秋田県にかほ市移住のすすめ:豊かな自然と子育て支援が魅力の街
秋田県の南西部に位置するにかほ市は、南に2千メートル級の鳥海山(ちょうかいさん)、西に日本海と、山と海の両方を擁する自然豊かな町です。
東京の羽田空港へは車と飛行機で合計約2時間、秋田市へは車で約1時間と、大都市へのアクセスもスムーズです。秋田県内で最も降雪量が少ない地域で、気候は比較的温暖です。
この記事では、にかほ市の魅力や移住後の暮らしに役立つ情報を、市役所の担当者にお話を伺いながら紹介していきます。
にかほ市の暮らしの魅力:3つの特徴
にかほ市は、秋田県の日本海沿岸部南端に位置する人口2万人強の町です。鳥海山の山頂から海岸線までのエリアは世界的にも珍しい地理的特徴を持ち、森林や湿原など多様な自然環境が見られます。
にかほ市での暮らしは、雄大な自然を身近に感じながら過ごしたい人や、豊かな環境でのびのびと子育てをしたい人に特におすすめです。そんなにかほ市の暮らしの特徴を、以下に3つ紹介します。
特徴1:鳥海山と日本海の恵み - 自然を満喫できる環境
▲標高約500m地点にある仁賀保高原からは、雄大な鳥海山を望むことができる
山形県との県境に位置する標高2,236mの鳥海山は東北地方で2番目の高さを誇り、「日本百名山」のひとつとして知られています。その魅力的な景観と登山ルートから、全国各地から多くの登山愛好家が訪れます。
また、にかほ市の海岸線に位置する象潟(きさかた)海水浴場は、透明度の高い海水が特徴で、「快水浴場百選」「日本の渚100選」に選ばれています。さらに、美しい夕日を楽しめることから「日本の夕陽百選」にも選ばれた人気のスポットです。
鳥海山の北側に広がる「中島台レクリエーションの森」には、天然記念物に指定された「獅子ケ鼻湿原」があります。ここでは、独特の形をした異形ブナの群生が神秘的な空間を作り出しており、特に樹齢300年の「あがりこ大王」と呼ばれるブナの木は、その圧倒的な存在感で訪れる人々を魅了しています。
他県から多くの人が訪れるような雄大な自然が身近にあるにかほ市は、自然を愛する人にとって大きな魅力のあるまちといえるでしょう。
特徴2:妊娠から子育てまで - 充実の支援制度
にかほ市では、妊娠から子育てまで切れ目のない支援制度が整備されています。子育て世帯の経済的負担を軽減し、大きな助けとなる制度が多数用意されています。
特筆すべき点として、子どもの医療費が完全無料であり、市内保育所・認定こども園の保育料と副食費が全額助成されることが挙げられます。これらの制度には所得制限がありません。
さらに、子育てに必要な物品購入や保育・育児サービスの費用を助成する「にこにこ子育て応援事業費補助金」、一時預かりや病後児保育などの費用を支援する「子育てファミリー支援事業」など、多様な支援制度が用意されています。
主な支援制度 | |
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妊娠・出産に関する支援 | 不妊・不育症治療費費助成金 妊産婦医療費助成金 すこやか子だから祝い金 |
子育てに関する支援 | 福祉医療費制度(マル福) 保育料無償化事業 子育てファミリー支援事業 にこにこ子育て応援事業費補助金 |
各支援制度の詳細については、にかほ市の移住・Uターン・お仕事支援ポータルサイト「にかほーむ」でご確認いただけます。
特徴3:生活の利便性 - 市外アクセスと充実した生活インフラ
にかほ市から東京の羽田空港へは、秋田空港まで車で約1時間、そこから飛行機で約1時間の合計約2時間でアクセスできます。
周辺の近隣都市へも移動が便利で、秋田市へは車で約1時間、山形県酒田市へは車で約45分でアクセス可能です。このため、市外での仕事も視野に入れることができます。
日常生活に必要なスーパーや商店、病院、市役所などの施設は、市街地である日本海沿岸部に集中しています。市内からは車でおおむね10分以内でこれらの施設にアクセスできるため、買い物や通院などの日常的な用事を効率的に済ませることができます。
買い物環境:2大ショッピングエリアで日常のニーズをカバー
市内には、2か所の主要なショッピングエリアがあります。
「仁賀保ショッピングセンター」と呼ばれるエリアには、大手小売店のザ・ダイソーやドラッグストア「ツルハドラッグ」、ホームセンター「コメリ」、スーパーマーケット「マックスバリュ」、家電量販店「ヤマダ電機」のほか、美容室も揃っています。
さらに、ラーメン店、和食や洋食などの飲食店も充実しており、日常生活に必要な用事はほぼこのエリアで済ませることができます。
