秋田県八峰町移住ガイド:豊かな自然と充実した支援制度が魅力
この記事では移住を考えている人に向けて、秋田県八峰町(はっぽうちょう)の特徴や仕事、住まいといった、暮らしに役立つ情報をご紹介します。
秋田県八峰町は秋田県北西部、秋田県と青森県の県境に位置し、面積の80%近くが森林で占められています。基幹産業として菌床しいたけや米をはじめとした農業や、ハタハタ等を水揚げする漁業が盛んです。若手漁師らを中心にサーモン養殖も行われています。
今回は、八峰町役場 企画財政課広報企画係の田村さんに、地域の魅力や暮らし、移住支援などについてお聞きしました。
秋田県八峰町の魅力:移住を考える人に知ってほしい3つの特徴
八峰町の広大な森林は白神山地の一部で、秋田白神県立自然公園に指定されているエリアもあります。また、八森地区の海岸も八森岩館県立自然公園に指定されており、八峰町は2つの県立自然公園を有する自然豊かなまちです。
そんな八峰町での暮らしは、次のような方に適しています。
- 子育て支援が充実しているまちに住みたい
- 新規就農をしたい
- 移住先では戸建ての新築や空き家購入を検討している
上記のような方に適している理由を、八峰町に見られる3つの特徴から解説します。
特徴1:充実した子育て支援と先進的なICT教育
▲八森子ども園の園庭で遊ぶ子どもたち
八峰町では、子育て支援に力を入れています。ここでは、経済的な支援の一部をご紹介します。
赤ちゃん誕生祝い金 | 1人につき10万円 |
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福祉医療費助成制度 | 0歳~18歳の子どもの医療費を助成 |
チャイルドシート購入費助成事業 | 子ども1人につき1台、購入金額の半額助成(上限1万円) |
保育料助成事業 | 3歳児未満は半額免除 |
育児助成金支給事業 | 小・中学校入学時に3万円を支給 |
給食費助成事業 | 小・中学校給食費を半額免除 |
八峰町は、学校教育においては、「ふるさとを愛し、豊かな心をもち、力強く生き抜く人間の育成」を目標に、ふるさと教育の充実に努めています。地産地消の学校給食も地元への愛着につながっています。
また、八峰町では、2011年から先進的なICT(※)教育を行っています。2018年には「日本ICT教育アワード審査委員長賞」を受賞し、他校のロールモデルとなっています。
(※)「Information and Communication Technology」の略称で「情報通信技術」のこと
町内の全学校、全クラスに大型モニターを配置するとともに、児童・生徒に1人1台タブレットを支給、学習支援員による補助も行っています。ICT機器の効果的な活用による学力の向上とともに、情報リテラシーの習得にもつなげています。
▲小学校の授業の様子。最先端のICT教育が実践されている
特徴2:新規就農者向けの手厚い支援制度
▲菌床しいたけ栽培。若者が活躍している
八峰町は就農支援が充実しています。周囲の協力を得て、さまざまな人の話を聞きながら農業を始めることができるので、新規就農を目指す人におすすめのまちといえます。
八峰町では、町が特産化をすすめている菌床しいたけの栽培方法を、最長2年間、毎月給料の支払いを受けながら研修することができます。対象者は45歳未満で、栽培研修終了後は新規就農者として独立し、国の助成制度を受けられます。
また、「農業次世代人材投資資金」として、就農前の研修を後押しする資金(2年以内)と就農直後の経営確立を支援する資金(3年以内)を最大690万円交付するほか、「農業夢プラン応援事業」として、機械などの整備に要する経費を最大1/3補助する制度があります。
▲八峰町の「あきたこまち」は、ふるさと納税の返礼品としても人気
特徴3:移住者向け住宅支援と手頃な空き家活用制度
▲定住促進用空き家活用住宅
八峰町では民間の賃貸物件がとても少ないようです。
八峰町では空き家バンクが利用できます。また、「定住促進用空き家活用住宅」も利用できます。「定住促進用空き家活用住宅」とは、空き家所有者から町が10年間空き家を借上げ、リフォームした物件のことです。月額家賃が2.5万円~3.5万円と手頃なので、気に入った物件があればぜひ活用してください。
八峰町では、住まいづくり応援事業として、空き家の購入やリフォーム、新築にかかる費用を補助しています。秋田県は土地価格の安い都道府県第1位(※)です。移住を機に戸建の購入を検討してもよいかもしれませんね。
(※)株式会社Land Price Japan「公示地価 都道府県ランキング2021年」
リフォーム支援事業 | 補助率15%・上限100万円 ※移住者で子育て世帯(夫婦のいずれかが40歳未満の婚姻世帯または18歳以下の子どもを扶養している世帯)または支え合い世帯(65歳以上または要介護認定を受けた人と40歳未満の子等が同居、または同一敷地内で生活する世帯)の場合 |
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空家購入等支援事業 | 補助率50%・上限50万円 |
新築支援事業 | 補助率100%・上限200万円(町外業者が施工した場合は50万円) ※子育て世帯または支え合い世帯に限る |
▲定住促進用空き家活用住宅の内部。リフォームされ明るい雰囲気に
八峰町での生活:移住後の暮らしに役立つ具体的情報
▲八森地区のまち並み。奥には白神山地、左手には日本海が見える
ここからは、八峰町の暮らしに関する情報をご紹介します。
気候 | 八峰町に観測地点がないため、近隣の能代のデータを掲載 8月平均気温24.3℃ 1月平均気温0.2℃ ※参考:気象庁 |
