福島県西会津町への移住を検討！アート・子育て・起業を応援する町の魅力

この記事では、地方移住を検討している方に向けて福島県西会津町（にしあいづまち）の魅力と暮らしに役立つ情報を紹介します。

西会津町は会津地方北西部に位置する人口約5,500人の町です。先輩移住者が「新しいことに挑戦しやすい町」と口をそろえるように、起業する若者や国内外のアーティスト、デザイナーなどクリエイティブな活動をする方が多く住んでいます。

また、子育て支援の充実やデジタル社会に対応した教育も魅力で、20～30代の若者世帯やファミリーの移住も増えてきました。

今回は、西会津町商工観光課の飯嶋さんに西会津町の魅力について詳しくお話を伺いました。

西会津町の3つの魅力：アート・起業・子育て支援が充実

西会津町は「日本の田舎、西会津町」をキャッチコピーに掲げています。町の約84％を森林が占める自然豊かな環境で、新緑、大パノラマの紅葉、冬の銀世界など、日本の四季折々の美しい光景を存分に楽しむことができます。

このような西会津町への移住は、以下のような方々に特におすすめです。

• 移住を機に就農や起業に挑戦したい方
• クリエイティブな活動やアートに興味がある方
• 自然体験とデジタル社会に対応した教育の両方を子どもに受けさせたい方
• 地域の方や先輩移住者など、人とのつながりを大切にしたい方

以下では、これらの理由を西会津町の魅力とともに詳しく解説していきます。

特徴1：起業・就農・アートに挑戦しやすい環境が整った町

▲クリエイティブな活動の拠点として選ぶ方や就農する方など、移住目的はさまざま

西会津町の魅力について、移住者の多くが「新しいことに挑戦しやすい町」と口をそろえます。

補助金制度を設けて移住者の活動をバックアップしているため、移住を機に空き店舗で事業を始める方や、起業・就農する方も多くいます。

【起業・就農に関する支援制度】

西会津町創業支援事業	・創業支援のためのワンストップ相談窓口の設置 ・創業塾型のセミナーなどを実施 ・空き店舗及び空家等利活用事業補助金（最大100万円）など
新規就農あんしんサポート事業	国の新規就農者育成総合対策事業に該当しない方へ補助金を交付 ・最長5年間・年間上限100万円 ・農機具購入費などを50％以内で補助（上限200万円）

公式：日本の田舎西会津町「仕事の支援」

新しい挑戦をした移住者の具体例として以下があります。

• Iターンで菌床シイタケの栽培を始める
• 空き家を活用してゲストハウスや私設図書館を運営
• 町内で捕獲された害獣の皮など、地域の素材を使った鞄工房を立ち上げ

このように、農業からアート、開業までさまざまなライフスタイルを実現できる環境が整っています。

また、地域おこし協力隊の受け入れ数が福島県内トップクラスを誇るように、新たな視点や発想を尊重する地域柄だからこそ「挑戦しやすい町」として移住者に選ばれているのでしょう。

特徴2：西会津国際芸術村を中心に多彩なアート活動が盛ん

▲「西会津国際芸術村」には工房やカフェ、購買部などが併設されている

西会津町は、多様なクリエイターのアトリエとして選ばれています。アーティスト、デザイナー、ミュージシャン、建築家、舞台俳優など、様々な分野の創作者が活動しています。

新郷地区の旧木造校舎を活用した文化交流施設「西会津国際芸術村」が、町のアート拠点となっています。ここでは、作品展示やワークショップ、イベントなどが定期的に開催され、芸術文化の発信地となっています。

2014年に始まった「草木をまとって山の神さま」は、大山祇神社に祀られている山の神を表現するイベントで、今では地域の恒例行事となりました。参加者が草木の衣装を身にまとい神楽殿で踊る姿は、祭典にふさわしく厳かで幻想的な光景を生み出しています。

西会津町では、演劇や絵画の展示会、コンサートなど多彩なイベントも開催されています。美術、芸術、音楽など幅広いジャンルのアーティストが訪れる町として、会津地方でも独特の魅力を持つ場所となっています。

特徴3：0歳児から保育料完全無料など手厚い子育て支援

▲元気いっぱいにかけっこを楽しむ子どもたち

西会津町では子育て支援の拡充に力を入れています。その成果として、宝島社の月刊誌『田舎暮らしの本』が実施した、2023年「第11回住みたい田舎ベストランキング」人口1万人未満のまち「若者世代・単身部門」で10位にランクインしました（※）。
※田舎暮らしの本Web「第11回住みたい田舎ベストランキング」

