福島県楢葉町で暮らす魅力とは?移住に役立つ仕事・住まい・支援の情報

この記事では移住を考えている人に向けて、福島県楢葉町の特徴や仕事、住居といった、暮らしに役立つ情報をご紹介します。

楢の文字の注釈

福島県楢葉町は、自然豊かでさまざまなアクティビティを存分に楽しめる地域です。また、先輩移住者には起業や新規就農に挑戦するなどチャレンジ精神旺盛な人が多く、移住に関する相談相手が多いことも魅力のひとつです。

今回は、一般社団法人ならはみらい移住促進係の平山さんに、地域の魅力や暮らし、支援などについてお聞きしました。

ならはみらい移住促進係・係長の平山将士さん

楢葉町の特徴を3つご紹介

福島県楢葉町の暮らしの特徴

2011年の東日本大震災では、福島第一原発事故により全町民の避難を余儀なくされた福島県楢葉町。2015年の避難解除以降は、元の町民が戻ってきただけでなく、復興支援の志を持つ若い人や、起業や新規就農を目指す人が集まってきており、新しいまちとして日々生まれ変わっています

そんな楢葉町での暮らしは、次のような方に向いています。

  • 平日は都心で働き、週末は自然に囲まれてリフレッシュしたい
  • 子どもには自然の中で色々な体験をしてのびのび育ってほしい
  • 起業や農業を始めたいが、うまくいくか心配

上記のような方におすすめの理由を、楢葉町に見られる3つの特徴から解説します。

特徴1:首都圏から日帰りでき、二拠点生活も可能

Jヴィレッジ駅
▲Jヴィレッジ駅から東京駅までは2時間50分

首都圏からは電車でも車でも2~3時間と日帰りできるアクセスのよさから、都心との二拠点生活を送っている人も多い楢葉町。海と山と川の大自然に囲まれつつ、生活環境がコンパクトに整っているので、ほどよい田舎暮らしができるところが人気です。

温かく人懐っこい人が多いので、地域コミュニティとのつながりを容易に持てそうな点も、都会とは違った魅力ですよ。現在は、完全リモートワークで「どこに住んでいても仕事ができる」という人も増えていますが、本格的な移住の前に二拠点生活を試しておけば、「イメージと違った」なんてことも防げます。

楢葉町から主要都市までの移動時間の目安は次のとおりです。

電車
楢葉町(竜田駅)→いわき駅 約30分(JR常磐線)
楢葉町(竜田駅)→東京駅 約3時間(JR常磐線+JR特急ひたち・ときわ)
楢葉町(竜田駅)→仙台駅 約2時間(JR常磐線+JR特急ひたち)
楢葉町(ならはスマートI.C.、広野I.C.)→いわき 約1時間(約30km)
楢葉町(ならはスマートI.C.、広野I.C.)→東京 約2時間20分(約250km)
楢葉町(ならはスマートI.C.、広野I.C.)→仙台 約1時間50分(約120km)

また、移住前支援として、視察の際には旅費の補助がありますので、楢葉町への移住を検討している人はぜひ活用してください。

ふくしま移住希望者支援交通費補助金
東京8,000円(現住所により支給額が異なる)
1人当たり、1年度につき1回
条件 18歳以上、福島県外在住で、近い将来に福島県内への移住を希望または検討している人

※詳しくは福島県ホームページにてご確認ください。

公式:【福島への交通費をお得に!】ふくしま移住希望者支援交通費補助金

ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金
東京8,000円(現住所や交通手段により支給額が異なる)
1人当たり、1年度につき5回(宿泊費補助は5泊)まで
条件 20歳以上、福島県外在住で、近い将来に、楢葉町を含む12市町村内への移住を希望または検討している人
【対象となる現地活動】
(1) 現地活動の例
  • 福島県内での生活環境、事業実施可能性などの相談や調査
  • 就職のための企業訪問
  • 空き家などの住まい探し
(2) 訪問していただく場所 ※1回の申請でどちらも訪問する必要があります
    • 移住を検討している市町村等
    • (センターの担当者、市町村が設置する移住相談窓口等の担当者、福島県移住コーディネーター、ふくしま暮らしサポーターなど)