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人口 | 人口約6,400人 世帯:約3,000戸 (令和5年4月30日現在) |
病院 | 病院・クリニック:3軒 歯科:2軒 |
学校 | 保育施設:2所 小学校:2校 中学校:1校 |
交通 |
【空港】 【車】 |
近隣都市 | 能代市 |
八峰町では鉄道が走っていますが、車があった方がよいでしょう。
デマンド乗合交通と巡回バスもありますので、こちらも活用してください。デマンド乗合交通は町内を運行しており、1回400円(未就学児無料・マイナンバーカード提示で100円割引)で乗車できます。巡回バスは、町内各所から隣の能代市に近い「道の駅みねはま」までを結び、能代方面行の秋北バスに接続しています。料金は1回100円(未就学児無料)です。
▲八峰町内を走るデマンド乗合交通
八峰町内にスーパーマーケットはなく、個人商店やコンビニ、ホームセンターなどで買い物をすることになります。車で約20分の能代市で買い物をする人も多いようです。
八峰町の冬は、日本海側特有の北西の強い季節風が吹き、積雪は平野部で10~50cm、山間部では100cm以上です。住まいが海側か山側かによって積雪量が大きく変わるので、下見の際によく確認しておきましょう。
また、八峰町民が大館能代空港を利用し、期間内に申請すると、航空運賃の一部が助成を受けられます(片道2,000円・往復4,000円)。旅行や帰省などの際に活用しましょう。
子どもの遊び場:自然を活かした公園や温泉、海浜プールが充実
▲ポンポコ山公園の遊具で遊ぶ子供たち
子どもの遊び場については、「ポンポコ山公園」がおすすめです。屋外に遊具、屋内に滑り台などの室内遊具があり、一日中楽しめます。ドライバー気分が味わえるバッテリーカーは子どもに人気です。バンガローもあるので、泊まることもできます。また、八峰町観光協会が敷地内にあるので、観光案内もしてくれます。移住後の遊び場によさそうですね。
八森地区の「八森いさりび温泉ハタハタ館」は、キャンプの際の日帰り温泉として人気で、町内外から観光客が訪れます。日本海を眺めながら、ゆったりとお湯に浸かれます。料理のテイクアウトもできるので、キャンプの食事にも便利です。
「岩館海岸海浜プール(いわだてかいがんかいひんぷーる)」は、岩浜を防波堤で区切り、砂浜を造成した、海水が入り込むプールです。波の心配がなく、小さなお子さんでも楽しめます。開設時期は7月中旬〜8月中旬です。
▲「岩館海岸海浜プール」。管理棟にはコイン式の温水シャワーが完備されている
仕事情報:近隣地域の求人と八峰町の起業支援制度
▲秋田名物八森ハタハタ漁
大手求人情報サイトで八峰町の求人を調べたところ、約40件ヒットしました。
※求人情報の一例
通勤時間30分圏内の25km以内で求人を調べると、1,400件ヒットしました。能代市など近隣地域も含めて仕事を探すとよさそうです。
※求人情報の一例
八峰町では秋田県と協働し、地方創生推進交付金を活用して、移住支援金を支給しています。該当する人は活用してください。
秋田移住支援金 | 東京圏から八峰町に移住し、秋田移住支援金マッチングサイトに登録されている企業に就業し、対象要件を満たす人に、単身での移住に60万円、世帯での移住に100万円を支給 ※18歳未満1人につき100万円を加算。 |
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また、八峰町では起業支援を行っています。起業チャレンジ応援事業(減価償却資産の購入費用を最大50万円×3年間補助)など支援が充実していますので、産業振興課(TEL:0185-76-4605)へご相談ください。
八峰町では、漁業に取り組みたい人向けに、秋田県などが主催する漁業スクールトライアル研修を開催しているほか、林業に就きたい人には能代山本地域の林業に関する事業者を紹介しています。詳しくは、移住相談窓口へご相談ください。
八峰町移住者の声:自然環境と地域の温かさが魅力
次に、八峰町に移住した方の感想をご紹介します。
- 子育て支援が充実していて、環境もよく、子育てがしやすい
- ご近所さんや職場の人が優しく、「困っていることはないか」と気にかけてくれる
- 仕事をしている中で、地域の皆さんの「八峰町を良くしたい」という思いを感じる
- 日本海と白神山地が揃っているので、海と山を楽しめる
移住者の皆さんは、Uターンや知り合いを頼って移住してきた人が多いようです。また、地域の人々は移住者に対して優しく、野菜のお裾分けをしてくれたり、魚を捌いてくれたといった声も聞かれました。
八峰町への移住ステップ:相談窓口と支援制度の活用方法
▲白神山地を気軽に体感できる留山のブナ
八峰町への移住を考えて情報収集をしたら、下見に行ってみましょう。春から夏がおすすめです。春は、信号のない海辺を走るのが気持ち良い季節ですので、ツーリングをする人にはとくにおすすめです。白神山地への観光もするなら、新緑か紅葉の時期がよいでしょう。
また、一度は冬にも下見をして、冬の風の強さを体験してください。
移住体験ツアーはオーダーメイドで行っています。年間を通して募集していますので、ぜひご参加ください。
八峰町移住相談窓口:具体的な問い合わせ先情報
移住相談窓口 | 八峰町 企画財政課広報企画係 |
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住所 | 〒018-2502 秋田県山本郡八峰町峰浜目名潟字目長田118 |
電話 | 0185-76-2111(代表) |
公式サイト | 八峰町 移住・定住情報 |