町内の「こゆりこども園」は、保育と教育を一体的に行う施設です。さらに、子育て支援センターと放課後児童クラブを併設しており、多面的な子育て支援機能を備えています。

▲「こゆりこども園」は平成29年に開園。木の温もりにあふれ、やわらかな日の光が差し込む園舎

国の制度では3歳以上の幼稚園・保育園利用が無償化されていますが、西会津町ではさらに踏み込んで0～2歳児の保育料についても、保護者の所得に関わらずすべて無料としています。

加えて、給食費・延長保育・土曜保育なども含めてすべて無料です。これにより、国の基準と比較すると、0～3歳までにかかる約300万円の負担が軽減されます。

▲そり滑りができるのは自然豊かで雪深い地域ならでは

西会津町では、子育てに関する支援も充実しています。具体的には、30万円の「出産祝い金」、月額1万円給付される「乳幼児家庭子育て応援金」、子どもの医療費の無償化、インフルエンザワクチンや各種予防接種の全額助成などがあり、育児にかかる経済的負担を大幅に軽減できます。

公式：西会津町「子育て応援サイト」

教育面では、小学校でプログラミング教室を実施しています。ここでは技術や知識の習得だけでなく、シミュレーション能力や分析力などのプログラミング的思考を培うことに重点を置いています。

▲真剣にプログラミングを学ぶ子どもたち。大手IT企業の社員を講師に招いたイベントなども開催している

このように西会津町では、地域の特色を生かした授業と最先端のICT技術を活用した学びを両立させ、先進的な教育に取り組んでいます。

西会津町の5つのエリア別特徴と暮らしの違い

▲施設や住宅が集中する中心地と自然豊かな地区に分かれている

西会津町は、野沢地区・尾野本（おのもと）地区・群岡（むらおか）地区・新郷（しんごう）地区・奥川地区の5つのエリアに分かれています。

野沢地区は町の中心地で、江戸時代より越後街道の三大宿場町の一つとして栄えてきました。スーパーや町役場、JR野沢駅、公民館などの公共施設が集中しており、利便性を重視する方に適しています。

尾野本地区は、教育・子育ての拠点地区です。こども園や小中学校があり、温泉宿泊施設「ロータスイン」やオートキャンプ場、10万平方メートルの広大な「さゆり公園」など、自然を満喫しながらリフレッシュできる施設が充実しています。

群岡地区は野沢地区に次ぐ人気エリアです。先輩移住者や地域おこし協力隊の世帯が多く、空き家情報を得やすいのが特徴です。上野尻発電所の桜並木や阿賀川の「銚子の口」峡谷など、美しい景勝地も魅力の一つです。

▲中心部を離れると豊かな自然を楽しめる。稲の収穫時期にはあたり一面が黄金に染まる

新郷地区と奥川地区は大自然に囲まれたエリアです。就農を検討している方や、静かな環境でゆったりと過ごしたい方に向いています。

また、西会津国際芸術村や土蔵をリノベーションしたミニ美術館があり、日常的にアートに触れることができます。

西会津町の暮らしを知る：気候・仕事・住まいの基本情報

▲奥川地区の棚田は西会津町を象徴する風景の一つ

「西会津町にどんな仕事があるか知りたい」「住まいはどこを選べばいい？」などの疑問を解消するために、西会津町の暮らしに役立つ情報をまとめました。以下の表で、気候や人口、医療機関、教育施設、特産品、交通手段などの基本情報をご確認いただけます。

気候	1月平均気温：-0.4 ℃ 8月平均気温：24.2℃ ※参考：気象庁
人口	人口：5,580人 世帯数：2,522戸 （2023年11月1日時点）
病院	・診療所：2件 ・歯科：1件
学校	・保育施設：1園 ・小学校：1校 ・中学校：1校 ・高校：1校
特産品	・お米 ・ミネラル野菜 ・地酒（栄川酒造「栄川」「冨國論」など） ・西会津張り子 ・車麩 ・なめこ ・桐ゲタ
交通	【電車】 ・JR磐越西線「野沢駅」「尾登駅」「上野尻駅」「徳沢駅」 【バス】 ・高速バス（会津若松線・新潟線） ・西会津町デマンドバスAI「こゆりちゃん号」 【車】 ・高速道路：磐越自動車道「西会津IC」 ・国道：49号、400号、459号
都市部へのアクセス	【東京】 ・電車で約4時間 【会津若松市】 ・車で約40分 【新潟県新潟市】 ・有料道路利用で約1時間
近隣地域	喜多方市、会津坂下町、柳津町、金山町、新潟県阿賀町