  • 民間事業者等
  • (就職や就農等の面接先、不動産事業者、現地活動先の地域住民や先輩移住者など)

※詳しくは福島イノベーション・コースト構想ホームページにてご確認ください。

公式:【移住支援センター】ふくしま12市町村移住支援交通費等補助金について

特徴2:アクティビティを存分に楽しめる

楢葉町は、まちの東側が太平洋に面し、中央部と西部は阿武隈山地、そして東西を井出川と木戸川が流れています。海と山と川が絶妙に近い距離にあるため、一日で周遊できるアクセスの良さが魅力です。

昨今のアウトドアブームでとくに人気があるのが、天神岬スポーツ公園です。太平洋が一望できるこちらの公園では、お子さん用のアドベンチャー広場やドッグラン、キャンプ場、バーベキュー場が整備されています。バーベキュー場は手ぶらで楽しめるプランが大好評。

また、敷地内には天神岬温泉しおかぜ荘があり、日帰り入浴が可能です。思い切り遊んでバーベキューでお腹がいっぱいになったあとは、太平洋を眺めながら、温泉を楽しみましょう。

天神岬スポーツ公園のオートキャンプ場
▲オートキャンプ場は炊事場、AC電源が備え付け。広々スペースで混雑時でもゆったり過ごせる

天神岬温泉しおかぜ荘の露天風呂
▲天神岬温泉しおかぜ荘では、太平洋を臨む露天風呂など7種類のお風呂が楽しめる

また、現在木戸川上流の木戸ダムでのカヤックやSUP(スタンドアップパドルボード)、木戸川渓谷を活用したトレッキングなど体験型アウトドアプログラムの常設化にも取り組んでいます。

特徴3:移住だけでなく、起業や新規就農を目指す人もしっかりサポート

楢葉町では、移住相談窓口が充実しており、オンラインでの相談や現地視察を随時受け付けているだけでなく、住んでからもサポートを続ける伴走支援が整っています。相談スタッフもみなさん移住者ですから、移住への不安に寄り添ってもらえます。

また、移住相談窓口では、仕事に関する相談も受け付けています。とくに、起業や新規就農を目指す人への支援が手厚く、移住を機に新しいことにチャレンジしたい人にぴったりのまちと言えます。実際に、チャレンジ精神旺盛な先輩移住者が多くいますので、相談しやすい環境です。

移住相談窓口である「ならはスタートアップ・プレイス コドウ」のみなさん
▲移住相談窓口である「ならはスタートアップ・プレイス CODOU/コドウ」では、移住や仕事について、移住者からのアドバイスを受けられる

楢葉町の暮らしに関する情報

道の駅ならはの外観
▲日帰り温泉もある道の駅ならは。フードコートの人気メニューは「ならは海鮮タンメン」

ここからは、楢葉町の暮らしに関する情報について見ていきましょう。

気候 8月平均気温:24.0℃
1月平均気温:3.3℃
※参考:気象庁
楢葉町内に観測地点が無いため、直近の広野地点を参照
人口 人口:6,610人
世帯:3,135戸
(令和5年1月31日現在)
病院 病院・クリニック:5件
歯科:1件
学校 認定こども園:1園
小学校:1校
中学校:1校
文化・芸術 大瀧神社の浜下り
サマーフェスティバル
秋空散策あるこう会inならは
ならSUNフェス
ウィンターイルミネーション
食べ物 楢葉の風
マミーすいとん
ふくしま 木戸川の水
木戸川の鮭
ゆず
交通 【鉄道】
JR東日本常磐線:Jヴィレッジ駅、木戸駅、竜田駅

【バス】
・新常磐交通
・お買い物バス(週2回4コース)

【高速道路】
常磐自動車道:ならはスマートI.C.
観光・レジャー 天神岬スポーツ公園
天神岬温泉 しおかぜ荘
みるーる天神
道の駅ならは
天神原遺跡
木戸川鮭簗場
木戸川渓谷
木戸ダム
ここなら笑店街
みんなの交流館 ならはCANvas
Jヴィレッジ
JAEA楢葉遠隔技術開発センター(NARREC:ナレック)
小山浄水場
上繁岡大堤の桜
清隆寺のシダレザクラ
大滝神社のじいスギ・ばあスギ
塩貝の大カヤ
近隣都市 いわき市
田村市
南相馬市

