具・家電が備え付けられているので、個人的に必要な物だけを持参すれば十分です。自動車を所有している方は、持参することで生活の利便性が大幅に向上します。
▼体験住宅の概要
概要 | ・瀬戸内町へ移住を検討されている方が対象 ・利用料金:1泊2千円、1か月5万円(光熱費込み) ※令和5年度より1泊2千3百円、1ヶ月5万7千円 ・利用期間:1週間から最長2ヶ月まで ・家財道具が一式そろっている |
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リンク |
https://www.town.setouchi.lg.jp/shinkou/20240130_ijyuuyoyakuno.html |
実際に体験住宅で生活し、日常的な買い物や地域の人々との交流を通じて、瀬戸内町での暮らしをより具体的にイメージすることができます。この体験を通じて、移住後のギャップを最小限に抑え、理想的な移住生活を実現させましょう。
問い合わせ先
瀬戸内町への移住に少しでも興味をお持ちの方は、ぜひ担当課にお問い合わせください。丁寧な対応で、移住に関する疑問や不安を解消するお手伝いをしてくれます。
担当課 | 企画課企画振興係 |
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住所 | 鹿児島県大島郡瀬戸内町古仁屋船津23 |
電話番号 | 0997-72-1111 |
移住ポータルサイト | https://www.town.setouchi.lg.jp/kan/iju/index.html |