もう一つの「武道島ショッピングセンター」は象潟町にあり、こちらにもマックスバリュ、ツルハドラッグ、コメリが入店しています。周辺にはイタリア料理や中華料理、寿司屋などの多様な飲食店も立ち並んでいます。
医療環境:市内約20件の医療機関と近隣市の総合病院
にかほ市内には一般病院である「きさかたクリニック」があり、他にも眼科や歯科、皮膚科などの医院・診療所が17か所あります。市内の医療機関が当番制で対応する休日当番医も設置されており、休日でも安心して受診できる体制が整っています。
また、隣接する由利本荘市には「由利組合総合病院」「本荘第一病院」などの総合病院があります。由利本荘市へは車で約30分でアクセス可能なため、より高度な医療が必要な場合でも十分に通院できる環境が整っているといえるでしょう。
参考:にかほーむ 医療情報
教育環境:市内の充実した学校施設と待機児童ゼロの保育
にかほ市には保育園が5か所、認定こども園が4か所あり、2021年時点での待機児童数はゼロです。小学生の子どもを放課後に預かる「学童保育クラブ」も7か所設置されており、小さい子どものいる母親も安心して働ける環境が整っています。
教育施設については、小学校が4校、中学校が3校、高校が1校あります。これらの施設により、子どもたちの成長段階に合わせた教育環境が提供されています。
交通環境:JR駅とコミュニティバスで便利な移動
▲にかほ市のコミュニティバス。路線上であれば好きな場所で乗り降りできる
にかほ市は基本的に車社会ですが、車を持たない方でも移動しやすい環境が整っています。
JRの羽越本線が市内を南北に走っており、市内の主要地区に「象潟駅」「金浦駅」「仁賀保駅」の3駅があります。
また、「羽後交通バス」がにかほ市内を南北に運行しているほか、「にかほ市コミュニティバス」は路線上であれば自由に乗り降りができるため、市民の重要な移動手段として活躍しています。特に高齢者や学生にとって便利な交通手段となっています。
にかほ市の生活基本情報:気候から特産品まで
ここでは、気候や人口、食べ物や周辺地域へのアクセスなど、実際にかほ市に住むにあたり知っておきたい情報を紹介します。
気候 | 年間平均気温は13.0度で、最低は1月の平均2.5度、最高は8月の平均25.1度 |
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人口 | 22,639人(推計人口、2022年8月1日) 20〜40歳の年齢層が比較的少ない |
交通 | 鉄道(JR東北羽越本線) バス(羽後交通、にかほ市コミュニティバス) 車(日本海東北自動車道) |
特産品 | いちじく、岩牡蠣、本ズワイガニ「にかほ本ズワイ」、日本酒「飛良泉」など |
文化・芸術 | 掛魚まつり(たら祭り)、観桜会、にかほ市花火大会など |
娯楽 | 仁賀保温泉 勢至公園(せいしこうえん) 中島台レクリエーションの森 鳥海山・飛島ジオパーク 元滝伏流水 奈曽の白滝 仁賀保高原 |
福祉 | にかほ市と商店などの事業者が連携し、地域全体で高齢者等の見守りを行う「高齢者等見守り事業」、月3~4回程度定期的に訪問し生活相談に応じる「安心生活見守り支援事業」など グランドゴルフ場や温水プール、トレーニングルームなどの運動施設 70歳以上の方は、月2回温泉・入浴施設で無料入浴が可能 |
アクセス | 東京:羽田空港から2時間(秋田空港まで1時間、秋田空港から車で1時間) 秋田県秋田市:車で1時間、電車で1時間 秋田県由利本荘市:車で30分、電車で20分 山形県飽海郡遊佐町:車で35分、電車で40分 山形県酒田市:車で45分、電車で50分 |
年間平均気温は13.0度と、秋田県内では比較的温暖な気候です。降雪量も秋田県内で最も少なく、春の訪れが最も早い地域です。
▲にかほ市の観光スポットのひとつである元滝伏流水は、「平成の名水百選」にも選ばれている
観光スポットのひとつである「元滝伏流水」は、鳥海山に染み込んだ雨水や雪が幅約30mの岩肌から湧き出している滝です。霧が立ち込める中、苔むした岩肌から5mの落差を流れ落ちる滝の様子は幻想的で、その光景を見ようと年間を通じて多くの人が訪れます。
1日約5万トンに及ぶ水量は年間を通し安定しており、「平成の名水百選」に選ばれているほか、近隣地域の生活用水や農業用水としても利用されています。
▲にかほ市の特産品の一つである岩牡蠣には、鳥海山のミネラル豊富な伏流水の恵みが凝縮されている
鳥海山の雪解け水はミネラル豊富な伏流水となって日本海の海中に湧き出し、旨味たっぷりの岩牡蠣を育てます。にかほ市の代表的な岩牡蠣の産地は、7月に解禁される「象潟」と、6月に解禁される「小砂川」の2か所です。いずれも8月末で終了するため、岩牡蠣は夏の風物詩となっています。