※縁結び大学調べ（2023年12月時点）

町内には食品スーパー2件とドラッグストア・ホームセンター・コンビニが各1件あり、日用品の買い物には困りません。

総合病院で受診する場合は、会津地方の中心地である会津若松市へ向かいましょう。車で約40分（高速道路利用で20分）の距離にあり、ショッピングや通勤にも便利です。

休日には新潟市へ出かける方も少なくありません。西会津町は新潟県との県境にあるため、高速道路を利用すれば1時間弱で到着します。

町内には全エリアをカバーするAIデマンドバス「こゆりちゃん号」も運行しています。

▲町内全域を走るデマンドバス「こゆりちゃん号」。アプリやWebからも予約できる

AIが予約者のリクエストに合わせて最適な運行ルートを割り出してくれる他、アプリで位置情報や目的地への到着予定時刻を把握することが可能です。土地勘がない移住者にとっても心強い交通手段となるでしょう。

【気候】積雪1mの雪国だが丁寧な除雪で雪道運転も安心

西会津町に移住する際は、雪国の暮らしに対する心構えが必要です。

特別豪雪地帯に指定されている雪深い地域で、中心地の野沢地区でも毎年1m弱ほど積もります。山間部の大久保地区や北部の奥川地区は1.5倍の積雪があり、一晩で30cm積もることも珍しくありません。

ただし、雪が多い地域だからこそ除雪がしっかりされていて、通勤時間には運転に支障がないほどに道路が整備されています。不安がある方は、町が提供するお試し住宅などを利用して、実際に冬の暮らしを体験してみることをおすすめします。

【仕事】起業支援が充実、介護職など一般企業の求人も

西会津町は新事業をサポートする支援制度があり、起業・就農する移住者が多い傾向にあります。

また、町内全域に光ケーブルが整備されており、コワーキングスペースも豊富にあるため、リモートワークも快適に行えます。

起業支援以外にも、季節ごとに複数の仕事に従事するマルチワークへの対応も進んでいます。国の制度である「特定地域作り事業協同組合」の仕組みを活用し、Uターンや移住で働き口を探している方の受け皿となるよう体制を整えています。季節に応じて農業など地方ならではの仕事に就けることが魅力です。

企業勤めを希望する移住者は比較的少ないですが、もちろん一般企業への就業も可能です。

大手求人サイトに掲載されている正社員求人数は以下の通りです。

西会津町	約90件 ※求人一例
会津若松市	約3,000件 ※求人一例

※縁結び大学調べ（2023年12月時点）

町内の求人は、介護職を中心に部品の製造や機械メンテナンスなどの職種が充実しています。選択肢を広げたい方は車で約40分の会津若松市も併せて調べてみましょう。

早期就職を目指す方は、無料職業紹介所の利用もおすすめします。こちらでは個々のニーズに合わせた働き口の斡旋を行っています。

【住まい】子育て世帯向け家賃支援あり、多様な住居選択肢

西会津町の家賃相場は以下の通りです。

町営住宅	14,500円～35,500円（※） （収入により家賃が異なります）
定住促進住宅	30,000円～42,000円（※） 【子育て世帯支援】 子ども1人につき月額15,000円減額
民間アパート	【単身・夫婦向け】 ・1K～2LDK：20,000円～40,000円 【ファミリー向け】 ・3K～3LDK：30,000～40,000円

※縁結び大学調べ（2023年12月時点）
※駐車場は1台につき月額2,500円

公式：西会津町「定住促進住宅」
公式：西会津町「町営住宅」

西会津町へ移住する方の大半が賃貸物件を希望していますが、民間アパートの数は限られています。

その代わりに、単身者から複数世帯まで居住できる町営の定住促進住宅が用意されています。子育て世帯には家賃支援が適用されるため、経済的な負担が軽減されます。また、町営住宅も選択肢の一つです。住居費を抑えたい方はこれらの選択肢を検討してみるとよいでしょう。