楢葉町は1年を通して過ごしやすい気候で、雪が降ることは年に1~3回程度です。

楢葉町内にはスーパーマーケットやコンビニ、ホームセンター、道の駅などがあります。町内をお買い物バスが週に2回・4ルート走っており、移動販売もあります。隣町の広野町にはイオンもあるので、買い物にそれほど不便はなさそうです。さらに大きい商業施設に行きたいときは、車か電車でいわき市に行くことになります。

病院・クリニックは5件、歯科が1件あります。小児科と産婦人科がないので、いわき市の医療機関を受診することになります。調剤薬局は町内にありますが、ドラッグストアは隣町の富岡町まで行く必要があります。

また、町内外から集う方々の交流の場として開館した「みんなの交流館ならはCANvas」は、地域や世代を超えた出会いや交流によって、こころの復興を目指す施設です。「1人でも誰とでもゆっくり過ごせる」がコンセプトのひとつで、電源とフリーWi-Fiが使用可能なので、リモートワークにもよいですね。敷地内にある「ここなら笑店街」には、スーパーや飲食店、ベーカリーなど計10店舗が並び、買い物客でいつもにぎわっています。

みんなの交流館ならはCANvas。夜の外観
▲夜の「みんなの交流館ならはCANvas」。温かい灯りがまちを照らします

【子育て】地元への愛着を育み、地域住民とのつながりが深められる

楢葉町は、日本で初めて「地域学校協働センター」を立ち上げたまちです。地域住民が先生となって、ヨガや太鼓の練習、スキー教室など、さまざまな試みを行っています。子どもたちに地元への愛着を持ってもらうとともに、学校を核として地域住民とのつながりを深めるための活動で、参加費は無料となっています。
※年度始めに保険料のみ自己負担

子育て支援としては、子育て世帯への住宅取得奨励金や、3人目以降に30万円支給する出産祝い金、0~18歳のお子さんを対象とした医療費助成、高校への通学にかかる電車・バス定期代の実費分を助成する制度があるほか、「東日本大震災にかかる小・中学生の就学支援」として、学用品費、給食費、クラブ活動費、修学旅行費、PTA会費などに充ててもらうための補助を行っています。

平山さん
平山さん

楢葉町ではお子さんが多いご家庭が目立ちます。

【仕事】町内外で仕事を探せる。起業や新規就農は支援制度あり

大手求人情報サイトで楢葉町の求人を調べたところ、約330件ヒットしました。
※求人情報の一例

楢葉町には工場が多いため、いわき市から楢葉町に通勤する人もいるとのこと。また、いわき駅まで電車で約30分ということもあり、町内からいわき市に通勤する人が多いです。町内・町外どちらで働くとしても、通勤時間はあまり長くならずに済みそうですね。

前述した通り、楢葉町では、起業や新規就農に関する支援がたくさんあります。楢葉町の移住情報サイト「トライナラハ」では、各種支援制度の検索ができます。どんな支援を受けられそうか、ぜひ検索してみてください。

公式:楢葉町の移住情報サイト「トライナラハ」/支援制度検索

起業や新規就農に関する主な支援制度

ここでは、楢葉町の起業や新規就農に関する主な支援制度を紹介します。

福島県12市町村起業支援金(令和4年分は終了)
補助金額 補助対象経費の3/4以内、最大400万円
条件 連続して3年以上福島県外の地域に在住していたこと
2011年時点で楢葉町を含む12市町村に居住していた以外の人
地域課題解決型起業支援事業補助金(令和4年分は締切)
補助金額 補助対象経費の1/2、上限200万円
条件 福島県が抱える課題に対し、「社会性」「事業性」「必要性」の観点を持って新たに創業する人及びSociety5.0関連業種等の付加価値の高い産業分野で第二創業する人
新規就農者賃貸住宅家賃補助事業
補助金額 家賃月額の1/2かつ2万円を上限に補助
条件 新規就農者または農業法人への就職・研修者
認定新規就農者住宅取得奨励金
補助金額 奨励金100万円
条件 認定新規就農者に対し、新規で住宅を取得した場合に奨励金を交付