仕事事情:製造業中心の雇用と秋田県平均を上回る年収
大手求人サイトで調べたところ、にかほ市の求人は約700件(※縁結び大学独自調べ、2022年10月中旬現在)掲載されています。製造業が多いですが、事務職や接客業などの求人も見られます。また、農業支援制度を利用して、小菊やいちじくの栽培に挑戦する人もいます。
にかほ市は、「ものづくり企業のまち」と呼ばれるほど製造業が盛んです。製造品出荷額は、秋田県内では秋田市に次いで第2位を誇ります。
電子部品メーカー「TDK株式会社」の創業者の出身地であることから、旧・仁賀保町とその周辺にはTDKの工場や関連会社が多く集まっています。
にかほ市の平均年収は約480万円で、全国平均の約500万円をやや下回りますが、秋田県平均の約450万円を上回っています。特に製造業で働く環境が整っているため、にかほ市で仕事を探す際は、まず製造業関連の求人をチェックすることをおすすめします。
移住者向け就業支援:職業紹介から交通費補助まで
にかほ市では、移住者の就業支援のため、以下のような制度を用意しています。
支援制度 | 内容 |
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無料職業紹介所(にかほJOB) | にかほ市への居住希望者を対象とした、就職相談や求人紹介などを行う職業紹介所 |
Aターン就職促進交通費等補助金 | 秋田県へのUターン・Iターン・Jターンを指す「Aターン」就職希望者が、市内企業との採用面接等に要する交通費などを補助する制度 |
移住・就業支援事業(移住支援金) | 東京圏からにかほ市内へ移住し、就職や起業など一定の要件を満たした方に支援金を交付する制度 |
各支援制度の詳細については、にかほ市の移住・Uターン・お仕事支援ポータルサイト「にかほーむ」をご確認ください。
参考:にかほーむ 就職
起業・就農・林業支援:多様なキャリア選択をサポート
起業・創業を目指す方を対象に、にかほ市が経費の一部(最大100万円)を補助する「創業チャレンジ補助金」制度があります。この制度は、新規事業の立ち上げに伴う初期費用の負担を軽減し、地域経済の活性化を図ることを目的としています。
参考:にかほーむ 起業・創業
また、新規就農を目指す方を対象に、秋田県の農業試験場や果樹試験場などに所属して農業の技術や知識を身につけるための「未来農業のフロンティア育成研修」を実施しています。この研修では、実践的な農業技術や経営ノウハウを学ぶことができます。
林業への就業を希望される方に向けては、専門知識や技術を習得するための研修、現場見学会、実際の作業を体験できる体験講習などを提供しています。これらのプログラムを通じて、林業の魅力や実務について理解を深めることができます。
住まい探し:公営住宅と空き家情報バンクの活用
にかほ市の移住・Uターン・お仕事支援ポータルサイト「にかほーむ」には、公営住宅の情報が掲載されています。2022年10月初旬時点で8件の物件が登録されており、お住まいをお探しの方に役立つ情報が提供されています。
参考:にかほーむ 公営住宅情報
また、にかほ市の「空き家情報バンク」には2022年10月初旬現在、19件の物件が登録されています。そのうち7件が「交渉中」となっており、売り出し価格は500万円から3,500万円までと、ニーズや予算に応じて幅広い選択肢があります。
公営住宅や空き家の最新情報は、それぞれのウェブサイトで随時更新されていますので、最新の物件状況を確認することをおすすめします。
住まいの支援制度:お試し住宅から家賃補助まで
にかほ市では、移住を考える子育て世帯向けに、期間限定で移住者支援施設を貸し出しています。この施設は、実際に生活しながら定住の可能性を判断したい方や、永住先を探す準備期間として利用できます。
さらに、1日1,000円で利用できるお試し体験住宅も用意されており、2泊3日から6泊7日まで滞在可能です。この住宅では、新しい住まいや仕事を探すことができ、Wi-Fiも完備されているためワーケーションにも適しています。
移住者向けには、他にも様々な支援制度が用意されており、転入時から転入後まで継続的な支援を受けることができます。
支援制度 | 支援の内容 |
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新婚・若者夫婦・子育て移住世帯家賃補助金 | 賃貸物件に住む対象世帯に対し、12か月間家賃の一部を補助 |
若者夫婦・子育て世帯空き家購入奨励金 | 空き家情報バンク登録物件を購入した対象世帯に最大50万円を交付 |
