古殿町への移住はどう?暮らし・仕事・住居・支援内容を解説

この記事では、地方移住を検討している方に向けて「福島県古殿町(ふるどのまち)」での暮らしや移住情報をご紹介します。

福島県の南東部、石川郡に属する古殿町は、阿武隈山系の標高300m~500mに広がる自然豊かなまちです。面積の約80%を森林が占めており、農業や林業が盛んに行われていることから、自然に囲まれた暮らしがしたい方、農業・林業にチャレンジしたい方などから人気の移住先となっています。

さらに「18歳までの医療費が無料」「小中学校の給食費が無料」といった魅力的な子育て支援が整備されている点にも注目が集まっており、経済的にゆとりある子育てライフを送りたいファミリーにもおすすめです。

今回は古殿町役場の産業振興課で商工観光係長を務めていらっしゃる平松さんにお話を伺いながら、古殿町での暮らし・仕事・住居・支援内容などを詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

本日お話を伺った方
古殿町役場の平松さん

古殿町役場 産業振興課 商工観光係長

平松さん

古殿町の暮らしとは?主な3つの特徴をご紹介

古殿町役場の暮らしの特徴

古殿町は最寄りの磐城石川駅(石川町に所在)から車で約25分、福島空港からは車で約40分の距離にある、山あいの小さなまちです。800年以上の歴史を持つ「流鏑馬(やぶさめ)」をはじめとした伝統行事が深く根付いているほか、樹齢400年の「越代のサクラ」も有名で、どちらも地域のシンボルとなっています。

越代のサクラの風景
▲越代のサクラは4月下旬から5月上旬が見頃。シーズン中は「越代のサクラ祭り」も開催されて多くの観光客が訪れます

公式:古殿の桜

そんな古殿町には遠方からの移住者が多く、観光等で初めて訪れた方が「ここに住みたい!」と定住を決めるケースも多いのだとか。その理由としては、大きく分けて以下の3点が挙げられます。

具体的にどのような魅力があるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

特徴1:豊かな自然に囲まれた静かな住環境

古殿町の自然風景

古殿町は深い山と森に囲まれており、日々の暮らしのなかで四季折々の美しい風景を堪能できます。特に標高841.2mの三株山山頂にある展望台からの眺めが絶景で、那須連峰や日光連山、さらにお天気の良い冬場は富士山も望むことができる風光明媚なまちです。

三株山には登山ルートもいくつか整備されており、南登山口からは約15分で山頂に到達できます。初心者でも比較的登りやすいため、移住を機に登山を始める方も多いそうです。

公式:三株山

古殿町役場の平松さん
平松さん

福島県が誇る名峰・磐梯山の登山口にも車で1.5時間ほどでアクセスでき、よりしっかりとした登山も比較的手軽に楽しめます。

公式:磐梯山

また、車を1時間ほど走らせれば海やスキー場もあり、年間を通して自然のアクティビティを楽しめる環境です。

そんな自然豊かな山間のまちであることから、静かで落ち着いた暮らしを送れることもおすすめポイント。生活音を気にする必要のない穏やかな環境で、のびのびとスローライフを満喫できます。

特徴2:移住者に優しいアットホームな雰囲気

古殿町の方々

移住者に対してウェルカムな姿勢の町民が多く、古殿町での暮らしに馴染みやすいことも大きな魅力です。住み始めた人がいると、すぐに声をかけてサポートする雰囲気がまち全体に根付いています。

古殿町役場の平松さん
平松さん

「食べ物に困ってない?」と、自分の畑で採れた野菜を移住者にお裾分けしている光景もよくみかけますよ。ちなみに公民館が実施している教室や、古殿町の地域体験プログラムを運営する「フルドノタイム」などが主催するイベントに参加していただくと、知り合いが増えてより早く溶け込めると思います。

公式:古殿町「公民館各種教室」
公式:フルドノタイム

フルドノタイム主催の田植えイベント
▲「フルドノタイム」では、地元の農家の方と一緒に田植えを体験できるプログラムなどを開催

古殿町の方が行事の準備をしている様子
▲地元想いの気さくな方がたくさん。行事の準備も町民が一丸となって行います

特徴3:子育て支援が充実!農業・林業に関する教育も魅力的

古殿町では子育て支援が充実しており、以下のような制度を利用しながらゆとりを持って子育てライフを送れます。

出産・子育て応援ギフト ・妊娠届出を行った妊婦を対象に5万円を支給
・出生届を提出し、赤ちゃん訪問等の面談を受けた方を対象に5万円を支給
子ども医療費助成 0歳から18歳までの子どもの医療費が無料
給食費助成 小中学校の給食費が無料
古殿町高校生児童手当 養育する高校生ひとりあたり月額5,000円を支給