公式:楢葉町の移住情報サイト「トライナラハ」/支援制度検索

【住まい】移住促進住宅あり。単身者向けワンルームも多いが、少々お高め

大手住まい情報サイトで楢葉町の賃貸物件を調べたところ、24件がヒットしました。比較的物件数の多い単身者向けワンルームは5~6万円とやや高めです。
※賃貸物件の一例

移住相談窓口では、移住促進住宅や町営住宅など、公営住宅の情報を案内しています。家族構成やニーズに合わせて住まい探しを相談しましょう。

住まいに関する主な支援制度

ここでは、楢葉町の住まいに関する主な支援制度を紹介します。

福島12市町村移住支援金
補助金額 単身120万円、世帯200万円
条件 連続して3年以上福島県外の地域に在住していたこと
過去に移住支援金の交付を受けた人ではないこと
2011年3月11日時点で楢葉町を含む12市町村に居住していた人以外であること
週20時間以上の無期雇用契約を法人と契約している、または自ら事業を営んでいること
原則、公務員・3セクへの就業ではないこと(ただし、医療・福祉・介護・保育等の現業職員は除く)
来てふくしま住宅取得支援金
補助金額 子育て住宅取得奨励金に最大100万円に加算(市町村分を受給できる人のみが受け取れる)
条件 県外からの移住者
子育て住宅奨励金の受給者のみ対象(同時申請しか受け付けない)
「住んでふくしま」空き家対策総合支援事業
補助金額 改修:補助対象経費の1/2以内、最大150万円 清掃:補助対象経費の10/10、最大30万円
条件 登録住宅:空き家バンクに3ヵ月以上登録されている建物
空家住宅:3ヵ月以上居住等で使用されていない建物
結婚新生活支援事業
補助金額 住居費・引越費の実費分、上限30万
条件 夫婦ともに39歳以下、引っ越し先が楢葉町内

公式:楢葉町の移住サポートサイト「トライナラハ」/支援制度検索

楢葉町に移住した人の声・感想

福島県楢葉町移住者の声

次に、楢葉町に移住した方の感想をご紹介します。

  • 大人が子どもたちを優しく見守っているし、自然に囲まれ、子育てにはとてもよい環境。子どもたちものびのび素直に育ってくれている
  • 移住して暮らしに余裕ができたので、もっと子どもがほしいと思い、第三子を出産した
  • 子ども園の入園児数が増えていたり、お祭りが開催されていたり、想像以上に復興が進んでいた
  • 太平洋に面し、川の上流に上れば渓流釣りが楽しめる。釣り好きには素晴らしい環境。
  • Uターンで久しぶりに楢葉に戻ってきたら、震災前の田園風景から、商業施設や交流施設のあるまちへと生まれ変わっていた。まったく別のまちのように感じて最初は戸惑った

豊かな自然や町民の温かい雰囲気などが好評のようですね。子育て世帯や、のんびりゆとりのある暮らしをしたい人にとくにおすすめと言えそうです。

楢葉町へ移住するために利用したい窓口・支援

楢葉町のお試し住宅の外観
▲家具・家電付きのお試し住宅に滞在しながら、じっくり住まいを探してみては

楢葉町への移住を考えたら、まずは現地に足を運びましょう。旅費は「ふくしま移住希望者支援交通費補助金」などを活用するとよいでしょう。移住サポーターとの会話を通して、楢葉町でどんな暮らしをしたいかイメージがわいてくるはずです。

移住を決めたら、お試し住宅に短期滞在をしながら町内での生活を実際に体験してみることをおすすめします。使用期間は最長14日間なので、住まい探しや仕事探しの拠点として利用できますし、移住前に町内のさまざまなスポットをチェックできます。

公式:楢葉町の移住情報サイト「トライナラハ」/お試し住宅の利用者募集開始

楢葉町への移住に関するお問い合わせ

移住相談窓口 ならはスタートアップ・プレイス CODOU/コドウ
住所 〒979-0513
福島県双葉郡楢葉町大字山田岡字堂ノ下6番4
電話 0240-23-6271
公式サイト https://codou.narahamirai.com
SNS Twitter
Facebook
Instagram