民間アパートを希望する場合は、移住コーディネーターを通じて空き物件を紹介してもらえます。まずは移住相談窓口に問い合わせることをおすすめします。

土地や戸建ての購入を検討している方には、空き家バンクの利用がおすすめです。

公式：西会津町「空き家バンク」

西会津町移住者の声：四季の魅力と挑戦しやすい環境

ここでは、西会津町に移住した方々の体験談と感想を紹介します。

• 冬が長い分、春の訪れに格別な喜びを感じる。
• 黄金色に輝く稲穂や鮮やかな紅葉、純白の雪景色など、四季折々の彩り豊かな景色を堪能できる。
• 先輩移住者が多く、親身になって相談に乗ってくれるので移住しやすい環境がある。
• 移住者にはクリエイティブな方が多く、新しいことにチャレンジしやすい雰囲気がある。

西会津町の魅力について、四季折々の美しい自然景観に感動する声が多く聞かれました。また、地域おこし協力隊の活動が盛んなこともあり、就農や起業など新たなチャレンジがしやすい環境だと考える人も少なくありません。

古き良き文化を大切にしながらも、新しい住民を温かく受け入れるオープンな雰囲気が印象的です。クリエイティブな活動をする方が西会津町に集まるのは、このような親しみやすい風土が背景にあると感じます。

西会津町移住前に体験：お試し住宅「Otame」の活用法

▲移住を検討している方のために移住お試し住宅「Otame」を設けている

移住先を決める際には、実際に現地を訪れて下見をすることが重要です。西会津町では、移住を検討中の方向けに移住お試し住宅「Otame」を提供しています。

この施設では最長6カ月間の滞在が可能で、その間に西会津町の生活を体験できます。さらに、滞在中は町の魅力をより深く知ることができる体験プログラムに参加することもできます。

以下では、「Otame」の特徴と体験プログラムの具体例をご紹介します。

お試し住宅「Otame」：最長6カ月滞在可能な移住体験施設

▲空き家を改修した「Otame」。モダンな要素を取り入れたおしゃれな外観

「Otame」は2020年にリニューアルされた、和テイストとモダンさを融合させた魅力的な施設です。

シェアハウス形式の移住お試し住宅であり、4つの個室と共用のリビング・キッチン・ランドリールームを備えています。

▲和の趣を感じさせる洗練されたリビング。落ち着きのある空間デザイン

共用スペースにはミーティングルームも設置されており、リモートワークにも適しています。

【お試し住宅「Otame」概要】

滞在期間	1週間〜6カ月
プログラム料金	2週間まで10,000円、1カ月まで15,000円 ※食事代・燃料費などは別途実費
個室数	和室2室・洋室2室（6畳・8畳）
設備	家具・家電、寝具、食器、掃除用具　など ※洗剤、調味料、シャンプーなどは持参が必要

施設の詳細については、以下の公式サイトでご確認いただけます。

公式：西会津町お試し移住「Otame」

多彩な体験プログラムで西会津町の魅力を実感

▲西会津町の食材をふんだんに使った郷土料理作り。囲炉裏を囲んでおいしい食事を楽しむ様子

施設の名称「Otame」は、お祝いの返礼である「お多芽」に由来します。

"新しい暮らしが多く芽吹くように"という思いを込めて、2023年に移住専門部署「西会津のある暮らし相談室」が設置されました。ここでは、移住者との交流会や滞在者の希望に沿った豊富な体験プログラムを提供しています。

【体験プログラムの一例】

▲5月頃には田植え体験ができる。就農を希望する方にもおすすめのプログラム

▲西会津町の特産品「ミネラル野菜」の収穫も体験できる

さらに、雪国暮らしの不安解消に役立つ「雪道の運転講習」といった特色ある体験プログラムも実施しています。雪道の運転に不安がある方や雪のある生活に不慣れな方は、冬の西会津町を実際に体感してみることをおすすめします。

移住前の疑問や不安を解消するためにも、体験住宅での滞在と多様な体験プログラムを積極的に活用してみてください。

西会津町への移住に関するお問い合わせ

▲移住窓口を担当するスタッフの方々。気になることがあれば気軽に相談してみよう

担当課	商工観光課「西会津のある暮らし相談室」
住所	〒969-4495 福島県耶麻郡西会津町野沢字下小屋上乙3308
電話番号	0241-45-2213（直通）
対応時間	平日 8:30〜17:15 ※事前連絡があれば土日祝日も対応可能
公式サイト	https://iju-nishiaizu.com/（西会津町移住ナビ）