公式:古殿町「妊娠・子育て」

また、教育面においても古殿町ならではの特色があります。町内の小・中学校では豊かな自然を活かした教育に力を入れており、児童は学校の授業の一環としてさまざまな自然体験を楽しむことが可能です。

たとえば林業に関する授業であれば、木を切る体験や、木材でものづくりを行う制作体験など。また、農業の授業では田植えから稲刈りまでの一連の流れを体験でき、収穫したお米をみんなで食べる食育活動が行われています。

古殿町の田植え教室の様子
▲裸足で田んぼに入り、苗を手で植える作業を通して農業の大切さを学びます

なお、古殿町にはこども園が1園、小中学校も1校ずつのみであることから、中学校まで一貫した教育を受けられる点も大きな特徴です。

古殿町役場の平松さん
平松さん

子どもの遊び場としては「憩いの森公園」が人気です。未就学児のいるご家庭は健康管理センターのお子様用スペースで遊ばせたり、育児相談をされたりしているケースが多いですよ。

憩いの森公園の芝生広場と遊具
▲憩いの森公園には芝生広場や遊具があり、自然に囲まれながらのびのびと身体を動かせます

公式:憩いの森公園

古殿町の暮らしに関する情報

続いては、気候や病院、学校、交通など、古殿町での暮らしに関連するお役立ち情報をまとめました。

気候 1月:平均気温4.8℃
8月:平均気温29.1℃
※参考:気象庁ホームページ
人口 約4,500人(2024年8月31日時点)
病院・クリニック 約4院
学校 保育施設:1園
小学校:1校
中学校:1校
名所・観光 古殿八幡神社、ふるどの桜街道、道の駅ふるどの おふくろの駅 など
行事
・イベント
流鏑馬大会、古殿八幡神社例大祭など
交通 【鉄道】
町内に路線なし

【バス】
福島交通
※磐城石川駅(石川町)と町内各地を結ぶ路線が運行

【道路】
国道349号
県道14号いわき石川線(御斉所街道)
県道20号いわき上三坂小野線
県道63号古殿須賀川線
県道71号勿来浅川線 など
近隣都市 いわき市
石川郡石川町
石川郡平田村
東白川郡鮫川村

古殿町にはスーパーやドラッグストア、ホームセンターといった商業施設があり、食料品・日用品のお買い物に困ることはありません。それ以外のショッピングや映画などのレジャーを楽しみたい場合は、車で1時間ほどでアクセス可能ないわき市や郡山市へ足を運ぶとよいでしょう。

注意点としては、高校からは町外へ出向く必要があることです。最も近い立地にあるのが石川町にある2つの高校で、バスや親の送迎での通学が基本となっています。

古殿町役場の平松さん
平松さん

大学は福島県内に複数のキャンパスがありますが、県外へ行かれるケースも少なくありません。

仕事情報:ジャンルを選ばなければ町内にも十分な求人あり

大手求人サイトで古殿町における正社員の求人を検索したところ、75件ほどがヒットしました。25km圏内まで範囲を広げると1,000件以上が該当したため、さまざまなジャンルから仕事探しを行いたい場合は町外も含めて検討することをおすすめします。

参考:古殿町内における正社員求人の一例(2024年9月5日時点)
参考:古殿町外における正社員求人の一例(2024年9月5日時点)

古殿町役場の平松さん
平松さん

実際にいわき市や郡山市といった都市部で働く方が多いですが、町内でもジャンルを選ばなければ求人は十分あります。町内では、特に電子部品工場や食品製造工場での求人が多い印象です。

なお、古殿町における世帯年収の相場は約479万円です。生活に必要な収入の目安として、ぜひ参考にしてみてください。

参考:古殿町における世帯年収相場の一例(2024年9月5日時点)

ちなみに、古殿町では以下の就業支援を実施しているため、東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)から移住される場合はぜひ支援制度を活用するとよいでしょう。また、新規就農者を対象とした就農支援もあることから、移住を機に農業にチャレンジするのもおすすめです。