UIJターン若者地元就職促進家賃等補助金 | 市内の民間賃貸住宅に住む40歳未満の地元就職者に家賃等の一部を補助 |
これらの支援制度の詳細については、にかほ市の移住・Uターン・お仕事支援ポータルサイト「にかほーむ」でご確認いただけます。
にかほ市移住者の声:実際の暮らしと感想
実際ににかほ市に移住された方々の声を紹介します。
- 会社の面接時の交通費補助や妊婦健診の助成が充実しています。「えっ!?無料なんですか?」と驚くほどの手厚いサポートがあります。
- 人の温かさをとにかく感じます。地域の方々に助けられながら、仕事や子育てを のびのびと行えています。
- 降雪量が不安でしたが、それほど積もらないので安心しました。買い物をする場所は限られていますが、豊かな自然環境があり、不便さは全く気になりません。
- 確かに不便を感じることもありますが、自然に囲まれた健康的な暮らしや仕事に集中して向き合う時間が増えたりと、田舎ならではの良さもあります。
移住した人たちが共通して言うのは、「人が優しく、温かく迎えてくれた」ということです。多くの人の目がある環境は、子育て中の人にとっても心強い存在となっているようです。
自然に囲まれた暮らしに満足している人も多いようです。自然豊かな環境で、人の温もりに包まれて子どもを育てていきたい人にピッタリな町だといえるでしょう。
にかほ市の移住サポート:体験から定住までの総合支援
にかほ市への移住を検討している方や実際に移住された方が利用できる支援制度や体験プログラムなどを紹介します。これらの情報は、新しい生活をスムーズにスタートさせるのに役立ちます。
移住希望者登録制度:情報収集の第一歩
移住を考えている方は、移住希望者として登録することで、にかほ市のイベントや移住に関する様々な情報を受け取ることができます。この制度を利用すると、地域の特色や生活環境、支援制度などについて詳しく知ることができ、移住の検討に役立ちます。
お試し移住体験ツアー:にかほ市の暮らしを体験
にかほ市は、市内に2泊3日程度滞在する「お試し移住体験ツアー」を実施しています。
市内の空き家や生活関連施設・商業施設の見学のほか、就業体験や地域住民との交流、温泉施設・農家民宿等への宿泊、市内イベントへの参加など、希望する内容をオーダーメイドで体験することができます。例えば、地元の農家で農作業を手伝ったり、地域のお祭りに参加したりすることも可能です。
参加費は無料で、宿泊費や食費、体験費や交通費等は自己負担となりますが、これらの経費の2分の1が5万円を上限として補助されます。
移住体験ツアーへ参加すれば、移住前ににかほ市での暮らしの雰囲気を直接体験できるため、抱いているイメージとの違いを事前に確認することができます。移住後の生活について具体的なシミュレーションをするのにも役立つため、にかほ市への移住を考えている方はぜひ利用してみてください。
現地に行くのが難しい方のために、Zoom等を使用したオンラインツアーへの参加も可能となっています。
移住イベント・相談会:オンラインでも参加可能
にかほ市では、移住を検討している方を対象とするさまざまなイベントが随時開催されています。例えば、地域の魅力を直接体験できる「まち歩き交流イベント」や、遠方からでも気軽に参加できる「オンライン個別移住相談」などがあります。これらのイベントを通じて、にかほ市の暮らしや環境について詳しく知ることができます。
定住奨励金:最大30万円の移住支援金
条件を満たして移住した申請者に、10万円が交付されます。また申請者以外の世帯構成員で交付要綱の条件を満たす人数1人につき10万円が加算され、合計で最大30万円が交付されます。
対象となる主な条件は以下の通りです:
- 3年以上県外に住んでいた方
- にかほ市に転入前に「移住希望者登録」または転入後に「移住者登録」を行った方
- 転入から1年以内に住宅を購入するか民間賃貸住宅に入居した方
詳細な条件や申請方法については、交付要綱をご確認ください。
参考:にかほーむ 定住奨励金
定住後の支援:3年間の固定資産税相当額補助
定住奨励金が交付された方には、取得した住宅などに関わる固定資産税相当額が3年間にわたり、最大20万円交付されます。
にかほ市への移住に関するお問い合わせ
担当課 | にかほ市商工政策課(相談担当:ふるさと創造班) |
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住所 | 〒018-0192 秋田県にかほ市象潟町字浜ノ田1番地 |
電話番号 | 0184-43-7600 |
対応時間 | 平日8:30~17:15 |
公式サイト | https://www.nikahome.jp/ |