移住支援金 東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)から古殿町に移住した人がマッチング支援対象の求人を充足して定着に至った場合、または起業支援金の交付決定を受けた場合に、予算の範囲内において移住支援金を交付
※世帯の申請の場合:100万円/単身の申請の場合:60万円
戦略的産地づくり総合支援事業 認定新規就農者 営農組織法人を対象に、農業関連設備整備に対して補助率7/10の補助を実施

公式:古殿町移住支援事業における移住支援金交付要綱
公式:ふくのう「戦略的産地づくり総合支援事業」

男性スタッフのアイコン
平松さん

古殿町では、春は山菜、夏はミニトマトや大豆などの栽培が盛んです。就農にご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。

住まい情報:土地が安く、マイホームを手に入れやすい

大手不動産情報サイトにて古殿町内の住宅情報を検索したところ、2024年9月5日時点では賃貸物件が2件、土地が1件見つかりました。土地は福島県内においてトップクラスの安さとなっているため、移住を機にマイホームを手に入れたい方はぜひチェックしてみるとよいでしょう。

参考:古殿町における賃貸物件情報の一例(2024年9月5日時点)
参考:古殿町における土地情報の一例(2024年9月5日時点)

古殿町役場の平松さん
平松さん

公開情報は少ないですが、町で管理している土地もあります。タイミングが合えば役場のほうでご案内可能ですので、ぜひお気軽にお問合せください。

なお、古殿町では以下のような住宅支援を実施しているため、住宅取得時にぜひ活用するとよいでしょう。

古殿町移住定住促進補助金 町外から古殿町へ定住するために住宅を取得する子育て世帯や若者世帯の方を対象に補助金を交付

〇基本補助金
・新築住宅又は建売住宅:100万円
・中古住宅:50万円

〇加算補助金
・住宅用地購入加算:25万円
※200平方メートル以上の用地を100万円以上(土地の造成工事費含む)の費用で取得した場合に加算
・町内建設業者建築加算:10万円
※新築または建売住宅取得にあたり、町内建築業者が建築する場合に加算
・子育て世帯加算:10万円/人(最大3人まで)
※義務教育が未修了の子どもを養育している場合に加算
木造住宅建築支援事業 一定の町産材を利用して住宅を新築、または増改築した場合に補助金を交付
新築:50万円
増改築:30万円
※建築主が町外から転入(UIJターン)して3年以内に申請した場合、転入した人数に5万円を乗じた額を加算
※町内の建築業者が施工した場合に10万円を加算

公式:古殿町「住宅補助金」

古殿町へ移住した方の体験談
福島県古殿町に移住した人の声

ここでは、実際に古殿町へ移住した方の声をいくつかご紹介します。

  • 「越代のサクラ」に心が動かされて地域おこし協力隊に応募し、移住しました。自然豊かで穏やかな空気感がとても気に入っています。
  • 農業体験を通じて古殿町に魅了され、結婚・出産と同時に移住しました。子育て支援が手厚く、経済的に助けられながらのびのびと過ごせています。
  • 地元の方々と一緒に収穫した食材でBBQするなど、地域の方との交流を満喫しています。

古殿町へ移住した方の多くが、自然あふれる環境やアットホームな雰囲気などを高く評価していました。また、小さい頃から自然体験をさせてあげられること、子育て関連の支援制度が充実していることから、「子育てのメリットが大きい」と感じている方も多い印象です。

古殿町への移住ステップ

古殿町への移住に興味をお持ちの方は、まずは古殿町役場の産業振興課に相談しながら情報収集を行うとよいでしょう。また、実際に現地を訪れて「自分に合っている生活環境かどうか」を確認することも大切です。

古殿町役場の平松さん
平松さん

古殿町での暮らしを体験されたい場合は、まちの集会施設である「大網庵(おおあみあん)」をご利用いただくことも可能です。ご希望の場合は産業振興課までお気軽にご連絡ください。

大網庵の外観と内観
▲茅葺屋根の風情あふれる「大網庵」。いろりのある和室で心安らぐひとときを過ごせます

公式:大網庵

古殿町への移住に関するお問い合わせ

担当課 古殿町役場 産業振興課
住所 〒963-8304
福島県石川郡古殿町大字松川字新桑原31
電話番号 0247-53-4613
対応時間 平日8:30~17:15
公式サイト https://www.town.furudono.fukushima.jp/